Pequenos Mundos

カルロス･アギーレと並び称されるアルゼンチン･ネオ・フォルクローレ・シーンを代表する
シンガー･ソングライター､ホルヘ･ファンデルモーレの入手困難だった傑作リーダー･アルバムが､
2作品再プレス！


JORGE FANDELMORE（ホルヘ・ファンデルモーレ）。自ら曲を創造し、美しいギターとともに存在感在る歌声を朴訥と聴かせるネオ・フォルクローレ・シーンを代表するシンガーソングライターである。ネオ・フォルクローレ・シーンの爛熟ぶりをここ日本でも知らしめることとなったACA SECA TRIOの2NDアルバム「AVENIDO」、その冒頭曲“CARCARA”の作者といえば、一瞬にして解す方も多いであろう。フォルクローレをベースとした自然の偉大さを、複雑なコード・ワークとモダンなアレンジで表現してみせたこの名曲を筆頭に、彼の楽曲群は後進のミュージシャンにこよなく愛され、CARLOS AGUIRREやJUAN FALUといったアーティスト達と並び取り上げられることも多い、いわばシーン最重要人物である。しかし、これまで難点は彼のオリジナル・アルバムが手に入りづらいことであり、彼の本質そのものに触れられないことにあった。そんななかリスナーの想いが届いたのか、今回CARLOS AGUIRREが主宰するレーベル“SHAGRADA MEDRA”から2000年代に発表された「NAVEGA」と「PEQUENOS MUNDOS」の2作の再プレスが為される。近日初の国内盤としてリリースされるCARLOS AGUIRREの1ST「CREMA」と並ぶ傑作として必ず手元に置いておきたい作品。ネオ・フォルクローレ・ファンのみならずアルゼンチン音楽のあまりに豊かな音楽性を体感できるさ作品として全音楽ファンに聴いていただきたい。


『Pequenos Mundos』:
「PEQUENOS MUNDOS」は2005年発表。フォルクローレ＋ECM的な世界観＝いわゆるAGUIRRE的な世界観が強かった「NAVEGA」に比べ、こちらはより深化し洗練された世界観が楽しめる作品といえるだろう。クラリネット、フルート、オーボエ、ファゴットといった多種の木管楽器によるアンサンブルとFANDELOMOREのギター＆歌声によるクラシカルな冒頭曲“LOS OTROS CUENTOS”に始まり、アコーディオンによるオブリガートとコントラバスのどっしりとした演奏に支えられ雄大に歌うFANDELMOREの歌声が印象的な“AY DESEO”、AGUIRREによる流麗なピアノに呼応するかのように素晴らしい歌声とアレンジが圧巻の美しさをみせる“DIAMANTE”・・・。室内楽的な音色と、モダンなハーモニーが施されたマイナー調のメロディがゆっくりと綴られる珠玉の名曲群が実に素晴らしい。彼がなぜここまで尊敬を集めているのか、それを証明するかのような圧倒的なオリジナリティが存在するネオ・フォルクローレ・シーンの最高傑作である。