『ルル』全曲 チェルニアコフ演出、キリル・ペトレンコ&バイエルン国立歌劇場、マルリス・ペーターゼン、ボー・スコウフス、他(2015 ステレオ)(日本語字幕付)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 2017年10月08日
チャルニャコフ演出は半年後に同じペーターゼン主演でメトで収録されたケントリッジ演出とは対照的な舞台。プロジェクション・マッピングを全く用いず(第2幕の間奏曲もパントマイムのみ)、具象物のほとんどない舞台上で人物達の絡みを的確に見せる。普段は見られない自殺した画家の遺体を見せるほか、舞台上でのルルの失神、シェーン博士の婚約者、第2幕ではシェーンがアルヴァを殴りつけるなど、舞台裏の出来事をはっきり見せるのはなかなかの工夫。最後のルル刺殺シーンも舞台前面で演じられるが、ちょっと違った味付けになっている(見てのお楽しみ)。主役ペーターゼンはメト版よりも遥かに生彩ある演唱。ただし、彼女もこの役はこれで歌い納めとあって、アップになると老けて見えるのは残念だが。シンドラムのゲシュヴィッツがやや魅力薄なのを除けば、スコウフスの素晴らしいシェーン博士以下、テノール三人(クリンク/トロスト/アプリンガー=シュペルハッケ)も申し分ない。 さて、これが初映像ディスクとなる話題のキリル・ペトレンコ。私の聴いた限りでは、緩急の幅を広くとり、ここがクライマックスと見定めれば(たとえば『タンホイザー』第2幕終わりのコンチェルタート)、多少粗いところがあっても一気呵成に行く天性のオペラ指揮者。現役指揮者中ではやはりティーレマンに似ていると思うが、当然ながらティーレマンより世代が若い。3月のベルリン・フィル定期ではモーツァルト『ハフナー』交響曲で、ピリオド・スタイルを自家薬籠中のものとしていることを実証してみせたし、レパートリーも広い(『ルル』から『兵士たち』まで振る)。交響曲レパートリーではマーラー、ショスタコーヴィチを問題なく振れるあたりが、ベルリン・フィルのシェフ選びで、ティーレマン派を取り込みつつ、反ティーレマン派をも黙らせた要因だろう。8人の方が、このレビューに「共感」しています。
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