ベリオ、 ルチアーノ(1925-2003)

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CD 輸入盤

セクエンツァ第1〜第14 B.ベルマン(p)シュルマン(fl)アーノルド(S)シャルツ(ob)、他(3CD)

ベリオ、 ルチアーノ(1925-2003)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
8557661
組み枚数
:
3
レーベル
:
:
International
フォーマット
:
CD
その他
:
輸入盤

商品説明

器楽演奏の極北、極限技巧の見本市

ルチアーノ・ベリオ:『セクエンツァ』(3CD)

器楽曲の発展の歴史において、演奏技巧の高度化と、それを通じた楽器の機能の拡張が、重要な役割を持っていたことは申すべくもないことでしょう。巨匠、ベリオがすでに様々な可能性が試みられた20(と21)世紀において、一層の飛躍への願いを込めて、(女声を含む)種々の楽器において意図的に名人芸を追求し、その半生を通じて作曲し続けた連作が[『セクエンツァ』です。当然ながら、どの曲も目も眩むほどの超絶技巧や特殊奏法のオンパレードで、アイデアの豊かさと、放出されるエネルギーの強さには圧倒されます。極限の技巧にのみよって達せられる、斬新なサウンドの面白さをご堪能ください。
 ルチアーノ・ベリオが34年に渡って書き続けた『セクエンツァ』シリーズには、ベリオの音楽のエッセンスが詰まっています。セクエンツァ中の多くの作品は、演奏に際して高い技量やスタミナを要するだけでなく、各楽器の演奏技術の枠を超えた新機軸も内包しています。作品内容の幅は広範囲にわたり、歌手キャシー・バーバリアンのために書かれた抽象的な音楽劇『セクエンツァV』といったものから、諧謔味を帯びていてしかも心を打つ、ファゴットのための『セクエンツァZ』といったものまで及びます。シリーズ中の最終曲であるチェロのための『セクエンツァ]W』は、スリランカの民族打楽器カンディアンに影響を受けた内容の濃い作品で、このCDが世界初録音となるものです。

ルチアーノ・ベリオ(1925-2003):セクエンツァ第1〜第14

・セクエンツァ第1(フルートのための)
 ノラ・シュルマン(フルート)

・セクエンツァ第2(ハープのための)
 エリカ・グッドマン(ハープ)

・セクエンツァ第3(女声のための)
 トニー・アーノルド(ソプラノ)

・セクエンツァ第4(ピアノのための)
 ボリス・ベルマン(ピアノ)

・セクエンツァ第5(トロンボーンのための)
 アラン・トゥルーデル(トロンボーン)

・セクエンツァ第6(ヴィオラのための)
 スティーヴン・ダン(ヴィオラ)

・セクエンツァ第7a(オーボエのための)
 マテイ・シャルツ(オーボエ)

・セクエンツァ第8(ヴァイオリンのための)
 ジャスパー・ウッド(ヴァイオリン)

・セクエンツァ第9a(クラリネットのための)
 ホアキン・バルデペニャス(クラリネット)

・セクエンツァ第10(ハ調のトランペットと音を発しない共鳴だけのピアノのための)
 ガイ・フュー(トランペット)

・セクエンツァ第11(ギターのための)
 パブロ・サインス・ビジェガス(ギター)

・セクエンツァ第12(ファゴットのための)
 ケン・マンディ(ファゴット)

・セクエンツァ第13(アコーディオンのための(シャンソン))
 ジョゼフ・ペトリック(アコーディオン)

・セクエンツァ第14(チェロのための)
 ダレット・アドキンス(チェロ)

・セクエンツァ第7b(ソプラノ・サクソフォーンのための)
・セクエンツァ第9b(アルト・サクソフォーンのための)
 ウォレス・ハラディ(ソプラノ・サックス&アルト・サックス)

【ルチアーノ・ベリオ[1925-2003]】
ベリオの名前は『シンフォニア』(1968)と『セクエンツァ』(1958)によって広く知られています。前者でのマーラーの『復活』をメインにした数々の有名作の引用に基づくコラージュ技法の面白さは無類であり、インパクトの強さにもすごいものがありました。また、後者での多彩をきわめた奏法、記譜法上の革新などさまざまなアイデアの数々は、ベリオの作曲技法の集大成というにふさわしいものとなっています。
 ベリオは1925年、イタリア、インペリア県オネーリャの音楽家の家庭に誕生。祖父と父はともにオルガン奏者で作曲家であり、音楽の手ほどきも最初は彼らから受けています。
 12歳のとき、ロマン・ロランの『ジャン・クリストフ』にインスパイアされたピアノ曲を書いたといわれるベリオですが、パルチザンとして活動していた19歳のとき、銃の暴発事故で右手を負傷し、ピアニストへの道を断念。
 そのため本格的に作曲家を志すようになり、第二次世界大戦後、ミラノのヴェルディ音楽院でゲディーニに作曲を、ジュリーニに指揮を師事。その後、アメリカに渡り、タングルウッドでイタリア出身の作曲家ダラピッコラに12音技法を学んでいます。
 1955年、友人の作曲家ブルーノ・マデルナとともにミラノに電子音楽スタジオを設立。最初は電子音楽の作曲家として認められ、1974年から80年にはブーレーズが設立したIRCAMの電子音響部門の責任者を務めてもいました。
 録音した音を使ってコラージュ的に作品を仕上げる手法、“ミュジック・コンクレート”を電子的な合成音と融合させようというベリオの試みは、すぐれたテープ音楽作品『テーマ/ジョイス賛』(1958)や『ヴィザージュ』(1961)に結実。両作品とも、「歌唱は知性が90パーセント、声が10パーセント」と力説するアルメニア系アメリカ人メゾ・ソプラノ歌手、キャシー・バーベリアンの歌を前面に押し出したものでした。
 ベリオとバーベリアンは、1950年、ミラノのヴェルディ音楽院で出会って間もなく結婚、緊密な共同作業によって声の可能性を追求する作品をつくっていきます。
 バーベリアンは並外れた才能と感受性をもった歌手で、ベリオは彼女のために『サークルズ』、『リサイタルI』、『セクエンツァIII』などといった作品を作曲。彼女が1983年の3月6日に亡くなったときには『キャシー・バーベリアンのためのレクイエム』を捧げています。

収録曲   

ディスク   1

  • 01. Sequenza I for Flute solo
  • 02. Sequenza II for Harp solo
  • 03. Sequenza III for Female Voice solo
  • 04. Sequenza IV for Piano solo
  • 05. Sequenza V for Trombone solo
  • 06. Sequenza VI for Viola solo
  • 07. Sequenza VII for Oboe solo

ディスク   2

  • 01. Sequenza VIII for Violin solo
  • 02. Sequenza IXa for Clarinet solo
  • 03. Sequenza X for Trumpet and "silent" Piano
  • 04. Sequenza XI for Guitar solo

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ベリオの「セクエンツァ」は、14の楽曲から...

投稿日:2021/07/09 (金)

ベリオの「セクエンツァ」は、14の楽曲からなる一群の作品の総称。各作品はそれぞれソロ(フルート、ハープ、女声、ピアノ、トロンボーン、ヴィオラ、オーボエ、ヴァイオリン、クラリネット、トランペット、ギター、ファゴット、アコーディオン、チェロ、サクソフォン)楽器のために書かれている。それだから、全集としてリリースするためには14人の奏者が個別に曲を録音することになる。また、ベリオの狙いとして、それぞれの楽器の奏法の「新しい技術」を求めたため、どの曲も相応のテクニシャンでなければ太刀打ちできない代物である。ナクソスのような廉価レーベルがこの全集を出してくれたことは、とてもうれしいが、聴いてみて驚いたのは、その質の高さである。そもそも、ジャケットのデザインからしていつものナクソス・レーベルに比べて抽象度が高く、内容を期待させるセンスのよいものだったが、実際中身は負けていなかった。それにしても奏者の名前は正直言ってまったく聞いたことがない人ばかりである。そのメンバー全員が、一人のはずれもなくこれほどの演奏をしているのだから、その企画力の見事さにまず脱帽するほかない。楽曲は聴いてみるのが一番だが、とても面白い。様々な音色を一つの楽器に求めるが、決して破壊的ではなく、音楽としての求心性を保っている。とはいえ、その旋律は簡単に口ずさめるものではないし、現代音楽が一切ダメという人には向かないが、偉大な芸術家のライフワークを聴く貴重な機会を提供したアルバム。

ココパナ さん | 北海道 | 不明

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