隅田川暮色

芝木好子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784167229023
ISBN 10 : 4167229021
フォーマット
出版社
発行年月
1987年05月
日本
追加情報
:
260p;16

ユーザーレビュー

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読書メーターレビュー

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  • あつひめ さん

    今の時代にはそうないであろう展開の物語。でも、女の心のざわつきが感じられるのは、やはり私も女だからであろう。日陰の身というなんとも不安定な立場でありながら相方の家に出入りするのは本当に身の置き場にも困ることだろう。心の支えは相方しかいない。本当に信じていたことがガラガラと崩れていったら年月の長さなんて自分にはどうでもよくなるだろう。大切なものを失うことは死を宣告されたも同じこと。とは言いつつも、人はやはり温もりを求めてしまうものなのだ。人は死の前には一世一代の嘘もつけるのかもしれない。とても苦しい物語だ。

  • KEI さん

    乙川さんの「ロゴスの市」で、芝木さんの文章が美しいと書かれていたので、図書館本。昭和35.6年の隅田川を舞台にした1人の女の物語。自分を愛してくれた父親は空襲で死に、主人公・冴子は妻子ある老舗の紙紐屋の息子と駆け落ちする日陰の身でもあった。冴子の幼なじみの紺屋の俊雄との間に揺れる女心を繊細な表現で描かれてある。それが往時の隅田川の流れにたゆたう冴子の姿に重なる。古代の紙紐の復元に取り組む姿、組紐、染めの世界も垣間見れて情緒ある世界に浸った。

  • なつのふね さん

    新聞に作家の乙川優三郎がこの本を手本に文章を学んだという記事が有った。凛とした美しい日本語で書かれているという意味で。読みたくなり図書館で借りたがたしかに素晴らしい本だった。組紐創作に没頭する女性が主人公だが、父への思慕、幼なじみの紺屋の男、駆け落ちした大学教授の男、老舗の組紐商の人々とのあれこれを隅田川という太いベースの上に正に紐を組んでゆくように物語の中に組んでゆく。読了した時は1本の幅広い色とりどりの模様入りの紐を見たような気がした。芸術を追求する恋多き女性の話。(少々我儘だがイキイキと生きる)

  • タツ フカガワ さん

    隅田川を目の前に、父親の羽に抱かれるように育った冴子は、戦災で父を失い、いまは組紐屋の大店の息子悠の“妻”。しかし悠はいまも前妻とは別居状態で戸籍上は離婚していない。だから悠の実家では嫁ではなくよそ者と言う立場だ。そうした環境で冴子は800年前の古代紐の復元に取り組む。男たちの間で揺れる冴子の細やかな心情はもとより、組紐や染色など職人の仕事、戦前から昭和35年の駒形から山谷堀に至る隅田川畔の風景が見事な文章で立ち上ってくる。とはいえ平易な言葉で綴られた表現で、それだけに語り口に酔った1冊でもありました。

  • Voodoo Kami さん

    先に読んだ『ロゴスの市』で言及されていたため何の予備知識もなく手に取りました。戦前・戦後の東京隅田川界隈に暮らす人々の佇まい、人情の機微が丹精な文章で綴られていて、とても1980年代に発表された小説とは思えない。老舗紐屋の息子とかつて駆け落ちした呉服問屋の娘が幼なじみだった紺屋の息子と再会し、という愛憎渦巻くメロドラマとして読めなくもないのですが、一線を画すのは平家納経の厳島組紐復元という職人たちの姿を軸としている点でしょうか。こういう物語を楽しめた自分の心持ちを嬉しく思いました。乙川さん、ありがとう。

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人物・団体紹介

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芝木好子

1914‐91年。戦後を代表する小説家の一人。生まれ育った東京下町への哀惜を託した文章で知られ、芸術と恋愛の相克に苦しむ女性の生き方を描いた小説に独自の境地を拓いた。芸術院会員。文化功労者。主な著書に、『青果の市』(1941年、芥川賞)、『湯葉』(1960年、女流文学者賞)、『夜の鶴』(1964年、

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