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Review List of 風信子 

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     2017/12/20

    言葉の美しさに惹きつけられる 藤村の詞「浜千鳥」「椰子の実」の詞(ことば)を意味深く聞いたのは久しぶりだ 小川明子の母音を明瞭に発声する姿勢が日本語の力を十全に引き出している 伴奏がギターでしかもそれが荘村清志の演奏ときては興味がわかないわけがない しかし荘村の超絶技巧が聞けるわけではない ピアノに代わって歌唱の随伴するに徹している潔さが心憎い いやいやそれが却って深い抒情を醸成している 唱歌好し 民謡調好し 歌曲好し それにしても能く揃えてくれたものだわたしが好きな歌を この道 早春賦 花 夏の思い出 ちいさい秋みつけた 雪の降るまちを と四季を辿った後に 人生とそこから立ち上る心情の深淵に触れる名曲が並ぶ 白眉は「落葉松」だろう いつまでもいつもでも聞いていたい歌と演奏がある 升本猛の新緑と晩秋の頃の二つの落葉松のジャケット画を見ながら聴きたい あなたも如何  

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     2017/12/20

    古楽の発声を活かしてノン・ヴィヴラートで発せられた中太のロングトーンが印象に残る 所謂オルガントーンで歌われる唱歌の味わいを支える同声四重唱編曲の妙に喝采する 様々な唄が並ぶから好悪を抱く前に移りゆくテンポが早く総じて爽快な風が通っている 編曲の力に注目したが これを歌いこなす歌唱力の高さも見逃せない 四つの女声によるアンサンブルの可能性を広げた活動にこれからも注目して行きたい 広く世代を越えて興味を引くディスクだろう お聴きになっては如何

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     2017/12/19

    二人が肩並べてピアノの前に座る光景は好いものだ 親しさは言うに及ばず護り庇うこころ無くして肩触れ合う並びに居られない 連弾する二人にも様々な関係があろうが 夫婦となれば共同作業には年季がはいっている この二人の結婚生活がいかなるものであったか知らないが 半世紀以上も前のカザドシュ夫妻の演奏がこうして記録されていることは嬉しくまた愉しく感じられる 二台のピアノで連奏するシャブリエ以外は馴染みのある曲だ ドビュッシーとフォーレは管弦楽版でも親しんでいる ”ドリー”はエレーヌ嬢のために書いたこともあり愛らしく親しみやすい曲想だが ”小組曲”は小品とはいえドビュシーの個性が刻印された佳作だ サティの”梨の形をした〜”はそのドビュッシーへの反発と皮肉を込めて名付けられたと伝えられるが 奇妙と言われるほど独創性に富んだ傑作なのだ 汲めども尽きない創意湧き出ずる泉なのだ わたしはこのサティとシャブリエを殊更愉しんだが 聴けばそれぞれにそれぞれの嗜好を満たす力がある楽曲であり演奏である 懐かしい想いを持ち続けている朋と聴きたい あなたも如何    

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     2017/12/19

    冨田勲が逝って2年を経ようとしている 40年前の演奏を聴き直す ”パイフィック231Wが好い 折しも”オリエント急行殺人事件”のリメイク映画公開中だ 蒸気機関車に取り立てて思い入れがないわたしだが 鉄道列車の走る様は映像にして音楽にして感性を刺激されて久しい 富田の幻想は宇宙を旅するようだ ”銀河鉄道の夜”への憧れ 宮沢賢治とのシンパシー以上の血脈を思い出さずにいられない 富田のシンセサイザー音楽演奏は創造であり批評である 例えば”スター・ウォーズのテーマ”ではコミカルな装いで軽く流したように見せて 拠って来たるところはショパンだと見抜いてみせる ”アランフェス”はフェニックスが飛び立つイメージ だが火の鳥はどこへも飛び立てないジレンマを抱えている 孤高の作曲家ロドリゴの境遇と心境を映し出してしまう 演奏の芸術は作曲者との対話なのだと改めて教えられる ハイフェッツのヴァイオリン譜から起こした”ホラ・スタッカート”が面白い 演奏家へのオマージュもある Finaleはタルコフスキーが”惑星ソラリス”で用いたバッハだ 永遠と感じるほど長かった宇宙の旅から戻り来た時 視界を覆うのは母なる星の”海”なのだ 命の来るところ 母の胎内 無限の潮汐を繰り返す海なるものへ還っていく悦びと恐ろしさ その見えない底に人智の及ばぬ幻想の宇宙がぱっくり口を開けている 時を忘れて語り合える朋と聴きたい あなたも如何    

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     2017/12/19

    小春日を感じる朝 ジブリアニメーションの主題歌たちを聞く というより一緒に歌う 寒い季節はまだまだ続くけれど 齷齪した時間が続いているけれど ホッと息をつく まだまだ生きていけると感じられて鼻の奥がツンとする 児童合唱あり女声合唱ありのアンソロジーだが 却ってこれが色彩となって先を促す風のように オリジナル曲には宮崎イズムが色濃く出ている 言葉も音楽も一緒にあって画は動けるのだ そこに命が宿る 音楽から映像が回帰してくるが 中には何の映画の音楽だったか思い出せないものもある ジブリ作品はほとんど観ているはずなのだが それはそれでいい 音楽から新たなイメージを紡げばいいこと すでにあった曲を借りたものも 今ではジブリの映像と結びついてわたしの中では離れがたくなっている 音楽でその生きていた時代を思い出すということがないわたしだが ジブリの音楽は例外で 様々な記憶が蘇ってくる その多くは旅の風景なのだが そう もう長く旅に出ていないなあ わたしが声をあげるまでもないが 数多く同種のディスクを目にするが これは出色 朋と聴きたいものだ あなたも如何  

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     2017/12/18

    夢幻の岸辺を歩く思いで聴いた わたしが音楽を意識し始めた頃 クリュイタンスとOSCCに終わりが近づいていた 実演に接することはなかったが レコードを通してその音楽と音響の洗礼を受けた わたしの音楽観に基盤の一部となって今も残るソノリティだ それは同時にラヴェルやルーセルとの出会いの時でもあった クリュイタンスの奏でる”ルーセル”は強靭なしなりと推進力を持つ それが唯一の表現法なのか知らない それでもわたしの内では他のフランス系作曲家と明晰な識別が成り立ったところから ルーセルの個性を愛するようになった ルーセルの代表曲4曲にピエルネのハープ・コンチェルトを加えたSACDに再会できるとは好いクリスマス・シーズンになった シングルレイヤーの威力絶大にして 丁度リニューアルしたサラウンド・システムに掛けて深々と味わうことができた 懐かしく大切に考える朋と並んで聴きたいものだ 大いに張って遠くまで届く声で誘いたい あなたも如何     

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     2017/12/13

    ”シェルブールの雨傘”や”風のささやき”の映画音楽作曲家がサティを”弾く”!? 無知なるかな ルグランはブーランジェのピアノの弟子だった パリ国立高等音楽院出だったのだ まず”スポーツと気晴らし”が面白かった ルグランのピアノは噛みしめるようであり 説いて聞かせるようでもある 縦の響きを愉しんで弾いているとも感じた ”三つのジムノペディ”と”愛撫”以外はサティ40歳からの作品ばかりが集められている 還暦に届かず逝ったサティは最後の五年にピアノ曲を書いていない 管弦楽というには奇妙な”家具の音楽”とバレエ”ルラーシュ(本日休演)”そして歌曲集”潜水人形”を書いただけだ また40歳代の前半は寡作に終始した時期なので 実質50歳前後10年足らずに限定された所謂サティ晩年のピアノ曲集と呼んでいいと思う ルグランのサティ評を読むようだ 最後”匣の中のジャック”の切れ味とアイロニーの残り香にドキッとした お聴きになっては如何 

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     2017/12/12

    ”独りトリオ”はシュローダーの頭の中で鳴っている音楽 ひねもす鍵盤とにらめっこしていた少年の日 白黒の野原で鬼ごっこ 電車ごっこ 石蹴りケンケンもしたっけ 幻想の轍は止まることを知らなかった 頭上に瞬き輝く水ノ輪のような創意を追いかけてどこまでも行ったっけ 道に迷ったか行止りで立ち往生しているとようやく夢から醒めたものだった 気持ちよかったな ピアノいじり鍵盤あそびは時間を忘れさせた 畑違いのミニアルバムを拾った 普段落ちてるものに手を伸ばしたりしないのに ピアノを弾くシュローダーの姿に知らんぷりはできない 中を覗いてみれば ライナスやルーシーの名が ジムノペディやナット・クラッカーならぬナット・ロッカーなんてヘンテコな奴まで 果ては”仰げば尊し”と来た 巫山戯てやがる 聴けば独りジャズ・トリオやってる 活きが好いやね 洒落てるじゃないってなワケで お気に入りだい お聴きになっては如何   

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     2017/12/11

    オーボエに取り憑かれた女がいる そいつを想うと胸が痛い お前に心配してもらう気は無いと睨まれそうだ 波乱万丈の大海をオーボエ一本片手に顔を上げて今日も泳いでいるだろう 縁があったアマチュア・オーボエ奏者の話をしようというのでは無い あんなか細い棒っ切れで吹けば鼻にかかったような哀愁漂う音を発する楽器オーボエは女性的と形容もされようが 女というものは殆御し難い(失礼!) 否いやこれはオーボエのことで そこそこ音出しは想像するほど難しくはないが 音楽表現となればそうそう思うに任せない楽器なのだ いるようでいない名手が渡辺克也だ ルクセンブルグ・フィルで名を馳せてソロに打って出た 群響と共演したモーツァルトを聴いて存在を知った (私家版で出ていたコンチェルトが手に入らなくなっているのが残念) 第2フルート協奏曲で親しんでいたオリジナルを聴いて飛び上がった なんていい曲なんだと初めて思ったほどだ オーボエの名手というと都響の以前の二人の奏者を思い出す もう退団されたが‥ 余談にばかり終始した 何はともあれこの渡辺克也のオーボエお聴きになっては如何  

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     2017/12/10

    一昔前の言い方だが 人生50年を地で行ったシルヴェストリとは行き違いになったようで出会わなかった 夜空に星座を見るような感覚でその名前だけを記号のように覚えていた だからこのドヴォルジャークの”第7交響曲”で初めてその音楽に触れたのだ 半世紀以上前の演奏録音だがクリアーなサウンドが耳に飛び込んできた時 新鮮な風に吹かれたように身が引き締まった ヴィーンPOの反応の良さに面食らった こんな演奏もできるんだと感心すると俄然シルヴェストリへの興味が掻き立てられた ルーマニアでマイスターを続けていたが晩年イギリスへ渡ってそこで生涯を全うした まだ50代半ばだった やはり共産圏からの脱出だったのだろうか 故国を捨てる決断が日和見的見解から為される筈もない この演奏に見るシルヴェストリの音楽の決然とした運びと訴えかける激しさはその生き様を映し出しているのか 想像が止まらない お聴きになっては如何  

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     2017/12/10

    天井桟敷で聴くソノリティ 遠近感あるいは立体感ある音響に包まれる 45年前のプロムシュテット若かりし時の傑作 シュターツカペレ・ドレスデンの燻し銀サウンドは決して五月蝿くならない ドレスデンにボヘミアの風が吹き込んだかといえば然に非ず コスモポリタンのドヴォルジャークなのだが プラハを北上すること200Km足らずでドレスデンに至るのだ この東ドイツの工業都市にボヘミアの風が滑り込んでいたやもしれぬ これほどの美しい余情を醸して余りあるのだから 全曲踊りまくってしまった さてプラハを東寄りに南下すること300Km余りにウィーンはある このシューベルトを忘れてはいけない 生前に演奏された最後の交響曲”第6番”は傑作なのだ だがその真影を見せ聴かせる演奏にはなかなか出会えない 第一プログラムに取り上げさえしない指揮者が多い ブロムシュテットは真価を識っていた ベートーヴェン型シンフォニーの最高点に達している 主題労作を展開のベースに置きながらデュナーミクの変化から劇性を生み出す音楽 シューベルトはさらに音色変化を加え繊細な表現へ歩を進めている これはロマン派の技法の先鞭となり メンデルスゾーンやシューマン音楽の先達となり フランス音楽へもその波は伝わることになる 繰り返し聴きたくなる演奏がここにある お聴きになっては如何    

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     2017/12/10

    ホッとする ”新世界より”には戻ってきた感覚が付き纏う わたしには音楽の故郷の一景となっている 音楽と出会って三年はレコードを10枚しか持っていなかった 毎日取っ替え引っ替え10枚を繰り返し聴いた その中の一枚が”新世界より”だった そこにはいつも希望が待っていた 癒したり慰めたりの湿っぽさは要らない 愛と夢と勇気をくれる旅立ちの起点 それがわたしの故郷”新世界より”だった ネルソンス&SOBRの青昊に響き亘るような抜けの良いサウンドが胸に沁みわたる 乾いた哀感もこれから旅立つ男の脚を軽くする 巻末に置かれた”英雄の歌”は5曲の交響詩の掉尾を飾るものだが ”新世界より”を書き終えた後 エルベンの民話集のバラードに依った前奏曲4曲とは異なる孤高に立つ音楽であり ドヴォルジャーク最後の管弦楽曲だ 即ち大団円 この後ドヴォルジャークは三つのオペラを書いて世を去ることになる ”英雄の(生涯ならぬ)歌”にはネルソンスの思い入れが谺している この一曲だけでも聴く価値を実感する お聴きになっては如何    

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     2017/12/09

    東京都交響楽団のコンサートマスター小林健次を中心として’74年に結成された名弦楽四重奏団”ニューアーツ”はその名乗りのように現代音楽演奏に特化した団体だった 四人は都響の団員で構成される 現在は皆退団している 同時に”ニューアーツ”が演奏している姿もその演奏も霧消した だが忘れられない この”DIRECTION”も入手不可能になっている 確か彼らだけの演奏で構成されたディスクはこの一枚だけだと思う 実演の情景は今も鮮明に思い出される 無愛想なのにフレンドリーな空気に包まれて和やかだった 四人の個性が手に取るように分かり面白かった 求道者小林の気難しい遊びに平尾 江戸 苅田が嬉々として加わった感があり微笑ましかった 現代音楽=難しいの公式を消し去るクリアーで実に音楽的な演奏で(知情意のバランスが取れているという意味で)自然に身内に流れ込んできた 都響は21世紀になって上手くなったのではない 小林の時代から一頭地を抜いていたのだ そのパートリーダーが集っての仕業であれば傾聴に値した 楽団の復活は叶わないが 演奏記録を収集して新たなディスクが編集されんことを願うものだ また是非多くの人の耳に届けたい

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     2017/12/09

    クリスマスが近づくと チパンゴ・コンソートが聴きたくなる このアルバムは’10年冬のライヴだったと思うが記憶に自信はない 大学の音楽堂だったかしら 立錐の余地もなかった 旅から戻ったその足で僅かな当日券を求めて寒風のなか列に並んだ ”そのコンサート”をほぼほぼそのままディスクにしている 小気味好いコレッリの合奏協奏曲から始まった オノフリが福岡の古楽音楽祭に招かれて間も無く日本で組織したピリオド・アンサンブルは美事だ ヴィヴァルディの”冬”の仕掛けに度肝を抜かれる ヘンデルを挟んで再びヴィヴァルディと極上のアンサンブルを堪能して 締めはモーツァルトだ この”アイネ・クライネ〜”でまた飛び上がった まるで別の曲だ 譜読みと奏法の違いがこれほど音楽を生まれ変わらせるとは信じ難い 満足した夕宴には極上の土産がついた ”パッヘルベルのカノン” この一曲を聴くためにこの宵があったと言って過言でない これがもう一度聴きたくてディスクを求めた お聴きになっては如何     

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     2017/12/09

    チェコ人でありながら異邦人として生涯を終えたマルティヌーからはコスモポリタンと呼びたくなる色合いをどうしても感じてしまう 民族や文化の残影を曳いていない音楽に出会うのは難しい マルティヌーの音楽からは許された自由を感じる それは開放感を振りまくと同時に不安感を孕んでいる 言い換えれば 浮遊あるいは飛行は無限の可能性を予感させるが上下の別さえなくどこへ着地するか知れない恐怖を纏っている 由って来るところが知れず行き着く果てが見えない宇宙空間に放り出されたような孤独を味わう それはマルティヌーの心そのものだったのではないか だからか あんなに多作だったのでは‥ ここには3楽章からなる三曲が並ぶ 大変に興味深く味わい深い ”セレナーデ”もいくつも書いている ”第2番”は’32年に書かれた三曲の一つで2VnとVaによる小品だが漸進的で美しい ファウストの独奏を得て”第2Vn協奏曲”を聴く 夢幻の淵を辿る旅は終わらない ビエロフラーヴェク&PPの秀演は”トッカータと二つのカンツォーネ”で白眉を迎える ピアノのオブリガードを伴ったオーケストラ曲は決してP協奏曲ではない バーゼルCO創立20周年に献呈された三楽章からは多層民族国家アメリカ的なるものが聞こえ 加速度化して止まらぬ歯車が覗く 堪らなくなって牧歌的なるものの幻影が這い下りてくる だが無機的な風がどこからともなの吹き込む 怖いけれど面白いこの音楽お聴きになっては如何 

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