交響曲第9番『グレート』 ファビオ・ルイージ&フィルハーモニア・チューリッヒ(日本語解説付)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 2020年06月14日
フルトヴェングラーのような壮大でロマンティックなスタイルとHIPとのハイブリッドを狙った注目すべき演奏。リピートはすべて実施。トリオ後にスケルツォ主部が戻ってくる所ではリピートを省くが、これは定番通り。ホルンに始まる第1楽章序奏部は極端に遅くはないが、落ち着いたテンポ。主部もそんなに飛ばすわけではないが、第1主題で弦と木管を対等に響かせるのは、明らかにピリオド・スタイルのセンス。近年では珍しく楽章末尾の序奏主題回帰は完全にテンポをアンダンテに戻して終わる。第2楽章は意外にも速く、軽やかな足どり。ただし、二度目のAパートが急迫して全休止になった後は極端に遅く、痛切に歌う。この演奏のハイライトだと思う。フルトヴェングラーの1943年ライヴを思い出させるが、その後、楽章終わりまで遅いままのフルヴェンと違って、ルイージは二度目のBでスムーズにテンポを元に戻す。スケルツォは速めで浮遊感が心地いい。終楽章は着実なテンポながら常にリズムの弾みがあり、提示部反復をやってもダレた感じがしない。最後の音はディミヌエンドだが、音価をあまり延ばさないせいか、減衰しながらもこれほど違和感のない演奏ははじめてだ。1人の方が、このレビューに「共感」しています。
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