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「TAO」 企画前夜:ゲスト→吉田豪 3

2008年10月6日 (月)

---  今、週に何回くらい取材されてるんですか?


吉田:週2〜3は、ありそうですね。


---  あとは、連載用の原稿と・・・。


吉田:・・・もあるし、何か細々としたコメント仕事だなんだとか、いろいろあるんですよ。きのうなんて、夜中の1時とか2時に、撮影のために呼ばれて(笑)。何をしてるんだかわからないようなことをよくやってますよ、いろいろ(笑)。


---  急に連絡が入って?


吉田:ええ、急にね(笑)。でもね、便利屋的なコメントがすごい多いですよ、本当に(笑)。電話で"アドリブで何か、適当なことを言って下さい"的な(笑)。


---  それはテレビとかですか?


吉田:テレビは・・・もっと卑怯ですよ?(笑)。ギャラの発生しない・・・「吉田さん、あれについてくわしく何かないですか?」みたいな(笑)。「お前のギャラのために、何故俺がノーギャラで協力しなきゃならないんだ」って、テレビにはすごい、思いますけどね(笑)。


---  吉田さんはすごく、いろいろなことに好奇心がおありですよね?そういう好奇心は、どこからきてるんですか?


吉田:うーん、好奇心っていうか、だいたいおもしろがれますからね。それはもう、ひどい目に遭うことだろうが、過剰に好かれることであろうが。取り込まれそうになるのも、めんどくさいと思いながらも、「でも、おもしろい」っていうのがありますからね(笑)。基本はそれですよ。ミッキー安川さんを取材したら、なんか好かれて、「飯食いに行こう!」って言われたり、そういうことになっていくのも、まあね、全てラジオでネタにしていくことによって・・・(笑)、ちゃらになるっていう。


---  ラジオで発言されたことによって、相手からの反応はありますか?


吉田:うれしがられることもあるし、警戒っていうか、「あいつになんかあんまり言うと、裏でいろいろ言われるから」みたいな感じで、適度な距離がおかげで保てるんですよね、絶対。だから、ズブズブにはならないんで済むんですよね。「お前、この間のこと、ラジオで言ったらしいな」「ああ、すみません!」みたいな、そんな感じで全然OKなんですよね。


---  同じ方に、何回かインタビューされる場合もありますよね?


吉田:オファーがあればっていうのもあるし、「おもしろかったんで、もう1回やって下さい」って言われれば、それも受けるし。あとは、状況が変わったっていうのを最近は、よくやってて。

岸部四郎さんは、奥さん亡くなって、ブログで死にそうになってるから、「エールを送りに行かなきゃ!」って思って、エールを送りに行って、「ブログがおもしろい!」って言いふらしてたら、ものすごい岸部さんに感謝され(笑)みたいな。「吉田さんが、初めて褒めてくれたんよ」って(笑)。「全然人に感謝しない人が感謝してる」って(笑)。そういう感慨深いものがあったんですけど・・・まあ、そういう変化ですよね。

前にABブラザーズの松野大介さんって人を取材して、それは単行本にも出てるんですけど(「続人間コク宝」)、その人のブログを見たら、「僕は、吉田豪という人のインタビュー本に出てるが、インタビューを受けた記憶がない。たぶん、代理の人が来た。代理の人が来たんだから、僕は怒ってもいいのではないか」っていうことになってたんで(笑)、すぐ会いに行ったりとか。そういう動きがあった時に再会するパターンですよね。


---  再会した時に、前の取材の時のことって覚えてくれてますか?


吉田:そうですね、場合にもよりますけど、意外と覚えてくれてますよね。安岡力也さん取材して、3年くらい間が空いて、他の雑誌で行ったら、「(低い声で)おお、ひさしぶり!」って(笑)。「何で覚えてるんだろう」みたいな(笑)。まあ、ジャンルでしょうね。すごい人気がある人に行ってたら、一切、何の記憶にも残ってないでしょうけど、「大ファンなんです!」って来る人が、それほど数がいないようなところに、たぶん行ってると思うんで、ってことですかね。ビートたけしさんとかね、そういう人ばかり取材してたら一切記憶に残ってないと思いますけど。でも、そういう大物の取材に行く場合はまた僕、"卑怯な手"使いますからね(笑)。


---  "卑怯な手"?(笑)


吉田たけしさんのところに行った時は、第一声で「僕の最初の本は「男気万字固め」っていう本なんですけど、そのデザイン、たけしさんの息子さんにやってもらいまして」って(笑)。たけしさんの息子さんが一時期、「デザイナーになりたい」って言ってて、僕の友達の会社に入って、初仕事がそれだったんですよね(笑)。そこで、一気に距離を詰めて。

「こないだあいつもね、海外で入院して・・・」「ああ、聞いてます、聞いてます」とか、そういう"卑怯な手"は使えるんですよね(笑)。それは、オファーがあった仕事なんですけどね。でもその時いろいろ仕込んで行ったのは、空回りも結構ありましたよ。当たり前のようにその、たけしさんが80年代くらいの時の"たけしの似顔絵リュック"みたいなの背負って行って。これ見よがしに"たけしグッズ"とかが鞄から出てるのに、一切拾ってももらえず(笑)。だから、そういう人には熱狂的なファンも多いってことですよね。そうじゃないところから行かないと・・・。

「ファンなんです」っていうのが一切通用しないパターンっていうのがありますからね。沢尻エリカさんもそうでしたけど、「昔から好きで・・・」「ああ、そう」みたいな(笑)。「はい、流れました・・・」っていう(笑)。


---  沢尻エリカさんにもインタビューされたんですか?


吉田:ええ、それはもうあれですよ・・・実は、あんまり言っちゃいけないんですけど、"あの騒動"の直前だったんで・・・。


---  あの直前に?(笑)


吉田:ええ(笑)。一番アツイ時期だったんで、ものすごい体験をさせて頂いて。6媒体くらいにコメントしましたからね。"最近、沢尻エリカを取材した吉田豪氏のコメント"、みたいな感じで(笑)。


---  差し支えなければ、お話し頂けますか?


吉田:ええ、全然いいですよ。持ちネタになってますから(笑)。すごかったですよ。取材する日が月曜になったんですけど、僕、月曜昼ラジオ(「ストリーム」(TBSラジオ月曜14時〜)生なんで、その前の午前中ってことになったんですね。11時半とかスタートで。

で、まあね、思いっきり1時間くらい遅刻されて(笑)、当たり前のように。僕ら待ってて、彼女が到着したら、「遅刻してすいません」的なものは当然なく(笑)、「おはようございます」もなく(笑)、無言で(上目遣いで挨拶するジェスチャーをしながら)ご挨拶で入ってきて。 スタッフの方がたぶん、ステレオに彼女専用のi-podをつないでたと思うんですけど、そこにまっすぐ行って、ブラックミュージックをフルボリュームにして(笑)。それが彼女の、まず第一の行動で(笑)。それでもう、完全に呑まれるんですよね、全員。「うわ、どうしよう・・・」って(笑)。

で、まず最初に撮影で、カメラマンの人が「僕、もう前に1回やってるんで大丈夫ですよ」ぐらいな感じだったのが、さっきのでもう、完全に呑まれて(笑)。で、彼女すごい格好だったんですよ。『クローズド・ノート』ってあの、教師志望の女子大生の役だから、すごい真面目な役じゃないですか?なのに、ものすごい女優帽子、巨大なの被って、派手ーなワンピース着て入って来て。

「写真撮りまーす」ってなったら、このまま(腰に手を当ててポージング)動かないんですよ。ワンポーズで、睨みつけたような状態のまま。完全に固まった状態で。あとはカメラマンが近付いたりとか、横に行ったりとかするしかなくて。「うわー」って思っちゃったんですよね、周りが(笑)。で、カメラマンが勇気出して、「すみませーん。座りも撮りたいんで、座ってもらえますか?」って言ったら、「ええー、座り?」って顔をして、無言でしゃがんだら、「壁に帽子が当たるんだけど・・・」っていうような感じのアクションを2回くらいして、また無言で立ち上がって、無言で元のポーズに戻って(笑)。「うわあー、すごいものを見た!」って思って(笑)。

現場を自分の色に染めるんですよね。誰が一番えらいかをはっきりさせるんですよ。犬のマウンティングみたいなもんですよね。完全に僕らもう、乗られてましたね、後ろ(笑)。でも、あれはやられますよ。


---  毎取材、そうなんですかね?(笑)。


吉田:ですかね・・・でも、その時期は間違いなく、そうだったんでしょうね?でも、おもしろかったなあー、いい経験でしたよ(笑)。取材も大変でしたけどね。そこで呑まれた上に・・・。


---  そういう時は吉田さんでも、インタビューしづらいですか?(笑)


吉田:いやー、やりづらいですよー(笑)。最初、雑談から入ろうとしても、全て却下みたいな感じですからね。

僕が大好きな彼女のエピソードがあって・・・。ある人が取材しようと思った時に、彼女が取材嫌いなの知ってるから、何とか掴みを考えようと思ったらしくて。その時ちょうど、別名(ERIKA)で出した歌がオリコンで1位とかになってたんで、「この話題から行こう!」ってなって、「まずは、歌の方がオリコン1位ということで、おめでとうございます!」って言ったら、ムスーっとした顔で、「(両手を叩きながら)映画の話しと関係ない♪」って(笑)。完全に頭真っ白になりますよね、これね。クラッシャーですよ。自分がもしその場にいたら・・・と思うと、死にたくなりますよね(笑)。

そういう話しを聞いて、会いに行ったんですよね。それ、「言われたい」って思って(笑)。だから、まず映画と関係ない話しから行こうと思ったんですけど、プレッシャーが凄すぎて、「映画の話しから行くしかない」みたいな空気を作られちゃいましたけどね。







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