THE OFFSPRINGのあの日、あの時 6

2012年7月25日 (水)


メインストリーム域でも大暴れ!ついにメジャー・デビュー実現へ!
文●有島博志(GrindHouse)

 連載前回の最後を締めくくったTHE OFFSPRINGの4枚目『IXNAY ON THE HOMBRE』は、'97年2月に発売された。ほぼ5年在籍したEpitaph Recordsを離れ、メジャー・レーベル、Columbia Recordsに移籍しての第1弾だ(ヨーロッパ圏のみ引き続きEpitaphより発売された)。前作『SMASH』('94年)での成功はあまりに巨大で、同作はUSチャート初登場9位を奪取した。デクスター・ホーランド(vo,g)いわく、アルバム・タイトルには「権力なんかクソ喰らえのような想いを託した」そう。“ixnay”は言葉遊びの造語だ。“nix”(=なにもないこと)と同じ意味があり、40年代のハリウッド映画のなかでよく使われた言葉だ。

 デクスターの発言も、下記ヌードルス(g)のコメントも、今作発売数ヵ月前にカリフォルニア州オレンジ・カウンティに居を構えるNitro Recordsのオフィスの社長室で実現した対面取材のときのものだ。言うまでもなくNitroはデクスターのレーベルだから、当然社長は彼だ。社長机に就いた彼はパンク・ロッカーというより、むしろ一瞬ながらスパイキーヘアのビジネスマンに見えたのがおかしくて、今もなお覚えている(笑)。『SMASH』発売に伴うワールド・ツアーを終え、しばしオフをとった後の'96年春頃から今作の曲作りは始まり、実際のレコーディング作業は初夏から4ヵ月間かけて行われた。デビュー作『THE OFFSPRING』('89年)から『SMASH』までの3作連続でタッグを組んだプロデューサー、トム・ウィルソンとの関係は終了し、新たにデイヴ・ジャーデンが起用された。連載第3回にも書いたけど、その原因はトムとバンドの間に衝突が起きたため、と当時もっぱらだった。それがどういうことを巡っての衝突だったのかは今もなお明らかにされていない。と同時にデイヴの人選も意外だった。90年代初頭にJANE'S ADDICTIONが放った強烈なる衝撃でその名を知られ、ほかにALICE IN CHAINSANTHRAXらとの仕事で名を馳せた人物だからだ。パンク・ロックと言うより、もっとヘヴィ系のイメージが強い。デクスターが言う。

「メジャー・レーベルという新たな世界/領域にいったわけだからこれまでとは全然違うタイプのプロデューサーと一緒にやってみたかったんだ。制作面だけをとって考えてみても、そういう時期にきていると思ったし。つまり新しい人と、新しい環境で作品を作りたかったんだよね」

 ヌードルスが続いた。

「当初頭んなかで描いていた曲数よりもだいぶ多くレコーディングしたんだ。締め切りギリギリのところでスタジオで慌てて曲を書き、録り、それを作品に入れざるを得ないということだけは絶対に避けたかったから。だって、こういうのってものすごくリスキーだからね。作品に入れられなかった楽曲群は、今後シングルのBサイドに収録するよ。とてもいい出来に仕上がったし、大好きな楽曲ばかりなんでハッピーだよ」

 THE OFFSPRINGの数多ある作品群においての1番のフェイバリット作は『SMASH』だ。だけど今作もそれに負けず劣らず好きだ。グングン前に突き進み、上へ上へと飛翔していくような勢いとエネルギーに満ちあふれている、と当時のバンドの“好状態”があますところなく注入されている“リアルな作品”だからだ。元DEAD KENNEDYSほかの“伝説の人”ジェロ・ビアフラ(vo)が半ナレーション/半ヴォーカルを乗せる「Disclaimer」で幕を切って落とす今作は、「The Meaning Of Life」「Mota」というスピード・チューンの連発でまずトバされる。そしてお得意の中近東風の響きを放つ「Me & My Old Lady」にいき、再び「Cool To Hate」「Leave It Behind」で疾走し、メランコリックでミッドテンポな「Gone Away」で泣かしてくれる。で、80's的ポップネス&キャッチネスを強く漂わせる「I Choose」で再度気持ちを上げてくれて、文字どおりの「Intermission」を挟み、「All I Want」で爆走し、「Way Down The Line」の70'sポップ風味で楽しませてくれる。続いてスカ・チューン「Don't Pick Up」でたたみかけてくる。そして「Amazed」「Change The World」とスケール感とダイナミズムをデフォルメさせた流れで最後は締めくくられる。力作だ。なお、「Don't Pick Up」ではかなりあり得ない内容の歌詞が歌われる。これをデクスターに訊くと、こう切り返された。

「冗談だよ、あの歌詞は!字面をそのまま鵜呑みにしちゃダメだよ(笑)」

 『SMASH』があまりに常軌を逸したセールスをマークしてしまった、ということが大きいんだろう。今作はアメリカ国内だけで100万枚以上売れ、プラチナ・ディスク獲得に留まった(『SMASH』は本国だけで600万枚以上売れ、マルチ・プラチナ・ディスクに認定)。日本を含む世界6ヵ国のチャートでトップ3入りもはたした。後日、デクスターはそのセールスについて、こう語った。

「多くの人たちが『SMASH』の続編のような内容を期待していたんだ。だけど、オレたちは反対に『SMASH』から離れたかった。その結果だろうね」


THE OFFSPRING関連タイトル!


 第3回連載に、パンク・ロック・リバイバル・ムーヴメント隆盛に呼応し、スカ・パンク・ブームも沸き起こった、と書いた。このVOODOO GLOW SKULLSはそのブームの“立役者バンド”のひとつでUSカリフォルニア州リヴァーサイド産6人組。カジラス3兄弟主導で、今年で結成24年目を迎えたベテランだ。本当は’93年にDr. Strange Recordsより発売されたデビュー作『WHO IS, THIS IS?』から聴いてほしいところなのだけど絶版ゆえ、Epitaph Recordsへの移籍第1弾作で2枚目となった今作をお勧めする。ジャケ緑盤が英語ヴァージョンで茶盤がスペイン語ヴァージョンの2種類出ている。スカ・パンク勢のなかでももっともメタル、ハードコアからの影響を色濃く感じさせ、スピード・チューンも目立つ。性急なビートに乗っかってエッジの立ったギターリフがガリガリ弾かれ、攻め攻め姿勢をあらわにするヴォーカルと、ブハブハ言うホーンが一緒になってグイグイ引っ張っていくところは、実に痛快だ。「Shoot The Moon」「Charlie Brown」は代表曲だ。
文●有島博志(GrindHouse)

THE OFFSPRING 最新作ニュース


  • OFFSPRING ニューアルバム!
    4年ぶり、待望の新作がいよいよリリース!国内盤限定のシークレット・トラックで未発表ライヴ音源が3曲収録!

■■■ 有島博志プロフィール ■■■

 80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。
 2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
※ ※ ※ ※ ※

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