Charles Rosen - The Complete Columbia and Epic Album Collection
チャールズ・ローゼン/ソニー・クラシカル・コレクション(21CD)
アメリカの名ピアニスト、チャールズ・ローゼン[1927-2012]が、米コロンビアとエピック・レーベルで制作した全録音をCD21枚に集大成。
ローゼン31歳の1959年から47歳の1974年にかけておこなわれたステレオ録音を集めたもので、バロックから現代作品まで幅広いレパートリーを持っていたローゼンならではの多彩な収録曲目となっています。
ごく一部を除いて廃盤になっていたアルバムが多く、また、オリジナル・アナログ・マスターから世界初CD化となる音源を多数含み、しかも、それぞれのディスクがアメリカ盤初出LPデザイン仕様の紙ジャケットに封入されるという非常に凝ったセットです。
ちなみにサイズは、横5cm x 縦13.2cm x 高さ13.2cmで、重量は0.6kgとなります。
【チャールズ・ローゼンの魅力】
長命だったローゼンはキャリアも長いものでしたが、前半がピアニストとしての活動がメインで、後半は著述家、音楽学者としての活動が主体となっていたため、レコーディングへの取り組みもキャリア前半が中心となり、米コロンビアとエピック・レーベルでおこなった録音はその代表作といえると思います。
ローゼンは特に近現代作品に強く、ストラヴィンスキーやブーレーズ、カーターといった作曲家からも信頼されていたという同時代音楽の紹介者としても知られており、ここでもその手腕を聴くことができます。
一方でローゼンは、フランツ・リストの高弟だったモリッツ・ローゼンタールの教えを受け、また、名手ヨーゼフ・ホフマンから最も大きな影響を受けたというヴィルトゥオーゾ・スタイルのピアノを習得したピアニストでもあり、ゴドフスキーやローゼンタール、タウジヒなどの編曲ものをとりあげるあたりにもそうした趣向が表れているようにも思います。
しかしローゼンの演奏そのものは、楽譜情報を重視する客観的なもので、バッハのゴルトベルク変奏曲やフーガの技法、音楽の捧げ物のリチェルカーレでは、対位法的情報処理の鮮やかさや装飾への配慮を印象づける見事なバランスの演奏を聴かせており、ベートーヴェンやリスト、ショパンと言った作品でも、それぞれのスタイルにふさわしい音楽に仕上がっているのは、何よりも作曲家の考えを尊ぶ姿勢によるものとも思われます。(HMV)
【収録情報】
Disc1
● ラヴェル:夜のガスパール
● ラヴェル:クープランの墓
録音:1959年1&11月、ニューヨーク
Disc2
● ショパン:バラード第4番ヘ短調Op.52
● ショパン:スケルツォ第3番嬰ハ短調Op.39
● ショパン:ポロネーズ変イ長調Op.53-6
● ショパン:マズルカ第2番嬰ハ短調Op.6-2
● ショパン:マズルカ第31番変イ長調Op.50-2
● ショパン:マズルカ嬰ハ短調Op.52-3
● ショパン:夜想曲第8番変ニ長調Op.27-2
● ショパン:夜想曲嬰ヘ長調Op.15-2
● ショパン:夜想曲第17番ロ長調Op.62-1
録音:1960年2月、ニューヨーク
Disc3
● ストラヴィンスキー:セレナード イ長調
● ストラヴィンスキー:ピアノ・ソナタ
● シェーンベルク:ピアノのための小品Op.33a&33b
● シェーンベルク:ピアノのための組曲Op.25
● ストラヴィンスキー:ピアノと管弦楽のためのムーヴメンツ
イーゴリ・ストラヴィンスキー(指揮) コロンビア交響楽団
録音:1960年12月、1961年2月、ニューヨーク
Disc4
● エリオット・カーター:ハープシコード、ピアノ、2つの室内オーケストラのための二重協奏曲
ラルフ・カークパトリック(Cemb) グスタフ・マイヤー(指揮)室内オーケストラ
● キルヒナー:ヴァイオリン、チェロ、10の管楽器と打楽器のための協奏曲
トッシー・スピヴァコフスキー(Vn) アルド・パリソ(Vc) レオン・キルヒナー(指揮)室内オーケストラ
● エリオット・カーター:ピアノ・ソナタ
録音:1961年9&4月、ニューヨーク
Disc5
● ドビュッシー:12の練習曲
録音:1962年2月、ニューヨーク
Disc6
● シューベルト:ピアノ・ソナタ第20番イ長調D.959
● モーツァルト:ロンド イ短調K.511
録音:1961年4月、1962年3月、ニューヨーク
Disc7
● シューマン:ダヴィッド同盟舞曲集Op. 6
● シューマン:謝肉祭Op.9
録音:1963年3月、ニューヨーク
Disc8
● リスト:ドン・ファン幻想曲
● リスト:ペトラルカのソネット104番
● リスト:ハンガリー狂詩曲第10番
● バルトーク:ハンガリー農民の歌による即興曲Sz.74
● バルトーク:3つの練習曲Op.18
録音:1963年12月、ニューヨーク
Disc9
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番変イ長調Op.110
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調Op.106『ハンマークラヴィーア』
録音:1964年10&12月、ニューヨーク
Disc10
● ショパン(ローゼンタール編):ワルツ第6番(子犬のワルツ)
● J.シュトラウスII(ゴドフスキー編):酒、女、歌
● メンデルスゾーン(ラフマニノフ編):夏の夜の夢〜スケルツォ
● シューベルト(リスト編):ウィーンの夜会第6番
● J.シュトラウスII(タウジヒ編):ただ一度の人生
● クライスラー(ラフマニノフ編):愛の悲しみ
● ビゼー(ラフマニノフ編):『アルルの女』第1組曲〜メヌエット
● J.シュトラウス(ローゼンタール編):ウィーンの謝肉祭
録音:1965年2&3月、ニューヨーク
Disc11
● ショパン:ピアノ協奏曲第2番へ短調Op.21
● リスト:ピアノ協奏曲第1番変ホ長調
ジョン・プリッチャード(指揮) ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
録音:1966年1月、ロンドン
Disc12
● ドビュッシー:映像 第1&2番
● ドビュッシー:版画
● ドビュッシー:レントより遅く
● ドビュッシー:ハイドンを讃えて
● ドビュッシー:英雄的な子守歌
● ドビュッシー:喜びの島
録音:1965年11&12月、ニューヨーク
Disc13
● エリオット・カーター:管弦楽のための変奏曲
フレデリク・プラウスニッツ(指揮) ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
● エリオット・カーター:ハープシコード、ピアノ、2つの室内オーケストラのための二重協奏曲
ポール・ジェイコブス(Cemb) フレデリク・プラウスニッツ(指揮)イギリス室内
管弦楽団
録音:1966年9月、ロンドン
Disc14-15
● バッハ:『音楽のささげもの』BWV.1079〜6声のリチェルカーレ
● バッハ:『音楽のささげもの』BWV.1079〜3声のリチェルカーレ
● バッハ:『フーガの技法』 BWV.1080(全曲)
録音:1967年1&3月、ニューヨーク
Disc16
● バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV.988
録音:1967年6月、ニューヨーク]
Disc17
● ハイドン:ピアノ・ソナタ第36番ハ短調
● ハイドン:ピアノ・ソナタ第31番変イ長調
● ハイドン:ピアノ・ソナタ第18番ト短調
録音:1974年9月
Disc18
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第27番ホ短調Op.90
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調Op.106『ハンマークラヴィーア』
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第28番イ長調Op.101
録音:1969年11月、1970年6&7月、ロンドン
Disc19
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番ホ長調Op.109
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番変イ長調Op.110
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番ハ短調Op.111
録音:1969年3月、1970年6月、1968年11月、ロンドン]
Disc20
● ブーレーズ:ピアノ・ソナタ第1番
● ブーレーズ:ピアノ・ソナタ第3番
録音:1970年3月、1969年3月、ロンドン
Disc21
● ヴェーベルン:『第7の環』による5つの歌曲Op.3
● ヴェーベルン:5つの歌曲Op.4
● ヴェーベルン:ヴァイオリンとピアノのための4つの小品Op.7
● ヴェーベルン:チェロとピアノのための3つの小品Op.11
● ヴェーベルン:4つの歌曲Op.12
● ヴェーベルン:四重奏曲Op.22
● ヴェーベルン:ヒルデガルト・ヨーネの詩による3つの歌Op.23
● ヴェーベルン:ヒルデガルト・ヨーネの詩による3つの歌Op.25
● ヴェーベルン:ピアノのための変奏曲Op.27
録音:1969〜1972年、ロンドン
チャールズ・ローゼン(ピアノ)