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Comp.violin Sonatas: Schneiderhan(Vn)Seemann(P)

Beethoven (1770-1827)

User Review :5.0
(4)

Item Details

Genre
:
Catalogue Number
:
4775502
Number of Discs
:
3
Format
:
CD
Other
:
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Product Description

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集
シュナイダーハン&ゼーマン

1959年5月ステレオ録音。ウィーンが生んだ名ヴァイオリニスト、ヴォルフガング・シュナイダーハン(1915-2002)のベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集が、はじめてCDとしてインターナショナル・リリースされます。
 シュナイダーハンの芸風を一言で示せば、広い意味で『根っからのウィーンの芸術家』であるということになるでしょうか。
 技術面で言えば、ヴィブラート(音の揺らし方)にドイツ・オーストリア系統の特色が出ています。即ち、左手首をキリリと震わせて、幅の狭い、細かいヴィブラートを掛けるやり方で、彼の甘美で切ない音色の秘密ともなっています。これは、現在の主流である幅の広い華麗なヴィブラートの掛け方とは対極にあるやり方です。
 演奏解釈面には、ウィーン人特有の複雑な人間性が反映されているようです。シュナイダーハンは、いわゆる“名人芸”には全く興味がありません。それは、バッハからヘンツェに至る彼の幅広いレパートリーの中に、パガニーニやヴィエニアフスキーの名前が見当たらないことからも証明できます。そして、彼のレパートリーの中の曲であっても、時折、他のヴァイオリン奏者とは全く異なった解釈が聴かれるのです。
 たとえば、ゼーマンと共演したベートーヴェンの『クロイツェル・ソナタ』の第2楽章(ヘ長調)を聴いてみて下さい。この楽章は変奏曲形式で、始めにテーマが弾かれ、次いで4つの変奏が続きます。第3変奏はヘ短調となり、曲の気分も劇的に変化し、第4変奏では再びヘ長調に安らぎが訪れます。
 この楽章で多くのヴァイオリニストは第2変奏を明るい音色と、軽快なスピードで弾いています。マックス・ロスタールが自著で『いわゆる“できる人”はこのヴァリエーションを非常に速いテンポで弾きがちだが、それは美学的にみて疑問があるし、そればかりでなく、楽章全体との関連からすればいくらか下品な感じを免れない!』と嘆いている程です。[守岡輝/山本淳一=共訳『ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ』(音楽之友社刊)より]
 しかし、一人シュナイダーハンだけは、この第2変奏を暗い音色で弾いて、続く第3変奏での悲劇を予感させるのです。『クロイツェル・ソナタ』を技巧誇示の場にしてしまった“できる人”たちとはとても大きな違いです。
 優れているのは『クロイツェル・ソナタ』だけではありません。第6番でもシュナイダーハンの演奏は見事です。冒頭テーマから、彼の音色は清らかな気品に満ち、この隠れた名作の味わいを引き出していきます。終楽章でのピアノとの掛け合いも愉悦的。第7番で示した力強い表現力も聴き物ですし、第8番と第10番でも、シュナイダーハンの音色の微妙な変化は、楽想の移ろいを精妙に表出しています。第1番から第4番という初期作品での颯爽とした弓さばきも魅力的で、古典的な造形を示すゼーマンのピアノとの相性も最高です。


ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
・ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ長調 Op.12-1
・ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調 Op.12-2
・ヴァイオリン・ソナタ第3番変ホ長調 Op.12-3
・ヴァイオリン・ソナタ第4番ハ短調 Op.23
・ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調 Op.24『春』
・ヴァイオリン・ソナタ第6番イ長調 Op.30-1
・ヴァイオリン・ソナタ第7番ハ短調 Op.30-2
・ヴァイオリン・ソナタ第8番ト長調 Op.30-3
・ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調 Op.47『クロイツェル』
・ヴァイオリン・ソナタ第10番ト長調 Op.96

ヴォルフガング・シュナイダーハン(Vn)
カール・ゼーマン(Pf)

シュナイダーハンの経歴

ヴォルフガング・シュナイダーハンは、1915年5月28日にウィーンで生まれました。3歳から母親にヴァイオリンを学び、8歳からボヘミア派の名教師オトカール・セヴシックと、ヨアヒムの流れを汲むユリウス・ヴィンクラーの教えを受けています。
 彼は5歳で公開演奏会を開き、11歳のときコペンハーゲンでオーケストラと初共演(メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲)するなど、“ヴォルフィー”のステージ名で天才少年として活躍しました。
 1937年から1949年までは、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務め、オーケストラ曲の中での彼の甘美なヴァイオリン・ソロは当時のウィーン・フィルの名物と謳われました。この間、ウィーン・フィルのメンバーとのシュナイダーハン四重奏団を主宰したり、ピアノのエドウィン・フィッシャー、チェロのエンリコ・マイナルディと伝説的なトリオを組むなど、室内楽奏者としても活躍しています。
 1949年にウィーン・フィルを辞任すると、ソリストとしての活動に専念し、ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、ロンドン交響楽団などの世界のオーケストラへの出演や、ヴィルヘルム・バックハウス、ヴィルヘルム・ケンプ、カール・ゼーマン、ワルター・クリーンなどドイツ=オーストリア系の名ピアニストとのデュオ・リサイタル、夫人であるソプラノ歌手、イルムガルト・ゼーフリートとのジョイント・リサイタルなど幅広い演奏活動を行いました。
 ヴァイオリン教師としても名高く、1938年から50年まで、ウィーン音楽院の教授を務めたのをはじめ、1949年には前年に亡くなったゲオルク・クーレンカンプの後を受けてルツェルン音楽祭ヴァイオリン・マスタークラスの教授となり、後年ふたたびウィーン音楽院に復帰するなどして、ヘッツェルや久保田巧など、多くの演奏家を育成しました。

Track List   

Disc   1

  • 01. Sonata for Violin and Piano no 1 in D major, Op. 12 no 1
  • 02. Sonata for Violin and Piano no 1 in D major, Op. 12 no 1
  • 03. Sonata for Violin and Piano no 1 in D major, Op. 12 no 1
  • 04. Sonata for Violin and Piano no 2 in A major, Op. 12
  • 05. Sonata for Violin and Piano no 2 in A major, Op. 12
  • 06. Sonata for Violin and Piano no 2 in A major, Op. 12
  • 07. Sonata for Violin and Piano no 3 in E flat major, Op. 12 no 3
  • 08. Sonata for Violin and Piano no 3 in E flat major, Op. 12 no 3
  • 09. Sonata for Violin and Piano no 3 in E flat major, Op. 12 no 3
  • 10. Sonata for Violin and Piano no 4 in A minor, Op. 23
  • 11. Sonata for Violin and Piano no 4 in A minor, Op. 23
  • 12. Sonata for Violin and Piano no 4 in A minor, Op. 23

Disc   2

  • 01. Sonata for Violin and Piano no 5 in F major, Op. 24 "Spring"
  • 02. Sonata for Violin and Piano no 5 in F major, Op. 24 "Spring"
  • 03. Sonata for Violin and Piano no 5 in F major, Op. 24 "Spring"
  • 04. Sonata for Violin and Piano no 5 in F major, Op. 24 "Spring"
  • 05. Sonata for Violin and Piano no 6 in A major, Op. 30 no 1
  • 06. Sonata for Violin and Piano no 6 in A major, Op. 30 no 1
  • 07. Sonata for Violin and Piano no 6 in A major, Op. 30 no 1
  • 08. Sonata for Violin and Piano no 7 in C minor, Op. 30 no 2
  • 09. Sonata for Violin and Piano no 7 in C minor, Op. 30 no 2
  • 10. Sonata for Violin and Piano no 7 in C minor, Op. 30 no 2
  • 11. Sonata for Violin and Piano no 7 in C minor, Op. 30 no 2

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Comprehensive Evaluation

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私の若い頃は室内楽はハイブローが聴くジャ...

投稿日:2008/06/22 (日)

私の若い頃は室内楽はハイブローが聴くジャンルといった風潮があり影響されたこともあったが、甲羅を経た今はそんなことはどうでもよく、演奏家が演じる美の世界を楽しめればよい心境になった。これはまさにぴったり。心を開いて楽しんだ。例えば、スイトナーを聴いた後の感覚に近い。シュナイダーハンはベートーヴェンの協奏曲などでファンだが、それにもましてゼーマン。昔、文化放送のグラモフォン・アワーの開始曲、モーツァルトのロンドを聴いて以来のご贔屓だが、ここでもとても良かった。

YT さん | 埼玉県 | 不明

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30年前に室内楽は死んだと思う。近年は細...

投稿日:2006/08/13 (日)

30年前に室内楽は死んだと思う。近年は細かい技巧を誇示するためにまるで「顕微鏡でじっくりご鑑賞下さい」とでもいうような音楽ばかり。音楽は研究服を着て扱うものではない。日常的に親しむ事ができる音楽はついぞ聴けなくなってしまった。そんな室内楽の本質を留めた往年の記録がシュナイダーハンのDG録音集。毎日お茶を飲むのと同じような音楽。こんな音楽をまだご存じないクラシック音楽ファンもいるのではないかと思う。

真如堂 さん | 京都市 | 不明

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本当に趣味の良い人は、今、このような録音...

投稿日:2005/07/29 (金)

本当に趣味の良い人は、今、このような録音を聴いていると思う。室内楽は死につつある。ヴァイオリンではシュナイダーハン、ミルシテインあたりで一度終わっている。受け狙いの、フレージングすらズタズタでバラバラの今風のデュオを耳にする度に、絶望的な気分で滅入ることがある。この、今は失われてしまった音に対する鋭敏な感覚と深い尊重と節度。弾き振りの協奏曲は困るが、それ以外のシュナイダーハンの録音は、良い趣味に支えられ、音一発に感心してしまう。良い趣味が分かる人ならば、心の震えとともに落涙する危険がある。

ひのき饅頭 さん | 愛媛県 | 不明

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Beethoven (1770-1827) Items Information

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