日本語解説付き
バッハ録音で名高いアラールの「お国もの」、かくも濃やかで繊細!
フランスの名手バンジャマン・アラールが、若き古楽器演奏家たちの登竜門ブリュッヘ(ブルージュ)国際古楽コンクールを制したのが2004年。翌年パリのサン=ルイ=アン=リル教会に新設されたオーベルタン・オルガンの専属奏者となり、この足鍵盤の音栓まで充実した楽器をはじめ各地のオルガンで堂々たるバッハ演奏を聴かせる一方、録音でもチェンバロとオルガンの双方を等しく弾きこなし、「ALPHA」や「Harmonia Mundi France」でバッハの鍵盤作品を続々と録音してきました。逆にバッハ以外を演奏するアラールの様子に触れる機会は滅多にありませんでしたが、2022年5月の来日公演アンコールではスカルラッティのソナタの驚くべき解釈を披露、バッハ作品へのこだわりが彼の適性や嗜好の限界を示すものではなかったことを明らかにしました。
そのことをさらに裏付ける驚くべき録音が意外にもスペインのレーベル「March Vivo」から登場。2020年2月1日にマドリードで行われた演奏会の記録で、フランス音楽史に名高いクープラン一族の最も重要な3人の作品を厳選したプログラム。3人それぞれの作風は大きく違いますが、そのいずれにおいてもごく自然な佇まいで様式感を捉え、曲ごとの個性を描き分けてゆく解釈の妙は圧巻の一言。彼のバッハ演奏を特徴づける寛いだ安定感はここでも健在で、ライヴの臨場感に貫かれていながら危うさとは全く無縁、各作曲家の音楽世界にじっくり浸らせてくれます。
イタリア屈指の古楽器奏者たちの名録音を数多く手掛けてきたロベルト・キネッラートのマスタリングで、現代最高峰の域にあるクラヴサン音楽の比類ない境地をじっくりお楽しみ頂けます。(輸入元情報)
【収録情報】
ルイ・クープラン[c.1626-1661]:
● 組曲 イ短調〜『ボーアン写本』(17世紀後半〜18世紀初頭)より
1. フローベルガー氏を模したプレリュード
2. アルマンド
3. クラント
4. サラバンド
5. ラ・ピエモンテーズ(ピエモンテ風)
● ブランロシェ氏のトンボー(追悼曲)
● シャコンヌ
フランソワ・クープラン[1668-1733]:
● 『クラヴサン奏法』(1716)より
1. 第7のプレリュード
2. 第3のプレリュード
3. 第1のプレリュード
4. 第4のプレリュード
5. 第2のプレリュード
6. アルマンド
7. 第5のプレリュード
8. 第8のプレリュード
9. 第6のプレリュード
● 第14組曲より〜『クラヴサン曲集 第3巻』(1722)より
1. 恋する夜啼鶯
2. 驚き怯えるヒワ
3. 嘆いてばかりのムシクイ
4. シテール島の鐘
5. ささやかなものごと
アルマン=ルイ・クープラン[1727-1789]:
● 『クラヴサン曲集』(1751)より
1. シェロン
2. 苦悩
3. フランス風
フランソワ・クープラン:
● 神秘の障壁〜『クラヴサン曲集 第2巻』(1717)第6組曲より
ルイ・クープラン:
● クープラン氏のシャコンヌ ヘ長調
バンジャマン・アラール(クラヴサン=チェンバロ)
使用楽器:アントウェルペンのアンドレアス・リュッケルス1646年製作(パリのパスカル・タスカン1780年拡張改造)モデルに基づく、キース・ヒル2001年製作の再現楽器
録音時期:2020年2月1日
録音場所:マドリード、フアン・マルク財団
録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)
*セクションごとに拍手入り(輸入元情報)
輸入盤国内仕様(解説日本語訳:白沢達生)
鍵盤楽器奏者のアラールによる、クープラン一族のクラヴサン作品集。バッハ作品を中心に確固たる実力を披露し、チェンバロとオルガンを等しく弾きこなしてきたアラールが、フランス音楽を率いたクープラン一族に着手。独自の解釈を鮮やかに加えた名盤だ。(CDジャーナル データベースより)