キース・ジャレット、ソロ、発売中！

2005年4月27日 (水)

2002年に行われたソロ・ピアノによるジャパン・ツアーの演奏の中から大坂フェスティバル・ホールの演奏の全曲と、東京文化会館の演奏の「一部」を収録したＣＤ2枚組が発売された。

収録された東京公演は、キース・ジャレットにとって来日通算150回目の記念すべき公演だった。

　本作は1999年重病から復帰後に発表した、闘病中に自宅録音されたアルバム「The Melody At Night With You」以来6年ぶりのソロ・ピアノ・アルバム。フリー・インプロヴィゼイション＋スタンダード・ナンバーという、いまのキースのスタイルの基本そのものが演奏されている。

Keith Jarrett(piano-solo) 2002年10月27日、大坂フェスティヴァルホール。30日、東京文化会館でのライヴ録音。

記録を辿るとキース・ジャレットのソロ・ピアノ・コンサートは、70年代はともかく、80年代後半以降限られた国で演奏されており、そうした意味ではキースにとっての日本は、ソロ・ピアノ・コンサートで楽しめる“最優先国”だったことが分かる。

ほぼ同時に発売されるＤＶＤによる日本での演奏記録を照らし合わせれば、キースの音楽歴にとって日本が果たした大きな役割が浮かび上がってくる。

かつて、50年代のハードバップシーンで異彩を放ったArt Pepperを暖かく迎え、見事にカムバックさせた日本。キースにとっても、ソロ・ピアノ・コンサートという自由な空間を与えられ、カムバック後の演奏にその場を貸したこの国での150回を越える演奏は印象に残るコンサートだったろう。

透徹とした空間の中に情念を流し込んでいくような“キースらしくない”瞬間も見られる稀有なコンサートを聞くことが出来る。