フランスINAレーベル
エクサン・プロヴァンス国際音楽祭ライヴ録音集
ヨーロッパの音楽祭シーズンの先駆けとして、毎年7月初旬に南仏エクサン・プロヴァンスで開催される、エクサン・プロヴァンス音楽祭60年の歴史のうち、初期の1950年代の主要な演目を収録した6枚組。
この音楽祭では指揮者や出演者の豪華さだけでなく、舞台美術、舞台監督、振付師など、舞台を支えるスタッフに新進気鋭のメンバーを採用して、彼らの新しい試みを積極的にとり入れていたことで知られています。
1948年第1回目の音楽祭ではモーツァルト歌劇『コジ・ファン・トゥッテ』だけが上演されました。ザルツブルクやグラインドボーンまでは行けないフランスの音楽愛好家のために特に選ばれたといいますが、音楽祭の企画は立てたものの、出演者の交渉までにはいたらず、このときのキャストはミラノ・スカラ座から借り出してしのいでいます。
創始者ガブリエル・デュシュルジェは、無名の若いアーティストの発掘に力を注ぎました(フランス人テノール、ロベルト・アラーニャは彼女が後に発掘した大型新人のひとりです)。
1955年の『コジ・ファン・トゥッテ』は今回が初出。ガブリエル・デュシュルジェはオペラ作品の初演だけでなく、器楽曲や交響曲にも関心が高かったそうです。また作曲家アンリ・ソーゲ、 ジャン・カルロ・メノッティのような伝統的スタイルの同時代音楽だけでなくピエール・ブーレーズ、ルイジ・ノーノ、イアニス・クセナキスといったアヴァンギャルドな同時代作品も取り上げました。
当CDに収録されているプーランクのピアノ協奏曲とメシアンのトゥーランガリラ交響曲は、アメリカで世界初演されたのち、数ヶ月遅れてこの音楽祭でヨーロッパ初演されました。プーランク自作自演のピアノ協奏曲は、かなりいい演奏です。デゾルミエール指揮のメシアンは非常に速いテンポで演奏されています。
グノーの『ミレイユ』はフレデリック・ミストラル原作の『Mireio』を題材とした3幕劇。エクサン周辺の片田舎ボード・プロヴァンスを舞台とし、南フランスの方言であるプロヴァンス語が使われています。
フランスでの活動が少ないボリス・クリストフの演奏は非常に貴重な録音です。「他より先んじる」をモットーとするガブリエル・デュシュルジェらしいセレクトともいえるでしょう。
ディスク6には、ボーナストラックとしてフランス・ラジオ局のライヴ録音を追加。作曲家ジョルジュ・オーリック、アルテュール・オネゲルに加え、会場にいた音楽評論家の言葉を収録しています。
CD1&2
・モーツァルト:歌劇『コジ・ファン・トゥッテ』
テレサ・シュティッヒ=ランダル(フィオルディリージ)
ナン・メリマン(ドラベッラ)
リタ・シュトライヒ(デスピーナ)
ニコライ・ゲッダ(フェランド)
ロランド・パネライ(グリエルモ)
マルチェッロ・コルティス(ドン・アルフォンゾ)
パリ音楽院管弦楽団
ハンス・ロスバウト(指揮)
録音:1955年
CD3&4
・グノー:歌劇『ミレイユ』
ジャネット・ヴィヴァルダ(ミレイユ)
ニコライ・ゲッダ(ヴァンサン)
クリスティアーヌ・ゲロー(タヴェン)
ジュール・バスタン(ラモン)
ミシェル・ダン(ウリア)
マドレーヌ・イグナル(ヴァンスネット)
アンドレ・ヴェシエール(アンブロワーズ)
パリ音楽院管弦楽団
アンドレ・クリュイタンス(指揮)
録音:1954年
CD5
・ストラデッラ:歌曲「愛はかくも私を悩ます」
・カルダーラ:アリア「太陽の光のように」
・ベートーヴェン:アリエッタ「この暗き墓場に」
・シューベルト:魔王 D.328 op.1
・ムソルグスキー:トレパーク(「死の歌と踊り」より)、蚤の歌、他
ボリス・クリストフ(バリトン)
ハンス・ロスバウト(ピアノ)
録音:1955年
・プーランク:ピアノ協奏曲
フランシス・プーランク(P)
フランス国立放送管弦楽団
シャルル・ミュンシュ指揮
録音:1950年
CD6
メシアン:トゥーランガリラ交響曲
イヴォンヌ・ロリオ(ピアノ)
ジネット・マルトノ(オンド・マルトノ)
ロジェ・デゾルミエール(指揮)
フランス国立放送管弦楽団
録音:1950年