武満徹・響きの海─室内楽全集（全５巻）

2006年1月19日 (木)

武満徹（たけみつ・とおる 1930.10.8-1996.2.20）は、現代音楽の分野で国際的に評価されている日本を代表する作曲家です。没後、以前にも増して世界中で作品が演奏されるようになりましたが、反面、作曲者が望んでいなかった解釈もしばしば見受けられるようになりました。
　そこで生前に作曲者と深い親交のあった音楽家たちが集い、「作曲者が本来望んでいた意向を汲んだスタンダードたりうる演奏を残す」という意志のもと、特別に結成されたのが「アンサンブル・タケミツ」です。2001年から2004年にかけて全6回の公演で、65曲の室内楽作品が演奏されました。
　今回CDとして発売するのは、そのときのライヴ・レコーディングの全記録です。各公演ごとにプログラムが入念に検討されていたことを尊重して、曲順も変えずに各公演日ごとのディスク区分としたことで、2枚組5巻という体裁となっています。
　日本を代表し、国際的にも活躍する当代一流の演奏家たちが、作曲者の生前に直接アドヴァイスや対話を通して得た、音の身振り、表情、速度など、真にオーセンティックな解釈によって一曲ごとに精魂を傾けて奏でた、まさしく唯一無二の演奏です。
　ライナーノーツは、三橋圭介氏による書き下ろしの曲目解説のほか、船山隆・武田明倫両氏による1986年の武満徹インタヴューの復刻、そしてアンサンブル・タケミツのメンバーによる各曲の演奏ポイント解説なども特別掲載と、盛り沢山の内容です。
　【期間限定スペシャル特典】
全5巻購入特典として、1990年に武満徹60歳を記念してサントリーホールで行なわれた講演＆シンポジウム「音楽の可能性について」（シンポジウム参加者＝秋山邦晴、磯崎新、大江健三郎、山口勝弘、武田明倫［司会］）の音源を2枚組CDとしてプレゼント。初回分のみに応募用紙封入。この機会を逃すと二度と耳にできない、貴重な声の記録。

KICC581
武満徹・響きの海－室内楽全集(1)(2CD)

CD-1：
・ヴォイス（独奏フルート奏者のための）
・スタンザ2 （ハープとテープのための）
・サティ作曲『星たちの息子』～第1幕への前奏曲「天職」（フルートとハープのための）
・エキノクス（ギターのための）
・海へ（アルト・フルートとギターのための）
・ムナーリ・バイ・ムナーリ（打楽器奏者のための）
・森の中で～ギターのための3つの小品
・ブライス（フルート、2台のハープ、マリンバと打楽器のための）

　アンサンブル・タケミツ
perc：山口恭範、吉原すみれ／fl：小泉浩／g：佐藤紀雄／hp：篠﨑史子、木村茉莉

　録音：2001年8月19日　サントリーホール小ホール［ライヴ］
　サントリー音楽財団　サマーフェスティバル2001＜武満徹の音＞

CD-2：
・雨の樹素猫1 （ピアノのための）
・揺れる鐘の夜明け（ヴァイオリン・デュオのための）
・雨の樹素猫2～オリヴィエ・メシアンの追憶に（ピアノのための）
・マスク（2本のフルートのための）
・ウェイヴズ（独奏クラリネット、ホルン、2本のトロンボーン、バス・ドラムのための）
・クロストーク（2つのバンドネオンとテープ音楽のための）
・巡り～イサム・イグチの追憶に（フルートのための）
・スタンザ1 （ギター、ピアノ、ハープ、ヴィヴラフォン、女声（ソプラノ）のための）
・雨の呪文（フルート（アルト・フルート）、クラリネット、ハープ、ピアノ、ヴィブラフォンのための）

　アンサンブル・タケミツ
fl：小泉浩、織田なおみ／g：佐藤紀雄／cl：鈴木良昭／p：高橋アキ、藤井一興／perc：山口恭範、吉原すみれ／vn：松原勝也、鈴木理恵子／hrp：木村茉莉、篠﨑史子／S：中川共／バンドネオン：啼鵬、北村聡／hrn：猶井正幸／tb：野々下興一、奥村晃

　録音：2002年4月11日　東京オペラシティ・リサイタルホール［ライヴ］
　武満徹全室内楽曲連続演奏会　響きの海・I

KICC583
武満徹・響きの海─室内楽全集(2)(2CD)

CD-1：
・ロンドンデリーの歌（アイルランド民謡／武満徹編曲）［ギターのための12の歌 (1977) より］
・失われた恋（コスマ作曲／武満徹編曲）［ギターのための12の歌 (1977) より］
・リタニ ─ マイケル・ヴァイナーの追憶に ─［ピアノのための］
・オリオン［チェロとピアノのための］
・妖精の距離［ヴァイオリンとピアノのための］
・アントゥル＝タン［オーボエと弦楽四重奏のための］

CD-2：
・オーバー・ザ・レインボウ (アーレン作曲／武満徹編曲) ［ギターのための12の歌 (1977) より］
・シークレット・ラブ (S.フェイン作曲／武満徹編曲) ［ギターのための12の歌 (1977) より］
・遮られない休息［ピアノのための］
・ユーカリプスII［フルート、オーボエ、ハープのための］
・フォー・アウェイ［ピアノのための］
・ウォーターウェイズ［クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、ピアノ、２台のハープ、２台のヴィブラフォンのための］

　アンサンブル・タケミツ
fl：小泉浩／ob：芝山洋／cl：鈴木良昭／g：佐藤紀雄／hp：篠﨑史子、木村まり／p：木村かをり、高橋アキ／ヴィブラフォン：山口恭範、吉原すみれ／vn：松原勝也、鈴木理恵子／va：城戸喜代／vc：安田謙一郎

　録音：2002年8月18日　サントリーホール小ホール［ライヴ］
　サントリー音楽財団　サマーフェスティバル2002　MUSIC TODAY2002＜武満徹の音＞

KICC585
武満徹・響きの海─室内楽全集(3)(2CD)

CD-1：
・早春賦（中田章作曲／武満徹編曲）［ギターのための12の歌 (1977) より］
・星の世界（C. C. コンヴァース作曲／武満徹編曲）［～ギターのための12の歌 (1977) より］
・サクリファイス［アルト・フルート、リュート、アンティック・シンバルを伴うヴィブラフォンのための］
・悲歌［ヴァイオリンとピアノのための］
・閉じた眼I ─ 瀧口修造の追憶に ─［ピアノのための］
・エア［フルートのための］

CD-2：
・径 ─ ヴィトルド・ルトスワフスキの追憶に ─［トランペットのための］
・ピアニストのためのコロナ［１台または複数のピアノのための］
・フォリオス［ギターのための］
・ア・ウェイ・ア・ローン［弦楽四重奏のための］
・枯葉［弦楽四重奏のための］

　アンサンブル・タケミツ
vn：松原勝也、鈴木理恵子／va：城戸喜代／vc：安田謙一郎／p：高橋アキ／g：佐藤紀雄／tr：福田善亮／fl：小泉浩／perc：山口恭範

　録音：2003年4月28日　東京オペラシティ・リサイタルホール［ライヴ］
　武満徹全室内楽曲連続演奏会　響きの海・II

KICC587
武満徹・響きの海─室内楽全集(4)(2CD)

CD-1：
・イエスタデイ（レノン＆マッカートニー作曲／武満徹編曲）［ギターのための12の歌 (1977) より］
・ミッシェル（レノン＆マッカートニー作曲／武満徹編曲）［ギターのための12の歌 (1977) より］
・十一月の霧と菊の彼方から［ヴァイオリンとピアノのための］
・ランドスケープ［弦楽四重奏のための］
・リング［フルート、テルツ・ギター、リュートのための］
・不良少年［2台（または3台）のギターのための］
・ヴァレリア［ヴァイオリン、チェロ、ギター、電子オルガン、2本のピッコロ・オブリガートのための］

CD-2：
・ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア（レノン＆マッカートニー作曲／武満徹編曲）［ギターのための12の歌 (1977) より］
・ヘイ・ジュード（レノン＆マッカートニー作曲／武満徹編曲）［ギターのための12の歌 (1977) より］
・四季［4人の打楽器奏者、または1人の打楽器奏者とテープのための］
・鳥が道に降りてきた［ヴィオラとピアノのための］
・カトレーンII［クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、ピアノのための］

　アンサンブル・タケミツ
vn：鈴木理恵子、桑田穣／va：城戸喜代、甲斐史子／vc：安田謙一郎／p, el-org：木村かをり／g：佐藤紀雄、荘村清志／fl：小泉浩、西澤幸彦／cl：鈴木良昭、perc：山口恭範、吉原すみれ

　録音：2003年8月30日サントリーホール小ホール［ライヴ］
　サントリー音楽財団　サマーフェスティバル2003　MUSIC TODAY21＜武満徹の音＞

KICC589
武満徹・響きの海─室内楽全集(5)(2CD)

CD-1：
・すべては薄明のなかで ─ ギターのための４つの小品 ─
・ディスタンス［オーボエ、またはオーボエと笙のための］
・閉じた眼II［ピアノのための］
・ピアノ・ディスタンス［ピアノのための］
・秋のうた（チャイコフスキー作曲／武満徹編曲）［クラリネットと弦楽四重奏のための］
・水の曲［2本のフルート、アルト・フルート、能舞、テープのための］
・夢見る雨［チェンバロのための］
・雨の樹［3人の打楽器奏者（または3人のキーボード奏者）のための］

CD-2：
・そして、それが風であることを知った［フルート、ヴィオラ、ハープのための］
・海へIII［アルト・フルートとハープのための］
・インターナショナル（ドゥジェイテル作曲／武満徹編曲）［～ギターのための12の歌 (1977) より］
・サマータイム（ガーシュウィン作曲／武満徹編曲）［～ギターのための12の歌 (1977) より］
・ゴールデン・スランバー（レノン作曲／武満徹編曲）［ピアノのための］
・ビトゥイーン・タイズ［ヴァイオリン、チェロ、ピアノのための］
・御挨拶［小泉浩］
・エア［フルートのための］

　アンサンブル・タケミツ
vn：松原勝也、鈴木理恵子／va：城戸喜代／vc：安田謙一郎／g：佐藤紀雄／va：甲斐史子／perc：山口恭範、吉原すみれ、菅原淳／p：木村かをり／p, cemb：高橋アキ／hp：篠﨑史子、木村茉莉／fl：小泉浩、西澤幸彦、織田なおみ／ob：柴山洋／笙：宮田まゆみ／cl：鈴木良昭／舞：観世栄夫

　録音：2004年6月9日東京オペラシティ・タケミツメモリアル［ライヴ］
　武満徹全室内楽曲連続演奏会　響きの海・III

VICG60593
オリジナル・サウンドトラックによる武満徹映画音楽(7CD)

日本が世界に誇る音楽家、武満徹。早いもので2006年2月20日で没後10年を迎えます。彼が手がけた映画音楽作品のうち主要な41曲が収録された『武満徹の映画音楽①～⑥(廃盤)』と、①～⑥全巻購入の特典盤だった対談集その他をセット化、映画をこよなく愛し、音楽によって映画に力強い表現力を吹き込んできた大作曲家の功績を讃えるべく、没後10年目の命日に発売されます。

CD-1：〈小林正樹監督作品篇〉
・怪談
・切腹
・燃える秋
・からみ合い
・日本の青春
・化石

CD-2：〈篠田正浩監督作品篇〉
・化石の森
・沈黙
・美しさと哀しみと
・暗殺
・異聞猿飛佐助
・はなれ瞽女おりん
・あかね雲

CD-3：〈大島渚・羽仁進監督作品篇〉
・愛の亡霊
・東京戦争戦後秘話
・夏の妹
・儀式
・不良少年
・充たされた生活

CD-4：〈勅使河原宏監督作品篇〉
・他人の顔
・サマー・ソルジャー
・おとし穴
・白い朝
・砂の女
・ホゼ・トーレス
・燃えつきた地図
・利休

CD-5：〈黒沢明・成島東一郎・豊田四郎・成瀬巳喜男・今村昌平監督作品篇〉
・どですかでん
・青幻記-遠い日の母は美しく-
・四谷怪談
・乱れ雲
・黒い雨

CD-6：〈市村崑・中村登・恩地日出男監督作品篇〉
・京
・太平洋ひとりぼっち
・古都
・二十一歳の父
・あこがれ
・女体
・素晴らしい悪女
・しあわせ

CD-7：
・けものみち（須川栄三監督）
・最後の審判（堀川弘通監督）
・錆びた炎（貞永方久監督）
・桜の森の満開の木の下で（篠田正浩監督）
・対談『映画と私』（武満徹／秋山邦晴）
　「天平の甍」メイン・テーマ
　「天平の甍」について
　デビュー作「狂った果実」と音色への実験
　「狂った果実」メインテーマ
　「他人の顔」録音風景
　日本のヌーベルバーグの人たち
　伝統音楽と「一音構造」
　「切腹」より
　映画音楽は演出された音楽
　ミックスの重要性と作曲家の責任
　「乾いた花」の録音エピソード
　「乾いた花」のファースト・シーン
　私の音楽と映画の関係