Didi

《WHATMUSIC SELECTION》ジャイルス、ジャザノヴァ・ファン待望のアルゼンチンの孤高の天才ピアニスト、フェルナンド・ジェルバードが奇跡のCD化!!
長い間謎に包まれていた、アルゼンチンの鬼才ピアニスト、フェルナンド・ジェルバードが1975年に残した最強のキラー・トラック「Alevacolariea」収録の超問題作が遂に登場!!!あのジャザノヴァがサンプリング使用した事でも既に話題沸騰な究極の一枚!!（世界初CD化/1975年度作）
「しかしまぁこんなアルバムが再発されてしまうと、そうカンタンに“奇跡”とか“幻”といった言葉は使わないほうがいいなぁと思ったりする。そういった誇張にならない、それ相応のスペシャルなアイテムにこそ取っておくべきレトリックなんでしょうね」（若杉 実/ライナーより）アルバム全体に貫徹されるアヴァンギャルドさや、現代の時間軸にも絡むほどのコンテンポラリーな演出には多くの感動が秘められている。アジムスに通じるロングトーンを駆使したキーボード・マナー全開の「Hola Di Di」、フェンダーローズとサックスの掛け合いがカラーリング豊かな「El Senor Mayor」――これら冒頭の2曲を耳にするだけで、この作品の出所がアルゼンチンだろうとどこであろうと、もはや気にする必要がないことに気づくだろう。ましてや、そのふたつに続く3曲め「Mojo Uno」は、ジェルバードの左脳的ともいえるモーグ・プレイが展開されるソロ演奏である。ここまでくると、この作品がジャズなのか否かといったことを論じることすらどーでもよくなってしまう。それほどボーダレスにしてジャンルレス、おまけにタイムレスと三拍子そろったミラクルな1枚であるということだ。アイアートとの共演で知られるルベン・ラダのファルセットによるスキャットをフィーチャーした「Alevacolariea」はかつてレアグルーヴ系のコンピに秘かに収録されていたことでも知られる。その理由のひとつとして考えられるのは、あのジャザノヴァが'99年のシングル「Atabaque」（Ubiquity）でサンプリングしていたからだろう。サイド・ミュージシャンの中でひと際目につくのがサックス奏者。“チボ”の愛称で親しまれたルイズ・オラシオ・ボラロは海外に進出していれば、おそらくガトー・バルビエリと双璧の名テナーとして活躍できたに違いないほどの腕前!!

解説：若杉 実