第19位

2005年8月6日 (土)

意外にもベテラン・バンド Doves

全英チャートNo.1に輝いてるのにもかかわらず日本での評価が低いアーティストはたくさんいるが今回ご紹介するDovesもその中のひとつに挙げられるバンドだろう。

実際まだ3枚のアルバムしかリリースしていなのだからしょうがないのでは？とお思いの方も多いかと思うが、イギリスではデビュー当時から相当な注目を集めており、2度に渡ってイギリスの権威ある音楽賞「Mercury Music Prize」にノミネートされているのだ。

人気ダンス・ユニットを経てバンド結成

Dovesはマンチェスター出身で双子のJez(Vo、B)とAndy(Dr)のWilliams兄弟と中学時代の同級生Jimi Goodwin（Vo、B）からなる3人組。
元々はダンス・ユニットSub Subとして活動していた。このSub Subは93年に全英シングル・チャートで3位、スマッシュ・ヒットを記録した”Ain’t No Love (Ain’t No Use)”を放ちながらも、その後はヒットにも恵まれず自らのスタジオが火事で消失してしまうという不遇な時代を味わったまま消えていってしまった。

彼らはこのままで終わることなく新しいバンドDovesを3人で結成。1998年10月に『Cedar EP』で再びデビューを果たしたのだった。
このシングルはごくわずかな数しかプレスしない限定盤だったということもありたちまちソールド・アウト。

この状況を見たイギリスのプレスは"Next Big Thing"として大きく取り上げ、 翌99年春には"Sea Song"、"Here It Comes That"と立て続けにリリースし名門レーベルHeavenlyと契約を交わした。

衝撃のデビュー・アルバム『Lost Souls』

2000年にはデビュー・アルバムとなる『Lost Souls』をリリース。ヨーロッパ各地で大ヒットを記録したこのアルバムは「Mercury Music Prize」にノミネート。この勢いで2001年にはCapitol Recordと契約を交わし全米デビューもしている。

ダンス・ユニットSub Sub消滅後にリリースしたシングル"Cedar EP"でイギリスのプレスを驚かせたDoves。元ダンス・ユニットをやっていたというだけありサンプリングを重ねたりして広がりのあるサウンドを聴かせてくれていて、英NMEではその才能をOasisやTravisよりも上と大絶賛した。

初の全英No.1『Last Broadcast』

2002年春にはセカンド・アルバム『Last Broadcast』をリリース。メランコリックなメロディと壮大な宇宙を思わせるような懐の深いサウンド、しかしながらもどこかサイケなイメージも感じ取れる。とにかく光と音が渦巻く世界がこほアルバムには散りばめられているのだ。
このアルバムは全英チャートNo.1に輝き前作に続きまたも「Mercury Music Award」にノミネート。しかし残念ながらこのアルバムも受賞できずいまだ無冠のままだ。

2003年にはこれまでにリリースしてきたシングルのB-Sideを集めたアルバム『Lost Side』をリリース。この時点でB-Side集を出せるということは、いかに彼らの楽曲が良いかということの表れだろう。

貫禄のサード・アルバム『Some Cities』

そして今年に入り3枚目のアルバム『Some Cities』をリリース。前評判の良かったこのアルバムはUKチャート初登場No.1に輝いた。これまでの幻想的なDovesサウンドは踏襲しつつも開放感に満ち溢れたライヴ感のあるアルバムに仕上がっている。

アルバム収録の楽曲すべてがシングルとしてリリースできるというほどのソングライティング・センスを持ち合わせている彼らは某雑誌のインタビューで「日本のファンは僕らの音楽を理解してくれている」と語っていた。
きっと彼らはキャッチーな曲を書くことでファンを増やそうとは思っていないのだろう。彼らなりのポップでキャッチーな曲の良さを分かるファンがいるうちは。