【オリ特】シャイ・マエストロに続く逸材イスラエルから世界へ

2013年11月13日 (水)

まだまだ続くイスラエル・タレントの大躍進!
オメル・クライン、シャイ・マエストロの次はこの人!!
フレキシブル＆変幻自在のスタイルでジャズの歴史を塗り替える
新ピアノ・プロディジー、オフィール・シュワルツ堂々日本デビュー!!!

　先般リリースされたシャイ・マエストロ・トリオの新作『Road To Ithaca』の素晴らしさにいつまでも惚けている場合ではなかった。玉突き的に次々とメインストリームに送り出される”新世紀ジャズの聖地”イスラエルからまたしても比類なき穎才ピアニストが登場する。

　その名をオフィール・シュワルツ。面長＆インテリ眼鏡、人のよさそうなルックスからは想像できないアグレッシヴなプレイ、アクロバティックなコンポージングで必ずやこの先の現代ジャズ・シーンをリードするであろう逸材だ。

　このたびリリースされるトリオ新作『Shades Of Fish』、そして2010年録音のリーダーデビュー作『Earlier In Time』は、いずれもロックやドラムンベースのイディオム～モダリティが存分にたらしこめられた、”ジャズの現在地”を大いに感じさせるハイブリッドなアルバムとなっている。またピアノトリオの不文律にも忠実。 ”ECM倣ジャケ”にも通ずる深遠な世界～流麗なメロディ～緊密なインタープレイなど、すべてにおいてハイレベル。

　シャイはもちろん、バッド・プラス、e.s.t.、ロバート・グラスパー、ティグラン・ハマシアンなどの作品に熱を上げている方々には特に耳にしていただきたいところ。

　HMV ONLINE/MOBILEでは、この『Shades Of Fish』、『Earlier In Time』をお買い上げの方に、それぞれ未発表ライヴ・テイク収録の特典CD-Rをプレゼントします！
収録内容が異なるため詳細を下記にてご確認ください。

　オフィール・シュワルツ
『Shades Of Fish』 (2013年)　＊限定入荷品

Ofir Shwartz (p) / Gal Shaya (b) / Gasper Bertoncelj (ds)

フレキシブルで変幻自在のスタイルで
ジャズの歴史を塗り替えようとする次世代アクトのあるべき勇姿

　この形容をかれこれ4、5年使い倒してきただけに、改めて、となるとちょっぴり気が引けてしまう部分もあるのだが･･･それでも、ここはあえて声を大にして言わせてもらいたい。「タレント数多輩出するイスラエルから、またしても若く才能溢れるピアニストが登場！」と。

　オメル・クライン、オムリ・モール、シャイ・マエストロ、ニタイ・ハーシュコヴィッツ、最近では17歳にしてチック・コリア、カート・ローゼンウィンケルといった大家たちとのセッションで一目置かれているガディ・レハヴィなど、ここ5年余り、若手ピアニストの台頭著しいイスラエル・ジャズ・シーン（厳密には、イスラエル出身のジャズ･ミュージシャンがニューヨークなど他国を拠点に活躍する状況とも同義）。そんなA級リストに加えるような形でこのたびご紹介したいのが、このオフィール・シュワルツというピアニストなのである。

　1979年イスラエル生まれ。ということは、前述したピアニストたちの先輩格であり、学年的には、アヴィシャイ・コーエン（tp）、エリ・デジブリ（sax）らとほぼ同じとなる。いたずらに「若い」とうたってしまったが、昨今、現代ジャズ・シーンをリードする顔役たちの年齢を鑑みれば、34歳のオフィールは、改革の先導役としての適齢期にさしかかっていると言っても大げさではないだろう。

左から）ガル・シャイア、オフィール・シュワルツ、ガスパー・ベルトンツェル

　2010年、トリオ録音の『Earlier In Time』でリーダー･デビューを飾ったオフィール。当時はまだ一部の好事家諸氏にしかその名は浸透しなかったものの、ロックやドラムンベースからインスパイアされたユニークなリズム・アプローチやトリオ･アンサンブル、現代っ子ならではの洗練されたハーモニーが、伝統的なジューイッシュ・メロディ、クラシック仕込みのスキルと相俟って生成されたハイブリッド・サウンドは、彼らのクリエイティヴィティに対するポテンシャルの高さをしっかりと印象付けたのではないだろうか。それを裏付けるかのように、その後は国内外の大規模フェスティヴァルへの出演や同郷アクトのツアーサポートなどに引っ張りだことなったオフィール。

　そして3年ぶりに届けられた新作『Shades Of Fish』。脇を固めるのは、トリオの目下のレギュラーメンバーとなるガル・シャイア(b)に、ガスパー・ベルトンツェル（ds）。いずれも若くして経験豊富。推進力と英知溢れるプレイで主役を盛り立てる “できる男”たちだ。そんな彼らがとてつもなく熱量のあるダイナミックなピアノトリオ・アルバムを生み出してしまった。

　「人力ドラムンベース」と称されることしばしば。リズム隊のアクロバティックな躍動感に目を剥く圧巻のオープナー「Caelum」こそ、フレキシブルで変幻自在のスタイルでジャズの歴史を塗り替えようとする次世代アクトのあるべき勇姿か。堂々のロックビートで衆目を集める「Industrial City」、「Industrial City Vol.2」にしても然り。この躊躇のなさが実に気持ち良い。アメリカにロバート・グラスパー、日本に上原ひろみと、世界各地にマッハのスピードでジャズを更新し続け、超え続ける比類なき穎才がいるように、イスラエルにも彼らと同様の雄壮な心でシーンを大いに焚き付けるピアニストがいたのだ。オフィール・シュワルツ。本当のおたのしみはここからだろう。

（ローソンHMVエンタテイメント小浜文晶）

お買い上げ先着で、未発表ライヴ音源入りCD-Rをプレゼント!

HMV ONLINE/MOBILEで、オフィール・シュワルツ『Shades Of Fish』をお買い上げのお客様に先着で「54 Trees (ライヴ・テイク)」収録のCD-Rをプレゼントいたします。

収録曲：「54 Trees」 (Live at the International concert series of the Yardbird Suite, Edmonton, Canada 2012)
＊『Earlier In Time』特典のCD-Rとは内容が異なります。
＊数に限りがございます。お早目のお求めをおすすめいたします。
＊HMV店舗でのご購入は対象外となります。ご了承下さい。

　オフィール・シュワルツ
『Earlier In Time』 (2010年)　＊限定入荷品

Ofir Shwartz (p) / Amitai Ladin (b) / Elad Aizikowitz (ds)

「ポスト・キース from イスラエル」と短絡的に括りきれないのがこのトリオの逸脱したチャームのひとつ

　イスラエル・ジャズメン（厳密には、イスラエル出身のジャズ･ミュージシャンがニューヨークなど他国を拠点に活躍する状況とも同義）が現代ジャズ・シーン活況の一翼を担うまでに勢力を拡大してきたことは、ゼロ年代のジャズ史を語る上で欠かすことのできないトピックと言えるだろう。90年代末、チック・コリア&オリジンから独立したアヴィシャイ・コーエン（b）を皮切りに、オメル・アヴィタル(b)、オズ・ノイ（g）、アヴィシャイ・コーエン（こちらはトランペッター）、ダニエル・ザミール（sax）、エリ・デジブリ（sax）、オメル・クライン（p）、ギラッド・ヘクセルマン（ｇ）、シャイ・マエストロ（p）などなど･･･この十余年、数々のタレントをシーンのメインストリームに送り出し、確実にその票田を広げてきたイスラエル・ジャズという名の“市場”から、またひとり有能な人材がワールドワイド・ブレイクのお膳立てを整えた。

　その名をオフィール・シュワルツ。1979年イスラエル生まれ、今も母国イスラエルを拠点に活動しているピアニストだ。本作は、2010年に録音されたオフィールの初リーダー・アルバムで、当時一部の熱心なファンから「イスラエル・ジャズのネクスト・ステージ」と称されながらも、ここ日本を含めた諸外国ではほとんど注目されずに、（流通経路の整備不良もあって）今では入手が難しくなっていた、いわゆる“ロスト・ジェムス”。しかし、このたび新作『Shades Of Fish』のリリースに合わせて再発されるということで、あのときチェックを入れそこなっていたリスナーにとっては、新作同様こちらも見逃せない一枚となるはずだ。

　幼い頃はクラシック・ピアノに打ち込んでいたというオフィール。青春時代、ジャズへの開眼はおそらくキース・ジャレットだったのではないだろうか。そんなことを思わせる「Last Time I Checked I Wasn't A Sea Horse」、「Easy Steps」の2曲。ここで魅せる美しく繊細なタッチと陰影の深いピアニズムは、あたかもキースのそれを彷彿とさせる。インプロを起点にして、徐々に引き締まりながらインテンポに入っていく「Hurricane」などは、まさにスタンダーズ・トリオの『Always Let Me Go』の世界ではないか。

　とはいえ、「ポスト・キース from イスラエル」と短絡的に括りきれないのがこのトリオの逸脱したチャームのひとつでもあり、手動のドラムンベースでがぶり寄る「Meaning Of Life」では、e.s.t.やニルス・ペッター・モルヴェルなどの登場以降スタンダードとなったジャズ×エレクトロ（≒クラブ・ミュージック）的な方法論を、あくまでアコースティック・ジャズの角度から再検証～再構築するという試みに出ている。彼らがヘヴィなドランベ・リスナーかどうかは不明ではあるが、今や市民権を失いかけているオールドスクール・ドラムンベースがもし今後リバイバルの方向に向かうとするならば、彼らジャズ・アクトによる“援護射撃”というものが必要不可欠になるのではないだろうか。そんな不思議な説得力さえこの曲はたずさえている。

　本作と同時リリースとなる新録アルバム『Shades Of Fish』では、もはやキース、ECM云々といった能書きを必要としない、唯一無二の振り切れたトリオ・サウンドを聴かせてくれているオフィール・シュワルツ・トリオ。今後の活躍がたのしみでならないが、まずは現時点での最高のパフォーマンスを拝めるであろう来日公演を期待したいところだ。

（ローソンHMVエンタテイメント小浜文晶）

お買い上げ先着で、未発表ライヴ音源入りCD-Rをプレゼント!

HMV ONLINE/MOBILEで、オフィール・シュワルツ『Earlier In Time』をお買い上げのお客様に先着で「Footprints (ライヴ・テイク)」収録のCD-Rをプレゼントいたします。

収録曲：「Footprints」 (Live at the Mormon University, Jerusalem 2012) Composed by Wayne Shorter
＊『Shades Of Fish』特典のCD-Rとは内容が異なります。
＊数に限りがございます。お早目のお求めをおすすめいたします。
＊HMV店舗でのご購入は対象外となります。ご了承下さい。

オフィール・シュワルツプロフィール

1979年イスラエル生まれ。2歳のころからピアノを始める。当初はクラシックの基礎レッスンに打ち込むも、やがて思春期になるとジャズに開眼。プロのジャズ・ピアニスト、コンポーザーの道を志すようになった。20歳のときにプロ･キャリアをスタート。何年もの間イスラエル国内の多くのミュージシャンたちと共演を重ねる中で、ジャズに限定されない多種多様のスタイルやアプローチを習得した。その後も、リーダー、サイドマンとして世界各地の有名ジャズ・フェスティヴァル、名門ヴェニューに出演。コンポージング・スキルにますますの磨きをかけ、またかつてないハーモニーとメロディの研究に勤しみながら、独特のアプローチからなる新しいジャズをクリエイトしていった。イスラエルでは、これまでに何度も文化省やハイファ美術振興財団などから表彰を受けている。2004年からは、ジャズにメタルやプログレの要素を配合したユヴァル・ロン（g）のリーダー・カルテットにも参加。2010年に初のリーダー作『Earlier In Time』をリリース。ジャズ×ドラムンベース・トラックの「Meaning Of Life」が大きな話題を呼ぶ。2013年には、3年ぶりとなるリーダー・アルバム『Shades Of Fish』をリリースする。

オフィール・シュワルツ公式HP