カール・シューリヒト　デッカ録音全集(10CD)

2017年3月14日 (火)

カール・シューリヒト　デッカ録音全集(10CD)

没後50年となる現在でも人気の高いドイツの指揮者、カール・シューリヒト[1880-1967]がデッカで制作した音源のコレクション。録音期間は1947年から1956年で、すべてffrr方式での収録のため、『ハフナー』と『未完成』以外はモノラル録音ではありますが、年代の割に聴きやすい音質。各ディスクはオリジナル・ジャケットデザインによる紙ジャケットに封入されています。

【ffrr録音】
潜水艦ソナーの開発に携わり、そこで獲得した音響技術を応用して完成された「ffrr」という名の優れた録音技術によって、早くからクラシック・ファンの心を掴んだデッカは、モノラル時代からサウンド・クオリティが高く、全周波数帯域録音（Full Frequency Range Recordings）を意味する「ffrr」という名前を冠するあたりにもその自信のほどが表れていました。
当時のデッカは、「ffrr（Full Frequency Range Recording）」と銘打った周波数帯域の広い録音方式と、音源までの距離が近めのマイク・セッティングにより、個々の楽器の音を克明に収録、フル・オーケストラの場合でも解像度の高いサウンドに仕上げることが多く、そのため、モノラル時代から大編成作品にも積極的に取り組んでいました。

【シューリヒト】
歌劇場のコレペティトゥーアからキャリアを始め、ヴィーバーデン歌劇場の音楽監督を33年も務めたシューリヒトは、オペラハウス叩き上げの指揮者でしたが、大戦末期にスイスに亡命してからは主にコンサート指揮者として活動、亡くなるまでの四半世紀近くを各地のオーケストラに客演して数多くのレコーディングも遺しています。
デッカとの関係は1947年のSP末期からステレオ初期の1956年までで、ベルリン・フィル、ウィーン・フィル、ロンドン・フィル、パリ音楽院管弦楽団などを指揮して、ドイツ・オーストリア系作品を中心にセッション・レコーディングをおこないました。当時のデッカのスターであったバックハウスやフェラス、クーレンカンプとの共演も聴きものです。(HMV)


【収録情報】
Disc1
● ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調 Op.21

　ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
　録音:1952年5月　ウィーン、ムジークフェラインザール

● ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調 Op.32*
　スイス・ロマンド管弦楽団
　録音:1947年2月　ジュネーヴ放送スタジオ

Disc2
● ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 Op.67『運命』

　パリ音楽院管弦楽団
　録音:1949年6月　パリ、メゾン・ドゥ・ラ・ミュチュアリテ

● ベートーヴェン:序曲『コリオラン』 Op.62*

　ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
　録音:1948年7月　ロンドン、キングズウェイ・ホール

Disc3
● ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調 Op.32

　ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
　録音:1952年5月　ウィーン、ムジークフェラインザール

● ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 Op.83

　ヴィルヘルム・バックハウス(ピアノ)
　ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
　録音:1952年5月　ウィーン、ムジークフェラインザール

Disc4
● ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73

　ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
　録音:1952年6月　ウィーン、ムジークフェラインザール

● ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調 Op.102*

　ゲオルク・クーレンカンプ(ヴァイオリン)
　エンリコ・マイナルディ(チェロ)
　スイス・ロマンド管弦楽団
　録音:1947年7月　ジュネーヴ放送スタジオ

Disc5
● ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.77

　クリスチャン・フェラス(ヴァイオリン)
　ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
　録音:1954年4月　ウィーン、ムジークフェラインザール

● ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調 Op.26*

　ゲオルク・クーレンカンプ(ヴァイオリン)
　チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
　録音:1947年1月　チューリッヒ放送スタジオ

Disc6
● メンデルスゾーン:序曲『フィンガルの洞窟』 Op.26
● メンデルスゾーン:序曲『美しいメルジーネの物語』 Op.32
● メンデルスゾーン:序曲『リュイ・ブラース』 Op.95
● メンデルスゾーン:序曲『静かな海と楽しい航海』 Op.27

　ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
　録音:1954年4月　ウィーン、ムジークフェラインザール

● ウェーバー:『アブ・ハッサン』序曲*

　ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
　録音:1948年3月

Disc7
● モーツァルト:交響曲第35番ニ長調 K.385『ハフナー』
● シューベルト:交響曲第8番ロ短調 D.759『未完成』

　ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
　録音:1956年6月　ウィーン、ムジークフェラインザール

● シューマン:『マンフレッド』序曲 Op.115*

　ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
　録音:1948年5月　ロンドン、キングズウェイ・ホール

Disc8
● シューマン:序曲、スケルツォとフィナーレ Op.52
● シューマン:交響曲第2番ハ長調 Op.62
● シューマン:交響曲第3番変ホ長調 Op.97『ライン』

　パリ音楽院管弦楽団
　録音:1954年6月、1952年6月、1953年6月　パリ、メゾン・ドゥ・ラ・ミュチュアリテ

Disc9
● チャイコフスキー:イタリア奇想曲 Op.45
● チャイコフスキー:組曲第3番ト長調 Op.55より第4楽章 主題と変奏

　パリ音楽院管弦楽団
　録音:1952年6月　パリ、メゾン・ドゥ・ラ・ミュチュアリテ

Disc10
● ワーグナー:『トリスタンとイゾルデ』より前奏曲*
● ワーグナー:『トリスタンとイゾルデ」より愛の死*
● ワーグナー:『神々の黄昏』より夜明けとジークフリートのラインへの旅*
● ワーグナー:『神々の黄昏』よりジークフリートの死と葬送行進曲*

　パリ音楽院管弦楽団
　録音:1954年6月　パリ、メゾン・ドゥ・ラ・ミュチュアリテ

　カール・シューリヒト(指揮)

　録音方式:モノラル(『ハフナー』『未完成』はステレオ)
　*Decca正規盤発売としては初CD化