THE OFFSPRINGのあの日、あの時 5

2012年7月11日 (水)


’95年1月、ついに初来日実現!そのただ中に阪神・淡路大震災発生…
文●有島博志(GrindHouse)

「昨年3月に東北地方を地震が襲い、津波などで大変な被害が出ていることをTV報道で知ったとき、初めて日本にいき、そのとき経験したことを真っ先に思い出したよ。もちろん、そのときだけじゃなく、なにかの瞬間にふとあのときの光景を思い出すこともあるんだ。忘れようにも忘れられないよ」

と、デクスター・ホーランド(vo,g)は真剣な眼差しで言った。

今春、THE OFFSPRINGはPUNKSPRING 2012参戦ほかで通算11度目となる来日をした。先の発言は、そのとき実現した対面取材でのコメントだ。自分はこのとき取材者ではなく、立ち合い人のひとりにすぎなかった。だけど初来日のときのことを知る、ということでなんとなく取材後半から雑談へと流れていく過程で話に加わった。そして、ヌードルス(g)もこう語った。

「まさか初めて訪れた国で、その国での地震による被害状況をTV画面を通して生中継で目の当たりにする、なんて誰も思いも寄らないじゃないか。だけどオレたちはそれを経験したんだ。ショックでショックで言葉も出なかったよ。大勢の方々が亡くなられたんだよね。その人たちに心よりご冥福をお祈りします。昨春の東北地方に起きた地震や津波で亡くなられた人たちにも同じ想いだよ」

 ホテルの部屋のドアを開けた途端、大型TVの画面に生々しい映像が映し出されていた。大画面での迫力も加わってのそのリアルさに、思わずその場に立ちつくしてしまったほどだ。’95年1月17日早朝5時46分、阪神・淡路地方を震度7の大地震が襲った。阪神・淡路大震災である。神戸市内のあちこちから次々と大きな火の手が上がり、燃え盛るさまをヘリコプターによる空撮でとらえ続けたものだ。まるでTVを囲むようにデクスター、ヌードルス、グレッグ・K(b)、ロン・ウェルティ(ds)が座り、みな一様に食い入るように画面に見入っていた。完全に言葉も失っていた。先のコメントはそのときのことを回想してのものだ。

 初来日公演は1月12日の名古屋クラブクアトロ公演からキックオフされた。その翌日に大阪公演、1日置いて15日より3夜連続で東京公演が行われた。もちろん、全公演ソールドアウト!探せど探せど手に入らなかったことから“プラチナ・チケット”とまで呼ばれたくらい注目度、期待度の高い公演となった。そのファイナルが17日で、投宿先のホテルでの取材が翌18日の確か午後だった、と記憶する。ちょうど被害の甚大さが明らかになり始めた頃だ。そこでなんとなく取材は始まったのだけど、当然だ、一向に話は進まない。そして、デクスターがこうポツリとつぶやいた。

「オレたちほんの数日前に大阪にいたんだよ。まだそこにいるような気さえするけど、この光景を目の当たりにして、オレたちにいったいなにができるっていうんだろう。こういうときって、本当に人間の非力さを思い知らされる。ひとりでも多くの人が助かってほしいと願って止まないよ」

 このときの取材はTV用の素材取りを主な目的としたものだった。「あまりにもリアルすぎる」という理由から、途中でTVをオフにしたのだけど、それまではときにその空撮映像をバックに喋るメンバーの表情、姿も収められていた。もしかすると今もどこかにこの映像は残っているかもしれない。偶然以外の何物でもなかったのだけど、非常に稀有で、かつ衝撃的な現場に居合わせた、と今もなお思えてならない。阪神・淡路大震災発生から今年で17年の歳月が流れた。それでもデクスターやヌードルスのなかには今も“あの日、あの時”が確かな記憶として残っている。それは自分も同じだ。死者6,434名、行方不明者3名。そして昨年3月11日に起きた東日本大震災による死者15,863名、行方不明者2,949名。ともに歴史に残る大災害となった…。

 改めて言うまでもなく、3枚目『SMASH』('94年)はTHE OFFSPRINGにとって“一大出世作”となった。発売からしばらく経った時点で、それまでのインディー・リリースでもっとも多くのセールスを上げた作品になるなどの金字塔を打ち立てた。連載第3回にも書いたけど、今日までに全世界で1,200万枚を売り上げている“恐ろしいパンク・ロック作”だ。それがきっかけとなり、彼らはメジャー・レーベル、Columbia Recordsへと移籍した。一足先にBAD RELIGIONの通算7枚目『RECIPE FOR HATE』('93年)が変則的なのだけど一時的にメジャーのAtlantic Recordsより発売されたということはあったものの、まだ当時は、パンク・ロック=D.I.Y.=アンチ・メジャーの風潮、想いが強かった時代だ。彼らのメジャー移籍はたちまち賛否両論が渦巻き、「selloutした」というのが大方の意見、見方だった。これを機に、メジャー各社がパンク・ロック・シーンに参入してきて、次々にいろいろなバンドに破格の大型契約を申し出るなどまさに“再編”の様相を呈した。その結果、BAD RELIGIONはDragnet/Sony Music Entertainmentに再移籍したものの、RANCIDはEpitaph Recordsに、NOFXはFat Wreck Chords/Epitaphに留まった。そしてRANCIDのティム・アームストロング(vo,g)はこう言ってメジャーをけん制した。

「ヤツらはなんにもわかっちゃいねぇ。パンク・ロックを聴いたこともねぇ連中なんだ。そんなヤツらと組めるわけねーだろ」

 そしてときを同じくして、デクスターはメジャー移籍についてこんなふうに語っている。

「メジャーにいく、即selloutしたっていう考え方はナンセンス極まりないね。ようはメジャーにいき、どういうアティテュードで音楽をやり、作品を作り、その結果どんな立ち位置にいるか、っていうのが大事なんじゃないかな」

 まさに同感だ。次回、話はメジャー・デビュー作となった『IXNAY ON THE HOMBRE』('97年)へと進んでいく。


THE OFFSPRING関連タイトル!

NOFX / 『PUNK IN DRUBLIC』('95年)
 パンク・ロック・リバイバル・ムーヴメント勃発時GREEN DAY、THE OFFSPRING、RANCID、BAD RELIGIONと一緒になってブイブイ言わせ、その先頭をひた走ったのが、このNOFX。カリフォルニア州サンフランシスコに活動拠点を置く4人組で、今年結成29年目を迎えた大ベテランだ。あの、異才と強烈なる個性の持ち主、ファット・マイク(vo,b)のバンドだ。彼は自身のレーベル、Fat Wreck Chordsを主宰するも、NOFXとしてのアルバム・デビューはEpitaphからで、8枚目『PUMP UP THE VALUUM』(2000年)まで所属していた。今作は上記ムーヴメントただ中期に出た5枚目で、“名盤”であると同時に、彼らの名や音楽を一気に広めた“出世作”でもある。パンク・ロック、ハードコアはもとよりメタル、スカ、レゲエ、カントリー、カリプソ、ロックステディ、Oiといったさまざまな音楽的要素を貪欲に取り入れ、自己消化したスタイルは、上記したバンド陣のそれとは一線を画すオリジナリティあふれるものだ。リリックがシュールで、ウィットに富んでいるのも特徴だ。「Don’t Call Me White」は代表曲中の代表曲。間違いなく、パンク・ロック必聴盤の1枚だ。
文●有島博志(GrindHouse)

THE OFFSPRING 最新作ニュース


  • OFFSPRING ニューアルバム!
    4年ぶり、待望の新作がいよいよリリース!国内盤限定のシークレット・トラックで未発表ライヴ音源が3曲収録!

■■■ 有島博志プロフィール ■■■

 80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。
 2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
※ ※ ※ ※ ※

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