ベルリオーズ(1803-1869)

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CD 輸入盤

レクィエム C.デイヴィス&シュターツカペレ・ドレスデン(2CD)

ベルリオーズ(1803-1869)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
PH07014
組み枚数
:
2
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
CD
その他
:
ライブ盤,輸入盤

商品説明

=エディション・シュターツカペレ・ドレスデン=
1994年2月14日ドレスデン爆撃戦没者追悼演奏会ライヴ
巨匠デイヴィス、ドレスデン時代忘れじの記憶
ベルリオーズのレクィエム

歴史に残る民間人大量殺戮として知られる「ドレスデン爆撃」は、まず1945年2月13日から15日にかけて、イギリス軍による約3000トンの爆弾投下で開始され、後発のアメリカ軍が約800トンの爆弾を投下、街の大半が破壊され、3万とも15万ともいわれる一般市民や避難民が犠牲となりました。これだけでも凄惨ですが、このあとアメリカ軍は3月と4月に約2800トンの爆弾を追加で落とし、民間人への空からの機銃掃射などもおこなって徹底的な破壊と殺戮を繰り返しています(同じころ日本では、アメリカ軍によって東京大空襲がおこなわれ、10万人以上とも言われる民間人が殺されています)。

 このドレスデン爆撃50周年を翌年に控えた1994年、未曾有の戦禍を被ったのと同じ2月13、14の両日に、イギリス人コリン・デイヴィスとシュターツカペレ・ドレスデンによって演奏されたのがベルリオーズの大作レクィエムで、当アルバムは、その追悼演奏会のドキュメントとなります。
 なお、2月13日にも録音が予定されていましたが、当日は氷点下25度という極寒に見舞われ、録音機材を作動させるためのバッテリー用のディーゼル・エンジンが凍り付いてしまったので録音が出来なかったということです。

 ベルリオーズのレクィエムは、ドレスデン爆撃からほぼ半世紀前の1897年にドレスデン初演がおこなわれた作品でもあります。この巨大なレクィエムは編成がともかく破格。大オーケストラ&大合唱のほか、ティンパニ8対、大太鼓、タム・タム、シンバル10対、さらに4群のバンダ(各4本のトランペットとトロンボーン)が加わるというもの。さらに、これら大音響が鳴り渡る第2曲「怒りの日」や、第6曲「ラクリモサ」から一転、アカペラによる第5曲「われをさがしもとめ」ではきわめて静謐な音楽という具合に、全10曲の内容は非常に起伏に富んでいます。

 「自作でただ一曲だけを残すことが許されるなら迷わずこれを残してもらうように」というほどベルリオーズ自身強く惚れ込んでいたと伝えらるこの作品は、もともとは「七月革命」による犠牲者の追悼式で演奏されるべくフランス政府から作曲を依頼されたものでしたが、土壇場になって式は音楽無しで執り行われることに決定、作曲料や演奏準備にかかった費用も一切支払われないという困った事態に陥ります。
 しかし、ベルリオーズはほどなくアルジェリア戦争でダンレモン将軍が戦死したという情報を入手、その追悼式典でレクィエムを演奏できるよう陸軍大臣に申し入れた結果、聖ルイ教会での初演が実現することとなったのです。

 デイヴィスはこの作品をすでに2度収録(LSO:1969年、バイエルン放送響:1989年ライヴ映像)しており、“ベルリオーズのエキスパート”ぶりをうかがわせます。彼にとってこの作品は真に特別なもので、まだクラリネット奏者だった若い頃に演奏して指揮者を志す啓示を受けた運命の曲でもあります。今回の演奏について、デイヴィスはインタヴューで次のように述べています。

「このときの追悼演奏会は私にとってドレスデン時代の最大の出来事だったかも知れない。ほんとうにショッキングだった。それこそぴったりの時、ぴったりの場所、ぴったりの作品だった。アイデアやお膳立てとしてではなく、突如として音楽というものが本当にそうでなくてはならないものとしてそこにあった。まさに忘れることの出来ない感動的な体験であった。」

 彼はまた、ドレスデン在任期間中2月13日に指揮台に立つ機会が訪れると、ミサ・ソレムニス、モーツァルトのレクィエム、ブリテンの戦争レクィエムといった作品を取り上げてもいました。
 このように爆撃を行った側の人間としての痛切な衝動に駆られて臨んだデイヴィスのもと、時と場所を選ぶ演奏至難のベルリオーズの大作が、ほとんど奇跡的にぴたりとはまったドレスデン追悼演奏会。かくも迫真の内容を持つ演奏に触れる機会はまれといえるのではないでしょうか。

 実際、テスト盤を聴いてみたところ、演奏は素晴らしいもので、録音が優秀なこともあって、実演におけるデイヴィスの凄さがよく伝わってきます。その巨大なスケールとマッシヴな迫力は比類の無いものですが、また、一方でドレスデンの合唱団とオーケストラによる豊かな表情を湛えながらもしっとりと美しい演奏が、多くの静かなナンバーの魅力をいっそう引き立ててくれており、改めて33歳のベルリオーズがこのレクィエムを作曲していたときに次々に湧き上がる霊感に対応するため速記法まで考案したというエピソードを思い出させてくれます。そのくらい、ここでの演奏は、どのナンバーをとっても音楽の隅々まで気持ちが込められており、大きな音も小さな音も、等しく死への弔いのために役割を十分に果たし、音楽史上最も劇的なレクィエムの世界を鮮やかに構築することに成功しているのです。
 クリスマスに単独でよく取り上げられることでも知られる「サンクトゥス」では、ハワイ生まれのアメリカのテノール歌手、キース・イカイア=パーディの力強い美声と、ドレスデンの合唱が織り成す美しい演奏に心惹かれます。イカイア=パーディはこの演奏の5年前、アルフレード・クラウスの代役として、アムステルダム・コンセルトヘボウでのベルリオーズのレクィエムでヨーロッパ・デビューを成功裏に果たした経歴の持ち主で、以後はドイツ、オーストリアを中心に活躍しています。
 過去2回のデイヴィスの演奏はどちらも熱い共感の感じられる素晴らしいものでしたが、今回のドレスデン盤はまさにケタ違いの演奏であり、演奏・録音共にきわめて優れたホットなアルバムとして、今後この作品の代表盤となる可能性も十分です。

【収録情報】
・ベルリオーズ:死者のための大ミサ曲(レクィエム) Op.5 [88:19]
 第1曲 レクイエム−キリエ [11:26]
 第2曲 ディエス・イレ−トゥーバ・ミルム [13:07]
 第3曲 クィド・スム・ミセル [03:06]
 第4曲 レクス・トレメンデ [06:31]
 第5曲 クェレンス・メ [04:56]
 第6曲 ラクリモサ [10:31]
 第7曲 ドミネ・イエズ [10:37]
 第8曲 ホスティアス [03:36]
 第9曲 サンクトゥス [11:13]
 第10曲 アニュス・デイ [13:16]
 キース・イカイア=パーディ(T)
 ドレスデン国立歌劇場合唱団
 ジンフォニーコール・ドレスデン
 ジングアカデミー・ドレスデン
 シュターツカペレ・ドレスデン

 サー・コリン・デイヴィス(指揮)

 録音:1994年2月14日ドレスデン、聖十字架教会(ライヴ)

収録曲   

ディスク   1

  • 01. Requiem et Kyrie
  • 02. Dies irae
  • 03. Quid sum miser
  • 04. Rex tremendae majestatis
  • 05. Quaerens me

ディスク   2

  • 01. Lacrymosa
  • 02. Offertorium
  • 03. Hostias
  • 04. Sanctus
  • 05. Agnus Dei
  • 06. Agnus Dei

総合評価

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5.0

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この演奏、実際にナマで聴くことができ、一...

投稿日:2016/02/14 (日)

この演奏、実際にナマで聴くことができ、一生ものの深い感動を受けました。 極寒の十字架教会に静々と人々が集い、演奏者も集い、拍手は前後共もちろんなく、黙祷を捧げてからの演奏。ちゃんと四方にバンダも配置され、ティンパニには退団した名奏者ゾンダーマン氏も。最後も長い黙祷の後、粛々と人々が去っていく。本当のレクイエム。 いま思い出しても涙が溢れてきます。 あまりの感動に感謝を伝えたく終演後サー・コリンに、会いに行くと、言葉が詰まった私を抱擁してくださいました。 あれからちょうど22年になるのですね。 私にとって最高のレクイエム体験でした。 今夜は久々にこのCDを聴こうと思います。

ぶんだばー さん | 東京都 | 不明

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LSO盤が古くなり、デイヴィスの新盤を鶴首...

投稿日:2008/01/22 (火)

LSO盤が古くなり、デイヴィスの新盤を鶴首していたので、ドレスデン盤の出現は大歓迎である。旧盤も熱演だったが、新盤は比較にならない程のとてつもない演奏! 特に「怒りの日」の金管群団の一斉射撃の炸裂や「ラクリモーザ」の地鳴りのようなティンパニー群は言語を絶する圧迫感とスケール感で聴き手を圧倒する!逆に静謐な曲はデイヴィスの繊細な表現が冴える。ただ、合唱が極めて充実しているベルティーニ盤あたりと比較して、合唱のキメが若干、甘いようにも感じた。

ムーティ・ファン さん | 中国地方 | 不明

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涙が出るほど美しい調べの数々に、もはやこ...

投稿日:2007/09/28 (金)

涙が出るほど美しい調べの数々に、もはやこの演奏を表現できる言葉は出てこない。ただ、本当の意味での「鎮魂歌」がその中に納まっているだけである。ライブ録音である事も幸いしている。名演。

ポニー さん | 和歌山 | 不明

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