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【第3回】 はじめてのジャズ 山下さん、タモリさん

Friday, December 7th 2007


第3回は、
山下さん、タモリさんによる「ジャズ筆下ろし」特選を

山下洋輔

まだまだ続く、高平さん「太鼓判」のジャズ・ディスク・セレクション。

...と、この辺で小休止とばかりに届けられたのは、
「はじめてのジャズ」専任講師としてもおなじみの
山下洋輔さん、タモリさん、
両氏からの貴重な「はじめてのジャズ」選定リスト。

早速ご紹介いたします。

70年代中頃、この両氏、さらには高平さんはじめ、「全日本冷し中華愛好会」の面々を結びつける一端を担った(?)「ジャズ」という音楽に、
ひどく興味を憶えた方は是非目を通してみてください。

 

山下さんの5枚 山下洋輔作品一覧

Benny Goodman『Live At Carnegie Hall』   Benny Goodman 『Live At Carnegie Hall』 (CBS)

スイングの王様、ベニー・グッドマンが
1938年、クラシックの殿堂たるカーネギー・ホールで開催した
「はじめてのジャズ」コンサートを収録したアルバム。

デューク・エリントン楽団やカウント・ベイシー楽団などの
スターたちのゲスト出演もあって、
スイング・ジャズの真髄をたっぷりと味わうことができます。

「中学生の頃に観た『ベニー・グッドマン物語』でのシーンがすごく心に残ってます。
個人技がスゴくてね。ハリー・ジェームスと、ドラムのジーン・クルーパーのソロ対決とか。」と山下さん。  



「One O'Clock Jump」が視聴できます♪

Charlie Parker / 10 CD Wallet Box   Charlie Parker 『10 CD Wallet Box』 (Documents)

1940年代半ば、ビバップのアルト・プレイヤーとしては
突出した表現力とオリジナリティで
時代の最先端を駆けていたチャーリー・パーカー。

ジャズの100年に渡る歴史の中で、
実働20年、しかも34歳で死したパーカーが残した偉業は
語りつくされることはありません。

山下さんをして、
「チャーリ・パーカーのお薦めのアルバムは、
はっきりとは言えないけど、どれでもいいです。」
というぐらいなのですから。  



「Night In Tunisia」が視聴できます♪

Art Blakey / サンジェルマンのジャズ・メッセンジャーズvol.3   Art Blakey
『サンジェルマンのジャズ・メッセンジャーズ』
(Blue Note)

高平さんも第1回目で触れていた、
アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの、
『Moanin'』と並び日本にファンキー・ブームを巻き起こした
決定的な名盤です。

パリのナイト・クラブ「サンジェルマン」
を世界的に知らしめたライヴ録音です。

「Blues March」では、
ヘイゼル・スコット(p)が、ボビー・ティモンズのピアノ・ソロに感極まって
「オーッ、ロード!ハヴ・マーシー!」と叫んでいる、
という明日早速使えるワンランク上のジャズ・トリビアもご用意しております。


「チュニジアの夜」が視聴できます♪

Miles Davis『Four & More』   Miles Davis 『Four & More』(CBS)

高平さんも強烈に太鼓判を押されていた1枚。

60年代のマイルス・デイビスのアルバムの中でも
最もエキサイティングな迫力と臨場感に溢れている、
64年ニューヨークは、フィルハーモニック・ホールでのライヴ盤です。

2月12日録音。つまりは、『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』
と同じロケーションということなのです。

「はじめての〜」イベントで、山下さんのカルテットも披露していました。 



「So What」が視聴できます♪

John Coltrane『Impressions』  John Coltrane 『Impressions』(Impulse)

ジョン・コルトレーンが、インパルス時代初期(1961〜63年)に吹き込んだ
3つのセッションから選曲した傑作集。

長尺の表題曲や「India」は、
ヴィレッジ・ヴァンガードでの白熱のライヴ録音。

山下さんは、
息子のラヴィ・コルトレーン(ts)との共演も
何度となく果たしてきているのです。  



「India」が視聴できます♪

タモリさんの5枚 タモリ作品一覧
 
Charlie Parker / Now's The Time   Charlie Parker 『Now's The Time』(Verve)

息もつかせぬ迫力で吹きまくる
天才チャーリー・パーカーの1952〜54年にかけて収録されたアルバム。

後進のアルト・プレイヤーに今なお影響を与え続ける
魅惑のパーカー・フレーズがそこかしかに。

ジャズ・スタンダードともなっている
表題曲は、勿論パーカーによるオリジナル・ブルースです。



「Now's The Time」が視聴できます♪

Sonny Clark / Cool Struttin'   Sonny Clark 『Cool Struttin'』(Blue Note)

こちらも高平さんの稿でご紹介した
50年代ハード・バップ名盤中の名盤。

タイトルの意味は、
「すまして歩く」とか「気取って歩く」とか。

当時のブルーノートのジャケット・デザインのほとんどを担当した
リード・マイルス仕事の中でも、
最も的確にジャズとアートの協調性を知らしめた1枚といえるでしょう。 


「Cool Struttin'」が視聴できます♪

Miles Davis『Four & More』   Miles Davis 『Four & More』(CBS)

高平さん、山下さん、タモリさん、揃い踏みで
取り上げられたこのアルバムはやっぱりスゴい!

ものすごいスピードの「So What」、「Walkin」での、
マイルスの闇夜を切り裂く稲妻のように耳をつんざいてゆくトランペット。
弱冠18歳で、「黄金のクインテット」に加わった
トニー・ウィリアムスのエナジー溢れる喧嘩ドラム。

一音一音すべてにヴァイタリティー溢れた
ジャズの本質が詰まっているのです!  



「Walkin'」が視聴できます♪

Miled Davis / Kind Of BlueMiles Davis 『Kind Of Blue』(CBS)

今から22年前の1985年、
とあるTV特番において実現した、
タモリさんによるマイルス・デイビスのインタビュー。
当時は、プレイボーイ誌にも掲載されてましたね。

その中で、「私、『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』のLPは、
聴き古したもの、通常の観賞用、保存用の3枚を持ってまして...。」
と語っておられたタモリさん。

この『Kind Of Blue』におけるマイルスのトランペットも、
タモリさん曰くよ〜く「泣いている」のです。  


「So What」が視聴できます♪

Ornette Coleman『Town Hall 1962』  Ornette Coleman 『Town Hall 1962』(ESP)

過去に、このオーネット・コールマンや、
山下さんとの関わりも深いセシル・テイラーなど、
一連の「フリー・ジャズ」のパフォーマンスを
「スポーツ・ジャズ」と、
巧みに表現されたタモリさん。

坂田明さん言うところの「ドシャメシャにやろうよ」。
このコトバも「フリー・ジャズ」や、
「アバンギャルド」なものを端的に捉えている表現でしょう。

「Sadness」のようなもの悲しさを裏側に併せ持つ凶暴性に惹かれるのは、
何者ゆえの性でしょうか?


「Sadness」が視聴できます♪

         

> 第4回へ続きます

> 第1回「60年代のジャズ喫茶でよく耳にしたものを」
> 第2回「当時最初に聴いたまんまのモノを聴きたい」

・「はじめてのジャズ 2」のイベントに足を運びました

中州産業大学&ほぼ日刊イトイ新聞 presents 『はじめてのJazz 2』   中州産業大学&ほぼ日刊イトイ新聞 presents 『はじめてのJazz 2』


去る11月26日、昭和女子大学人見記念講堂で開催された『はじめてのジャズ 2』。
前回同様、超満員となった客席を前に、糸井さん、山下さん、タモリさんが、「ジャズの歴史」をテーマにした、「タメになる」トーク、さらには、思わず唸ってしまう素晴らしい演奏を聴かせてくれました。

年代、スタイルごとの代表プレイヤーや、その名曲、名盤を、演奏を交えテンポよく紹介しつつも、ところどころでしっかり「脱線」してくれるあたりは、さすが、このイベントならではのもの。あっという間の3時間でしたが、この夜、「ついにジャズの楽しみ方を発見した!」と心の中で叫んだ方も多かったことでしょう。

また、タモリさんの70年代の伝説のネタ、「中洲産業大学のタモリ教授」を目の当たりにできたのには、とても感激しました!

このイベントの様子は、バックステージ風景を含めた、会場作りの模様からエンディングまでを事細か(!)に追った
「ほぼ日刊イトイ新聞」のサイトでご覧になれます。是非アクセスしてみてください。

> 「はじめてのジャズ2」イベント内容はこちら



・「はじめてのジャズ」とは?

中州産業大学&ほぼ日刊イトイ新聞 presents 『はじめてのJazz 2』


糸井重里さんが編集長を務める「ほぼ日刊イトイ新聞」が、ジャズ・ピアニストの山下洋輔さんとタモリさんを講師に招き、ジャズに興味はあるんだけれど、その「入り口」が見つからなかったり、どうしても敷居の高さを感じて二の足を踏んでしまう、そんな人達に向けておくるジャズ・イントロダクション企画。それが『はじめてのジャズ』。2005年3月に行われた生演奏と解説、さらにはQ&Aコーナーなどを交えてのイベントは、700人に及ぶ客席からの感嘆の声、笑い声、鳴り止まぬ拍手の渦に終始包まれる盛り上がりを見せました。

その大成功のイベントの構成を担当したのが、高平哲郎さん。コピーライターから、創刊当時の『宝島』編集員などを経て、その後、構成作家、スーパー・バイザー、作詞家など様々な肩書きでTV、音楽、映画、演劇などが最も活気のあった時代の文化・流行を生み出してきた高平さん。
そんな高平さんの「お眼鏡にかなった」、ジャズ入門編に相応しい「はじめてのジャズ」ディスク・セレクション。

当時のLP購入時の思い出や懐かしきジャズ喫茶四方山話を交え、「こんな感じのなかなか選べないよ(笑)。」と自讃しつつも、「比較的メロディの良いものばかりだから、入りやすいと思うよ。」といった気配りも忘れない高平さん。
「モダン・ジャズっていう匂いだけで纏めた方がいいかなって思ってこの辺にしたんだ。」

こちらでご紹介したアルバムが、あなたにとってのジャズの「おたのしみ」の最高の入り口になっていただければ幸いです。


  

今回、高平哲郎さんにお聞きしたおすすめCD取材のようすは、「ほぼ日」サイトでも「ほぼ日」バージョンとして掲載されていますので、そちらもお楽しみください!

> 「ほぼ日 はじめてのJAZZプロローグ」第10回 ジャズのCDがいっぱいあるところ

> 高平哲郎さんインタビューはこちら


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