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Review List of カピバラ 

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     2023/07/31

    チャイコフスキーが聴きたくて購入。でも驚いたのはラフマニノフ。正直3番は最初に聴いた時から好きになれなかったが、このCDを聞いて180度転換。
    アルゲリッチのタッチは豪放磊落、第一楽章の目まぐるしく変わる曲想を華麗に力強く表現する。第二楽章、まるで音の塊が空からバラバラ降ってくるようなピアノの入りは極めて印象的でエネルギーの横溢を感じさせる。第三楽章も衰えることのないエネルギーが炸裂し一気にフィナーレへと突き進む。見事な演奏と言う他ない。バックの指揮者、オーケストラはまるで添え物のようなであるが、これはこの曲自体がそうなのでシャイーたちに責任はない。この曲は「ピアノ協奏曲」というよりはオーケストラ伴奏の純然たる「ピアノ曲」であり、自らもピアノの名手であったラフマニノフからピアニストたちに叩きつけた挑戦状のようである。アルゲリッチはそれに真っ向から勝負を挑んで、どうだと言わんばかりに結果を残した。壮観である。
    次にチャイコフスキー。第一楽章、第二楽章、ロマン派の香り漂う旋律を豪壮に奏でる。慣れ親しんだ旋律がさらに深みを増して腹に沁み込む。それでもここまでは、どことなくエネルギーを貯め込んだ感じで進行していくが、それを第三楽章で一気に噴出させる。圧巻である。
    指揮者はキリル・コンドラシン。アルゲリッチとは親子と言ってもいい歳の差であるが、第一楽章、第二楽章はともすれば冗長になりがちなところを細かいテンポの変化で、父親然としてむしろアルゲリッチをリードするように感じられた。しかし第三楽章は、これまでエネルギーを貯め込んできたじゃじゃ馬娘の好きなように弾かせ、自身はサポートに徹する、見事な手綱さばきと言えよう。
    さらに私にとっては両方ともライブというのがうれしい。アルゲリッチの叫び声でも聞こえてきそうな会場の熱気が、この演奏の迫力を一段と高めてくれる。
    もしまだお聴きでない方はぜひ一聴をお勧めする。

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