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Review List of hiro 

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     2014/05/27

    ひとり、もの思いに耽りたい時など、この静けさと美しい旋律に満ちた、Alessandro Galati 「Seals」が最適なBGMになるのでは、と思います。 Alessandro Galatiは、1994年にPalle Danielsson (b)、Peter Erskine (ds)という凄腕ミュージシャンと録音した「Traction Avant」で注目を集めたイタリアのピアニストです。 この「Seals」は、Gabriele Evangelista (b)、Stefano Tamborrino (ds)を従えた、これもピアノトリオ作品で、2013年に録音されています。10曲中7曲がGalatiのオリジナル。 ビートが効いた曲、アップテンポの曲はありません。ひたすらリリカルで、情感のこもった演奏が繰り広げられています。 アルバム全体の雰囲気を象徴するかのような、美しさと切なさが感じられる1曲目「Taylor Without Scissors」。ベースソロも、この穏やかな雰囲気を乱すようなことはありません。 続く2曲目、スタンダードの「Cherokee」では、淡々とした中にも、ピアノの音がキラキラと輝いて耳に届けられます。 ゆったりとした川の流れを思わせるメロディに、親しみを感じる3曲目「Seals」。スローテンポながら、Galatiの華麗な指捌きにハッとする4曲目「Unpredible」。 続くスタンダードの「Softly As In A Morning Sunrise」は、ドラムソロから入り、テーマがゆっくりと奏でられて、思索的に展開していきます。Galatiのアレンジ力にも感心する曲。 6曲目「The Country Life」でも、リリカルなピアノに酔いしれることが出来ます。 7曲目「Alien Blues」では、ちょっとしたフリー感覚が、まどろんだ気持ちに刺激を与えてくれます。 切ないメロディをピアノに切々と歌わせる8曲目「Little Sophia」で、リスナーは再びまどろみの世界へ。Galatiの作曲能力にも感心することしきりです。 9曲目「Casi Abstemia」は、ピアノとベースの会話が曲を進めていきます。煌めくピアノが女性、時に強く語りかけるようなベースが男性でしょうか?肩を寄せ合って通り過ぎていく恋人たちの姿が目に浮かぶようです。 ラストは、スタンダードの「 So In Love」をピアノソロでしっとりと。ここで眠りに落ちていけるなら、今夜は素敵な夢を見れそうです。

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     2014/05/21

    あっさりとしていて、だからこそ何度でも繰り返し聴きたくなるような、佳作だと思います。
    Wolfgang Muthspielは、1965年オーストリア生まれのギタリスト。
    1995年のソロ「Loaded, Like New」を、スイングジャーナル誌上で児山紀芳氏が激賞していたことを思い出しました。ビートルズの曲が2曲も収録されていて、その密やかな雰囲気には魅了されました。その後の活躍を期待したのですが、それほど表舞台に登場したとは言い難い、マニア好みのミュージシャンであったと思います。
    この「Driftwood」は、ECMでは初のリーダーアルバムで、Larry Grenadier(b)、Brian Blade(ds)という超一流のリズムセクションを迎えたギタートリオ作品。録音は、2013年5月、オスロ、Rainbow Studioにて。
    Muthspielは、Grenadierとは「Drumfree」で、Bladeとは「Friendly Travelers」などで共演を果たしており、お互い気心の知れたセッションだったといえましょう。
    尚、Grenadierは、もちろんBrad Mehldau Trioの不動のベーシストであり、現代最高峰とも称される名手。また、Bladeも参加作品がグラミー賞を受賞するなど、その存在は現代のジャズ界に欠かせないドラマー。
    本作は、そんな豪華なメンバーを従えつつも、決して奇をてらうことなく、ECMらしい繊細さと緊張感に彩られたアルバムに仕上がっています。
    表題曲「Driftwood」が3人の合作(インプロビゼーション)で、他は全てMuthspielのオリジナルです。
    余談ですが、MuthspielのECM登場は、2013年にリリースされた、Ralph Towner、Slava Grigoryanとのギタリスト3人による「Travel Guide」が初めて。このメンバーではMGT名義で「From a Dream(2008年)」という優れたアルバムをMaterial Recordsから発表しています。
    1曲目「Joseph」は、Joe Zawinulに捧げられた曲。特定のリズムはなく、3人の抑えたプレイが、このアルバムの雰囲気を象徴するような、ある種の美しさを表出しています。
    2曲目「Uptown」は、アコースティック・ギターに持ち替えてスパニッシュ風の曲を。短いテーマが繰り返され、発展していくと、ドラムスが変幻自在のリズムを提供。軽快なベースソロも印象的です。
    これもアコギの3曲目「Cambiata」は、郷愁が感じられる曲で、ふとRalph Townerを思ってしまいます。ドラムスが波の音のように響き、曲にダイナミズムを与えています。
    4曲目「Highline」は、ベースのボウイングがミステリアスな雰囲気を演出。演奏は、次第に盛り上がり、Muthspielのエレクトリック・ギターがベース、ドラムスを従え、空間を埋め尽くしていきます。
    5曲目「Driftwood」は、3人によるインプロビゼーションでしょう。心象風景を物語るような曲。
    6曲目「Lichtzelle」は、空間にギターで音の抽象画を描くように進みます。絶妙のタイミングでギターを盛り立てるBladeとは息もピッタリ。
    7曲目「Madame Vonn」は、アコギが優しげなテーマをリリカルに奏でる心地よい曲。ウッドベースの柔らかな音が寄り添うと、更に奥行きが増すように感じられます。
    ラストの「Bossa for Michael Brecker」は、ギターのアルペジオにベースのボウイングが重なる静かなオープニングから、ミディアムテンポへと転じ、リズミカルな展開を。ギターは鋭い中にも、穏やかさを内包しているかのように響き、ベースソロもリズミカル。Michael Breckerに捧げられたこの曲でアルバムは幕を閉じます。

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     2014/05/20

    類まれなる音楽センスを身に付け、誰もが羨むライフスタイルを貫きながら、日本音楽界に大きな足跡を残し、そして消えた。「加藤和彦」を演じ続けた男には、音楽的な絶頂期と呼べる時代が、少なくとも3度訪れたと思います。
    1967年から約1年間のみ活動した、ザ・フォーク・クルセダーズ時代。
    1971年から1975年まで、日本国内のみならず、イギリスでも人気を博した、サディスティック・ミカ・バンド時代。
    そして、作詞家、安井かずみと再婚後、ソロシンガー、作曲家として、三部作「パパ・ヘミングウェイ」「うたかたのオペラ」「ベル・エキセントリック」を発表した1979年〜1981年。
    この「バハマ・ベルリン・パリ 加藤和彦ヨーロッパ3部作」は、オリジナル音源に可能な限り忠実にリマスターされた三部作のCDに、その当時の録音データや加藤和彦手書きのコード譜、安井かずみ手書きの歌詞、レコーディング風景などを紹介したカ
    ラーの冊子がセットになっています。
    この三部作は、いわくつきの作品のようで、「ベル・エキセントリック」のジャケットを飾った金子國義さんの絵画が、あまりに当時の「加藤和彦」の音楽世界にふさわしいものであったため、初CD化の際は、他の「パパ・ヘミングウェイ」「うたかたのオペラ」も金子作品に差し替えられてしまいました。
    かつて、オーマガトキから再発された際は、レコードをミニチュアで再現した紙ジャケットは嬉しかったのですが、音源はオリジナルではなく、特に「パパ・ヘミングウェイ」の「レイジー・ガール」では、佐藤奈々子さんの可愛い歌声がカットされていた、という往年のファンには許しがたい内容でありました。
    そんな、過去の反省?をふまえて、今回は、当時のエンジニア大川正義さんが、リマスタリングを担当。昔、擦り切れるほど聴きこんだレコードの音が、最新技術により磨かれ、ひときわ鮮明に耳に届けられるのは、嬉しい限りです。
    冊子の方も、ジャケットの画像が大きく掲載され、また、フォトでもYMOの3人を始めとする当時の先鋭的なミュージシャンたちの鋭い眼差しが、欧米にもない音楽の創出を目指していた雰囲気をひしひしと感じさせます。
    最高傑作は、装丁も、中身の音楽も、芸術の域に達したかのような「ベル・エキセントリック」でしょうか?録音環境が劣悪で、帰国後、かなり手が加えられたそうですが、30分という短い収録時間の中に加藤和彦の音楽美学が結晶化しています。
    坂本龍一のソロによるラスト、エリック・サティ作「Je Te Veux(お前が欲しい)」は、虚空に響くワルツであり、消え去った加藤和彦の肖像を飾るにふさわしい曲。

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     2014/05/13

    ピアノトリオ作品といっても、この「Second Phase」のリーダーはベーシストです。 1975年イタリア生まれのPietro Ciancagliniがその人。
    Charles Mingusに捧げたという「Reincarnation Of A Lovebird(2009年)」に次ぐリーダー作であり、このアルバムでは、Scott LaFaroの曲を取り上げているので、その辺に彼のルーツがあるのかもしれません。
    さて、この作品を手にした理由として、Criss Crossレーベルから、優れたアルバム(「Combinations」「Details」「Mostly Standards」など)をリリースしているピアニスト、Dave Kikoski (1961年アメリカ生まれ) の参加をあげる方は多いと思います。確かに、Kikoskiの参加は大きな成果をアルバムにもたらしており、Ciancagliniの人選は正解だったと思います。
    無理な冒険はせず、Kikoskiのピアノを前面に立てて、オーソドックスにまとめあげたところに、このアルバムの成功要因があるのでは?
    ドラムスは1976年ハンガリー生まれのFerenc Nemethで、非常に抑制の効いたリズムを提供しています。
    録音は、2013年2月、イタリア・ローマにて。11曲中、8曲がCiancagliniのオリジナルです。
    ダークでカッコいいテーマの「Second Phase」からスタート。すぐさま小気味良い4ビートへ突入しますが、ピアノが強力で、ベースソロもカッコよく響きます。
    続く「 ’S Wonderful」は、もちろんGeorge Gershwinの作品なんですが、一聴してそうとは思えないようなアレンジがCiancagliniによって施されています。ミディアムテンポで、LaFaro風のベースが曲を引っ張っていきます。これもダークな雰囲気。
    「Discipline」は、そこに明るい陽射しが差し込んできたような躍動感に満ちた演奏で、3人の相性の良さを思い知る曲。
    スローに転じる「July」では、ピアノとベースの語り合いに、こちらもじっくりと耳を傾けたくなります。
    軽快なドラムソロから始まる「Bright Soul」。このテーマもカッコよく、Ciancagliniの作曲能力はなかなかのものであると思います。ピアノの軽いタッチも印象的。
    Bill Evansの「Sunday At The Village Vanguard」であまりにも有名な「Gloria’s Step」。LaFaroの作品であることを意識してか、ベースソロから始まりますが、割と素直なアレンジであり、耳に馴染んだ曲が、こちらにスッと入ってきます。ピアノは終始リリカル。そして、徐々に熱を帯びてきます。
    「Uprising」は、しんみりと聴かせる曲で、ピアノからベースへと引き継がれるソロには味わいが。
    アップテンポで複雑なテーマを難なくこなす3人の実力を思い知る「Opening」。ドラムスは刺激的なプレイを繰り広げ、後半でのベースとのやり取りも聴きもの。
    オリジナルとは思えないほど美しくメロディアスな「The Gift」に、このアルバムの良さをしみじみと感じます。
    徐々にテンポを上げ、4ビートへと転じるCole Porter作の「I Love You」。木漏れ日のような穏やかさを感じさせてくれる演奏です。
    ラストは、安定した4ビートの「Together」で締めくくられます。

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     2014/05/08

    「Permutation(2009年11月録音)」で、ひと回り以上も若いメンバーを引き連れ、自らも過去のイメージを刷新するような若々しいピアノプレイを披露してくれたEnrico Pieranunzi (1949年イタリア生まれ)。 Marc Johnson (b)、Paul Motian (ds)と組んだ「Live At The VillageVanguard(2010年7月録音)」を挟んで、ニュートリオによる刺激的な新作「Stories」を届けてくれました。 Pieranunziを鼓舞する強力なリズムセクションは、ベースのScott Colley(1963年アメリカ生まれ)とドラムスのAntonio Sanchez(1971年メキシコ生まれ)。共にリーダーアルバムもリリースしている売れっ子です。 録音は、2011年2月ニューヨークAvatar Studioにて。 8曲中7曲がPieranunziのオリジナル。彼が音で織りなす物語に耳を傾けてみましょう。 力強く、またダークな色彩にも覆われて始まる「No Improper Use」に聴く側の気持ちも引き締まります。「Permutation」の頃より更に若返ったようなPieranunziがここにいるような気が・・。 続く「Detras Mas Alla」 は、Sanchezのドラムスが冴えわたるラテンタッチの曲。3人は、早くもエンジン全開。 「Blue Waltz」は、タイトル通り軽快なワルツで、 Pieranunziの華麗なテクニック、その小粋な演奏に、こちらもス テップを踏みたくなります。 一転して、舞踏会から深い森の奥へと誘われるかのような「The Slow Gene」。唯一Colleyの作品で、ミステリアスな雰囲気を3人が優れた演奏能力で表現しています。ピアノの響きが美しい。 「Which Way Is Up」は、ピアノの高速ソロからスタート。そのままアップテンポへと突入しますが、手を伸ばしてもスルリと身をかわされてしまうような、どこか掴みどころがない曲。エンディングは破壊的ですらあります。 「Where Stories Are」は、再びスローに転じ、ピアノがしんみりと語りかけてくるような曲。ベースがピアノの語りに応え、じっくりとソロを展開します。全体に暗さを秘めた曲調。物語を捜し求め、迷い込んだ森の奥には誰もいないようです。 「Flowering Stones」では、一条の光がピアノに携えられて戻ってきます。ピアノとベースの対話により、曲は進んでいきます。ミディアムテンポながら、終盤ではリズミカルな展開も。 ラストの「The Real You」は、PieranunziとColleyのデュオ。冒頭から腰の据わったベースがずっしりと響き、ひとつの流れをかたちづくります。ピアノは、その流れに逆らわず、舞うように奏でられ、曲は淡い色彩で飾られていきます。 年下のメンバーからエネルギーを吸収し、自らの円熟との両立をはかりながら、新たな地平を目指すPieranunzi。その動向に、これからも目を離すことが出来ません。

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     2014/05/06

    私のジャズ名鑑に、Yuri Goloubevという極めて優れたベーシストが、しっかりと刻まれたアルバム。
    Roberto Olzer は、1971年イタリア生まれのピアニスト。クラシックを学んだ後、イタリアの名手Enrico Pieranunziからジャズ・ピアノの手ほどきを受けたそうです。 そのOlzerが、Gwilym Simcock とのDuo「Reverie at Schloss Elmau」で味わい深いベースを聴かせてくれたYuri Goloubev (1972年ロシア生まれ)、Kenny Wheeler、Paul Bleyなどとも共演歴のあるドラマーMauro Beggio (1970年イタリア生まれ)と共に美しいアルバム「Steppin’ Out」を作り上げました。録音は、2012年6月。
    ジャズというより、ピアノトリオのフォーマットによる美しい音楽、という印象を抱きました。ディスクの隅々から、叙情的な音が溢れ出るかのようです。
    心に染み入るOlzerのピアノ、Yuriのベースは深みに誘うように強く重く響き、ドラムスのBeggioは控えめであるがゆえに全体の色調を乱さぬプレイに終始。
    それは、透明感のあるピアノにアルコ奏法を駆使したベースが格調高く寄り添うクラシカルな1曲目「Die Irren」に顕著。
    以降も、この雰囲気は続き、聴く側の心を落ち着かせてくれます。
    5曲目「Every Little Thing She Does Is Magic」ではアップテンポに転じ、聴き慣れたStingの曲を楽しそうに演奏する3人には親しみを抱きます。 とどめは、9曲目「Sad Simplicity」で、力強さばかりでなく、悲しみを内包したかのようなベースと高音部で煌めくピアノが醸し出す世界は、ジャケットの情景そのものです。

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     2014/05/01

    独特のサウンドカラーで知られるECMからでなく、メジャーレーベルからリリースされたとしても何ら違和感を抱かないアルバム、Jacob Youngの「Forever Young 」。 温度感は低めとはいえ、決して冷淡なサウンドではない。ガンガン迫ってくる感はないものの、ECMらしさが美点となっている。それは、穏やかさ、静けさ、内に秘めた情熱のようなものでは・・?。 サックスが大きくフィーチャーされており、美しいピアノの響きも印象に残ります。リーダーであるYoungのギターは、曲の中で効果的なソロを聴かせるとはいえ、目立つ存在ではなく、全体のサウンドを構築する方向に力を注いでいるようです。 プロデューサーのManfred Eicher の采配とは思いますが、 Eicherの意向に沿って、わき役に回ったYoungも偉いと思います。 Jacob Youngは、1970年ノルウェー生まれのギタリスト。 Arild Andersen、Nils Petter Molvaer、Trygve Seim、Karin Krogなど、北欧ジャズを好む方にはお馴染みのミュージシャンと共演を重ねてきました。 ECMでは、これまでにEvening Falls (2002年)、Sideways (2007年)を発表しています。 本作は、2013年8月、オスロRainbow Studioにて、Jan Erik Kongshaug の手により録音されました。メンバーは、同じくノルウェーのTrygve Seim (ts,ss)、ポーランドのMarcin Wasilewski (p)と彼のトリオのリズムセクションSlawomir Kurkiewicz (bass)、Michal Miskiewicz (ds)が務めています。 ECMならではの面子であり、緻密なインタープレイが期待できる顔ぶれと言えましょう。 曲は全てYoungのオリジナル。彼は、自作をこの優れたアンサンブルの中で、心ゆくまで鳴らしたかったのだと思います。 美しいピアノと共に空間を漂うギター、そこに豊かなトーンのサックスが絡む冒頭の「I Lost My Heart To You」。この、えも言われぬ心地よさが、最後までアルバム全体を覆っています。 ECM繋がりでいいますと、スローな曲ではRalph Townerを、アップテンポではPat Methenyを思ったりもします。 また、 YoungがYAMAHAのギターを使用してくれているのも、我々には嬉しいところ。 私は、リズミカルで、そこははかとない異国情緒が漂う7曲目の「1970」と、親しみやすいメロディーで軽快に奏でられる9曲目の「Time Changes」がいまのところのお気に入りです。 73分間を決して長く感じさせない傑作であり、ECMファンのみならず、多くの方々に聴いて頂きたいと思います。

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     2014/04/30

    ジャズの醍醐味を求める方には不満が残るかもしれませんが、聴く時を選べば、なかなか後味の良い秀作ではないかと思います。
    Michel Herrは、1949年ベルギー生まれのピアニスト。キーボードも操る作曲家、アレンジャーでもあり、ジャズの分野にとどまらず、テレビ番組や映画のサウンドトラックでも多くの仕事をこなしています。 そんな予備知識を頭に入れて、この「Intuitions(1989年) 」を聴くと、割とすんなり受け入れることができると思います。というのも、ピアノにキーボードを絡ませた曲、更にキーボードのみの曲、アドリブよりもメロディを重視した曲などが配されており、純粋なピアノトリオとして聴くと肩透かしを食らってしまうからです。 しかし、そのメロディ重視の演奏は、時に心地よく、十分楽しめる内容になっていると思います。 ベースは1956年オランダ生まれの名手Hein Van de Geyn(この当時は細身で格好いい)、ドラムスは1944年アメリカ生まれのLeroy Lowe。9曲中8曲が、 Herrのオリジナルです。 1曲目「Thinking of you」では、澄み切ったピアノの音に、キーボードを効果的に重ねることで、広々とした情景を提示してくれます。ふと、Pat Metheny GroupのLyle Maysの手法を思い出しました。 2曲目「 Intuition」は、スローなテーマを発展させつつ、軽快な4ビートに転じ、またスローに戻ったところで、骨太のベースソロが。 Geynは、本作の準主役と言えそうです。 3曲目「Absence」で、Herrは全てキーボードによる演奏を披露。柔らかなその響きは、 Geynの力強いベースプレイを良く引き立てています。 4曲目「Your eyes」は、美しいピアノのイントロが印象的。寄り添うベースが「男」を感じさせるこの曲は、男女の恋愛を物語っているかのよう。 5曲目「Labyrinthe」は、その男女が恋の迷宮に彷徨い込んだようです。アップテンポから、ミディアムへとリズムはめまぐるしく変化しますが、爽快感も味あわせてくれる曲。 Loweのドラムテクニックもかなりのものです。
    6曲目「Le voyage oublié」では、ピアノが哀愁のテーマを奏で、その美しい響きにキーボードがそっと添えられます。ベースの切ないフレーズに続き、ピアノが情感のこもったソロを。これは、正に映画音楽の世界。 7曲目「Pretex 」は、高速4ビートの曲。やっと、ジャズらしい演奏が登場。 Geynのランニングペースが心地よく、また、終盤のベースソロ、ドラムソロも格好いい。本作のベストトラックでしょう。 8曲目「Orange blossom」のみ、 Geynの曲。ミディアムテンポで、ピアノの美しさがことさら際立ちます。 ラスト9曲目「New horizons」は、タイトル通りキーボードが水平線のかなたまで導いてくれそうなスケール感のある曲。特定のリズムはなく、ムード主体で展開されます。

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     2014/04/27

    「幻の名盤」は、ちと大袈裟にせよ、43分間を心地よく過ごさせて頂きました。
    2011年の「Undelivered」が良い印象を残した、ギリシャのピアニストSpyros manesis 。彼が2006年に録音した「Trioism」は、バンド名でもありアルバムタイトルでもあります。
    他のメンバーは、ベースのPetros Klampanis 、ドラムスは、Luca Marini (1,4)、Andreas Pichler (2,6,7)、Gustavo Grajales Nandayapa (3,5)の3人が曲ごとに入れ替わりますが、統一感は保たれています。録音は2006年。
    1曲目「 Pipistrello 」はmanesis のオリジナル。ベースが存在感を示しています。ピアノは詩的なフレーズを高音部で表現し、心地よいスタートといえます。
    2曲目は、 Victor Youngの「Stella By Starlight」を8ビート風にアレンジ。こちらではドラムスが存在感を示します。カッコいいソロも披露。ちょっとした暗さを味付けするmanesisのテクニックも見事です。
    3曲目「Galazia Kithara (Sky Blue Guitar) 」は、ご当地ギリシャでは知られた曲なのでしょうか?ミディアムテンポで、ピアノがリリカルに歌い上げます。ベースも印象的なソロを。
    4曲目は、ユーモラスなイントロから、斬新な解釈による若々しく自由な演奏が心地よいRay Hendersonの「Bye Bye Blackbird」。後半にはベースソロに続きテーマも少しだけ顔を出します。
    一聴して、原曲を思い出す方は少ないと思います。
    5曲目はAlexandre Scriabineからインスパイアされたと思われる「Scriabin」。しっとりとした演奏が、中盤から徐々に熱を帯びてきます。
    力強くスタートする6曲目「El Pepino」は、manesis のオリジナル。Thelonious Monk風の黒っぽさも魅力です。
    ラストは、 George Gershwinの「But Not for Me」をスローなアレンジで 。 Manesisは、クラシカルな響きも織り交ぜた説得力のある演奏。後半から、親しみのある4ビートに転じ、適度なスイング感を味わいつつ、アルバムは幕を閉じます。

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     2014/04/22

    一聴して、ECM(Manfred Eicher)の色に染め上げられたピアノトリオという印象を受けました。しかし、それは、モノトーンばかりでなく、カラフルな色彩を感じさせる音群でもある。
    ピアノトリオの新しい形を模索し、ある地点にまで到達し得た、Craig Tabornのキャリアの節目となる作品であることは、間違いないと思います。
    Craig Tabornは、1970年生まれのアメリカのピアニスト、作曲家。シンセなども巧みに操るそうです。これまで、Roscoe Mitchell、Chris Potter、Tim Berneなど、錚々たるミュージシャンと共演を重ねてきました。
    波間に煌めく陽光のようなピアノが印象的だったソロ「Avenging Angel(2011年)」に続く、ECMからのリーダー第2作目が、この「Chants」で、今回はトリオ編成。1981年生まれのThomas Morgan (bass)、1963年生まれのGerald Cleaver (ds)という、共に最近のECMでは、しばしばその名を目にする売れっ子が、脇を固めます。
    録音は、2012年6月、ニューヨーク、アバター・スタジオにて。曲は全てTabornのオリジナル。
    タイトルの「Chants」とは、単に歌うことだけでなく、「聖歌」の意味も込められているのでしょうか?いきなり「Saints」(聖人・ 殉教者?)という曲から始まります。その「Saints」は、幾何学的な感じの曲ですが、ピアノの音がとても綺麗で適度な躍動感もあり、頭でっかちの印象は受けません。
    続く「Beat The Ground」は、ミニマルなテーマから始まり、スピード感溢れる3者が織りなすアラベスクの世界へ突入。そして、突然のエンディングが。
    「In Chant」は、キラキラとしたピアノから始まる思索的な曲。緊張感が、ここそこに漂っており、特にベース、ドラムスが幽玄の世界に誘うかのようなサウンドを演出します。 「
    Hot Blood」は、ドラムスのイントロがカッコいいアップテンポの曲。ここでの縦ノリ感はTabornの持ち味でしょうか?これもいきなりのエンディング。
    「All True Night / Future Perfect」では、ピアノの音が空中に拡散し、3人が図形を描くように曲を進めていきます。それぞれの音がくっきりとしており、ある種の美しさを感じるのは私だけではないと思います。
    「Cracking Hearts」は、密やかなドラムソロから始まります。ピアノとベースが断続的に加わり、中盤からドラムスは渦巻く風のようなプレイで2人を煽ります。
    「Silver Ghosts」は、特定のリズムを持たず、淡々と進められていく曲。やはり、美しいピアノの音がアクセントになっており、リスナーは時に波のように押し寄せるその響きを追いかけることに。「Silver Days Or Love」は、続編でしょうか?3者が互いの方向を探り合うかのように曲を進め、ピアノの煌めきが空間にちりばめられていきます。
    ラストの「Speak The Name」は、ドラムスが曲を先導し、続いてピアノがシンプルなテーマを奏でると、それが間断なく分解され、前へ前へと進んでいきます。スティーヴ・ライヒがジャズを演奏したら・・、と思わせるようなミニマル感に溢れた曲。

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     2014/04/20

    その選曲の普遍性と、明鏡止水の境地に達したかのような演奏ゆえに、時と場所を選ばず、聴くことができる傑作。
    Myung-Whun Chung(1953年韓国生まれ)は、1974年チャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門で第2位に入賞したピアニスト。というよりも、指揮者として高名な方で、パリ・オペラ座音楽監督、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団音楽監督、ソウル・フィルハーモニー管弦楽団音楽監督などを歴任してきました。
    この「piano」というシンプルなタイトルのECM New Seriesからの初アルバムが、これまた初のピアノ・ソロになるのだそうで、還暦という人生の節目に、愛する家族そしてファンに向けたパーソナルなレコーディングのようです。録音は、2013年7月、ヴェニスにて。
    ちなみに息子さんのSun Chungは、同じECMからプロデューサーとして、Aaron Parksの「Arborescence」、Yeahwon Shinの「Lua ya」を世に送り出し注目を浴びている方で、このアルバムのライナーノーツには、Manfred Eicherと共に、お父さんの演奏に耳を傾けているフォトが掲載されています。
    さて、本作の収録曲はといえば、ドビュッシー「月の光」、ベートーヴェン「エリーゼのために」、シューマン「トロイメライ」、モーツァルト「キラキラ星変奏曲」など、耳に馴染みのある、というか音楽の教科書のような、基本中の基本のクラシックばかり。
    オーナー・プロデューサーであるManfred Eicherの美意識を拠り所として、難解な現代音楽も積極的にリリースしているECMから、このアルバムが発表されたことに、私は驚きと同時に、何ともいえない安堵感を抱きました。
    冒頭の詩的極まりないドビュッシーの「月の光」に先ず惹きこまれ、シューベルトの「即興曲 変ホ長調 D.899-2」では、生きる喜びのようなものを、そのピアノ演奏から感じ取りました。
    密やかなショパンの「夜想曲 嬰ハ短調」。続いて演奏される、愛らしいモーツァルトの「キラキラ星変奏曲」への流れも素晴らしいと思います。

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     2014/04/16

    イタリアのピアニストClaudio Filippini(1982生)の新作。メンバーは、前作「Facing North」と同じ、スウェーデンの重鎮ベーシストPalle Danielsson(1946生)と、フィンランドのドラマーOlavi Louhivuori(1981生)。 録音は、2013年4月17日〜19日です。若手とベテランで構成されたこのトリオの精神的な支柱は、Danielssonが担っていると思います。
    一聴して、拍子抜けするほど素直で耳に優しい演奏に終始している、という印象を受けました。 何の気負いも衒いもなく、美しいメロディを美しいままに淡々と奏でることにこだわった、癒し系ジャズとでも言えそうな作品。
    スリリングなオープニングの「Modern Times #Evolutions」 は、しかしテーマの提示のみで短く終わってしまいます。キラキラしたチェレスタの音が印象的。ピアノとの同時演奏でしょうか?
    「As time Goes By」は、もちろん映画「カサブランカ」の主題歌。これを2曲目にもってくるところに、このアルバムの意図が込められているのかもしれません。映画同様、ロマンチックな演奏。 「Poses」は、綺麗なメロディを淡々と素直に奏でていく曲。 「The Sleepwalker」は、夢遊病者?のタイトル通り、ベースのボウイングから始まる幻想的な曲で、特定のリズムはありませんが、さほど抽象的でもなく、3人が繊細に演奏を繰り広げます。
    「Breathing In Unison」は、穏やかなミディアムテンポで、耳に心地よいその演奏からは、ジャズというよりポピュラーに近いものを感じます。ここでもチェレスタが効果的に使われており、何となくPat Metheny Groupの世界を感じる部分も。
    続く「Night Flower」も、ストレートにメロディが奏でられていく曲で、Danielssonが円熟のベースソロを披露。 「South Michigan Avenue」は、「The Sleepwalker」同様、特定のリズムを持たない曲で、ゆったりと進んでいきます。チェレスタのキラキラ音とベースの自由な感覚のソロが、ある種の雰囲気を醸し出しています。
    「A Time For Love」では、ピアノが恋人たちのロマンスを語ってくれます。Danielssonが大人らしい控えめなサポートを。 「Secret Love」は、ミディアムテンポで、じっくり聴かせる曲。メロディを捻らず素直に演奏しているため、これもポピュラーソングの趣が。 「At the Dark End Of The Street」は、アルバム全体を象徴するような穏やかな曲で、メロディを美しく際立たせようとするFilippiniのピアノが印象的。 そして、アルバムは、静かに幕を閉じます。
    休日に、遅めの朝食を取りながら、「今日は何をしようかな」とぼんやり考えながら聴くのに良いかもしれません。

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     2014/04/14

    クラシックの素養をしっかりと身に付けたThomas Enhcoが、様々なアイディアをその卓越したテクニックにより具体的な形(音)に仕上げた、素晴らしい作品。
    Enhcoは、1988年パリの音楽一家に生まれ、3歳でヴァイオリンを、6歳からはピアノを弾き始め、なんと9歳で初舞台を踏んだという才気溢れるジャズピアニスト。
    その華麗なテクニックと美貌ゆえに、わが国でも多くのファン(特に女性)を獲得し
    ているようで、2013年には伊藤八十八氏のレーベルから、Jack DeJohnett(drums)、John Patitucci(bass)という超豪華なメンバーとの共演作「Jack & John」をリリースしています。
    さて、本作のタイトル「Fireflies」とは、ホタルのこと。ジャケットには、線香花火のようなパチパチとした光の群れを手に掴もうとするThomas Enhcoが(中ジャケットにはクッキリと美顔が)写っています。 2012年5月に録音された、Enhcoの通算4枚目のアルバムで、自らプロデュースにあたったという意欲作。リズムセクションは前作「The Window and the Rain」同様、Chris Jennings (bass)、Nicolas Charlier (drums)が務めています。
    冒頭の「The Outlaw」は、クラシカルな雰囲気からスタートしますが、徐々に激しい曲調に転じ、ちょっとした暗さも味付けされています。「You’re Just a Ghost」は、一転してリリカルな曲調へ。ピアノの美しい高音部にハラハラさせられもします。「Traumerei」は、正にシューマンの「トロイメライ」で、名曲を心を込めて奏でます。「Train de Nuit」は、夜汽車のタイトル通り、スピーディで、かつクラシカルなピアノソロで、Enhcoのテクニックに圧倒されます。
    ベースのボウイングがシュールな雰囲気を醸し出すイントロの「Awakening」。そこから間髪を入れず演奏される「Wadi Rum」は、多彩な表情を持つ曲で、Enhcoがハイテンションで弾きまくるかと思うと、スローダウンし、煌めくピアノとベースのボウイングが幻想の世界へと誘ってくれます。本作のベストトラックでしょう。
    「Soulmate」は、綺麗なメロディを説得力あるテクニックで聴かせるピアノソ
    ロ。続く「Morning Blues」は40秒足らずのアップテンポの曲で、若さがほとばしります。
    「La fenetre et la pluie」は、Enhcoの育ちの良さ?が表れた曲。ここでも卓越したテクニックが。「Ballade pour un Esprit Nocturne」は、ピアノとベースの対話に、ドラムスが少しだけアクセントを添え、最後まで穏やかに進んでいきます。変わったタイトルの「Boumboumboum」はイントロとあるように2分に満たない曲。抽象的ながら音の粒立ちがくっきりしています。切れ目なく演奏される「Open Your Door」は、印象的なテーマがリズミカルに奏でられ、アドリブにもEnhcoのひらめきが感じられる曲。
    ラストは「Choral」。ショパンを思わせるような静かなピアノソロで、アルバムは
    幕を閉じます。
    今後、ますますファン層を拡大するであろうThomas Enhcoの優れた演奏力と構成力が存分に発揮された傑作です。

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     2014/04/12

    Vigleik Storaas は、1963年ノルウェー生まれのピアニスト。北欧特有のクールな演奏を聴かせてくれます。 ピアノトリオの活動を主体とする方で、これまで、Curling Legsから「Bilder」、「Andre Bilder」、「Subsonic」を、Inner Earから「Now」そして、2011年5月31日にノルウェー・オスロのRainbow Studioにて、Jan Erik Kongshaugのもとで録音された本作「Epistel #5 」をリリースしてきました。 5作ともRainbow Studioでの録音であり、当然ECMのイメージで語られることも多いと思いますが、ほとんどがセルフプロデュースなので、 ECMを意識しつつも、自分たちの色や体温を作品に織り込もうとする姿勢が感じられます。 バックを務めるのは、同じくノルウェー出身のMats Eilertsen(Bass)、Per Oddvar Johansen(Drums)。 Eilertsenは、現代の北欧を代表するベーシストで、Tord Gustavsen Quartetのメンバーでもあり、また、自己のバンドを率いて大活躍している方。 冒頭の「Aspire」は、トランぺッターKenny Wheelerの作品。陰りを秘めた美しいピアノの音に惹き込まれます。 このアルバムをリードするのは、ベースのEilertsenであるような気もします。少なくとも、 Storaas のピアノと対等に渡り合っており、それは、続く「Epistel」でも「Mood Piece」でも感じられます。 「A Myriad Of Approaches」は割とビート感がある曲で、ピアノもメロディアスに歌っている。この3曲は、 Storaas のオリジナル。 「Til Sivert」は、Johansenのオリジナルですが、テーマにちょっとしたユーモアが感じられ、ベース主体に進められていきます。 続く2曲はStoraas のオリジナル。「Balladeer」は、リリカルなピアノがメロディを綺麗に歌い上げます。味わい深いベースソロも存分に聴くことができる、本作のベストトラックと言っていい曲。「Eidsvoll」は、穏やかなワルツを淡々と演奏する曲。中盤からは、Eilertsenがこれまた力強いソロを披露。 「Beatrice」は、サックス奏者Sam Rivers の作品。ノリのある4ビートを聴かせてくれます。 ラストは珍しくスタンダードを。Michel Legrand「I Will Wait For You」で、言わずと知れた「シェルブールの雨傘」の主題曲で、この曲のみちょうど1年前の録音。淡々とした中にも、 Storaasの心が込められた美しい演奏になっています。

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     2014/04/12

    特に、ピアノトリオの場合、知らないピアニストでも、リズムセクションで買ってしまうことは、多々あるのでは?
    本作のバックを務めるのは、Eddie Gomez(b)そして、Steve Gadd(ds)。誰でも食指が動く面子だと思います。
    Smith Dobsonもハッピー感溢れるピアノで、小気味よく応戦。3人がセッションを楽しむ様子が伝わってきます。
    7曲目「Ottawa On」の冒頭では、「恋人と別れる50の方法」にちょっと似たGaddらしいドラムスを聴くこともできます。
    さて、ラストの「It’s A Quiet Thing」では雰囲気のあるヴォーカルを披露するDobson。余芸と思いきや、1枚丸ごとヴォーカルの「Sasha Bossa」というアルバムもリリースしています。

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