バリオスという作曲家＆ギタリストは寡聞にして知らなかったが、このCDで初めてその全曲集を聴いて大変素晴らしいと思った。まず、曲想が親しみやすい。そして、民族色が表われている曲もあり楽しめる。ボルケッドゥの演奏は録音とともに十分満足できる。

代表作の「大聖堂」のないバリオス。さらに冒頭のワルツで一番重要な、中間部にある和音の一番上に置かれたフラジオレットの響きがスカスカ。フォールホルストは急速なパッセージなどで、技巧的でそれなりのセンスも感じられるのだが……。まあ、左手が発するノイズも少なく、バリオスの比較的知られていない作品が並んでいて、それはそれなりに楽しめました。特にワルツがいい。全集大好きブリリアントさんのだから、全てワルツといった冒険はできなかったものだろうか。

購入してからもう２０年以上経つが、今も一番好きなバリオスの演奏だ。丁寧で自然な演奏で、弦を擦る耳障りな音はなく、ホール感も捉えられた美しい録音と思う。Vol.2,3と合わせて、まとめてバリオスを聴くには最良のものだろう。