ラフマニノフ:交響曲第2番、フランク:交響曲 ポール・パレー&デトロイト交響楽団
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つよしくん | 東京都 | 不明 | 2013年01月26日
本盤には、パレー&デトロイト交響楽団によるフランクの交響曲ニ短調とラフマニノフの交響曲第2番の演奏がおさめられている。先ずは、フランクの交響曲ニ短調であるが、これは実に味わい深い演奏であると言える。フランスのシューリヒトとの異名があるパレーだけに、演奏全体の様相は意外にも抒情にはいささかも溺れることにないあっさりしたものであると言える。むしろ、演奏全体の引き締まった造型美を堅持しつつ、比較的早めのテンポで淡々と進行していく音楽であるとも言えるが、じっくりと腰を据えて鑑賞すると、各旋律の端々には独特の細やかなニュアンスが込められており、演奏内容の充実度には濃いものがあると言える。そして、そのニュアンスには、フランス人指揮者ならではのエスプリ漂う瀟洒な味わいに満ち溢れていると言えるところである。このような老獪とも言える卓越した指揮芸術は、パレーだけに可能な圧巻の至芸と高く評価したいと考える。フランクの交響曲ニ短調の演奏のスタイルとしては、いわゆるフランス音楽的な要素を全面に打ち出したものと、ドイツ音楽にも通底するものとして、絶対音楽としての交響曲であることを強調したものに大きく分かれるが、パレーによる本演奏は、その折衷型の代表的な名演として極めて存在価値の高いものと言えるところだ。他方、ラフマニノフの交響曲第2番については、スヴェトラーノフなどに代表されるロシア系の指揮者による民族色濃厚な演奏とは一線を画した洗練された演奏スタイルであると言える。本演奏が1957年のものであることに鑑みれば、当時としては清新ささえ感じさせる演奏とも言えるところであり、デュトワなどをはじめとする現代においては主流となりつつある同曲の演練された演奏を先取りするものとして高く評価しなければならないと言えるところだ。同曲の演奏に、ロシア風のメランコリックな抒情を希求する聴き手には、ややあっさりし過ぎているとの印象を与えることも十分に考えられるが、現代において主流となりつつある同曲の洗練された演奏に親しんでいる聴き手にとっては、むしろ歓迎すべき演奏ということになるであろう。要は、聴き手によって好き嫌いが大きく分かれると言える演奏と言えるのかもしれないが、私としては、シューリヒトの偉大な指揮芸術を堪能することが可能な素晴らしい名演と評価したいと考える。デトロイト交響楽団も、近年ではすっかりと鳴かず飛ばずの低迷期に入っているようであるが、パレーが音楽監督をつとめていた時代は全盛期とも言えるパフォーマンスを発揮していた。本盤の演奏を聴いてもそれがよく理解できるところであり、フランクの交響曲ニ短調など、アメリカのオーケストラがよくぞここまでフランスのオーケストラ顔負けのセンス満点の演奏ができるのかと、ただただ驚かされるのみである。音質は、ルビジウム・クロック・カッティングによって、従来CD盤よりも更に良好な音質に生まれ変わった。少なくとも1950年代末という録音年代に鑑みれば、十分に満足できる音質と評価したい。8人の方が、このレビューに「共感」しています。
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