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モーツァルト(1756-1791)

CD ルドルフ・ゼルキン ライヴ集 第3集(2CD)

ルドルフ・ゼルキン ライヴ集 第3集(2CD)

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    Kej7hnk  |  埼玉県  |  不明  |  2022年09月04日

     ルドルフ・ゼルキンのライヴ録音集第3弾は、ゼルキンが得意として頻繁に取り上げていたモーツァルト協奏曲を中心とした作品が選ばれた。初出、初CD化音源を多数含む大注目盤!是非多くの方にお聞き頂きたい。  最初に収録されたピアノ協奏曲第21番は、1963年、1年ぶりにウィーンで演奏したゼルキンのライヴで、指揮は盟友オーマンディが務め、ウィーン・フィルとの共演、モーツァルトを聴くのにこの上ないメンバーの組み合わせである。心技体の全てが充実していた1960年代のゼルキンによる演奏は、CBSに遺されたこの頃のレコーディングの全てが素晴らしく、まさに絶頂期であった。しかし、ライヴ録音のディスク化は少なく超貴重である。ゼルキンは1960年代にモーツァルトの協奏曲を多数録音しているが、この21番はスタジオ未収録で、そう言った意味でも全盛期のゼルキンがどのように演奏していたのか知る上でもまた貴重である。これまでにLDでは東芝EMIが1996年に発売した「ウィーン・フィル150周年記念、ウィーン・フィルと名指揮者たち」(TOLW-3731~44/4枚組)に収録され、初発売、その後、DVDではドリームライフレーベルで単売された「オーマンディ」(DLVC-1212)、2010年にリリースされていた。今回のDOREMI盤は、これらと同じ1963年6月9日アン・デア・ウィーン劇場で演奏されたライヴ録音で、初CD化。モノラル録音であるが、ORF収録で音質も良く嬉しいリリースである。カデンツァはゼルキンの作。  このCDセットでの目玉は恐らく第24番の協奏曲であろう。ゼルキンは、この曲をCBS時代には未収録で晩年にアバドLSOと組んでDG(ドイツ・グラモフォン)にレコーディングしていた。DGのレコーディングセッションは、当初モーツァルトのピアノ協奏曲全曲録音として企画されたが、ゼルキンの死によって残念ながら全集としては完成されなかった。しかし、幸いにも主要作品は収録され7枚14曲が残されたが、第24番はその最後のリリースとなった7枚目に収録されていた。DGのセッションは、1985年10月27、28日に行われていたが、DOREMI盤のライヴは、その10日前の10月17日のもの。この頃のゼルキン(82.5歳!)は体調が優れない日もあり、コンサートやレコーディングも減ってきていた時期に当たるが、それを全く感じさせない、矍鑠とした演奏であった。DGの収録もテープを切り張りする必要もなかったであろう。指揮者のMichel Singherはフリッツ・ブッシュの孫だそうで、ゼルキンは遠い昔、デンマークでフリッツ・ブッシュと共演した事を思い出していたのだろうか?親族との共演に表情豊かなモーツァルトの短調の協奏曲の世界を描き出しているようであった。カデンツァはゼルキンの作。(初出)  ピアノ協奏曲第20番は若くして亡くなったグィド・カンテルリの指揮、ニューヨーク・フィルとの1953年ライヴ。印刷には3月26日の収録と書かれている。これまで、Music & Arts社がリリースしたCD(CD-1170/2006年発売)は同曲同じ顔ぶれによる3月27日の録音と記されていた。今回のDOREMI盤にはこの時のフライヤーがライナーに印刷されており、そこには、3月26日、27日共に同じプログラムが演奏された記載されている。2社によるリリースによって両日のモーツァルトの第20番が出そろい、聞けるのかと喜んだが、残念ながら同じ録音であった。結局のところ、両盤の日付が26日なのか、27日なのかわからないのだが、ゼルキンの伝記RUDOLF SERKIN A Life、OXFORD社(2002年刊行)のディスコグラフィー項には、M&A盤が記載されており、3月27日の演奏とされているので、3月27日が正しいのかもしれない。トスカニーニの期待の星であったカンテルリの指揮は、トスカニーニを彷彿とする引き締まった速めのテンポであるが、50歳の誕生日を翌日に控えた全盛期のゼルキンの演奏も生き生きとした見事なものである。カデンツァはベートーヴェンの作。  第12番はゼルキンが愛奏した協奏曲の1つである。CBS時代にモノラルとステレオで2度、DGにはアバドとのシリーズ第1作に録音している。没後発掘されたライヴでは、BBCの収録による1966年のライヴがCD化されている。ここでのDOREMI盤、12番のライヴ録音は、1963年の録音で、カザルス音楽祭での実況だそうだ。これは、ゼルキンがCBSにステレオ録音した翌年のもので、指揮はその時と同じアレクサンダー・シュナイダーが務めている。ゼルキンは、常に新鮮味と愛情を持ってこの協奏曲を弾いているが、若き日の売れっ子モーツァルトの作風を現在に伝えるべく、演奏は若々しく、カデンツァは全てモーツァルトの作を使用している。演奏日についての明記は無いが、1963年のカザルス音楽祭はプエルト・リコで、5月31日から6月12日にかけて開催されていたようである。既述の21番の協奏曲が同年6月9日ウィーンでの演奏であることから、この前後の日を除く5月31日から6月7日、6月11日、12日のいずれかの日に演奏されたものであると推定する。(初出)  2枚組の各盤の余白には、ピアノ独奏作品と室内楽作品が収録された。  独奏作品はプレリュードとフーガ ハ長調K.394が選ばれた。これはロンドンでのリサイタルの録音で、BBC Legendsから2004年に発売されたCD(BBC4157)に収録されていたものと同じ録音である。1968年5月13日、ロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホールで開かれたリサイタルの1曲で、この他にベートーヴェンのハンマークラヴィーアソナタ(BBC4241)、シューベルトの即興曲作品142(ARKADIA 913.1)が演奏された。ベートーヴェンもシューベルトもCD化されていたが、このモーツァルト共に現在は廃盤となっており、今回のリリースは久々のカタログ復活で喜ばしい。ゼルキンは、何故か、モーツァルトの独奏作品を1曲もスタジオ収録していない。極めて貴重な録音である。  室内楽作品はピアノとヴァイオリンのためのソナタK.13とK.12の2曲が収録された。DOREMI盤にはc.1974と収録時期か?出版時期か?を記載しているが、これは、1967年7月23日、ゼルキンが芸術監督を務めていたマールボロ音楽祭での実況録音である。ブダペスト弦楽四重奏団チェリストのミッシャ・シュナイダーが芸術監督を務めるマールボロ・レコーディング・ソサエティのLP第1号(MRS-1)のB面に収録されていた同じ録音である。(初CD化)  今回のリリースは、ゼルキンファンならば歓喜、モーツァルトファンにも見逃せない内容となっている。音質もそれぞれ録音年代を考えれば良好と言えるだろう。1点マイナス点を書くとしたら、ピッチである。テープ収録時と再生時の速度が微妙に違うのであろう、今回も協奏曲第24番、第12番は、ピッチが低めであった。

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