シェーンベルク(1874-1951)

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CD 輸入盤

グレの歌 ラトル / ベルリン・フィル、ほか

シェーンベルク(1874-1951)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
5573032
組み枚数
:
2
レーベル
:
Emi
:
Europe
フォーマット
:
CD
その他
:
ライブ盤,輸入盤

商品説明


シェーンベルク『グレの歌』
ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー、ほか


2001年のベルリン芸術週間の目玉となった公演をライヴ収録したもの。当公演のためにおこなわれたリハーサル日数は、ベルリン・フィルとしては異例に長い、オーケストラ全体の練習が4日、パートごとの練習が4日間の計8日間となっています。演奏は非常にクオリティが高く、ベルリン・フィル初の『グレの歌』にふさわしい強力なサウンドが最大の聴きものとなっています。指揮者のラトルが打楽器出身で近・現代音楽に造詣が深いということもあってか、特殊奏法への配慮や打楽器パートの強調が実に面白く、歌曲的なアプローチとはだいぶ雰囲気の異なるものになっています。

大人数の合唱も凄い迫力で、第3部での幽霊たちの合唱にはまさに鬼気迫るものがありました。5管編成オーバーの巨大オーケストラと十分に渡り合う彼らのパワーは圧倒的ですが、それもラトルの適切な誘導があればこそでしょう。名高い男声12部合唱での仕上がりも完璧です。静かな部分でのアプローチも優れており、各パートが十分に見通せる透明度の高さは、この作品におけるシェーンベルクのスタンスが、完成までに10年を要したという年月の経過ゆえに微妙に変化していたことさえ窺わせる精妙なもので、さすがはラトルと思わせます。
 独唱者陣では、山鳩役のアンネ・ゾフィー・フォン・オッターが圧巻。『グレの歌』の内面的なクライマックスでもある「山鳩の歌」における重みと深みのある歌は過去最高といいたくなる感動的な内容です。その他では、クヴァストホフの農夫&語り、ラングリッジの道化が見事な仕上がりです。

【グレの歌について】
『グレの歌』は、実在のデンマーク国王ヴァルデマール(在位1157-1182年)をめぐる伝説にもとづいています。国王とその愛人トーヴェとの、悲しくもグロテスクな物語のあらましは以下の通りです。
 この手の寓話に良くあるパターンですが、国王ヴァルデマールには嫉妬深くわがままな妃ベヴィヒがおりました(出演はナシ)。嫌気がさしたヴァルデマールは、トーヴェという美しく気立ての良い女性を愛人とし、グレの地にある狩猟用の城郭で逢瀬を重ねます。
 以上が第1部のオーケストラ間奏までに描かれる部分で、間奏後に現れる『グレの歌』随一の人気曲、「山鳩の歌」では、山鳩がトーヴェの死と悲しむ王について伝え、トーヴェの死は、不倫を知った妃による毒殺であると歌います。(以上、第1部)。
 短い第2部では、ヴァルデマール王が激昂して神を呪い、それが原因で天罰によって落命する様子が描かれます。
 第3部は、昇天することが許されないヴァルデマール王の魂が、家来である大勢の兵士の幽霊を引き連れ、トーヴェの魂を求めて夜な夜なグレの地を徘徊する場面で始まります。
 時は流れ、夏の嵐に替わって実りの秋が到来。収穫の季節にふさわしく農夫も登場し、やがて道化師と語り手も登場して、幽霊たちの壮絶な男声合唱を交えながらも、二人の魂の救済に向けて盛り上がりをみせます。
 最後は混成8部合唱による壮大な太陽の賛歌となっており、女声合唱の参加による色彩の変化が、魂の救済の可能性について暗示しているかのようです。

 この作品は最初、シェーンベルクがまだ若い頃に一編の歌曲として書き上げられ、その後巨大化の道を歩んだという後期ロマン派風の作品。ワグネリズムの影響、特に『神々のたそがれ』や『さまよえるオランダ人』を髣髴とさせる場面があるなど、シェーンベルクらしからぬ親しみやすさと、通常のレパートリーではおそらく最大音量と言われるその迫力ある音調、および変化に富む曲調から、これまでにも注目すべきレコーディングがいくつもおこなわれてきました。
 オーケストレーションするにあたり、シェーンベルクが48段の五線紙を特注したというエピソードはよく知られるところで、その編成は、ティンパニ6、バスドラム、スネアドラム、ガラガラ、タム・タム、それにハープ4ほかを含む150人近い巨大なオーケストラに、5人の独唱者、3群の男声四部合唱、混声八部合唱を加えた300人近い声楽陣を要するという大規模なものです。(HMV)


【収録情報】
● シェーンベルク:『グレの歌』
Disc1
第1部
1. オーケストラ序奏
2. いま黄昏が訪れて(ヴァルデマル王)
3. おお、月光が静かに滑るように輝き(トーヴェ)
4. 馬よ!わが馬よ!(ヴァルデマル王)
5. 星が歓呼し、輝く海は(トーヴェ)
6. 神の玉座の前で舞う天使たちの踊りも(ヴァルデマル王)
7. いま私はあなたに初めて申します(トーヴェ)
8. 真夜中だ(ヴァルデマル王)
9. あなたは私に愛の眼差しを送り(トーヴェ)
10. 不思議な娘トーヴェよ!(ヴァルデマル王)
11. オーケストラ間奏曲
12. グレの鳩たちよ!(森鳩の歌)

Disc2
第2部
1. 第2部 神よ、あなたは自分が何をしたか(ヴァルデマル王)

第3部
2. 目覚めよ、ヴァルデマル王の家来たち!(ヴァルデマル王)
3. 棺の蓋がパタパタと開いては閉じる(農夫)
4. ようこそ、おお王よ、グレの浜辺へ!(ヴァルデマル王の従者たち)
5. トーヴェの声で森が囁く(ヴァルデマル王)
6. 鰻のような奇妙な鳥(道化のクラウス)
7. 天上の厳しい審判者よ(ヴァルデマル王)
8. 雄鶏が時を告げようと頭を上げる(ヴァルデマル王の従者たち)~
9. オーケストラ序奏
10. アカザ氏もハタザオ夫人も(語り手)
11. 太陽を見よ(混声合唱)

 カリタ・マッティラ(S)
 アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(Ms)
 トマス・モーザー(T)
 フィリップ・ラングリッジ(T)
 トマス・クヴァストホフ(Bs)
 ベルリン放送合唱団
 ライプツィヒ中部ドイツ放送合唱団
 エルンスト・ゼンフ合唱団
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 サー・サイモン・ラトル(指揮)

 録音時期:2001年9月18日、20日、11月9日
 録音場所:ベルリン、フィルハーモニー
 録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)


収録曲   

ディスク   1

  • 01. Part One: Orchestervorspiel - Berliner Philharmoniker
  • 02. Part One: Nun Dampft Die Damm'rung - Thomas Moser
  • 03. Part One: O, Wenn Des Mondes Strahlen - Karita Mattila
  • 04. Part One: Ross! Mein Ross! - Thomas Moser
  • 05. Part One: Sterne Jubeln - Karita Mattila
  • 06. Part One: So Tanzen Die Engel Vor Gottes Thron Nicht - Thomas Moser
  • 07. Part One: Nun Sag Ich Dir Zum Ersten Mal - Karita Mattila
  • 08. Part One: Es Ist Mitternachtszeit - Thomas Moser
  • 09. Part One: Du Sendest Mir Einen Liebesblick - Karita Mattila
  • 10. Part One: Du Wunderliche Tove! - Thomas Moser
  • 11. Part One: Orchesterwischenspiel - Berliner Philharmoniker
  • 12. Part One: Tauben Von Gurre! - Anne Sofie Von Otter

ディスク   2

  • 01. Part Two: Herrgott, Weisst Du, Was Du Tatest - Thomas Moser
  • 02. Part Three: Erwacht, Konig Waldemars Mannen Wert! - Thomas Moser
  • 03. Part Three: Deckel Des Sarges Klappert - Thomas Quasthoff
  • 04. Part Three: Gegrusst, O Konig - Ernst Senff Chor Berlin
  • 05. Part Three: Mit Toves Stimme Flustert Der Wald - Thomas Moser
  • 06. Part Three: 'Ein Seltsamer Vogel Ist So'n Aal...' - Philip Langridge
  • 07. Part Three: Du Strenger Richter Droben - Thomas Moser
  • 08. Part Three: Der Hahn Erhebt Den Kopf Zur Kraht - Ernst Senff Chor Berlin
  • 09. Des Sommerwindes Wilde Jagd (Melodram): Orchestervorspiel - Berliner Philharmoniker
  • 10. Des Sommerwindes Wilde Jagd (Melodram): Herr Gansefuss, Frau Gansekraut - Thomas Quasthoff
  • 11. Des Sommerwindes Wilde Jagd (Melodram): Seht Die Sonne! - Rundfunkchor Berlin

総合評価

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グレの歌がBPOで録音されたことが嬉しい...

投稿日:2008/03/07 (金)

グレの歌がBPOで録音されたことが嬉しい!やはりこういう難曲はこのオケで聴きたい。ラトルはこの絢爛豪華なオーケストレーションをさも容易そうにドライヴし、また大強奏のなかでも各パートの動きを明確に響かせているBPOの演奏技術にも舌を巻く。…しかし、やはりオーケストラの響きを極限にまで美しく響かせてくれるのはカラヤンだ。1967年の2月に一度(二日間だけ…会場はこのラトル盤と同じフィルハーモニー)彼はこの曲を演奏会で取り上げているが、録音セッションは見当たらない。このライヴがCD化されればと夢みている。

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近年のグレでは白眉。内声の対位法処理をバ...

投稿日:2007/06/09 (土)

近年のグレでは白眉。内声の対位法処理をバッチリ決めており、シェーンベルクのグレがワーグナーの開拓した路線の究極であることを実感できる。録音は悪くないのだが、これが超優秀録音だったら超凄かったのにと思う。それ程までにオケが練りこまれている。俗に多い歌曲的アプローチは結局対位法処理ができないための逃避軟弱路線ということがよくわかる。BPOは最高のお買い物をしたようだが、録音が優秀以上でなければラトルの真の凄さはわかりにくいだろうなあ。

ポランスキーのP さん | Tokyo | 不明

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作曲家の良さを存分に引き出せたのは、ラト...

投稿日:2006/07/08 (土)

作曲家の良さを存分に引き出せたのは、ラトルの才能とオケの力量が見事にマッチしたからではないかと考えます。この「グレの歌」は鳥肌が立つようなクライマックスを迎えます。ぜひ一度この版でお聞きください。但し、音質はEMIでそれなりなので割り引いてくださいね。

徳力勝利 さん | 東京都 | 不明

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