カーキーのおもしろコラム15本勝負!
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キヨマツ | 東京都 | 不明 | 19/May/2021
美術館、文学館、デパートの催事場など日本には数多の企画展がある。 そういう会場に著者は丹念に足を運び、その体験を通してこのコラムを書いている。 私たちに、身近な所からも社会に向き合うベクトルがあることを教えてくれているのだ。 さらに言えば、そのような展覧会を契機に、読者自身の世界との対峙を啓発しようとしているとも言える。 例えば、「江戸の悪 PARTU」という展覧会。 歌舞伎の演目の中から悪人だけをピックアップした浮世絵を展示してある。その展覧会に著者は出掛け、リポートする。 石川五右衛門、八百屋お七、河内山宗俊らに扮した歌舞伎役者たちの鬼気迫る形相や飛び散る血吹雪などの迫力ある浮世絵の表現力に感嘆しつつも、筆者は「歌舞伎ほどさまざまな『悪』が登場し、それを華麗に魅力的に描く演劇は珍しい」と解説し、江戸時代後期に『悪』という反社会的勢力がヒーローとなる理由を探っていく。「平和に倦んで強い刺激を求める心、その一方で募る閉塞感、そうした世紀末的な時代の風潮が、悪への強い憧憬を生んだのであろう」と考察するのである。 ところがここで終わらなのがこのコラムの出色なところ。 現代映画に悪が主役となる傾向から、世界の独裁者がどれだけ粛清という名の虐殺を行ってきたかへと話はさらに発展してゆく。何と言ってもこの章のタイトルは「世界の悪党たち」。 そして何とも卑小な「小悪党」としか呼べない現在日本の政治家に言及するに至って、我々は身近なところにこそ目を向けなければならない事に気付かされる。 また各章の展開は、武蔵野の○○○(時には楊貴妃だったり、平成の八百屋お七だったり、その時のテーマによって変わる)と呼ばれるヘンシューチョーとの軽妙なやりとりで、筆者の創造が多分に入っているようだが、われわれの興味を刺激し筆者の世界に巧みに導いてくれる。 文学、映画、社会情勢、戦争、LGBT、天皇制・・・時に重いテーマも明快な主張を、笑いを交えた軽快な筆致で斬っていくのである。 指針のない現代人に送る、珠玉のエッセイと言えるだろう。0 people agree with this review
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