On Ducretet-thomson

今回アナログ10インチと同時発売でのCD化だ。過去にも何度かCD化はされているが"音"への拘りからあえて澤野が自信をもって送り出す。Zootの生涯を通して、最高傑作に挙げられる本作は、自身３度目の訪仏の折パリのデュクレテ・トムソンに、相棒、Jon Eardleyとともに、フランスジャズ界の貴公子、Zootとは同年のHenri Renaudトリオとの共演である。

オープニングTr-1はRenaud作曲の「Captain Jetter」当時はやりのウエストコーストサウンドをアンサンブルに取り入れた名演だ。Tr-4はこのアルバムいやZootのバラードプレイの中でも随一の「Evening In Paris」だ。Quincy Jonesによるもので、Zootのワンホーンで演奏される。誰もがこの名演の虜となったことは、Zootファンではなくてもその心を奪われてしまう。ここでのZootの音は深海のように深い。Tr-6「My Old Flame」もバラード、こういうフレーズをつくりあげるセンスとその楽器の鳴らし、マウスピースの操作等、正に一級品だ。Zootの参加作品455枚以上、その大きな山脈の一部しか見ていないのが我々の大半を占める。没後25年、この澤野のCD化が更なるZoot人気に繋がってほしいものである。(CD版ライナーノーツより)


Zoot Sims (tenor sax), Jon Eardley (trumpet), Henri Renaud (piano), Benoit Quersin (bass). Charles Saudrais (drums)