このバンドについて詳しくは存じ上げませんが、80年代初頭から活動しNYCの地下シーンで名を轟かせ、90年代に隆盛を極めるオルタナティブやインダストリアル、エクストリーム系ヘヴィロックのアーティストに多大な影響を与えたことは音楽雑誌で知っています。 初めて初期傑作といわれる『Cop』を聴いた時は期待外れで（一体何を期待していたのか？）正直つまんねーと思いました。でもこの作品は初期とは全く別モノで、女性ボーカルやピアノ、アコースティックギターを大幅にフィーチャーし叙情性に溢れたとても美しい作品でした（個人的にはラストの曲が一番好き）。 でも根底に流れるモノは中心人物のマイケル・ジラのめちゃ低音なボーカルや陰鬱な歌詞に顕著なこのバンド独特の世界観で、たとえ音楽性が変化してもこのバンドを揺るぎないものにしているんだと思う。

SWANSの14年ぶりの12作目のオリジナル･アルバム 　マイケル･ギラのレーベル"Young God"からのリリース経験もある､デヴェンドラ･バンハートとギラの3歳になる娘が『You Fucking People Me Sick』に参加 　他にも元メンバーで､現在はR.E.M.のドラマーとして活躍するビル･リーフリンや､MERCURY REVのギタリスト､グラスホッパーが参加しています 　初期を思わせる重厚な世界観が印象に残りますが､以前より枯れた魅力のギラのヴォーカルが実に素晴らしく､14年のブランクを感じさせない素晴らしい作品に仕上がっています 　特に9分以上に及ぶ『No Words/No Thoughts』､前述の『You Fucking People Me Sick』は必聴 　80年代からインディーの伝説的バンドとして扱われてきたSWANSですが､まだまだバンドが現役として高いポテンシャルを持ち続けていることを､このアルバムで照明しています

究極の儀式系ロックの一つ。 このライヴ盤から聴取できる戦慄と恍惚は、初期ドアーズが放っていたものの領域にまで達しているように思える（音は似ていない）。 Gt(2nd),Ba,Drは全員ヘルプだというのに、無駄音なし、下劣な虚飾（ギター・ソロなど）なしの恐ろしく強靭なバンド・アンサンブル。悶えてしまう。 漆黒音楽に免疫のあるポスト・ロック、ミニマル、音響系が好きな人にもオススメです。貴方の心の深い所で感じてください。