デジブリ新作に新星レハヴィ参加
2013年8月12日 (月)
オフリ・ネヘミア、ガディ・レハヴィ、ふたりのジニアス・ユースとコンバイン
エリ・デジブリ、リーダー・デビュー10周年を飾る最新アルバム!!
イスラエルが世界に誇るウォーム・テナーの魔術師、エリ・デジブリ。リーダー・デビュー10周年を飾る最新アルバム『Twelve』は、その悠々としたブロウに何度も何度もため息をもらす、十全の本領盤。
1999年にハンコック・セクステットの一員に大抜擢、さらに2010年の大出世作『Israel Song』では、ロン・カーター、アル・フォスター、ブラッド・メルドーといった名代宗匠たちの後ろ盾を得て大燃焼、とまさしく順風満帆なるキャリアを歩んできたデジブリが、今回新たな、そしてあまりにもピチピチの若手を引き連れて吹き込んだというのだからすこぶる興味深い。
まずはその脇メンをご紹介。ドラムは、同郷イスラエルはギヴァタイム出身、弱冠19歳ながらすでに数年のプロ・キャリアを数えるジニアス・ユース、オフリ・ネヘミア。現在、ピアニストのニタイ・ハーシュコヴィッツと共にアヴィシャイ・コーエン(b)のツアーに参加していることでも有名か。
そのオフリの自己カルテットにも参加し、こちらは何と! まだ17歳という神童ピアニスト、ガディ・レハヴィの合流にも俄然注目が集まる。まだまだ少年のあどけなさを十二分に残すラヴァディ。しかしその腕前は一級品。歯列矯正のワイヤーもまぶしい13歳の時分にニューヨークを訪れた際、ラヴィ・コルトレーンに目を付けられスカウト。はてはヴィレッジ・ヴァンガードやバードランドといったNYCの一流クラブで共演ギグまで行なっている。
上から)ガディ・レハヴィ、オフリ・ネヘミア |
そんなプロディジーふたりのフレッシュな大奮戦に負けじと、デジブリとは同世代となるテルアビブ出身のベーシスト、バラク・モリも手堅いプレイでタイトなグルーヴの中核を担う。それつまりは、所謂イスラエル=ニューヨーク・ジャズ組 “第2世代”と、オフリ、レハヴィの“第4世代”とが感性を溶け込ませあった作品になっている、と捉えることもでき、またこれまでニューヨーク勢を脇に配することの多かったデジブリが、一回り以上も年の離れた若手とコテコテの「チーム・イスラエル」を組成してレコーディングに臨んだということ自体、彼の活動が本格的にネクスト・ステージへと差し掛かっていることを大いに感じさせてくれる。
『Twelve』収録曲
- 01. Twelve
- 02. The Spider
- 03. Roaming Fantasy
- 04. Mambo
- 05. Autumn In New York
- 06. New Waltz
- 07. Liora Mi Amor
- 08. Old Seven
- 09. The Cave
Eli Degibri (ts,ss) / Gadi Lehavi (p) / Barak Mori (b) / Ofri Nehemya (ds) / Shlomo Ydov (vo on M7) / Yaron Mohar (choir on M9) / Yael Shapira (choir on M9) / Pini Shavit (choir on M9)
冒頭のタイトル曲から、デジブリらしい柔らかく広がりのある音色に包み込まれる。グロウル・トーンを一切排除した完膚なきまでに美しく調性のとれた世界。それでもオフリは、余りある若さをリズムに押し込むかのようにハツラツとした躍動を生み出す。つられるようにレハヴィは力強いタッチで壮大なメロディを描く。続く「The Spider」でのレハヴィは、ソロスペースにておかまいなしに振り切れる。それを受けた主役テナーのソロ、やけに熱っぽくなってきたぞ。完全に主導権はレハヴィか? いや、それでもなおデジブリは余裕の面持ちで全体にクリーミィーなテクスチャをまぶしていく。テーマのエレガンスが際立つ「Roaming Fantasy」に至っては、ウォーム・テナーの魔術師、その本領だ。
シナトラの名唱などでおなじみ、言わずもがなのスタンダード「Autumn In New York」。いかんせんこういう古典は過去の名演と比較してしまうのがお約束になってしまうのだが、デクスター・ゴードン、ソニー・スティット、いずれの先達テナーとも比することができない至極マイルドで上品な芳しさがそこにはある。乱心することのないデジブリのブロウが、穏やかな秋されを彷彿とさせ、しみじみとした情感にも拍車がかけられる。
本作においては、新機軸というべき楽想もいくつか。オールドスクールなアフロ・キューバン・エッセンスを採り入れた「Mambo」、哀愁のソプラノ・ソロとカンタンテをフィーチャーしたタンゴ「Liora Mi Amor」はいずれも、デジブリの音楽的興味のマッピングがラテン圏に広がっていることをハッキリと示しているに他ならない。前者ではラヴァディのよく転がるソロも聴きどころ。また後者はとかく新味すぎて、つかの間驚きをかくせないことだろう。
ウードをフィーチャーしたオーラスの「The Cave」は、ジャズやワールド・ミュージックの範疇を超えた汎スピリチュアリズムの昇華。哀愁をにじませたメロディは、母国イスラエルに想いを寄せたこころの佇まいといったところだろうか。17歳のラヴァディが、ニューヨークから遠く離れた故郷を想いながら爪弾くピアノの響きが何ともたまらない。
デジブリ、リーダー・デビュー10年目の節目に生まれた『Twelve』は、主役自身のクリエイティヴィティのさらなる高まりを顕すと同時に、今もイスラエルから続々とニュー・タレントが生まれているという慶事を伝え得る。かつてハンコックの「Gershwin's World」ツアーに登場したデジブリが初々しくも才気溢れるプレイで世界を驚嘆させたように、お次は自らがメンター、伯楽となり、オフリ、レハヴィ、ふたつの若い才能を世界に羽ばたかせるお膳立てを整える。「後進のための道を拓くことができない音楽家など、一流の音楽家ではない」と言ったのは誰だったか・・・されど、いかにも。from イスラエル to ワールドワイド、かくしてこの道は今日もまた大きく拓かれた。
過去の関連記事はこちら
イスラエル出身のサックス奏者エリ・デジブリの新作は、ブラッド・メルドー、ロン・カーター、アル・フォスターを迎えたワンホーン・カルテット。 (2010年6月記事)
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