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- Passions, Resurrection History : Matteo Messori / Cappella Augustana (4CD)
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Passions, Resurrection History : Matteo Messori / Cappella Augustana (4CD)
Item Details
Catalogue Number
:
BRL70085
Number of Discs
:
4
Format
:
CD
Other
:
Import
Product Description

対位法完全対応で描かれる3大受難曲と「復活の物語」、「七つの言葉」、他
シュッツ:声楽曲集(4CD)
メッソーリ&カペッラ・アウグスターナ、テュルク、他
概要
◆澄んだ響きで各声部がすべて聴きとれ、対位法完全対応なピリオド演奏として話題になったシュッツ録音が復活。
◆イタリア人メッソーリの指揮と彼の創設した小編成合唱団、そしてきわめつけのゲルト・テュルクによるエヴァンゲリスト役、温かい美声のラムゼラールによるイエス役などが聴ける魅力的な演奏。
◆16世紀の古い石造りの小さな教会の素晴らしい音響が、シュッツの音楽を美しくイントネーション豊かに響かせています。地味に平板になりがちなシュッツですが、ここではそんな心配は無用です。
【シュッツとイタリア】
◆経済的にも文化的にも繁栄を謳歌していたヴェネツィア(人口約14万人)には北から多くの音楽家が修行に訪れていますが、中でもシュッツの長期滞在は群を抜いていて、実に3年に渡って晩年のジョヴァンニ・ガブリエリに師事しており、16年後にも再びヴェネツィアに1年間の修業に出かけているほどだったので、その音楽にはイタリアの影響が色濃く反映されています。
◆シュッツ時代のドレスデン(人口約1万5千人)はドイツ有数の大都市で国際的、宮廷にはイタリア人の音楽家や外交官が多数出入りしていました。そのため、公的な場ではラテン語が、音楽関係ではイタリア語が、そして日常や宗教的な場では中世ザクセン風のドイツ語が交じり合う、多言語的な環境でした。
◆シュッツ自身、ドレスデンの歌手たちに対し、イタリア風に喉を柔軟にして歌うことを求めたりしていたこともあり、メッソーリ盤のような、言葉のイントネーションとリズムを重視する歌唱もシュッツ作品にふさわしいともいえます。
【収録作品】
CD1
◆「イエス・キリストの復活の物語」 SWV50(1627)
CD2
◆「マタイ受難曲」 SWV479(1666)
◆「復活祭のための対話」 SWV443(1645)
CD3
◆「ルカ受難曲」 SWV480(1653)
◆「対話」 SWV444
CD4
◆「ヨハネ受難曲」 SWV481(1665)
◆「十字架上のキリストの七つの言葉」 SWV478(1657)
【演奏者】
◆指揮、オルガン:マッテオ・メッソーリ。
◆合唱:カペッラ・アウグスターナ
◆福音史家役:ゲルト・テュルク(テノール)。エヴァンゲリストの名歌手。
◆イエス役:バース・ラムゼラール(バス)。
◆器楽アンサンブル:イル・ソナール・パルランテ。ヴィオラ・ダ・ガンバのコンソート。
【録音】
◆2005年8月、イタリア北部エミリア=ロマーニャ州パルマ県アルバレートのグロッポ地区にある聖ペテロ使徒教会で収録。アルバレートは標高500メートルほどのところにある風光明媚な山村、聖ペテロ使徒教会は16世紀の古い石造りで、素晴らしい音響です。プロデューサー兼エンジニアはメジャー・レーベルでもおなじみのミヒャエル・ゼーベリヒ。
【製品仕様】
◆収録時間は約214分。ケースは24mm厚のポリスチレン製(マルチケース)。
◆付属ブックレット (英語・16ページ)には、ドイツの音楽学者でシュッツ研究家のヴォルフラム・シュトイデと、指揮者のメッソーリによる解説などが掲載。
◆EU製。ディスクはメジャー・レーベルでもおなじみの独オプティマル・メディアが製造。
◆レーベル:Brilliant Classics (系列レーベル:Piano Classics ・ Berlin Classics ・ Neue Meister)

目次

◆【シュッツ情報】
◆【シュッツ簡易年表】
◆【シュッツ年表】
◆【トラックリスト】
◆【作品情報&日本語訳詞付きトラックリスト】
CD1
イエス・キリストの復活の物語 SWV50
CD2
マタイ受難曲 SWV479
復活祭のための対話 SWV443
CD3
ルカ受難曲 SWV480
対話 SWV444
CD4
ヨハネ受難曲 SWV481
十字架上のキリストの七つの言葉 SWV478
演奏者情報

マッテオ・メッソーリ(指揮、オルガン)
【生地】
◆1976年4月23日:イタリア北部エミリア=ロマーニャ州ボローニャに誕生。
【学業】
◆ボローニャ「G.B.マルティーニ」音楽院:ピアノ。フランカ・フォッリに師事。
◆ボローニャ大学:音楽学 、音楽史、楽器学、バッハ研究。
◆ボローニャ「G.B.マルティーニ」音楽院:オルガンおよび対位法。ウンベルト・ピネスキに師事。優等で卒業。
◆マントヴァ音楽院:チェンバロ。セルジオ・ヴァルトロに師事。優等で卒業。
◆ヴェネツィア「B.マルチェッロ」音楽院:チェンバロ。セルジオ・ヴァルトロに師事。優等で卒業。
【賞歴】
◆1998年:第8回「ジャンニ・ガンビ」国立チェンバロ・コンクール。優勝。
【仕事】
◆1990年:アンサンブル・イ・フィロムージ。通奏低音奏者。
◆2000年:古楽アンサンブル「カペッラ・アウグスターナ」を設立。指揮者および鍵盤楽器奏者として、数多くの録音プロジェクトを主導。
◆ベルガモ「G.ドニゼッティ」音楽院:チェンバロ、オルガン、歴史的鍵盤楽器、および対位法の教授。
◆ヴェネツィア「B.マルチェッロ」音楽院:オルガン、オルガン作曲法を指導。
【録音】
◆CDは、Brilliant Classics、Mvsica Rediviva、Sony Classicalなどから発売。

カペッラ・アウグスターナ(合唱)
【概要】
◆2000年にマッテオ・メッソーリによりボローニャで創設。当初は16世紀から18世紀にかけてのイタリア音楽とプロテスタント音楽の相互作用の研究と実践を目的としており、欧州全域から集まった歴史的演奏実践に精通した歌手および器楽奏者によって構成。
◆メンバーの顔ぶれはプロジェクトの規模や要求される編成に応じて柔軟に調整される「コレギウム」的な運営体制を採用。
◆メッソーリが、クラクフを拠点とする古楽グループ「カペラ・クラコヴィエンシス」に定期的に客演していたことから、カペッラ・アウグスターナの録音には多くのポーランド人歌手も参加しています。
【録音】
◆CDは、Brilliant Classics、Mvsica Redivivaなどから発売。

ゲルト・テュルク(テノール)
【生地】
◆ドイツで誕生。
【学業】
◆リンブルク大聖堂少年合唱団:声楽、音楽教育。カトリックの音楽教育。
◆フランクフルト音楽・舞台芸術大学:音楽教育、教会音楽、合唱指揮を専攻。ヘルムート・リリング、アーリーン・オジェーなどに師事。
◆バーゼル・スコラ・カントルム:バロック歌唱と解釈を専攻。ルネ・ヤーコプス、リチャード・レヴィットに師事。
◆マスタークラス:エルンスト・ヘフリガー、クルト・エクヴィルツ、ハノー・ブラシュケ、ノーマン・シェトラー、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウなど。
【仕事】
◆シュパイヤー司教区教会音楽研究所:講師。2年間。カトリックの研究所。
◆古楽声楽グループ「カントゥス・ケルン」に10年以上在籍しながら、古楽テノールとして、世界的に活動。中世音楽専門の「アンサンブル・ジル・バンショワ」、「バッハ・コレギウム・ジャパン」とも長年協力。
◆バーゼル・スコラ・カントルム:2000年にバロック歌唱とアンサンブルの教授に就任。
◆東京藝術大学:客員教授。
◆マスタークラス:ドイツ、韓国、スペインなど世界各地で実施。
【録音】
◆CDは、Brilliant Classics、Berlin Classics、BIS、GLOSSA、Tactus、Musiques Suisses、Ars Musici、Deutsche Harmonia Mundi、EMI Classics、Channel Classics、Christophorus、K617、Erato、Harmonia Mundi France、Harmonic Records、cpo、Avi-Music、Astrée Auvidis、Alia Voxなどから発売。

バース・ラムゼラール(バス)
【生地】
◆1961年:オランダ、アメルスフォールト生まれ。
◆父により6歳から歌の指導。その後、ミープ・ゼイルストラより声楽レッスン。
【学業】
◆ユトレヒト音楽院:1981年入学。声楽を専攻。
◆個人指導:フランス・スハウテン、アーフィエ・ヘイニスに師事。
◆マスタークラス:ロベルト・ホル。
【仕事】
◆オランダ室内合唱団:1985-2001年在籍。並行してソロ歌手としても国際的に活動し、コンセルトヘボウ管弦楽団、ロンドン交響楽団、ベルリン交響楽団などと共演。指揮者ではフランス・ブリュッヘン、フィリップ・ヘレヴェッヘ、ヨス・ファン・フェルトホーフェン等と共演。
◆アメルスフォールト・カンタータ合唱団&オーケストラ:2011-2025年在職。
◆教職:オランダ放送少年合唱団の声楽教師、バジリウス・カレッジ(バーゼル)の芸術監督、UNISONOでの合唱指揮指導など。
【没地】
◆2025年7月2日:オランダ、アメルスフォールトで死去。2024年末頃から約7ヶ月闘病。
【録音】
◆CDは、Brilliant Classics、Channel Classics、STH Records、Erasmus、Musica Di Angeliなどから発売。

イル・ソナール・パルランテ(ヴィオール・コンソート)
【概要】
◆2002年にヴィオラ・ダ・ガンバ奏者のヴィットリオ・ギエルミにより創設。メンバーは、ギエルミのほか、ロドニー・プラダ、ファーミ・アルカイ、ラーミ・アルカイ、クリスティアーノ・コンタディンというそれぞれソロで活動しているヴィオラ・ダ・ガンバ奏者などが中心。
【録音】
◆CDは、Brilliant Classics、Winter & Winter、Deutsche Harmonia Mundiなどから発売。
作曲者情報

言語を音楽に翻訳する技術
イタリアでディープに学んだシュッツの最大の貢献は、それまでイタリア音楽(特にラテン語)の独壇場であった劇的な「モノディ様式」を、ドイツ語にも適合させたことにあります。シュッツは言葉の持つアクセント、イントネーション、そしてその裏にある神学的な感情を「フィグーラ(音型)」と呼ばれる特定の音楽パターンに翻訳しました 。例えば、「高い」という言葉には上昇音型を、「罪」や「苦しみ」には半音階的な不協和音を配するこの手法は、「音による修辞学」とも呼ばれ、後のバッハにおける精緻なシンボリズムの直接の源流となっています。
戦争という逆境が生んだ「制約の美学」
三十年戦争はドイツの文化を深刻な状態に追い込みましたが、シュッツはこの逆境を、音楽の簡潔化と内面化という新たな方向性に利用しました 。「小宗教コンチェルト集」に見られるような、わずかな歌手と通奏低音だけで構成される作品は、豪華な宮廷音楽が不可能となった時代ゆえの産物でしたが、それがかえって「個人の祈り」としての宗教音楽の深みを際立たせることにもなりました 。
伝統と革新の調和
シュッツは生涯を通じて、壮麗なヴェネツィア楽派などイタリアの新しい様式を愛好する一方で、イタリア発祥の古い様式であるフーガなど対位法の伝統も重視していました 。「宗教合唱曲集」の序文で若手に説いた「まず基礎を固めよ」という教えは、彼自身がヴェネツィアの最新流行を学びながらも、常に音楽の構造的な堅牢さを重視していたことの現れです 。この「革新的な表面と伝統的な骨格」の共存こそが、シュッツの音楽を単なる一過性の流行に留まらせず、時を超えた普遍的な傑作へと高めている理由に他なりません 。
シュッツ簡易年表
1585-1598(0-13歳)ケストリッツ、ヴァイセンフェルス
◆宿屋の息子としての成長、方伯による発見。
1599-1608(14-23歳) カッセル、マールブルク
◆合唱生、法学修行。人文学・神学の基礎。
1609-1612(24-27歳) ヴェネツィア
◆ガブリエリに師事。ヴェネツィア多声様式。イタリア・マドリガル集 SWV 1-19
1613-1617(28-32歳) カッセル、ドレスデン
◆宮廷楽長就任。権力者による人材争奪戦。
1619(34歳) ドレスデン
◆複合唱様式の頂点。結婚と社会的成功。 ダヴィデ詩編集 SWV 22-47。
1623-1625(38-40歳) ドレスデン
◆家族の誕生と妻の死。不協和音による感情表現。復活祭オラトリオ、カンツィオーネス・サクラ。
1628(43歳) ヴェネツィア
◆モンテヴェルディと出会った可能性。モノディ様式。シンフォニア・サクラ第1部 SWV 257-276
1633-1635(48-50歳) コペンハーゲン
◆戦火を避けてデンマークに滞在。北方での指導。
1636-1639(51-54歳) ドレスデン、デンマーク
◆ 葬送曲の名作。戦時下の人員不足への対応。音楽的葬送、小宗教コンチェルト集
1647-1650(62-65歳) ドレスデン
◆ 終戦と再建。対位法への回帰と劇的な復活。シンフォニア・サクラ第2・3部、宗教合唱曲集
1657-1664(72-79歳) ヴァイセンフェルス
◆ 隠居後の創作。明るさと深みの共存。 12の宗教的歌曲集、クリスマス・オラトリオ
1665-1671(80-86歳) ヴァイセンフェルス
◆1660年代末頃、選帝侯領の礼拝堂の職員の給与が大幅に増加したことで、シュッツの年金は年間800ターラーにまで増額。選帝侯は退職時に記念品として金の杯を贈呈。
◆作品の様式は枯淡の境地。無伴奏、二重合唱への回帰。三つの受難曲、白鳥の歌。
年表
黎明期と「発見」:ケストリッツからカッセルへ(1585–1608)
誕生と家族背景
シュッツはザクセン選帝侯領のケストリッツにて誕生。父クリストフと母エウフロジーネの長男であり、家系は代々、行政官や裕福な宿屋を営む知的・経済的に恵まれた階層。父クリストフはゲラの市書記を務めた後、ケストリッツの宿屋「黄金の鶴」を経営していました。
1590年、シュッツが5歳の時、一家はヴァイセンフェルスへ移住しました。ここで父は「黄金の輪」という名の宿屋を買い取り、経営を続けました。この宿屋は、地域の有力者が立ち寄る社交の場でもありました。シュッツはこの地で、音楽的才能の基礎を育んだと考えられています。
1585年(0歳)
◆10月18日(ユリウス暦)、ケストリッツにて誕生。父クリストフ・シュッツと母エウフロジーネ・ビーガーの間の長男であり、翌19日に受洗しました。ラテン名では「ヘンリクス・サジタリウスとも署名されています。
1586年(1歳)
◆妹ユスティーナが誕生。彼女は生涯を通じてシュッツと密接な関係を保ち、晩年の彼を支える存在となります。また、同年にイタリアではヴェネツィア学派の巨匠アンドレア・ガブリエリが没し、ドイツでは後にシュッツの親友となるヨハン・ヘルマン・シャインが誕生しています。
1590年(5歳)
◆一家はヴァイセンフェルスへ転居。父クリストフはここで宿屋「黄金の輪」を買い取り、経営を開始。この宿屋は地域の社交場として機能し、シュッツは幼少期から多様な人々と接する機会を得ました。
1591年(6歳)
◆ヴァイセンフェルスの学校にて教育を受け始めます。読み書き、計算に加え、ラテン語の基礎を学びました。当時のルター派の教育制度において、音楽は重要な科目であり、彼は地域の教会合唱隊でその才能の片鱗を見せ始めました。
1598年(13歳)
◆ シュッツの運命を決定づけたのは、1598年の出来事でした。ヘッセン=カッセル方伯モーリッツがヴァイセンフェルスのシュッツ家の宿屋に宿泊した際、少年ハインリヒの類まれな歌声を聞き、その才能に深く感銘を受けたのです。方伯は自身も音楽に造詣が深い文化人であり、「開明的な君主」として知られていました。
モーリッツ方伯は、シュッツの両親に対し、少年をカッセルの宮廷へ送り、高度な教育を受けさせるよう強く勧めました。当初、両親は息子が法学などの学問的キャリアを歩むことを望み、音楽の道に進むことに難色を示しましたが、最終的に方伯の熱意と好条件に同意。1599年、13歳のシュッツは故郷を離れ、カッセルの宮廷へ赴くこととなりました。これは宿屋の息子が、ヨーロッパ音楽界の巨匠へと至る第一歩となりました。

1599年(14歳)
◆当初、両親は息子が法学などの堅実な官吏の道を歩むことを望み、音楽の道に進むことに難色を示していましたが、最終的に方伯の熱意と教育保障に同意。8月、シュッツはカッセルへ赴き、宮廷礼拝堂の合唱生として活動を開始しました。
1600年(15歳)
◆カッセルの宮廷学校「マウリティアヌム」で学びを深めます。ここでの教育は、音楽だけでなく、ラテン語、ギリシャ語、フランス語といった語学、弁論術、神学、人文学を含む全人的なものでした。この時期に培われた高度な教養と修辞学の知識が、後に彼の「音による修辞学」の土台となりました。
1607年(22歳)
◆モーリッツ方伯の指導の下、多角的な教育を受け続ける一方、法学への道も維持していました。イタリアではクラウディオ・モンテヴェルディの歌劇「オルフェオ」が初演され、音楽史が大きな転換点を迎えていた時期にあたります。
1608年(23歳)
◆マールブルク大学に入学し、法学の本格的な修行を開始。これは家族の期待に応えるための選択であり、彼自身も一時は安定したキャリアを歩むことを考えていました。彼の音楽的才能を惜しんだモーリッツ方伯は、再び介入します。方伯はシュッツに対し、イタリアのヴェネツィアへ留学し、当時最高の巨匠であったジョヴァンニ・ガブリエリに師事することを提案したのです。シュッツは後に、「全能なる神の摂理により、音楽の道へ引き戻された」と回想しています。法学の書物を脇に置き、彼はアルプスの彼方、音楽の都ヴェネツィアへと向かう決意を固めました。
ヴェネツィア留学と巨匠ガブリエリ(1609–1612)
ヴェネツィアは、当時ヨーロッパにおける音楽の最先端都市でした。サン・マルコ寺院を中心に、複数の合唱隊を配置する「複合唱様式」が完成されようとしていました。
1609年(24歳)
◆モーリッツ方伯の奨学金を得て、ヴェネツィアへ留学。サン・マルコ寺院のオルガニストであり、当時のヨーロッパで最も高名な音楽家の一人であったジョヴァンニ・ガブリエリに師事しました。シュッツは後に、ガブリエリのみを自らの「唯一の師」と仰いでいます。
1610年(25歳)
◆ヴェネツィアでガブリエリから、壮麗な多声楽の技法だけでなく、各声部の独立性や楽器の色彩的な使用法を学びました。また、同時期にはガリレオ・ガリレイが望遠鏡による天体観測結果を公表するなど、科学的思考が発展していた時期であり、シュッツもまた音楽を理論的・知的に構築する手法を吸収しました。
1611年(26歳)
◆留学の集大成として、処女作「イタリア・マドリガル集」(Op. 1, SWV 1–19)をヴェネツィアで出版しました。全19曲からなるこの作品集は、恩人であるモーリッツ方伯に献呈されました。ドイツ人でありながらイタリア語のマドリガルを完璧に書きこなしたこの作品は、彼の卓越した技術を内外に示すこととなりました。
1612年(27歳)
◆8月、師ジョヴァンニ・ガブリエリが死去。シュッツは師の最期に立ち会い、形見として指輪を遺贈されました。これは、ガブリエリがシュッツを自らの正当な後継者として認めたことを意味する象徴的な出来事でした。シュッツはドイツへの帰路につきます。
カッセルからドレスデンへ:権力者たちの争奪戦(1613–1617)
帰国したシュッツを待っていたのは、2人の君主の対立でした。
1613年(28歳)
◆ドイツに帰国し、カッセル宮廷の第2オルガニストに就任。一方で、家族を安心させるためにライプツィヒで一時的に法学の勉強を再開しましたが、音楽家としての名声はすでに帝国全土に広がりつつありました。
1614年(29歳)
◆ザクセン選帝侯ヨハン・ゲオルク1世が、ドレスデンでの宮廷行事(洗礼式など)の音楽監督としてシュッツを一時的に招請しました。ここから、ヘッセン方伯とザクセン選帝侯の間で、シュッツの雇用をめぐる数年にわたる外交的な駆け引きが始まりました。
1615年(30歳)
◆ザクセン選帝侯の強い要望により、正式にドレスデンの宮廷楽団へ移籍。モーリッツ方伯は自ら見出した才能を手放すことに強く難色を示しましたが、政治的に優位な選帝侯の要求を拒み続けることは困難でした。
1617年(32歳)
◆正式にザクセン選帝侯宮廷楽長(カペルマイスター)に就任。以後、シュッツは半世紀以上にわたってこの地位に留まることになります。この年、皇帝マティアスのドレスデン訪問や、宗教改革100周年の祝典が行われ、シュッツは壮大な祝典音楽を指揮しています。
黄金の1610年代と家庭の幸福(1618–1624)
ドレスデンでの地位を固めたシュッツは、音楽史に残る傑作を次々と生み出し、私生活でも幸福な時期を過ごします。
1618年(33歳)
◆三十年戦争が勃発。この宗教的・政治的紛争は、後にシュッツの活動を大きく制限することになりますが、初期段階ではドレスデンの宮廷生活は依然として華やかでした。この年、マクデブルク大聖堂の音楽組織の整備を支援しています。
1619年(34歳)
◆シュッツの生涯において最も多忙かつ幸福な年となりました。
◆「ダヴィデ詩編集」(Op. 2, SWV 22–47)の出版: ガブリエリ直伝の複合唱様式をドイツ語の聖書テキストに適用した、記念碑的な作品集です。2組から4組の合唱隊を配置した壮大な音響は、初期ドイツ・バロック音楽の金字塔となりました。
◆結婚: 宮廷官吏の娘マグダレーナ・ヴィルデック(当時18歳)と結婚。シュッツは33歳でした。
1621年(36歳)
◆長女アンナ・ユスティーナが誕生。選帝侯に随行してブレスラウへ外交旅行を行い、祝典モテット「新しきエリュシオンの歌」(SWV 49)を作曲・演奏しました。
1623年(38歳)
◆次女エウフロジーネが誕生。
◆「復活祭オラトリオ(イエス・キリストの復活の物語)」(Op. 3, SWV 50)を出版: 伝統的な朗唱様式と、初期バロックの劇的な表現を組み合わせた、ドイツ音楽における最初期の本格的オラトリオです。
1624年(39歳)
◆マーティン・オピッツが「ドイツ詩学の書」を出版。シュッツはこの言語理論に深く共鳴し、ドイツ語のイントネーションやアクセントを音楽と完全に一致させる手法を洗練させていきました。
悲劇と変革の1620年代後半(1625–1629)
しかし、個人的な不幸と戦争の激化が、シュッツの生活を暗転させます。
1625年(40歳)
◆最愛の妻マグダレーナが、わずか24歳で死去。シュッツの落胆は激しく、以後彼は再婚することなく、独身を貫きます。
◆「カンツィオーネス・サクラエ(聖なる歌集)」(Op. 4, SWV 53–93)を出版: 4声のラテン語モテット集。妻の死という個人的な悲劇を反映したかのような、瞑想的で時に鋭い不協和音を用いた内省的な作品群です。
1627年(42歳)
◆ザクセン王女の婚礼祝祭のため、トルガウにて歌劇「ダフネ」を上演。これはドイツ語による史上最初のオペラとされていますが、残念ながら楽譜は失われています。
1628年(43歳)
◆戦争による財政悪化で宮廷楽団の運営が困難となる中、シュッツは二度目のヴェネツィア留学へ出発しました。
◆ヴェネツィアでは当時サン・マルコ寺院の楽長を務めていたクラウディオ・モンテヴェルディと交流を持った可能性があります。シュッツは、モンテヴェルディが確立した「攪乱様式(スティレ・コンチタート)」や、独唱による感情表現の最先端を吸収しました。
◆「ベッカー詩編和讃集」(Op. 5, SWV 97a–256a)の出版: 全ての詩編を簡潔な四部合唱に整えたもので、プロテスタント教会の礼拝の実用性を重視した作品です。
1629年(44歳)
◆「シンフォニア・サクラ(聖なるシンフォニア)第1部」(Op. 6, SWV 257–276)を出版: ヴェネツィアで出版されたこの曲集は、イタリアの新しい「モノディ様式」をドイツの宗教音楽に導入した画期的な作品でした。
三十年戦争の暗雲と北方の楽長(1630–1644)
1630年代、三十年戦争は泥沼化し、ドレスデン宮廷楽団は崩壊の危機に瀕しました。
1631年(46歳)
◆父クリストフが死去。また、親友の作曲家ヨハン・ヘルマン・シャインもこの時期に没し、シュッツは追悼曲「それはまことに確かなこと(Das ist je gewißlich wahr)」(SWV 277)を捧げました。ザクセンが本格的に戦火に包まれ、音楽活動は著しく制限されました。
1633年(48歳)
◆ザクセンでの活動が立ち行かなくなったため、デンマーク王クリスチャン4世の招きに応じ、コペンハーゲンへ赴きました。デンマーク王立楽団の楽長(カペルマイスター)に任命され、戦火を逃れて創作を継続しました。
1635年(50歳)
◆ドレスデンに帰国。母エウフロジーネが死去しました。また、旧友ハインリヒ・ポストゥムス・ロイス公が没し、その葬儀のための準備を始めました。
1636年(51歳)
◆シュッツの最高傑作の一つ、「音楽的葬送(ムジカーリシェ・エクセクイエン)」(Op. 7, SWV 279–281)を出版しました。これはロイス公の葬儀のために書かれた、「ドイツ語による最初の葬送儀礼曲(レクイエム)」として知られています。
◆「小宗教コンチェルト集(クライネ・ガイストリヒェ・コンツェルト)第1部」(Op. 8, SWV 282–305)の出版: 戦時下の人員不足に対応するため、1声から5声と通奏低音のみで演奏可能な、簡潔ながらも高度な芸術性を持つ作品集です。
1638年(53歳)
◆長女アンナ・ユスティーナが17歳で死去。シュッツは次々と家族を失う深い悲しみに見舞われました。
1639年(54歳)
◆「小宗教コンチェルト集 第2部」(Op. 9, SWV 306–337)を出版。戦争の影響で規模は小さいものの、歌唱者の技巧を最大限に引き出す緻密な書法が特徴です。この時期、一時的にハノーファーやヒルデスハイムにも滞在しました。
1641年(56歳)
◆ドレスデンの楽団員が次々と脱落し、給与の未払いも続く惨状を憂い、選帝侯に対し楽団再建のための建議書を提出しました。しかし、状況はすぐには改善せず、再びデンマークへ向かうこととなります。
1642年(57歳)
◆二度目の長期デンマーク滞在(1644年まで)。北方での音楽指導者としての役割を果たしました。
平和の到来と再建の1640年代(1645–1655)
1645年(60歳)
◆ドレスデンに帰還。60歳という年齢を考慮し、選帝侯に最初の引退願を提出しましたが、拒否されました。この頃、「十字架上の七つの言葉」(SWV 478)が書かれたと推測されています。
1647年(62歳)
◆「シンフォニア・サクラ 第2部」(Op. 10, SWV 341–367)を出版。ドイツ語による独唱・重唱のコンチェルトであり、モンテヴェルディの影響が色濃く反映されています。
1648年(63歳)
◆三十年戦争が終結。ヴェストファーレン条約。
◆「宗教合唱曲集」(Op. 11, SWV 368–397)を出版: 通奏低音を用いない厳格な対位法によるモテット集。新しいモノディ様式に流されがちな若手作曲家に対し、伝統的なポリフォニーの重要性を説く教育的な意図も含まれていました。
1650年(65歳)
◆「シンフォニア・サクラ 第3部」(Op. 12, SWV 398–418)を出版。戦後の大編成復活を象徴する壮大な作品群であり、中でも「サウル、サウル、なぜ私を迫害するのか」(SWV 415)は、初期バロックの劇的な音響効果の頂点を示す傑作です。
1651年(66歳)
◆再び選帝侯へ引退を嘆願。ヴァイセンフェルスに隠居用の家を購入。
1655年(70歳)
◆次女エウフロジーネが死去。シュッツはついに全ての子供に先立たれました。失意の中、ヴォルフェンビュッテルの楽長を兼任することとなります。
隠居生活と枯淡の極地(1656–1672)
晩年のシュッツは、ヴァイセンフェルスの静寂の中で、楽器を排した極めて純粋な音楽へと向かっていきました。
1656年(71歳)
◆長年仕えたヨハン・ゲオルク1世が死去。跡を継いだヨハン・ゲオルク2世により、ようやく自由な身分(名誉楽長)として隠居生活を送ることが許可されました。
1657年(72歳)
◆「12の宗教的歌曲集」(Op. 13, SWV 420–431)を出版。ヴァイセンフェルスの家(現在のシュッツ・ハウス)へ正式に拠点を移しました。
1661年(76歳)
◆「ベッカー詩編和讃集」の全面改訂版を出版。
1664年(79歳)
◆「クリスマス・オラトリオ(主イエス・キリストの降誕の物語)」(SWV 435)を出版。高齢にもかかわらず、イタリア的な華やかさと瑞々しい旋律を保っていました。
1665年(80歳)
◆楽器伴奏を一切排除し、福音史家の朗唱と合唱のみで構成される「ヨハネ受難曲(SWV 481)」を完成。
1666年(81歳)
◆初期バロック受難曲の最高峰とされる「ルカ受難曲(SWV 480)」と「マタイ受難曲(SWV 479)」を完成。極限まで研ぎ澄まされた旋律と、合唱による劇的なドラマが融合した、シュッツの信仰の集大成です。
1671年(86歳)
◆最後の作品、通称「白鳥の歌」(SWV 482–494)を完成。詩編119、詩編100、そしてドイツ語のマニフィカトからなるこの二重合唱作品集は、自らの人生を神に捧げる遺言となりました。
1672年(87歳)
◆1月、ヴァイセンフェルスからドレスデンへ最後の移動。
◆5月17日、長年生活を共にした妹ユスティナがヴァイセンフェルスで死去。
◆11月6日、ドレスデンで脳卒中のため死去。87年の長い旅路を終え、旧聖母教会に埋葬されました。
トラックリスト (収録作品と演奏者)

CD [213'48]
ハインリヒ・シュッツ(1585-1672)
CD1 [47'50]
◆イエス・キリストの復活の物語 作品3 SWV50
1. 合唱:我らが主イエス・キリストの復活(A, B, E, D, F, H) [1'23]
2. 福音史家:安息日が過ぎたとき [6'50]
3. 福音史家:しかし、マグダラのマリアはそのように走り [5'27]
4. 福音史家:彼女がそう言ったとき、後ろを振り向くと [5'22]
5. 福音史家:しかし、女たちは墓の中に入っていった [4'23]
6. 福音史家:彼女たちが行ったとき、見よ、番兵のうちの数人がやってきた [2'20]
7. 福音史家:そして見よ、彼らのうちの二人が同じ日に向かっていた [7'52]
8. 福音史家:そして彼は彼らと一緒に留まるために中に入った [1'37]
9. 福音史家:そして彼らは同じ時刻に立ち上がった [1'37]
10. 福音史家:しかし、同じ安息日の夕方のことであった [3'49]
11. 福音史家:そして彼らは彼の前に、焼いた魚の一切れを置いた [5'04]
12. 神に感謝せよ (第1合唱:B, E, G, H, ヴィオラ・ダ・ガンバ / 第2合唱:A, D, F, 福音史家, I) [2'06]
3人の女、あるいはマリアたち (A, B, C)
墓の中の2人の男 (G, F)
マグダラのマリア (B, A)
2人の天使 (E, D)
イエス (D, F)
墓の若者 (E, D)
高僧たち (F, I, H)
クレオパ (F)
クレオパとその連れ (G, F)
エルサレムに集まった11人の弟子 (A, B, E, D, F, H)
ゲルト・テュルク(福音史家)
カペラ・アウグスターナ
└マルゼナ・ルバシュカ (ソプラノ/A)
└エルジュビェタ・アダムチク (ソプラノ/B)
└マグダレーナ・ニェビヴァルスカ (ソプラノ/C)
└デヴィッド・ムンダーロウ (アルト/D)
└ヴァンサン・リエーヴル=ピカール (アルト/E)
└エルヴェ・ラミー (テノール/F)
└ジョヴァンニ・カンタリーニ (テノール/G)
└ヴァルター・テストリン (バス/H)
└リサンドロ・アバディ (バス/I)
イル・ソナール・パルランテ(ヴィオール・コンソート)
└ロドニー・プラーダ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
└ファーミ・アルカイ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
└ラーミ・アルカイ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
└クリスティアーノ・コンタディン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
マッテオ・メッソーリ(オルガン、指揮)
CD2 [60'44]
◆マタイ受難曲 SWV479
1. イントロイトゥス [0'52]
2. 最高法院の決定 [1'37]
3. ベタニアでの塗油 [2'39]
4. ユダの裏切り [0'39]
5. 過越の食事の準備 [1'25]
6. 食事 [3'55]
7. オリーブ山への道 [2'05]
8. ゲツセマネの祈り [4'17]
9. 捕縛 [3'42]
10. 最高法院での尋問 [4'29]
11. ペテロの否認 [2'37]
12. ピラトへの引き渡し [0'30]
13. ユダの最期 [2'48]
14. ピラトの前での裁判 [5'52]
15. 兵士たちによるイエスの嘲弄 [1'49]
16. 十字架刑 [4'42]
17. イエスの死 [5'35]
18. イエスの埋葬 [1'25]
19. 墓の番 [2'18]
20. 結び [2'16]
◆復活祭のための対話 SWV443
21. 女よ、なぜ泣いているのか?(B, A, D, C) [4'26]
ゲルト・テュルク(テノール/福音史家)
バース・ラムゼラール(バス/イエス)
カペラ・アウグスターナ
└マルゼナ・ルバシュカ(ソプラノ/女中II, A)
└エルジュビェタ・アダムチク(ソプラノ/女中I, B)
└デヴィッド・ムンダーロウ(アルト/ユダ, C)
└ヴァンサン・リエーヴル=ピカール(アルト/ピラトの妻, D)
└エルヴェ・ラミー(テノール/ピラト)
└ジョヴァンニ・カンタリーニ(テノール/ペテロ)
└ヴァルター・テストリン(バス)
└リサンドロ・アバディ(バス/カバス、ヤパ)
マッテオ・メッソーリ(オルガン、指揮)
CD3 [52'30]
◆ルカ受難曲 SWV480
1. イントロイトゥス [1'10]
2. 最高法院の決定 [0'27]
3. ユダの裏切り [0'46]
4. 過越の食事の準備 [2'30]
5. 食事 [3'36]
6. 支配することと仕えることについて [2'30]
7. ペテロの否認と回心の予告 [1'31]
8. 決断の時 [2'33]
9. オリーブ山での祈り [2'26]
10. 捕縛 [2'45]
11. ペテロの否認 [2'56]
12. 番兵たちによる嘲弄 [0'48]
13. 最高法院での尋問 [3'06]
14. ピラトへの引き渡し [2'53]
15. ヘロデによる嘲弄 [1'41]
16. ピラトの前での裁判 [3'59]
17. 十字架刑 [7'32]
18. イエスの死 [2'25]
19. イエスの埋葬 [1'47]
20. 結び [1'32]
◆対話 SWV444
21. 二人の人が上っていった (A, B, C, D) [3'38]
ゲルト・テュルク(テノール/福音史家)
バース・ラムゼラール(バス/イエス)
カペラ・アウグスターナ
└マルゼナ・ルバシュカ(ソプラノ/女中, A)
└エルジュビェタ・アダムチク (ソプラノ/B)
└デヴィッド・ムンダーロウ(アルト/ペテロ)
└ヴァンサン・リエーヴル=ピカール(アルト/罪人I, C)
└エルヴェ・ラミー(テノール/罪人II)
└ジョヴァンニ・カンタリーニ(テノール/僕I)
└ヴァルター・テストリン(バス/僕II、百人隊長)
└リサンドロ・アバディ(バス/ピラト)
マッテオ・メッソーリ(オルガン、指揮)
CD4 [52'44]
◆ヨハネ受難曲 SWV481
1. イントロイトゥス [1'30]
2. 逮捕 [3'55]
3. 高僧の前のイエス [0'40]
4. 高僧の中庭のペテロ [1'32]
5. 最高法院での尋問 [2'12]
6. ペテロの否認 [1'11]
7. ピラトによる尋問と判決 [4'49]
8. イエス、死刑を宣告される [9'29]
9. イエスの十字架刑 [7'14]
10. 結び [2'02]
◆十字架上のキリストの七つの言葉 SWV478
11. イントロイトゥス:イエスが十字架にかけられたとき (A, D, E, F, G) [2'10]
12. シンフォニア [1'09]
13. 福音史家:そして第三時であった (C, イエス) [0'56]
14. 福音史家:しかし十字架のそばには (E, イエス) [2'11]
15. 福音史家:しかし悪人の一人は (A, D, G, イエス) [3'04]
16. 福音史家:そして第九時に (B, C, E, G, イエス) [2'04]
17. 福音史家:その後、イエスは知って (C, イエス, E) [1'53]
18. 福音史家:そして再びイエスは大声で叫んだ (E, イエス, B, C, G) [1'27]
19. シンフォニア [1'13]
20. コンクルージオ:神の受難を敬う者は (A, D, E, F, G) [1'55]
バース・ラムゼラール(バス/イエス/SWV481)
ゲルト・テュルク(テノール/福音史家、イエス)
カペラ・アウグスターナ
└マルゼナ・ルバシュカ (ソプラノ/A)
└エルジュビェタ・アダムチク(ソプラノ/女中, B)
└デヴィッド・ムンダーロウ(アルト/ペテロ, C)
└ヴァンサン・リエーヴル=ピカール (アルト/D)
└エルヴェ・ラミー(テノール/ピラト, E)
└ジョヴァンニ・カンタリーニ (テノール/F)
└ヴァルター・テストリン (バス/G)
└リサンドロ・アバディ(バス/僕)
└アルベルト・ステヴァニン(ヴィオラ・ダ・ブラッチョ)
イル・ソナール・パルランテ(ヴィオール・コンソート)
└ロドニー・プラーダ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
└ファーミ・アルカイ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
└ラーミ・アルカイ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
└クリスティアーノ・コンタディン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
マッテオ・メッソーリ(オルガン、指揮)
録音:2005年8月
場所:イタリア北部エミリア=ロマーニャ州パルマ県グロッポ・ディ・アルバレート、サン・ピエトロ教会
作品情報&日本語訳詞付きトラックリスト

ハインリヒ・シュッツ(1585-1672)
CD1 [47'50]
「イエス・キリストの復活の物語」 SWV50
1623年にドレスデンで出版された作品。ヨハン・ブーゲンハーゲンによる4つの福音書をまとめたテキストに基づいています。シュッツはこの作品の伴奏で、当時のイタリア風の新しいスタイルを取り入れつつ、ドイツの渋さも重んじています。
【1】 [1'23]
◇福音書記者によって記述されたことを示す序文。
◇6声で構成される合唱曲。作品の開始を告げる役割を果たします。
合唱 : 主イエス・キリストの復活。それは、四人の福音書記者が記した通りである。
【2】 [6'50]
◇安息日が明け、女たちが香料を準備して墓へ向かう場面から、大きな地震、天使の出現、そして墓の中の二人の男との対話までを描きます。
◇福音史家の朗唱に伝統的な復活祭の旋法を使用。
福音史家 : 安息日が過ぎたとき、マグダラのマリア、ヤコブの母マリア、サロメ、ヨハナ、そしてガリラヤからイエスに従ってきた他の女たちが、イエスに香油を塗るために香料を買い、準備した。安息日の間、彼女たちは律法に従って静かに過ごしていた。
安息日の翌日、週の初めの日の明け方、まだ暗いうちに、彼女たちは準備した香料を持って墓へ向かった。日が昇ったころだった。
すると見よ、大きな地震が起こった。主の天使が天から降りてきて、墓の入り口から石を転がし出し、その上に座ったからである。その姿は稲妻のように輝き、衣は雪のように白かった。
番兵たちは恐ろしさのあまり震え上がり、死人のようになった。女たちは互いに語り合った。
三人の女(またはマリアたち) : 誰が墓の入り口から石を転がしてくれるのだろう?
福音史家 : その石は非常に大きかった。彼女たちが目を上げると、石がすでに転がされているのが見えた。中に入ると、主イエスの遺体が見当たらない。
そこでマグダラのマリアは、そのことを知らせるために走っていった。残った女たちが遺体がないことに途方に暮れていると、輝く衣を着た二人の男がそばに立った。彼女たちは恐れて地に顔を伏せた。
すると男たちは言った。
墓の中の二人の男 : なぜ、生きておられる方を死人の中に捜すのか? あの方はここにはおらない。復活なさったのだ!
まだガリラヤにおられたとき、あの方が言われたことを思い出しなさい。「人の子は罪人の手に引き渡され、十字架につけられ、三日目に復活することになっている」と。
福音史家 : 彼女たちはイエスの言葉を思い出し、墓から帰って、十一人の弟子と他のすべての人々にこれらのことを報告した。使徒たちには、その話がたわ言のように思われ、信じなかった。
【3】 [5'27]
◇マグダラのマリアが弟子たちに遺体がなくなったことを知らせ、ペテロともう一人の弟子が墓へ走り、そしてマリアが墓の外で二人の天使に出会う場面。
◇マリアや天使たちの言葉は、楽器を伴うか、あるいは2声の歌唱によって表現されますが、この録音では、イエスのパートと同様に、器楽代用を行わず声楽のみのデュエットとして演奏。
福音史家 : しかし、マグダラのマリアが走って行って、シモン・ペテロともう一人の、イエスの愛しておられた弟子に告げた。
マグダラのマリア : 誰かが主を墓から連れ去ってしまいました。どこに置いたのか分かりません。
福音史家 : そこで、ペテロともう一人の弟子は外へ出て墓へ向かった。二人は一緒に走ったが、もう一人の弟子の方がペテロより速く走って、先に墓に着いた。身をかがめて中をのぞくと、亜麻布が置いてあったが、中には入らなかった。
続いてシモン・ペテロも到着し、墓の中に入った。彼は亜麻布が置いてあるのを見た。また、イエスの頭を包んでいた手ぬぐいが、亜麻布と一緒ではなく、別の場所に巻かれたまま置いてあるのを見た。
それから、先に墓に着いたもう一人の弟子も入ってきて、見て、信じた。彼らは、イエスが死者の中から復活しなければならないという聖書の言葉を、まだ理解していなかったのである。
それから弟子たちは家へ帰っていったが、ペテロはこの出来事を不思議に思った。
マリアは墓の外に立って泣いていた。泣きながら墓の中をのぞくと、白い衣を着た二人の天使が、イエスの遺体が置かれていた場所に、一人は頭の方に、もう一人は足の方に座っているのが見えた。天使たちは彼女に言った。
二人の天使 : 婦人よ、婦人よ、なぜ泣いているのか?
福音史家 : 彼女は答えた。
マグダラのマリア : 誰かが私の主を連れ去ってしまいました。どこに置いたのか分からないのです。
【4】 [5'22]
◇ 復活したイエスがマリアの前に初めて現れる、感動的な「ノリ・メ・タンゲレ(私にすがってはいけない)」の場面。
◇ イエスの言葉は、シュッツの指示に基づきアルトとテノールの2声で歌われます。また、マリアがイエスを認識した際の「ラボニ!(先生)」という呼びかけには、象徴的な表現が用いられています。
福音史家 : そう言って後ろを振り向くと、イエスが立っておられるのが見えた。しかし、それがイエスだとは分からなかった。イエスは彼女に言われた。
イエス : 婦人よ、なぜ泣いているのか。誰を捜しているのか?
福音史家 : 彼女は、園の番人だと思って言った。
マグダラのマリア : 旦那様、もしあなたがあの方を運び去ったのでしたら、どこに置いたのか教えてください。私があの方を引き取ります。
福音史家 : イエスは言われた。
イエス : マリア!
福音史家 : 彼女は振り向いて言った。
マグダラのマリア : ラボニ!
福音史家 : それは「先生」という意味である。イエスは言われた。
イエス : 私にすがってはいけない。まだ父のもとへ上っていないのだから。私の兄弟たちのところへ行って言いなさい。「私の父であり、あなたがたの父である方、私の神であり、あなたがたの神である方のもとへ私は上る」と。
福音史家 : これは、イエスがかつて七つの悪霊を追い出されたマグダラのマリアである。復活したイエスは、週の初めの日の朝早く、まず彼女に現れたのである。彼女は、イエスと一緒にいた人々が悲しみ、泣いているところへ行って、主を見たこと、主が自分にこう言われたことを伝えた。
しかし彼らは、イエスが生きておられ、彼女に現れたと聞いても、信じなかった。
【5】 [4'23]
◇ ほかの女たちが墓に入り、白い衣を着た若者(天使)から復活の報せを聞き、そして帰路に就く彼女たちの前にイエスが現れる場面。
◇ 女たちがイエスの足にすがってひれ伏すなど、視覚的な描写が音楽を通じて語られます。
福音史家 : 女たちが墓に入ると、右側に、白い長い衣を着た若者が座っているのが見え、彼女たちはひどく驚いた。
それは主の天使であったが、彼は言った。
墓の中の若者 : 驚くことはない。十字架につけられたナザレのイエスを捜しているのだろう。
あの方はここにはおられない。言われた通りに復活なさったのだ。さあ、主が置かれていた場所を見なさい。そして急いで行って、弟子たちとペテロに伝えなさい。「あの方は死者の中から復活された。見よ、あなたがたより先にガリラヤへ行かれる。かねて言われた通り、そこであなたがたはあの方に会える」と。
さあ、私は伝えたぞ。
福音史家 : 彼女たちは恐れながらも大喜びで、急いで墓を立ち去り、弟子たちに知らせようと走っていった。
震えと驚きに襲われていたので、誰にも何も言わなかった。恐ろしかったからである。弟子たちに知らせようと行く途中、見よ、イエスが彼女たちに出会い、こう言われた。
イエス : おめでとう。
福音史家 : 彼女たちは近寄り、イエスの足にすがってひれ伏した。するとイエスは言われた。
イエス : 恐れることはない。行って、私の兄弟たちにガリラヤへ行くように伝えなさい。そこで私に会えるだろう。
【6】 [2'20]
◇ 墓を見張っていた番兵たちが祭司長に報告し、祭司長たちが弟子による遺体盗難の嘘を広めるために兵士に金を与える場面です。
◇ この世俗的な計略の場面も、福音史家の一定の旋法によって淡々と語られます。
福音史家 : 女たちが行く間に、番兵の何人かが都に入り、起こったことをすべて祭司長たちに報告した。祭司長たちは長老たちと集まって相談し、兵士たちに多額の金を与えて言った。
祭司長たち : 「夜中に弟子たちがやってきて、私たちが眠っている間に遺体を盗んでいった」と言え。もしこのことが総督の耳に入っても、私たちがうまく説得して、お前たちに心配はかけないようにしよう。
福音史家 : 兵士たちは金を受け取り、教えられた通りにした。この話は、今日に至るまでユダヤ人の間に広まっている。
【7】 [7'52]
◇ 二人の弟子がエマオへ向かう途中で見知らぬ人(イエス)に出会い、これまでの出来事を語り合う、物語の中でも特に長い場面です。
◇ 弟子たちが抱く悲しみや疑念が、対話を通じて表現されます。
祭司長たち : 見よ、その同じ日、二人の弟子が、エルサレムから六十スタディオン(約十一キロ)ほど離れたエマオという村へ向かっていた。彼らはこれらの出来についてすべて話し合っていた。話し合い、論じ合っていると、イエス自身が近づいてきて、一緒に歩き始められた。
しかし、二人の目は遮られていて、イエスだとは分からなかった。イエスは別の姿で現れたのである。イエスは彼らに言われた。
イエス : 歩きながら、何をそんなに悲しそうに話し合っているのか?
福音史家 : すると、クレオパという名の者が答えた。
クレオパ : エルサレムにいながら、近ごろそこで起こったことを知らないのは、あなた一人だけですか?
福音史家 : イエスは言われた。
イエス : どんなことか?
福音史家 : 二人は答えた。
クレオパとその仲間 : ナザレのイエスのことです。あの方は神と民全体の前で、行いも言葉も力強い預言者でした。
それなのに、私たちの祭司長や議員たちは、あの方を死刑にするために引き渡し、十字架につけてしまったのです。
私たちは、あの方こそイスラエルを解放してくださる方だと望みをかけていました。しかも、そのことがあってから、今日でもう三日目になります。
また、私たちの仲間の女たちが私たちを驚かせました。朝早く墓へ行きましたが、遺体が見当たらず、戻ってきて、「天使たちが現れて、あの方は生きていると言った」と言うのです。そこで仲間の数人が墓へ行ってみましたが、女たちの言った通りで、あの方を見つけることはできませんでした。
福音史家 : イエスは言われた。
イエス : ああ、愚かな者たち、預言者たちの言ったことすべてを信じるのに、心が鈍い者たちよ。キリストはこのような苦しみを受けて、その栄光に入るはずだったのではないか。
福音史家 : そしてイエスは、モーセや預言者たちから始めて、聖書全体にわたり、自分について書かれていることを説明された。一行は目的地である村に近づいたが、イエスはなお先へ行こうとされる様子だった。しかし二人が無理に引き止めて言った。
クレオパとその仲間 : 私たちと一緒に泊まってください。もう夕暮れですし、日も傾いていますから。
【8】 [1'37]
◇ エマオの家で、イエスがパンを割った瞬間に弟子たちの目が開かれ、その正体に気づくものの、イエスが姿を消してしまう場面。
◇ 「私たちの心は燃えていたではないか」という弟子たちの回想が中心となります。
福音史家 : イエスは彼らと一緒に泊まるために入られた。一緒に食事の席に着いたとき、イエスはパンを取り、賛美の祈りを唱え、割いて彼らに渡された。
すると二人の目が開かれ、イエスだと分かった。その瞬間、イエスの姿は見えなくなった。二人は互いに語り合った。
クレオパとその仲間 : 道中、あの方が聖書を説き明かしてくださったとき、私たちの心は熱く燃えていたではないか!
【9】 [1'37]
◇ 二人の弟子が急いでエルサレムに戻り、十一人の弟子たちと再会して、主が復活したことを確認し合う場面。
◇ 弟子たちが集まった「群衆の声」が合唱として響きます。
福音史家 : 二人はすぐに立ち上がり、エルサレムに戻った。すると十一人の弟子とその仲間が集まっていて、こう言っていた。
エルサレムに集まった十一人 : 主は本当に復活して、シモンに現れた!
福音史家 : そこで二人も、道中で起こったことや、パンを割いてくださったときにイエスだと分かったことを話した。しかし、人々は彼らの言うことも信じなかった。
【10】 [3'49]
◇ 鍵のかかった部屋に集まる弟子たちの中央にイエスが立ち、「あなたがたに平和があるように」と告げる場面。
◇ 福音史家の朗唱を伴奏するヴィオール属のアンサンブルが、長音の上で即興的な装飾を加え、神秘的な雰囲気を醸成します。
福音史家 : その安息日の夕方、弟子たちはユダヤ人を恐れて、集まっている場所の戸に鍵をかけていた。そこへイエス自身が来られ、食事中の彼らの中央に立ち、こう言われた。
イエス : あなたがたに平和があるように!
福音史家 : イエスは、復活した自分を見た人々の言葉を信じなかった彼らの不信仰と、かたくなな心をたしなめられた。弟子たちは驚き恐れて、幽霊を見ているのだと思った。しかしイエスは言われた。
イエス : なぜそんなにうろたえているのか。なぜ心に疑いを抱くのか。私の手と足を見なさい。私自身だ。触ってよく見なさい。幽霊には、あなたがたが見ているような肉も骨もない。
福音史家 : そう言って、手と足、そして脇腹を見せられた。弟子たちは主を見て喜んだ。
彼らがあまりの嬉しさにまだ信じられず、不思議がっていると、イエスは言われた。
イエス : ここに何か食べるものがあるか?
【11】 [5'04]
◇ 幽霊ではないことを示すために、イエスが弟子たちの前で魚を食べ、聖書の内容が成就したことを説く場面。
◇ イエスが弟子たちに息を吹きかけ、聖霊を授ける重要な場面までが描かれます。
福音史家 : 彼らが焼いた魚の一切れと蜂の巣を差し出すと、イエスはそれを受け取り、彼らの前で食べられた。
そして言われた。
イエス : これこそ、私がまだあなたがたと一緒にいたときに話した言葉だ。モーセの律法、預言者の書、そして詩編に、私について書いてあることはすべて実現しなければならない。
福音史家 : それからイエスは、聖書を理解させるために弟子たちの心を開いて、こう言われた。
イエス : このように書いてある。キリストは苦しみを受け、三日目に死者の中から復活する。そしてその名によって、罪の赦しを得させる悔い改めが、エルサレムから始まって、あらゆる民に宣べ伝えられる。あなたがたは、これらのことの証人なのだ。
福音史家 : イエスは再び言われた。
イエス : あなたがたに平和があるように! 父が私をお遣わしになったように、私もあなたがたを遣わす。
福音史家 : そう言ってから、彼らに息を吹きかけて言われた。
イエス : 聖霊を受けなさい。あなたがたが誰かの罪を赦せば、その罪は赦される。あなたがたが誰かの罪を赦さなければ、そのまま残る。
【12】 [2'06]
◇ 「勝利を与えてくださった神に感謝」という賛美の言葉で締めくくります。
◇ 4声の二重合唱(計8声)に、福音史家の声が加わり、「勝利!」というファンファーレのような叫びを歌う壮大な終曲。
合唱 : 神に感謝しよう。私たちの主イエス・キリストによって、私たちに勝利を与えてくださる方に!
ヴィクトリア(勝利)!
CD2 [60'44]
「マタイ受難曲」 SWV479
◇ 1666年に作曲。ドリア旋法。伴奏楽器を一切使わない無伴奏の声楽作品。これは四旬節の間、宮廷礼拝堂で楽器の使用が禁じられていた伝統に基づきます。
◇ 曲は応唱形式(レスポンソリウム)で進められ、 福音史家や個々の登場人物は無伴奏の独唱(レチタティーヴォ)で歌い、群衆や弟子たちのグループの声は多声の合唱で表現される伝統的な形式を採用。
【1】 導入 [0'52]
◇ 聖福音記者マタイの記述によるキリストの受難の物語であることを宣言。
◇ ホモフォニー、ポリフォニー、ホモフォニーと進んで、聴き手を神聖な物語へと引き込む役割を果たします。
合唱 : 聖福音記者マタイが記述した、我らの主イエス・キリストの受難の物語。
【2】 最高法院の決定 [1'37]
◇ 祭司長や長老たちが、カイアファの屋敷でイエスを計略にかける相談をする場面。
◇ 群衆の合唱が「祭りの間はやめておこう」と歌い、物語の緊張感を高めます。
福音史家 : イエスはこれらの言葉をすべて語り終えると、弟子たちに言われた。
「知っての通り、二日後は過越祭である。人の子は十字架につけられるために引き渡される。」:そのころ、祭司長や律法学者、民の長老たちは、カイアファという大祭司の屋敷に集まり、:計略をもってイエスを捕らえて殺そうと相談した。しかし彼らは言った。
祭司長と律法学者 : 祭りの間はやめておこう。民衆の間で騒ぎが起こるといけないから。
【3】 ベタニアでの塗油 [2'39]
◇ 重い皮膚病の人シモンの家で、一人の女がイエスの頭に高価な香油を注ぎます。
◇ 弟子の不満を抑え、自分の葬りの準備であると宣言するイエスの言葉が、独唱で静かに語られます。
福音史家 : イエスがベタニアで重い皮膚病の人シモンの家におられたとき、一人の女が、極めて高価な水(香油)の入った壺を持って近寄り、食事の席に着いておられたイエスの頭に注ぎかけた。
弟子たちはこれを見て憤慨して言った。
イエスの弟子たち : 何のためにこんな無駄遣いをするのか。この水なら高く売って、貧しい人々に施すことができたのに。
福音史家 : イエスはそれに気づいて言われた。
イエス : なぜ女を困らせるのか。彼女は私に良いことをしてくれたのだ。貧しい人々はいつもあなたがたと一緒にいるが、:私はいつも一緒にいるわけではない。彼女がこの水を私の体に注いだのは、私の葬りの準備をするためだった。はっきり言っておく。世界中どこでも、この福音が宣べ伝えられる所では、この女のしたことも記念として語り継がれるだろう。
【4】 ユダの裏切り [0'39]
◇ ユダが大祭司たちの元へ行き、銀貨三十枚で裏切りの契約を結ぶ場面。
◇ 裏切りの動機となる金銭の授受が短く客観的に語られます。
福音史家 : そのとき、十二人の一人で、イスカリオテのユダという者が祭司長たちのところへ行って言った。
ユダ : 何をくれますか。イエスをあなたがたに引き渡しましょう。
福音史家 : 彼らは銀貨三十枚を支払うと約束した。それ以来、ユダはイエスを引き渡す機会を狙っていた。
【5】 過越の食事の準備 [1'25]
◇ 弟子たちがイエスに過越の食事の場所を尋ね、指示に従って準備をする場面。
◇ 弟子の問いかけは合唱で、イエスの指示は独唱で構成。
福音史家 : 除酵祭の第一日に、弟子たちがイエスのところに来て言った。
イエスの弟子たち : 過越の食事をなさるのに、どこに準備をいたしましょうか。
福音史家 : イエスは言われた。
イエス : 都の、ある人のところへ行ってこう言いなさい。「先生が、私の時が来た、あなたの家で弟子たちと一緒に過越を祝いたいと言っておられます」と。
福音史家 : 弟子たちはイエスに命じられた通りにして、過越の食事を準備した。
【6】 食事 [3'55]
◇ 十二人の弟子との最後の食事。裏切りの予告、聖餐の制定が含まれる場面。
◇ イエスがパンとぶどう酒を手に取り語る場面で、シュッツは旋律を極めて丁寧に、かつ神聖な美しさを持って構成。ここでの朗唱は、もはや語りではなく、瞑想的なアリオーゾに近い質感を帯びています。
福音史家 : 夕方になると、イエスは十二人と一緒に食事の席に着かれた。食べているとき、イエスは言われた。
イエス : はっきり言っておく。あなたがたのうちの一人が私を裏切るだろう。
福音史家 : 弟子たちは非常に悲しみ、一人ひとりイエスに言い始めた。
弟子たち : 主よ、まさか私のことではありませんね?
福音史家 : イエスは答えて言われた。
イエス : 私と一緒に鉢に手を浸した者が、私を裏切るのだ。人の子は、聖書に書いてある通りに去っていく。
だが、人の子を裏切るその者は不幸だ!生まれてこなかった方が、その者のためによかったのだ。
福音史家 : イエスを裏切ろうとしていたユダが答えて言った。
ユダ : 先生、まさか私のことではありませんね?
福音史家 : イエスは言われた。
イエス : それはお前が言ったことだ。
福音史家 : 食事が進む中、イエスはパンを取り、賛美の祈りを唱えて、それを割き、弟子たちに与えて言われた。
イエス : 取りなさい、食べなさい。これは私の体である。
福音史家 : また、杯を取り、感謝の祈りを唱えてから、彼らに与えて言われた。
イエス : 皆、この杯から飲みなさい。これは、多くの人のために罪の赦しを得させるために流される、私の新しい契約の血である。言っておくが、私の父の国であなたがたと共に新しく飲むその日まで、私は今後、ぶどうの実から作ったものを飲むことはない。
【7】 オリーブ山への道 [2'05]
◇ 賛美歌を歌ってオリーブ山へ向かう途上、ペテロの否認が予告される場面。
◇ ペテロの自信に満ちた宣言と、それを見通すイエスの言葉の対話。
福音史家 : 一同は賛美の歌をうたってから、オリーブ山へ出かけた。そのとき、イエスは彼らに言われた。
イエス : 今夜、あなたがたは皆、私につまずくだろう。聖書に:「私は羊飼いを打つ。すると羊の群れは:散らされる」と書いてあるからだ。しかし、私は復活した後、あなたがたより先にガリラヤへ行く。
福音史家 : ペテロが答えて言った。
ペテロ : たとえ皆がつまずいても、私は決してつまずきません。
福音史家 : イエスは言われた。
イエス : はっきり言っておく。今夜、鶏が鳴く前に、お前は三度私を知らないと言うだろう。
福音史家 : ペテロは言った。
ペテロ : たとえご一緒に死ななければならなくなっても、決してあなたを知らないなどとは申しません。
福音史家 : 弟子たちは皆、同じように言った。
【8】 ゲッセマネの祈り [4'17]
◇ イエスが苦しみもだえ、父なる神に三度祈り、その間、弟子たちは眠り込む場面。
◇ 「この杯を過ぎ去らせてください」というイエスの苦渋が、独創的な旋律で描かれます。
福音史家 : それからイエスは弟子たちと一緒にゲッセマネという所に来て、彼らに言われた。
イエス : 私が向こうへ行って祈っている間、ここに座っていなさい。
福音史家 : イエスは、ペテロとゼベダイの子二人を連れて行かれたが、悲しみ悶え始められた。
そして彼らに言われた。
イエス : 私は死ぬほど悲しい。ここに残って、私と一緒に目を覚ましていなさい!
福音史家 : 少し進んで行って、地面にひれ伏して祈られた。
イエス : 父よ、できることなら、この杯を私から遠ざけてください。しかし、私の願い通りではなく、御心のままになさってください!
福音史家 : 弟子たちのところへ戻ってみると、彼らは眠っていた。イエスはペテロに言われた。
イエス : あなたがたは、わずか一時間も私と一緒に目を覚ましていられなかったのか。誘惑に陥らないように、目を覚まして祈っていなさい。心は燃えていても、肉体は弱いものだ。
福音史家 : 再び離れて行って、二度目の祈りをなさった。
イエス : 父よ、この杯を飲まずには済まされないのでしたら、あなたの御心が行われますように!
福音史家 : また戻ってみると、弟子たちはまた眠っていた。ひどく眠気が差していたのである。イエスは彼らをそのままにして、また離れて行き、同じ言葉で三度目の祈りをなさった。それから弟子たちのところへ戻って言われた。
イエス : まだ眠って休んでいるのか。見よ、時が来た。人の子は罪人たちの手に引き渡される。立ちなさい、行こう!
見よ、私を裏切る者が近づいてきた!
【9】 捕縛 [3'42]
◇ ユダの接吻を合図に人々がイエスを捕らえます。弟子の一人が剣を抜き、イエスがそれを制する場面。
◇ 暴力の場面から、聖書の成就を受け入れるイエスの静かな決意へと移行する音楽。
福音史家 : イエスがまだ話しておられるうちに、十二人の一人のユダがやってきた。祭司長たちや民の長老たちが遣わした、剣や棒を持った大勢の群衆も一緒だった。裏切り者のユダは、彼らと合図を決めておいた。
ユダ : 私が接吻する者が、その人だ。捕らえろ。
福音史家 : ユダはすぐにイエスに近寄り、「先生、おめでとうございます!」と言った。
福音史家 : そしてイエスに接吻した。イエスは言われた。
イエス : 友よ、何のために来たのか?
福音史家 : すると群衆が近寄り、イエスに手をかけて捕らえた。 そのとき、イエスと一緒にいた者の一人が、手を伸ばして剣を抜き、大祭司の従僕を打って、その片方の耳を切り落とした。イエスは彼に言われた。
イエス : 剣をさやに収めなさい!剣を取る者は皆、剣で滅びるのだ。私が父にお願いして、十二軍団以上の天使を今すぐ送っていただくことができないと思うのか。しかし、それでは、こうならなければならないと書いてある聖書の言葉が、どうして実現されようか。
福音史家 : そのとき、イエスは群衆に言われた。
イエス : まるで強盗にでも向かうように、剣や棒を持って私を捕らえに来たのか。私は毎日、神殿に座って教えていたのに、あなたがたは私を捕らえなかった。しかし、これらすべてが起こったのは、預言者たちの書いたことが実現するためである。
福音史家 : そのとき、弟子たちは皆、イエスを見捨てて逃げ去った。
【10】 最高法院での尋問 [4'29]
◇ カイアファの前での尋問。イエスが「神の子メシア」であることを認め、死罪と判断される場面。
◇ 偽証者の言葉や、イエスを侮辱する群衆の激しい合唱が効果的に配置されています。
福音史家 : イエスを捕らえた者たちは、大祭司カイアファのところへ連れて行った。そこには律法学者や長老たちが集まっていた。ペテロは遠くからイエスに従い、大祭司の屋敷の庭まで入り、結末を見届けようと、下役たちと一緒に座っていた。祭司長たちと長老たち、それに最高法院の全員は、イエスを死刑にするために、イエスに不利な偽証を得ようとした。
しかし、証拠は見つからなかった。多くの偽証人が出てきたが、証拠は見つからなかったのである。最後に二人の偽証人が出てきて言った。
二人の偽証人 : この男は、「私は神の神殿を壊し、三日で建てることができる」と言いました。
福音史家 : 大祭司が立ち上がってイエスに言った。
カイアファ : 何も答えないのか。この者たちがお前に不利な証言をしているではないか。
福音史家 : しかしイエスは黙っておられた。大祭司は答えて言った。
カイアファ : 生ける神に誓って命じる。お前は神の子メシアなのか、答えなさい。
福音史家 : イエスは言われた。
イエス : それはお前が言ったことだ。しかし、言っておく。今に、あなたがたは、人の子が全能の神の右に座り、天の雲に乗って来るのを見るだろう。
福音史家 : これを聞くと、大祭司は自分の服を引き裂いて言った。
カイアファ : あいつは神を冒涜した!これ以上、証人の必要があるだろうか。今、あなたがたはこの冒涜の言葉を聞いたのだ。どう思うか?
福音史家 : 彼らは答えて言った。
律法学者と長老たち : 死刑に相当する!
福音史家 : そこで彼らはイエスの顔に唾を吐き、こぶしで殴りつけた。またある者は顔を平手で打って言った。
群衆全体 : メシアよ、当ててみろ。お前を殴ったのは誰だ?
【11】 ペテロの否認 [2'37]
◇ 中庭でペトロが三度イエスを否定し、鶏の声を聞いて激しく泣く場面。
◇ 心理的クライマックスの一つ。福音史家の朗唱は、この「激しく泣いた」という言葉で苦悶に満ちた長いメリスマを描きますが、楽器の支えがないため、その旋律の「うねり」は、ペテロの魂の叫びとして聴き手の胸に直接突き刺さるかのようです。
福音史家 : ペテロは外の庭に座っていた。そこへ一人の女中が近寄ってきて言った。
第一の女中 : あなたもあのガリラヤのイエスと一緒にいましたね。
福音史家 : しかしペテロは皆の前で打ち消して言った。
ペテロ : 何のことを言っているのか、分からない。
福音史家 : 彼が門口の方へ行くと、別の女中が彼を見た。彼女はそこにいた人々に言った。
第二の女中 : この人はナザレのイエスと一緒にいました。
福音史家 : ペテロは再び打ち消し、さらに誓って言った。「そんな人は知らない。」
しばらくすると、そこに立っていた人々が近寄ってきてペテロに言った。
下役たち : 確かに、お前もあの仲間に違いない。言葉遣いで分かるぞ。
福音史家 : するとペテロは、自分に呪いをかけて誓い始めた。
ペテロ : そんな人は知らない!
福音史家 : するとすぐに鶏が鳴いた。ペテロは、「鶏が鳴く前に、お前は三度私を知らないと言うだろう」と言われたイエスの言葉を思い出した。
そして外へ出て激しく泣いた。
【12】 ピラトへの引き渡し [0'30]
◇ 朝になり、イエスが総督ポンティオ・ピラトに引き渡される場面。
◇ 物語の舞台がユダヤの宗教裁判からローマの世俗裁判へと移る転換点です。
福音史家 : 夜が明けると、祭司長たちと民の長老たちは全員、イエスを死刑にするために相談した。彼らはイエスを縛って引き出し、総督ポンティオ・ピラトに引き渡した。
【13】 ユダの最期 [2'48]
◇ ユダが後悔して銀貨を返し、自ら命を絶ちます。その金で「血の地所」が買われます。
◇ 祭司長たちの冷淡な対応と、ユダの絶望が福音史家によって語られます。
福音史家 : そのとき、イエスを裏切ったユダは、イエスに有罪の判決が下ったのを見て、後悔した。そして銀貨三十枚を祭司長たちと長老たちのところに持っていって言った。
ユダ : 罪のない人の血を売って、罪を犯しました。
福音史家 : 彼らは言った。
祭司長と長老たち : 我々の知ったことか。自分で始末するがいい。
福音史家 : ユダは銀貨を神殿に投げ込み、立ち去って首をつった。祭司長たちは銀貨を拾い上げて言った。
祭司長たち : これを神殿の献金箱に入れるのは、血の代価だから許されない。
福音史家 : 彼らは相談の上、その金で「陶器師の地」を買い、外国人の墓地にした。そのため、その土地は今日まで「血の地」と呼ばれている。こうして、預言者エレミヤを通して語られた言葉が実現した。
「彼らは銀貨三十枚を取った。イスラエルの子らが値段をつけた者の代価である。彼らは、主が私に命じられた通り、その金で陶器師の地を買った。」
【14】 ピラトの前での裁判 [5'52]
◇ ピラトによる取り調べと、バラバ釈放を要求する群衆とのやり取りの場面。
◇ ピラトの妻の警告、手を洗うピラト、そして「その血の責任は我々に」と叫ぶ群衆の凄惨な合唱が含まれます。
福音史家 : イエスは総督の前に立たれた。総督はイエスに尋ねた。
ピラト : お前がユダヤ人の王なのか?
福音史家 : イエスは言われた。
イエス : それはお前が言ったとおりだ。
福音史家 : 祭司長たちや長老たちが訴えている間、イエスは何もお答えにならなかった。ピラトは言った。
ピラト : あんなに不利な証言をされているのが聞こえないのか?
福音史家 : しかしイエスは、どんな訴えにも一言もお答えにならなかった。総督は非常に不思議に思った。
ところで、祭りのたびに総督は、民衆の希望する囚人を一人赦免する慣例があった。そのころ、バラバという有名な囚人がいた。群衆が集まったとき、ピラトは言った。
ピラト : どちらを赦してほしいのか。バラバか、それともメシアといわれるイエスか。
福音史家 : ピラトは、彼らが妬みからイエスを引き渡したことを知っていたのである。ピラトが裁判の席に着いているとき、妻から伝言が届いた。
ピラトの妻 : あの正しい人に関わらないでください。今日、夢であの人のために大変苦しみましたから。
福音史家 : しかし祭司長たちや長老たちは、バラバを赦免してもらい、イエスを死刑にするよう群衆を説得した。
総督は彼らに言った。
ピラト : 二人のうち、どちらを赦してほしいのか?
福音史家 : 彼らは答えた。
群衆全体 : バラバだ!
福音史家 : ピラトは言った。
ピラト : では、メシアといわれるイエスは、どうしたらよいのか?
福音史家 : 彼らは皆、答えた。
群衆全体 : 十字架につけろ!
福音史家 : 総督は言った。
ピラト : あの者は一体どんな悪いことをしたというのか?
福音史家 : 彼らはますます叫び声を上げた。
群衆全体 : 十字架につけろ!
福音史家 : ピラトは、説得しても無駄なばかりか、かえって騒動が起こりそうなのを見て、水を取り、群衆の前で手を洗って言った。
ピラト : この人の血について、私には責任がない。お前たちが自分で始末するがいい。
福音史家 : 民衆全体が答えて言った。
群衆全体 : その血の責任は、我々と我々の子孫にある!
福音史家 : そこでピラトはバラバを赦免し、イエスを鞭打たせた後、十字架につけるために引き渡した。
【15】 兵士たちによるイエスの嘲弄 [1'49]
◇ 兵士たちがイエスに赤い外套を着せ、茨の冠を載せて嘲笑する場面。
◇ 「おめでとう、ユダヤ人の王」と歌う兵士たちの合唱は、皮肉に満ちた表現となっています
。
福音史家 : それから総督の兵士たちは、イエスを総督官邸に連れて行き、部隊全員をイエスの周りに集めた。彼らはイエスの服を脱がせ、赤い外套を着せ、茨で冠を編んで頭に載せ、右手に葦の棒を持たせた。そしてイエスの前にひざまずき、からかって言った。
兵士たち : ユダヤ人の王、万歳!
福音史家 : またイエスに唾を吐き、葦の棒を取り上げて頭を叩いた。散々からかった末に外套を脱がせ、元の服を着せて、十字架につけるために連れ出した。
【16】 磔刑 [4'42]
◇ ゴルゴタへの道、十字架上での嘲笑、二人の強盗の処刑の場面。
◇ 通りすがりの人々や祭司長たちの侮蔑的な合唱が、イエスの孤独を際立たせます。
福音史家 : 彼らが出て行くと、シモンというキレネ人に会った。彼らはその人を無理に引き立てて、イエスの十字架を担がせた。ゴルゴタ(「されこうべの場所」という意味)という所に来たとき、彼らは苦いものを混ぜたぶどう酒をイエスに飲ませようとした。
しかし、イエスはそれをなめただけで、飲もうとはされなかった。彼らはイエスを十字架につけると、くじを引いて服を分け合った。預言者の言葉が実現するためであった。「彼らは私の服を分け合い、私の着物をめぐってくじを引いた。」
兵士たちはそこに座って、イエスの番をしていた。頭の上には、罪状書きを掲げた。「これはユダヤ人の王イエスである。」
そのとき、イエスと一緒に二人の強盗が、一人は右に、一人は左に十字架につけられた。通りかかった人々は、頭を振りながらイエスを罵って言った。
ユダヤ人と兵士たち : 神殿を壊して三日で建てる者よ、自分を救ってみろ!神の子なら十字架から降りてこい!
福音史家 : 同じように祭司長たちも、律法学者や長老たちと一緒にからかって言った。
祭司長、律法学者と長老たち : 他人を救ったのに、自分は救えないのか。イスラエルの王様なら、今すぐ十字架から降りてもらおう。そうすれば信じてやる。神を信頼しているなら、:今すぐ救ってもらえ。神のお気に入りならな。「私は神の子だ」と言っていたのだから。
【17】 イエスの死 [5'35]
◇ 「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」という叫びの後、イエスが息を引き取る場面。
◇ イエスの有名な言葉によるこの場面は、旋律に最大限の劇的な重みが与えられてもいます。死の直前の「叫び」と、その後の沈黙。福音史家の報告は、時間を止めるかのような静謐さの中に悲劇を封じ込めています。地震、墓が開くなどの天変地異の描写から、百人隊長と兵士たちの驚きへと続きます。
福音史家 : 一緒に十字架につけられた強盗たちも、同じようにイエスを罵った。昼の十二時から午後三時まで、全地は暗くなった。三時ごろ、イエスは大声で叫ばれた。
イエス : エリ、エリ、エリ、レマ、サバクタニ?
福音史家 : それは、「わが神、わが神、わが神、なぜ私をお見捨てになったのですか」という意味である。そばに立っていた何人かは、これを聞いて言った。
兵士たち : この男はエリヤを呼んでいるぞ。
福音史家 : するとすぐに、そのうちの一人が走り寄り、海綿を取って酸いぶどう酒をたっぷり含ませ、葦の棒につけてイエスに飲ませようとした。他の者たちは言った。
ユダヤ人たち : 待て!エリヤが救いに来るかどうか見てやろう!
福音史家 : しかしイエスは、もう一度大声で叫んで息を引き取られた。すると見よ、神殿の垂れ幕が上から下まで真っ二つに裂けた。地は震え、岩は裂けた。墓が開いて、眠りについていた多くの聖なる人々の遺体が生き返った。そしてイエスの復活の後に墓から出てきて、聖なる都に入り、多くの人に現れた。百人隊長や、彼と一緒にイエスの番をしていた者たちは、地震やこれらの出来事を見て、ひどく恐れて言った。
百人隊長と兵士たち : 本当に、この人は神の子だった!
福音史家 : そこには、ガリラヤからイエスに従ってきて世話をしていた多くの女たちが、遠くから見守っていた。
その中には、マグダラのマリア、ヤコブとヨセの母マリア、ゼベダイの子らの母がいた。
【18】 イエスの埋葬 [1'25]
◇ アリマタヤのヨセフが遺体を引き取り、新しい墓に納める場面。
◇ 物語の激動が収まり、静寂と悲しみが支配します。
福音史家 : 夕方になると、アリマタヤ出身の金持ちで、イエスの弟子になっていたヨセフという人が来た。この人はピラトのところへ行ってイエスの遺体を願い出た。ピラトは渡すように命じた。ヨセフは遺体を受け取ると、きれいな亜麻布に包み、岩を掘って作った自分の新しい墓に納め、墓の入り口に大きな石を転がしておいて立ち去った。
マグダラのマリアともう一人のマリアは、墓の方を向いてそこに座っていた。
【19】 墓の番 [2'18]
◇ 祭司長たちが墓の封印と番兵の配置をピラトに願い出る場面。
◇ 受難の物語の最後を締めくくる世俗的なエピソードです。
福音史家 : 翌日、すなわち準備の日の翌日に、祭司長たちとファリサイ派の人々はピラトのところに集まって言った。
祭司長とファリサイ派 : 閣下、あのペテン師が生きていたとき、「三日の後に復活する」と言っていたのを思い出しました。ですから、三日目まで墓を見張るように命じてください。弟子たちがやってきて遺体を盗み出し、「あの方は死者の中から復活した」と民衆に言いふらすといけません。そうなると、今度のペテンは前よりもっとひどいものになります。
福音史家 : ピラトは言った。
ピラト : 番兵を出してやろう。行って、自分たちでできる限りの見張りをさせるがよい。
福音史家 : 彼らは行って、石に封印をし、番兵を置いて墓を固めた。
【20】 結び [2'16]
◇ 十字架の苦難を耐え抜いたキリストを称え、憐れみを乞う場面。
◇ 作品を締めくくるモテット風の壮大な合唱。受難の物語が「死」で終わるのではなく、それがキリストの勝利であり、人類の救済であるという歓喜の告白へと転換される意味を持つこの終曲は、シュッツが創造した音楽の中でも最も感銘深いものの一つに数えられます。
合唱 : キリストよ、あなたに栄光あれ。私たちのために十字架の上で苦難と激しい死を受けられたお方。今は父と共に永遠に支配しておられるお方。私たち哀れな罪人を救いへと導いてください。
キリエ・エレイソン、クリステ・エレイソン、キリエ・エレイソン(主よ、憐れんでください。キリストよ、憐れんでください。主よ、憐れんでください)。
「復活祭のための対話」 SWV443
「イエス・キリストの復活の物語」SWV 50と同じ1623年頃に並行して書かれたと考えられています。
【21】 [4'26]
◇ 復活したイエスとマグダラのマリアとの再会を描いた対話曲。
◇ ヨハネによる福音書第20章13節および15-17節に基づき、「女よ、なぜ泣いているのか」という問いかけから始まる、イエスとマリアの会話を軸に展開。
◇ 心理的な表現がなされており、特に「マリア」と呼びかける箇所での半音階的な変化や、不協和音などの使用により、復活の朝の劇的な出会いを際立たせています。
イエス : 婦人よ、なぜ泣いているのか。誰を捜しているのか?
マグダラのマリア : 誰かが私の主を連れ去ってしまいました。どこに置いたのか分からないのです。
イエス : マリア!
マグダラのマリア : ラボニ!
イエス : 私にすがってはいけない。まだ父のもとへ上っていないのだから。私の兄弟たちのところへ行って言いなさい。「私の父であり、あなたがたの父である方、私の神であり、あなたがたの神である方のもとへ私は上る」と。
CD3 [52'30]
「ルカ受難曲」 SWV480
◇ 1666年に作曲。リディア旋法、イオニア旋法。四旬節の間は宮廷礼拝堂で楽器の使用が禁じられていた伝統に基づき、無伴奏で歌われます。
◇ 福音史家の朗唱には伝統的なグレゴリオ聖歌の旋法が用いられ、群衆の言葉は多声の合唱で表現されます。
◇ 劇的な対立よりも、イエスの慈愛と罪人の悔い改めに重きを置き、ルカ福音書特有の、共に架けられた強盗への赦しの場面が重要となっています。
【1】 導入曲 [1'10]
◇ 聖福音記者ルカの記述によるキリストの受難の物語であることを宣言。
◇ 物語の始まりを告げる4部合唱。
合唱 : 聖福音記者ルカが記述した、我らの主イエス・キリストの受難の物語。
【2】 最高法院の決定 [0'27]
◇ 祭司長や律法学者たちが、民衆を恐れつつもイエスを殺害する方法を相談。
福音史家 : 除酵祭、すなわち過越祭が近づいていた。祭司長たちや律法学者たちは、民衆を恐れていたので、どのようにしてイエスを殺そうかと策を練っていた。
【3】 ユダの裏切り [0'46]
◇ サタンがイスカリオテのユダに入り、ユダが祭司長たちにイエスの引き渡しを約束して銀貨を受け取る場面。
福音史家 : そのとき、十二人の一人で、イスカリオテと呼ばれるユダにサタンが入った。ユダは祭司長たちや神殿守衛長たちのところへ行き、どのようにしてイエスを引き渡そうかと相談した。彼らは喜び、金を与えることを約束した。ユダは承諾し、群衆のいないときにイエスを引き渡す機会を狙っていた。
【4】 過越の食事の準備 [2'30]
◇ イエスがペテロとヨハネを遣わし、二人はイエスの指示通り水瓶を運ぶ男に従い、食事の準備を整えます。
福音史家 : 過越の子羊を屠るべき除酵祭の日が来た。イエスはペテロとヨハネを遣わして言われた。
イエス : 行って、私たちが過越の食事ができるように準備をしなさい。
福音史家 : 彼らが「どこに準備しましょうか」と尋ねると、
弟子たち:どこに準備しましょうか?
福音史家 : イエスは言われた。
イエス : 都に入ると、水がめを運んでいる男に出会うだろう。その人が入る家までついて行き、その家の主人に言いなさい。「先生が、弟子たちと一緒に過越の食事をする客間はどこか、と言っておられます」と。
すると主人は、席が整った二階の広い座敷を見せてくれる。そこに準備をしなさい。
【5】 食事 [3'36]
◇ イエスが十二人の使徒と共に食卓に着きます。パンと杯を取り、自身の体と血としての新しい契約を弟子たちに分かち合います。
福音史家 : 二人が行ってみると、言われた通りだったので、過越の食事を準備した。時刻になったとき、イエスは食事の席に着かれ、十二人の使徒も一緒だった。イエスは彼らに言われた。
イエス : 苦しみを受ける前に、あなたがたと一緒にこの過越の食事をすることを、私は切に願っていた。 言っておくが、神の国でそれが実現するまで、私は二度とこれを食べることはない。
福音史家 : そして杯を取り、感謝の祈りを唱えてから言われた。
イエス : これを受け取り、互いに分けて飲みなさい。言っておくが、神の国が来るまで、私は今後ぶどうの実から作ったものを飲むことはない。
福音史家 : また、パンを取り、感謝の祈りを唱えてから、それを割き、彼らに与えて言われた。
イエス : これは、あなたがたのために与えられる私の体である。私の記念としてこれを行いなさい。
福音史家 : 食事の後、同じように杯を取って言われた。
イエス : この杯は、あなたがたのために流される私の血による新しい契約である。
しかし見よ、私を裏切る者の手が、私と一緒にテーブルの上にある。人の子は、定められた通りに去っていく。だが、人の子を裏切るその者は不幸だ。
福音史家 : 弟子たちは、自分たちのうちの誰がそんなことをしようとしているのかと、互いに問い詰め始めた。
【6】 支配することと仕えることについて [2'30]
◇ 弟子たちの間で「誰が一番偉いか」という争いが起きます。イエスは、支配者ではなく仕える者のようであるべきだと教えます。
福音史家 : また、彼らの間で、自分たちのうちで誰が一番偉いだろうかという議論が起こった。しかし、イエスは言われた。
イエス : この世の王たちは民を支配し、権力を振るう者は「恩人」と呼ばれる。だが、あなたがたはそうであってはならない。あなたがたのうちで一番偉い者は一番若い者のようになり、指導する者は仕える者のようになりなさい。
食卓に着く者と仕える者とでは、どちらが偉いか。
食卓に着く者ではないか。しかし、私はあなたがたの中で仕える者のようにしている。あなたがたは、私の試練の間、私と一緒に踏みとどまってくれた。私の父が私に王権を委ねてくださったように、私もあなたがたに王権を委ねる。あなたがたは、私の国で私の食卓に着いて飲み食いし、座席に座ってイスラエルの十二部族を裁くことになるのだ。
福音史家 : 主は言われた。
【7】 ペテロの否認と回心の予告 [1'31]
◇ イエスが、サタンが弟子たちをふるいにかけようとしていると警告します。また、ペテロが今日中に三度自分を否定することを予告します。
イエス : シモン、シモン、見よ、サタンはあなたがたを小麦のようにふるいにかけることを願った。
しかし、私はお前の信仰がなくならないように、お前のために祈った。だから、立ち直ったときには、兄弟たちを力づけてやりなさい。
福音史家 : ペテロは言った。
ペテロ : 主よ、あなたと一緒に牢に入り、死ぬ覚悟もできています。
福音史家 : イエスは言われた。
イエス : ペテロよ、言っておく。今日、鶏が鳴く前に、お前は三度私を知らないと言うだろう。
【8】 決断の時 [2'33]
◇ イエスが、以前の伝道とは異なり、これからは財布や袋、そして剣が必要になる困難な時が来ることを弟子たちに告げます。
福音史家 : イエスは弟子たちに言われた。
イエス : 財布も袋も履物も持たせずに私が遣わしたとき、何か足りないものがあったか?
福音史家 : 弟子たちは言った。
弟子たち : いいえ、何も。
福音史家 : イエスは言われた。
イエス : しかし今は、財布を持っている者はそれを持って行きなさい。袋も同様だ。剣のない者は服を売って買いなさい。言っておくが、「彼は無法者の一人に数えられた」と聖書に書いてあることは、私の身に実現しなければならない。私に関することは、必ずその終わりを迎えるからだ。
福音史家 : 弟子たちは言った。弟子たち:主よ、ここに剣が二本あります。
福音史家 : イエスは言われた。
イエス : それで十分だ。
【9】 オリーブ山での祈り [2'26]
◇ イエスが習慣に従ってオリーブ山へ行き、苦しみもだえながら「御心のままに」と父なる神に祈ります。
福音史家 : イエスはいつものように外に出てオリーブ山へ行かれた。弟子たちもついて行った。その場所に来ると、イエスは彼らに言われた。
イエス : 誘惑に陥らないように祈りなさい。
福音史家 : そして石を投げて届くほどの所に離れ、ひざまずいて祈られた。
イエス : 父よ、御心なら、この杯を私から遠ざけてください。しかし、私の願いではなく、御心が行われますように。
福音史家 : すると天使が天から現れて、イエスを力づけた。イエスは死と格闘し、いよいよ切に祈られた。汗が血の滴りのように地面に落ちた。祈り終えて立ち上がり、弟子たちのところへ戻ってみると、彼らは悲しみのあまり眠り込んでいた。イエスは言われた。
イエス : なぜ眠っているのか? 起きて祈りなさい。誘惑に陥らないように。
【10】 捕縛 [2'45]
◇ ユダが群衆を率いて現れ、接吻によってイエスを示します。弟子が剣で抵抗しますが、イエスはそれを制して捕らえられます。
福音史家 : イエスがまだ話しておられるうちに、群衆がやってきた。十二人の一人でユダという者が先頭に立っていた。彼はイエスに接吻しようとして近寄った。
イエスは言われた。
イエス : ユダ、接吻で人の子を裏切るのか?
福音史家 : イエスの周りにいた者たちは、事の成り行きを見て言った。弟子たち:主よ、剣で切りつけましょうか?
福音史家 : そして、そのうちの一人が大祭司の従僕を切りつけ、その右の耳を切り落とした。イエスは答えて言われた。
イエス : やめなさい。それまでだ。
福音史家 : そしてその人の耳に触れて癒された。イエスは、自分を捕らえに来た祭司長、神殿守衛長、長老たちに言われた。
イエス : まるで強盗にでも向かうように、剣や棒を持って来たのか。
私は毎日、神殿であなたがたと一緒にいたのに、私に手をかけなかった。だが、今はあなたがたの時であり、暗闇の支配するときだ。
【11】 ペテロの否認 [2'56]
◇ 大祭司の屋敷の中庭で、ペテロが女中や従僕たちからイエスの仲間だと指摘されますが、三度とも否定します。直後に鶏が鳴きます。
福音史家 : 彼らはイエスを捕らえて連行し、大祭司の家に入れた。ペテロは遠くからついて行った。中庭の真ん中で火が焚かれ、人々が一緒に座っていたので、ペテロもその中に混じって座った。すると一人の女中が、火のそばに座っているペテロを見つけ、じっと見つめて言った。
女中 : この人も一緒にいました。
福音史家 : しかしペテロはそれを打ち消して言った。
ペテロ : 女の人、私はあの人を知らない。
福音史家 : しばらくして、別の男がペテロを見て言った。
第一の下役 : お前もあの仲間のひとりだ。
福音史家 : ペテロは言った。
ペテロ : いや、違う。
福音史家 : 一時間ほど経つと、また別の男が言い張った。
第二の下役 : 確かにこの人も一緒だった。ガリラヤ人なのだから。
福音史家 : ペテロは言った。
ペテロ : 君、君が何を言っているのか分からない。
福音史家 : 言い終わらないうちに、鶏が鳴いた。主は振り向いてペテロを見つめられた。ペテロは、「今日、鶏が鳴く前に、お前は三度私を知らないと言うだろう」と言われた主の言葉を思い出した。
そして外へ出て激しく泣いた。
【12】 番兵たちによる嘲弄 [0'48]
◇ イエスを監視していた男たちがイエスを殴り、目隠しをして「預言せよ、お前を打ったのは誰か」と嘲笑します。
福音史家 : イエスを見張っていた男たちは、イエスをからかい、殴りつけた。また、目隠しをして顔を殴り、「当ててみろ。殴ったのは誰だ」と尋ねた。
ユダヤ人たち : 当ててみろ。お前を殴ったのは誰だ?
福音史家 : そして、他にも多くの罵り言葉を投げかけた。
【13】最高法院での尋問 [3'06]
◇ 夜が明け、長老会や祭司長たちがイエスに「お前は神の子か」と問い詰めます。イエスはその通りだと答えます。
福音史家 : 夜が明けると、民の長老会、祭司長たち、律法学者たちが集まり、イエスを最高法院に引き出した。彼らは言った。
祭司長と律法学者 : お前がメシアなら、そう言え。
福音史家 : イエスは言われた。
イエス : 言っても、あなたがたは信じないだろう。私が尋ねても、あなたがたは答えないし、私を釈放もしないだろう。しかし、今から後、人の子は全能の神の右の座に着く。
福音史家 : 一同は言った。
祭司長と律法学者 : では、お前は神の子なのか?
福音史家 : イエスは言われた。
イエス : あなたがたが言っている通り、私はそれだ。
福音史家 : 彼らは言った。
祭司長と律法学者 : これ以上、何の証言が必要だろうか。本人の口から直接聞いたのだから。
【14】 ピラトへの引き渡し [2'53]
◇ 一同はイエスを総督ピラトのもとへ連れて行き、民衆を惑わし皇帝への納税を禁じていると告発します。
福音史家 : 群衆は総立ちになり、イエスをピラトのところへ連れて行って、訴え始めた。
祭司長と律法学者 : この男は、我が民族を惑わし、皇帝に税を納めるのを禁じ、自分を王メシアだと言っていることが分かりました。
福音史家 : ピラトはイエスに尋ねた。
ピラト : お前がユダヤ人の王なのか?
福音史家 : イエスは答えて言われた。
イエス : それはお前が言っていることだ。
福音史家 : ピラトは祭司長たちと民衆に向かって言った。
ピラト : 私はこの男に何の罪も見いだせない。
福音史家 : しかし彼らは言い張った。
祭司長と律法学者 : この男はガリラヤから始めてここまで、ユダヤ全土で教えを広め、民衆を煽動しているのです。
【15】 ヘロデによる嘲弄 [1'41]
◇ イエスがガリラヤ人だと知ったピラトは、彼をヘロデ王のもとへ送ります。ヘロデはイエスを侮辱し、派手な衣を着せてピラトへ送り返します。
福音史家 : ピラトは「ガリラヤ」と聞くと、この男がガリラヤ出身かどうか尋ねた。そしてヘロデの管轄下にあると知ると、イエスをヘロデのもとに送った。ヘロデもちょうどそのときエルサレムにいたのである。
ヘロデはイエスを見て非常に喜んだ。イエスの噂を聞いていたので、ずっと会いたいと思っており、何か奇跡を見せてくれるのではないかと期待していたからである。ヘロデはいろいろと質問したが、イエスは何もお答えにならなかった。 祭司長たちや律法学者たちは立って、激しく訴えた。ヘロデも兵士たちと一緒にイエスを侮辱してからかい、派手な服を着せてピラトに送り返した。
この日、ピラトとヘロデは仲良くなった。それまでは敵対していたのである。
【16】 ピラトの前での裁判 [3'59]
◇ ピラトはイエスの無罪を主張しますが、祭司長たちの叫びが勝ちます。ピラトはバラバを釈放し、イエスを十字架刑に引き渡します。
福音史家 : ピラトは祭司長たち、議員たち、民衆を呼び集めて言った。
ピラト : あなたがたは、この男を民衆を惑わす者として私のところに連れてきた。だが、あなたがたの前で取り調べた結果、訴えられているような罪は何一つ見つからなかった。ヘロデも同様だ、だから送り返してきたのだ。見なさい、この男は死に値することは何もしていない。だから、鞭打ってから釈放することにしよう。
福音史家 : 祭りのたびに、誰かを釈放しなければならなかったからである。すると群衆は一斉に叫んだ。
群衆全体 : その男を片付けろ。バラバを釈放しろ!
福音史家 : バラバは暴動と殺人の罪で投獄されていた。ピラトはイエスを釈放しようとして、再び彼らに呼びかけたが、彼らは叫び返した。
群衆全体 : 十字架につけろ!
福音史家 : ピラトは三度目だが、彼らに言った。
ピラト : あの方は、一体どんな悪いことをしたというのか?死に値する罪は見つからなかった。だから、鞭打ってから釈放する。
福音史家 : しかし彼らは大声で叫び続け、イエスを十字架につけるよう要求した。祭司長たちの叫び声が勝った。ピラトは彼らの要求通りに判決を下した。暴動と殺人の罪で投獄されていたバラバを希望通りに釈放し、イエスの方は彼らの意のままに引き渡した。
【17】 磔刑 [7'32]
◇ イエスが十字架を担いで引かれていきます。髑髏(どくろ)の場所で、二人の犯罪人と共に十字架につけられます。
福音史家 : 人々がイエスを連行するとき、田舎から出てきたシモンというキレネ人を捕らえ、十字架を担がせて、イエスの後を歩かせた。民衆の大群衆と、イエスのために嘆き悲しむ女たちがついて行った。
イエスは女たちの方を向いて言われた。
イエス : エルサレムの娘たち、私のために泣くな。むしろ、自分自身と子供たちのために泣きなさい。見よ、「不妊の女、産んだことのない胎、飲ませたことのない乳房は幸いだ」と言う時が来る。そのとき、人々は山に向かって「我々の上に崩れ落ちてくれ」と言い、丘に向かって「我々を覆い隠してくれ」と言い始めるだろう。生の木でさえこうされるのなら、枯れた木はどうなることか。
福音史家 : 他に二人の犯罪者も、殺されるためにイエスと一緒に連行された。「されこうべ」と呼ばれる所に来ると、そこで人々はイエスを十字架につけ、犯罪者たちも、一人は右に、一人は左に十字架につけた。イエスは言われた。
イエス : 父よ、彼らを赦してください。自分が何をしているのか分からないのです。
福音史家 : 人々はくじを引いて、イエスの服を分け合った。民衆は立って見守っていた。議員たちもイエスをあざ笑って言った。
議員たち : 他人を救ったのだ、もし神の選ばれたメシアなら、自分を救ってみろ。
福音史家 : 兵士たちも近寄ってきてイエスをからかい、酸いぶどう酒を差し出して言った。
兵士たち : お前がユダヤ人の王なら、自分を救ってみろ。
福音史家 : イエスの頭の上には、ギリシャ語、ラテン語、ヘブライ語で「これはユダヤ人の王」という罪状書きが掲げられていた。十字架にかけられていた犯罪者の一人がイエスを罵った。
第一の強盗 : お前はメシアではないか。自分と俺たちを救ってみろ。
福音史家 : しかし、もう一人が彼をたしなめて言った。
第二の強盗 : お前は神を恐れないのか。お前も同じ刑罰を受けているではないか。俺たちは、自分のしたことの報いを受けているのだから当然だ。しかし、この方は何も悪いことはなさらなかった。
福音史家 : そしてイエスに言った。
第二の強盗 : 主よ、あなたが御国へ行かれるときには、私を思い出してください。
福音史家 : イエスは言われた。
イエス : はっきり言っておく。今日、お前は私と一緒にパラダイスにいる。
【18】 イエスの死 [2'25]
◇ イエスが大声で「父よ、私の霊を御手にゆだねます」と叫び、息を引き取ります。百人隊長がこの死を正しい人のものだと認めます。
福音史家 : 昼の十二時ごろ、全地は暗くなり、午後三時まで続いた。太陽は光を失い、神殿の垂れ幕が真ん中から裂けた。イエスは大声で叫ばれた。
イエス : 父よ、私の霊をあなたの御手にゆだねます。
福音史家 : こう言って、息を引き取られた。百人隊長はこの出来事を見て、神を賛美して言った。
百人隊長 : 本当に、この人は正しい人だった。
福音史家 : この光景を見に集まっていた群衆も、これらの出来事を見て、胸を叩きながら帰っていった。イエスの知人たちや、ガリラヤからついてきた女たちも皆、遠くに立ってこれらのことを見守っていた。
【19】 イエスの埋葬 [1'47]
◇ アリマタヤのヨセフがピラトに遺体を願い出ます。遺体を亜麻布で包み、まだ誰も葬られていなかった岩の墓に納めます。
福音史家 : さて、ヨセフという議員がいた。善い、正しい人で、議員たちの相談や行いには賛成していなかった。ユダヤ人の町アリマタヤの出身で、神の国を待ち望んでいた。
この人はピラトのところへ行ってイエスの遺体を願い出た。そして遺体を降ろして亜麻布に包み、まだ誰も葬られたことのない、岩を掘って作った墓に納めた。
その日は準備の日で、安息日が始まろうとしていた。
ガリラヤからイエスと一緒に来た女たちは、ヨセフの後について行き、墓と、遺体がどのように納められたかを見届けた。
それから帰って、香料と香油を準備した。そして安息日には律法に従って静かに休んだ。
【20】 結び [1'32]
◇ 神の受難を敬う者は、この世では恵みによって、後の世では永遠の命によって神に見守られることを合唱で歌い上げます。
合唱 : 神の受難を尊び、その激しい死を常に思う者は、この地上では神の恵みによって、あちらでは永遠の命によって、神が必ず守ってくださるだろう。
「対話」 SWV444
1630年頃、またはそれ以前に作曲されたと推定されています。1630年代にドレスデンからヘッセン=カッセル方伯ヴィルヘルム5世へ送られた作品群の一つです。
【21】 [3'38]
◇ ルカによる福音書第18章10-14節に基づくイエスのたとえ話。「ファリサイ派の人と徴税人」を題材にした作品。
◇ 対話曲で、 「導入」、「対話」、「終結合唱」の3つの部分で構成。
◇ 導入部:2人のソプラノが物語の状況を福音史家として叙唱で説明。
◇ 対話部:傲慢な「ファリサイ派の人」と、謙虚に許しを請う「徴税人」の対照的な言葉が直接的に表現。
◇ 終結部:イエスの教訓「自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされる」という言葉を、4声すべての声部が加わるモテット様式で歌い上げ、道徳的な締めくくりとします。
◇ 劇的表現:シュッツはイタリア・オペラ「ダフネ」を作曲していましたが、この対話曲にもドラマ性が備わっています。
福音史家 : 二人、祈るために神殿に上った。一人はファリサイ派の人、もう一人は徴税人であった。 ファリサイ派の人は立って、心の中でこう祈った。一方、徴税人は遠くに立ち、天を見上げようともせず、胸を叩いて言った。
ファリサイ派 : 神よ、感謝します。私は他の人々のような強欲な者、不正な者、姦通する者ではなく、またこの徴税人のようでもないことを。私は週に二度断食し、持ち物のすべての十分の一を捧げています。
徴税人 : 神よ、罪人の私を憐れんでください。
福音史家 : 言っておくが、この徴税人の方が義とされて家に帰った。自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるからである。
CD4 [52'44]
「ヨハネ受難曲」 SWV481
◇ 1665年に作曲。フリギア旋法。四旬節の戒律に従い、一切の楽器伴奏を伴わない無伴奏歌唱作品。
◇ 福音史家の朗唱は、他の受難曲よりも自由で、独自のドラマティックな旋律線を持っています。
【1】 導入部 [1'30]
◇ 聖福音記者ヨハネが記述した、我らが主イエス・キリストの受難という開始宣言。
◇ 4声の合唱によって演奏されます。聴衆を静謐な受難の物語へと誘う役割を果たします。
合唱 : 聖福音記者ヨハネが記述した、我らの主イエス・キリストの受難。
【2】 逮捕 [3'55]
◇ ケドロンの谷を越えた園で、イエスがユダの率いる兵士たちに自ら進み出る場面。
◇ イエスが「私だ」と告げた際に人々が地面に倒れる劇的な瞬間が含まれます。ヨハネ伝特有の「死を支配するイエス」の力強さが、無伴奏の独唱によって際立たせられます。
福音史家 : イエスはこれらの言葉を語り終えると、弟子たちと共にケドロンの谷の向こうへ行かれた。そこには園があり、イエスと弟子たちは中に入られた。イエスを裏切ろうとしていたユダも、その場所を知っていた。イエスが弟子たちとしばしばそこで集まっておられたからである。ユダは、兵士の部隊と祭司長やファリサイ派の遣わした下役たちを引き連れて、松明や灯火や武器を持ってやってきた。イエスは、自分の身に起ころうとしていることをすべて知っておられたので、前に出て言われた。
イエス : 誰を捜しているのか?
福音史家 : 彼らが答えた。
ユダヤ人たち : ナザレのイエスだ。
福音史家 : イエスは言われた。
イエス : 私である!
福音史家 : 裏切り者のユダも彼らと一緒に立っていた。イエスが「私である」と言われたとき、彼らは後ずさりして地面に倒れた。イエスは再び尋ねられた。
イエス : 誰を捜しているのか?
福音史家 : 彼らは言った。
ユダヤ人たち : ナザレのイエスだ。
福音史家 : イエスは答えられた。
イエス : 私だと言ったではないか。私を捜しているのなら、この人々を去らせなさい。
福音史家 : これは、「あなたが与えてくださった人のうち、一人も失いませんでした」と言われたイエスの言葉が実現するためであった。そのとき、シモン・ペテロは剣を持っていたので、それを抜いて大祭司の従僕を切りつけ、右の耳を切り落とした。その従僕はマルコスという名だった。イエスはペテロに言われた。
イエス : 剣をさやに収めなさい!父が私に下さった杯を、飲まずにいられようか?
【3】 高僧の前のイエス [0'40]
◇ イエスがまず、大祭司カイアファの姑であるアンナスの元へ連行される場面。
◇ 教義や弟子について問うアンナスに対し、常に公に語ってきたと毅然と答えるイエスの姿が描かれます。世俗の権力と神の真理の対峙が始まります。
福音史家 : そこで部隊と千人隊長、それにユダヤ人の下役たちはイエスを捕らえて縛り、まずアンナスのところへ連れて行った。アンナスは、その年の大祭司カイアファの舅であった。カイアファは、「一人の人間が民のために死ぬのが得策だ」とユダヤ人たちに助言したあの人物である。
【4】 高僧の中庭のペテロ [1'32]
◇ 大祭司の屋敷の中庭で、ペテロが門番の女中に「お前も弟子の一人か」と問われ、「違う」と否定する場面。
◇ 緊迫した対話が最小限の声部で構成されます。ペテロの動揺が、短いやり取りの中に凝縮されています。
福音史家 : シモン・ペテロともう一人の弟子は、イエスに従った。この弟子は大祭司の知り合いだったので、イエスと一緒に大祭司の中庭に入った。ペテロは門の外に立っていた。大祭司の知り合いであるその弟子が外へ出て、門番の女中に話してペテロを中に入れた。すると門番の女中がペテロに言った。
女中 : あなたもあの人の弟子の一人でしょう?
福音史家 : ペテロは言った。
ペテロ : 違う。
福音史家 : 寒かったので、下役や従僕たちは炭火を熾して立って当たっていた。ペテロも彼らに混じって立って火に当たっていた。
【5】 最高法院での尋問 [2'12]
◇ 尋問が続き、下役の一人がイエスを平手打ちにする場面。
◇ 「なぜ私を打つのか」と問い返すイエスの静かな怒りが、装飾を削ぎ落としたレチタティーヴォで表現されます。その後、イエスは縛られたままカイアファへ送られます。
福音史家 : 大祭司はイエスに、弟子のことや教えについて尋ねた。イエスは答えられた。
イエス : 私は世に対して、あからさまに話してきた。ユダヤ人が皆集まる会堂や神殿でいつも教えてきたし、:隠れて話したことは何もない。なぜ私に尋ねるのか。私が何を話したか、聞いた人々に尋ねるがよい。
彼らは私が言ったことを知っている。
福音史家 : イエスがこう言われると、そばに立っていた下役の一人が、イエスを平手で打って言った。大祭司の下役:大祭司に向かってそんな答え方があるか?
福音史家 : イエスは言われた。
イエス : もし悪いことを言ったのなら、どこが悪いか証言しなさい。正しいことを言ったのなら、なぜ私を打つのか。
福音史家 : アンナスは、イエスを縛ったまま大祭司カイアファのところに送った。
【6】 ペテロの否認 [1'11]
◇ 炭火で暖まっていたペテロが、さらに二度イエスとの関係を否定し、直後に鶏が鳴く場面。
◇ 群衆の問いかけが合唱で挿入され、追い詰められたペテロの「知らない」という拒絶が虚しく響きます。鶏の鳴き声は、福音史家の劇的な旋律によって象徴的に描かれます。
福音史家 : シモン・ペテロは立って火に当たっていた。人々は言った。
ユダヤ人たち : お前もあの人の弟子の一人だろう?
福音史家 : ペテロは打ち消して言った。
ペテロ : 違う。
福音史家 : 大祭司の従僕の一人で、ペテロに耳を切り落とされた男の親類が言った。
大祭司の下役 : 園であの人と一緒にいるお前を、私が見なかったとでもいうのか?
福音史家 : ペテロは再び打ち消した。するとすぐに鶏が鳴いた。
【7】 ピラトによる尋問と判決 [4'49]
◇ 舞台は総督官邸へ移り、ピラトとイエスの間で「王」と「真理」についての問答が行われます。
◇ 「真理とは何か」と問うピラトの懐疑と、「私の国はこの世のものではない」と告げるイエスの超越的な視点が対比されます。ヨハネ受難曲の中核をなす神学的な対話の場面。
福音史家 : 人々はイエスをカイアファのところから総督官邸に連れて行った。朝早い時刻だった。彼らは、汚れを受けずに過越の食事を食べられるように、官邸の中には入らなかった。ピラトは外に出て彼らのところへ行き、こう言った。
ピラト : この男を、どんな罪で訴えるのか?
福音史家 : 彼らは答えて言った。
ユダヤ人たち : この男が悪人でなければ、あなたのところへ引き渡しはしません。
福音史家 : ピラトは言った。
ピラト : 連れて行って、自分たちの律法に従って裁くがよい。
福音史家 : ユダヤ人たちは言った。
ユダヤ人たち : 私たちには、人を死刑にする権限がありません。
福音史家 : これは、イエスがどのような死を遂げることになるか、あらかじめ示して言われた言葉が実現するためであった。ピラトは再び官邸の中に入り、イエスを呼んで言った。
ピラト : お前がユダヤ人の王なのか?
福音史家 : イエスは答えられた。
イエス : それはお前自身の考えから言うことか、それとも他の者が私についてそう言ったのか?
福音史家 : ピラトは答えた。
ピラト : 私はユダヤ人なのか。お前の同胞や祭司長たちがお前を私に引き渡したのだ。一体何をしたのか?
福音史家 : イエスは答えられた。
イエス : 私の国はこの世のものではない。もし私の国がこの世のものであったなら、:私がユダヤ人に引き渡されないように、下役たちが戦っただろう。しかし今、私の国はここから出たものではない。
福音史家 : ピラトは言った。
ピラト : では、やはり王なのだな?
福音史家 : イエスは答えられた。
イエス : 私が王だということは、お前が言っていることだ。私は真理について証しするために生まれ、そのために世に来た。真理に属する者は皆、私の声を聞く。
福音史家 : ピラトは言った。
ピラト : 真理とは何か?
福音史家 : こう言ってから、ピラトは再びユダヤ人たちのところへ出て行って言った。
ピラト : 私はあの男に何の罪も見いだせない。
【8】 イエス、死刑を宣告される [9'29]
◇ ピラトは無罪を確信しますが、群衆の「十字架につけろ」という叫びに抗えず、死刑を宣告する場面。
◇ 「十字架につけろ」というトゥルバの激しい合唱が執拗に繰り返され、法と正義が民衆の狂気に飲み込まれていく様子を音楽的に描写。
ピラト : ところで、過越祭には誰かを一人釈放するのがあなたがたの慣習だ。ユダヤ人の王を釈放してほしいか?
福音史家 : 彼らはまた叫んだ。
群衆全体 : その男ではない、バラバを!
福音史家 : バラバは人殺しであった。そこでピラトはイエスを捕らえ、鞭で打たせた。兵士たちは茨で冠を編んでイエスの頭に載せ、紫の服を着せて言った。
兵士たち : ユダヤ人の王様、万歳!
福音史家 : そして平手で打った。ピラトは再び外に出て言った。
ピラト : 見よ、あの男を外に連れてくる。私が何の罪も見いだせないことを、あなたがたに知らせるためだ。
福音史家 : イエスは茨の冠を被り、紫の服を着て出てこられた。ピラトは言った。
ピラト : 見よ、この男だ。
福音史家 : 祭司長たちや下役たちはイエスを見ると叫んだ。
群衆全体 : 十字架につけろ!
福音史家 : ピラトは言った。
ピラト : あなたがたが引き取って十字架につけるがよい。私はこの男に罪を見いだせない。
福音史家 : ユダヤ人たちは答えた。
ユダヤ人たち : 私たちには律法があります。律法によれば、この男は死に値します。自分を神の子としたからです。
福音史家 : ピラトはこの言葉を聞いてますます恐ろしくなり、再び官邸の中に入ってイエスに言った。
ピラト : お前はどこから来たのか?
福音史家 : しかしイエスは何も答えられなかった。ピラトは言った。
ピラト : 私に答えないのか。私にはお前を釈放する権限も、十字架につける権限もあることを知らないのか。
福音史家 : イエスは答えられた。
イエス : 上から与えられていなければ、お前には私に対して何の権限もない。だから、私をお前に引き渡した者の罪はもっと大きい。
福音史家 : それ以来、ピラトはイエスを釈放しようと努めた。しかしユダヤ人たちは叫んだ。
ユダヤ人たち : もしこの男を釈放するなら、あなたは皇帝の友人ではありません。自分を王とする者は皆、皇帝に背く者です。
福音史家 : ピラトはこの言葉を聞くと、イエスを外に連れ出し、「敷石」(ヘブライ語でガバタ)という場所で裁判の席に着いた。それは過越祭の準備の日で、昼の十二時ごろだった。ピラトはユダヤ人たちに言った。
ピラト : 見よ、これがあなたがたの王だ!
福音史家 : 彼らは叫んだ。
ユダヤ人たち : 片付けろ!十字架につけろ!
福音史家 : ピラトは言った。
ピラト : あなたがたの王を十字架につけるのか?
福音史家 : 祭司長たちは答えた。
祭司長たち : 皇帝のほかに、我々に王はいません。
福音史家 : そこで、ピラトはイエスを十字架につけるために引き渡した。
【9】 イエスの磔刑 [7'14]
◇ ゴルゴタでの処刑、衣のくじ引き、母マリアを弟子に託す場面、そして「完了した」という最期の言葉までを描きます。
◇ ヨハネ伝におけるイエスの死は、敗北ではなく「成就」として描かれます。最期の叫びと息を引き取る瞬間は、極めて簡潔ながらも深い悲しみと崇高さを湛えています。
福音史家 : 人々はイエスを引き取った。イエスは自ら十字架を担ぎ、「されこうべの場所」(ヘブライ語でゴルゴタ)という所へ向かわれた。そこで、彼らはイエスを十字架につけ、他に二人、イエスを真ん中にして両側に十字架につけた。ピラトは罪状書きを書いて十字架の上に掲げた。それには「ナザレのイエス、ユダヤ人の王」と書いてあった。イエスが十字架につけられた場所は都に近かったので、多くのユダヤ人がこの罪状書きを読んだ。それはヘブライ語、ギリシャ語、ラテン語で書いてあった。ユダヤ人の祭司長たちはピラトに言った。
祭司長たち : 「ユダヤ人の王」と書かずに、「私はユダヤ人の王だ、とこの男が言った」と書いてください。
福音史家 : ピラトは答えた。
ピラト : 私が書いたことは、私が書いた通りだ。
福音史家 : 兵士たちはイエスを十字架につけると、イエスの服を取り、一人に一部分ずつ当たるように四つに分けた。下着も取った。下着は継ぎ目なく、上から下まで織られたものだった。彼らは話し合った。
兵士たち : これは裂かずに、誰のものになるかくじを引こう!
福音史家 : これは、「彼らは私の服を分け合い、私の着物をめぐってくじを引いた」という聖書の言葉が実現するためであった。兵士たちはこのようにしたのである。イエスの十字架のそばには、その母と母の姉妹、クロパの妻マリア、そしてマグダラのマリアが立っていた。イエスは母と、そばに立っている愛する弟子を見て、母に言われた。
イエス : 婦人よ、見なさい、これがあなたの息子です!
福音史家 : それから弟子に言われた。
イエス : 見なさい、これがあなたの母だ!
福音史家 : それ以来、この弟子はマリアを自分の家に引き取った。この後、イエスはすべてのことが完了したのを知り、聖書の言葉を実現するために言われた。
イエス : 喉が渇いた!
福音史家 : そこには酸いぶどう酒の入った器が置いてあった。人々は、酸いぶどう酒を含ませた海綿をヒソプの枝につけて、イエスの口もとに差し出した。イエスはそのぶどう酒を受け取ると、言われた。
イエス : 完了した!
福音史家 : そして頭を垂れて息を引き取られた。
【10】 結び [2'02]
◇ 「キリストよ、我らを助けたまえ」という祈りと感謝の場面。
◇ 伝統的な「キリエ・エレイソン(主よ、憐れみたまえ)」を基調とした多声合唱で締めくくられます。救済への希望を力強く歌い上げ、壮大な受難の物語を閉じます。
合唱 : ああ神の子キリストよ、あなたの激しい受難によって、私たちが常にあなたに従い、あらゆる悪を避け、あなたの死とその意味を深く思い、貧しく弱くはあっても感謝の捧げ物をすることができますよう助けてください。
「十字架上のキリストの七つの言葉」 SWV478
◇ 1645年頃に作曲され、1662年に出版。
◇ 器楽(弦楽器)を伴うのが特徴で、オペラのレチタティーヴォ様式も取り入れられています。
【11】 導入部 [2'10]
◇ 「イエスが十字架に立たれたとき」で始まる受難歌の第1節を歌います。
◇ 5声の合唱によって演奏。ライプツィヒの牧師フィンツェンツ・シュムックによるテキストが用いられていますが、メロディは既存の賛美歌ではなくシュッツ独自の作曲。
合唱 : イエスが十字架におられたとき、そのお体は激しい痛みで傷つきました。イエスが語られた七つの言葉を、あなたの心に刻みなさい。
【12】 [1'09]
◇ 楽器のみによる演奏。
◇ 導入合唱の後に演奏される、シュッツの現存する数少ない器楽曲の一つです。甘く響く弦楽器による演奏が最も効果的とされています。
シンフォニア
【13】 [0'56]
◇ 午前9時にイエスが十字架につけられた場面と、最初の言葉を伝えます。
◇ 福音史家のナレーションに続き、イエスの言葉が響きます。イエスの言葉には常に2つのオブリガート弦楽器が伴奏として付きます。
福音史家 : 三時ごろ、彼らはイエスを十字架につけた。するとイエスは言われた。
イエス : 父よ、彼らを赦してください。自分が何をしているのか分からないのです!
【14】 [2'11]
◇ 十字架のそばに立つ母マリアと弟子ヨハネについて記述します。
◇ イエスが自身の家族的な絆を弟子に託す、感動的な対話の場面です。
福音史家 : イエスの十字架のそばには、母、母の姉妹、クロパの妻マリア、マグダラのマリアが立っていた。イエスは母と、そばに立っている愛する弟子を見て、母に言われた。
イエス : 婦人よ、見なさい、これがあなたの息子です!
福音史家 : それから弟子に言われた。
イエス : ヨハネ、見なさい、これがあなたの母だ!
福音史家 : それ以来、弟子はマリアを自分の家に引き取った。
【15】 [3'04]
◇ 一緒に十字架にかけられた二人の強盗による対話を描写します。
◇ 左側の強盗がイエスを罵るのに対し、右側の強盗がそれをたしなめ、自分たちの罪を認める場面です。
福音史家 : さて、十字架にかけられていた犯罪者の一人がイエスを罵って言った。
左の強盗 : お前はメシアではないか。自分と俺たちを救ってみろ!
福音史家 : しかし、もう一人が彼をたしなめて言った。
右の強盗 : お前は神を恐れないのか。お前も同じ刑罰を受けているではないか。俺たちは、自分のしたことの報いを受けているのだから当然だ。しかし、この方は何も悪いことはなさらなかった。
福音史家 : そしてイエスに言った。
右の強盗 : 主よ、あなたが御国へ行かれるときには、私を思い出してください!
福音史家 : イエスは言われた。
イエス : はっきり言っておく。今日、お前は私と一緒にパラダイスにいる。
【16】 [2'04]
◇ 右側の強盗がイエスに救いを求め、イエスがそれに応えます。
◇ 罪の許しと救済を象徴する重要な場面です。
福音史家 : 午後三時ごろ、イエスは大声で叫ばれた。
イエス : エリ、エリ、レマ、サバクタニ?
福音史家 : それはこういう意味である。
イエス : わが神、わが神、なぜ私をお見捨てになったのですか?
【17】 [1'53]
◇ 死の間際の最後のやり取りと、息を引き取るまでを伝えます。
◇ 酸っぱいぶどう酒を差し出される描写。
福音史家 : この後、イエスはすべてのことが完了したのを知り、聖書の言葉を実現するために言われた。
イエス : 喉が渇いた!
福音史家 : 兵士の一人がすぐに走り寄り、海綿に酸っぱいぶどう酒とヒソプを含ませ、葦の棒につけてイエスの口もとに差し出し、飲ませた。イエスはそのぶどう酒を受け取ると、言われた。
イエス : 完了した!
【18】 [1'27]
◇ 死の間際の最後のやり取りと、息を引き取るまでを伝えます。
◇ すべての使命を終えたイエスの最期が描かれます。
福音史家 : そしてイエスは再び大声で叫ばれた。
イエス : 父よ、私の霊をあなたの御手にゆだねます!
福音史家 : こう言ってから、頭を垂れて息を引き取られた。
【19】[1'13]
◇ 楽器のみによる演奏。
◇ 結びの合唱の前に演奏される器楽曲で、トラック12のシンフォニアと対になる構造を持っています。
シンフォニア
【20】 結び [1'55]
◇ 「神の受難を敬う者は」で始まる受難歌の最終節。
◇ 導入と同じく5声の合唱によって演奏されます。イエスの七つの言葉を常に想い起こす者が、神の慈しみを受けることを確信して全曲を閉じます。
合唱 : 神の受難を尊び、その七つの言葉を常に思う者は、この地上では神の恵みによって、あちらでは永遠の命によって、神が必ず守ってくださるだろう。

Track list
70085
Schütz Passions
Resurrection History
CD1 47'50
Historia der Auferstehung Jesu Christi Op.3 SWV50
1 Chorus: Die Auferstehung unsers Herren Jesu Christi
(A, B, E, D, F, H) 1'23
2 Evangelist: Da der Sabbath vergangen war 6'50
3 Evangelist: Da aber Maria Magdalena also läuft 5'27
4 Evangelist: Und als sie das saget, wandte sie zurücke 5'22
5 Evangelist: Die Weiber aber gingen hinein in das Grab 4'23
6 Evangelist: Da sie aber hingingen, siehe, da kamen etliche von den Hütern 2'20
7 Evangelist: Und siehe, Zweene aus ihnen gingen an demselbigen Tage 7'52
8 Evangelist: Und er ging hinein, bei ihnen zu bleiben 1'37
9 Evangelist: Und sie stunden zu derselbigen Stunde auf 1'37
10 Evangelist: Es war aber am Abend desselbigen Sabbaths 3'49
11 Evangelist: Und sie legten ihm für ein Stück vom gebraten Fisch 5'04
12 Gott sei Dank 2'06
(Choro 1: B, E, G, H, viole da gama / Choro 2: A, D, F, Evangelist, I)
Die drei Weiber oder Marien (A, B, C)
Die zweene Männer im Grabe (G, F)
Maria Magdalena (B, A)
Zweene Engel (E, D)
Jesus (D, F)
Der Jüngling am Grabe (E, D)
Die Hohenpriester (F, I, H)
Cleophas (F)
Cleophas und sein Geselle (G, F)
Die Elfe zu Jerusalem versammelt (A, B, E, D, F, H)
Gerd Türk Evangelist
Cappella Augustana
Cantus: Marzena Lubaszka (A), Elżbieta Adamczyk (B), Madgalena Niebywalska (C)
Altus: David Munderloh (D),
Vincent Lièvre-Picard (E)
Tenor: Hervé Lamy (F),
Giovanni Cantarini (G)
Bassus: Walter Testolin (H),
Lisandro Abadie (I)
Il Sonar Parlante – concerto di viole
Rodney Prada, Fahmi Alqhai,
Rami Alqhai, Cristiano Contadin
Matteo Messori organ and direction
CD2 60'44
Matthäus-Passion SWV479
1 Introitus 0'52
2 Der Beschluss des Hohen Rates 1'37
3 Die Salbung in Betanien 2'39
4 Der Verrat durch Judas 0'39
5 Die Vorbereitung des Paschamahls 1'25
6 Das Mahl 3'55
7 Der Gang zum Ölberg 2'05
8 Das Gebet in Getsemani 4'17
9 Die Gefangennahme 3'42
10 Das Verhör vor dem Hohen Rat 4'29
11 Die Verleugnung durch Petrus 2'37
12 Die Auslieferung an Pilatus 0'30
13 Das Ende des Judas 2'48
14 Die Verhandlung vor Pilatus 5'52
15 Die Verspottung Jesu durch die Soldaten 1'49
16 Die Kreuzigung 4'42
17 Der Tod Jesu 5'35
18 Das Begräbnis Jesu 1'25
19 Die Bewachung des Grabes 2'18
20 Beschluss 2'16
21. Dialogo per la Pascua SWV443
Weib, was weinest du?
(B, A, D, C) 4'26
Gerd Türk Evangelist
Bas Ramselaar Jesus
Cappella Augustana
Cantus: Marzena Lubaszka (Ancilla II, A), Elżbieta Adamczyk (Ancilla I, B)
Altus: David Munderloh (Judas, C), Vincent Lièvre-Picard (Pilati uxor, D)
Tenor: Hervé Lamy (Pilatus), Giovanni Cantarini (Petrus)
Bassus: Walter Testolin, Lisandro Abadie (Caiphas)
Matteo Messori organ and direction
CD3 52'30
Lukas-Passion SWV480
1 Introitus 1'10
2 Der Beschluss des Hohen Rates 0'27
3 Der Verrat durch Judas 0'46
4 Die Vorbereitung des Paschamahls 2'30
5 Das Mahl 3'36
6 Vom Herrschen und vom Dienen 2'30
7 Die Andkündigung der Verleugnung und der Umkehr des Petrus 1'31
8 Die Stunde der Entscheidung 2'33
9 Das Gebet am Ölberg 2'26
10 Die Gefangennahme 2'45
11 Die Verleugnung durch Petrus 2'56
12 Die Verspottung durch die Wächter 0'48
13 Das Verhör vor dem Hohen Rat 3'06
14 Die Auslieferung an Pilatus 2'53
15 Die Verspottung durch Herodes 1'41
16 Die Verhandlung vor Pilatus 3'59
17 Die Kreuzigung 7'32
18 Der Tod Jesu 2'25
19 Das Bregräbnis Jesu 1'47
20 Beschluss 1'32
21 Dialogus SWV444 3'38
Es gingen zweene Menschen hinauf (A, B, C, D)
Gerd Türk Evangelist
Bas Ramselaar Jesus
Cappella Augustana
Cantus: Marzena Lubaszka (Ancilla, A), Elżbieta Adamczyk (B)
Altus: David Munderloh (Petrus), Vincent Lièvre-Picard (Latro I, C)
Tenor: Hervé Lamy (Latro II), Giovanni Cantarini (Servus I)
Bassus: Walter Testolin (Servus II, Centurio), Lisandro Abadie (Pilatus)
Matteo Messori organ and direction
CD4 52'44
Johannes-Passion SWV481
1 Introitus 1'30
2 Die Verhaftung 3'55
3 Jesus vor dem Hohenpriester 0'40
4 Petrus im Hof des Hohenpriesters 1'32
5 Das Verhör vor dem Hohen Rat 2'12
6 Die Verleugnung durch Petrus 1'11
7 Das Verhör und die Verurteilung durch Pilatus 4'49
8 Jesus wird zum Tode verurteilt 9'29
9 Die Kreuzigung Jesu 7'14
10 Beschluss 2'02
Bas Ramselaar Jesus
Die Sieben Wörte Jesu Christi am Kreuz SWV478
11 Introitus: Da Jesus an dem
Kreuze stund (A, D, E, F, G) 2'10
12 Symphonia 1'09
13 Evangelist: Und es war um die dritte Stunde (C, Jesus) 0'56
14 Evangelist: Es stund aber bei dem Kreuze (E, Jesus) 2'11
15 Evangelist: Aber der Übelthäter einer (A, D, G, Jesus) 3'04
16 Evangelist: Und um die neunte Stunde (B, C, E, G, Jesus) 2'04
17 Evangelist: Darnach als Jesus wusste (C, Jesus, E) 1'53
18 Evangelist: Und abermail rief Jesus laut (E, Jesus, B, C, G) 1'27
19 Symphonia 1'13
20 Conclusio: Wer Gottes Marter in Ehren hat (A, D, E, F, G) 1'55
Gerd Türk Evangelist, Jesus
Cappella Augustana
Cantus: Marzena Lubaszka (A), Elżbieta Adamczyk (Ancilla, B)
Altus: David Munderloh (Petrus, C), Vincent Lièvre-Picard (D)
Tenor: Hervé Lamy (Pilatus, E), Giovanni Cantarini (F)
Bassus: Walter Testolin (G),
Lisandro Abadie (Servus)
Alberto Stevanin, viola da braccio
Il Sonar Parlante – concerto di viole
Rodney Prada, Fahmi Alqhai, Rami Alqhai, Cristiano Contadin
Matteo Messori organ and direction
Recording: August 2005, Chiesa di S. Pietro, Groppo di Albareto (Parma), Italy
商品説明詳細ページ一覧
作曲家
【中世〜バロック】
◆ヒルデガルト・フォン・ビンゲン (1098-1179)
◆バルベッタ (c.1540-1623?)
◆バード (c.1540-1623)
◆スウェーリンク (1562-1621)
◆モンテヴェルディ (1567-1643)
◆シュッツ (1585-1672)
◆ファゾーロ (c.1598-c.1664)
◆ロッシ (1602-1656)
◆カッツァーティ (1616-1678)
◆レグレンツィ (1626-1690)
◆ルイ・クープラン (1626-1661)
◆クープラン一族
◆ブクステフーデ (1637-1707)
◆マッツァフェッラータ (c.1640–1681)
◆マンネッリ (1640-1697)
◆ムルシア (1673-1739)
◆グリューネヴァルト (1673-1739)
◆ダンドリュー (1682-1738)
◆J.S.バッハ (1685-1750)
◆B.マルチェッロ (1686-1739)
◆ゴットリープ・ムッファト (1690-1770)
◆モルター (1696-1765)
◆シャフラート (1709-1763)
◆コレット (1709-1795)
◆スタンリー (1713-1786)
◆エスポナ (1714-1779)
◆ヨハン・エルンスト・バッハ (1722-1777)
◆ビンダー (1723-1789)
◆グラヴィエ (1723-1799)
【古典派&ロマン派】
◆ハイドン (1732-1809)
◆ミスリヴェチェク (1737-1781) (モーツァルトへの影響大)
◆ボッケリーニ (1743-1805)
◆ギロヴェッツ (1763-1850)
◆モンジュルー (1764-1836) (ピアノ系)
◆ベートーヴェン (1770-1827)
◆クラーマー (1771-1858)
◆ジャダン (1776-1800) (ピアノ系)
◆ソル (1778-1839) (ギター系)
◆リース (1784-1838)
◆ブルックナー (1824-1896)
◆ルビンシテイン (1829-1894)
◆キュイ (1835-1918)
◆マルトゥッチ (1856-1909)
◆アルベニス (1860-1909)
◆マーラー (1860-1911)
◆グラナドス (1867-1916)
◆トゥルヌミール (1870-1939)
◆ルクー (1870-1894)
◆レーガー (1873-1916)
◆ラフマニノフ (1873-1943)
【近現代】
◆シェーンベルク (1874-1951)
◆ファリャ (1876-1946)
◆ウォルフ=フェラーリ (1876-1948)
◆カイパー (1877-1953)
◆レスピーギ (1879-1936)
◆レーバイ (1880-1953) (ギター系)
◆ポンセ (1882-1948)
◆トゥリーナ (1882-1949)
◆フォント (1889-1936)
◆ピツェッティ (1890-1968)
◆マルティヌー (1890-1959)
◆カステルヌオーヴォ=テデスコ (1895-1968)
◆ミゴ (1891-1976) (ギター系も)
◆モンポウ (1893-1987)
◆レブエルタス (1899-1940)
◆ワイル (1900-1950)
◆サントルソラ (1904-1994)(ギター系も)
◆ショスタコーヴィチ (1906-1975)
◆ラングレー (1907-1991) (オルガン系)
◆アンダーソン (1908-1975)
◆メシアン (1908-1992)
◆グアスタビーノ (1912-2000) (ギター系)
◆デュアルテ (1919-2004) (ギター系)
◆ピアソラ (1921-1992) (タンゴ系)
◆プレスティ (1924-1967) (ギター系)
◆テオドラキス (1925-2021)
◆ヘンツェ (1926-2012)
◆スハット (1935-2003)
◆ペルト (1935-)
◆ヴァスクス (1946-)
◆坂本龍一 (1952-2023)
【複数】
◆女性作曲家たち
◆Piano Classics スラヴ・エディション
◆Piano Classics フレンチ・エディション
◆Piano Classics アメリカ・エディション
◆Piano Classics スペイン・エディション
◆オランダのピアノ協奏曲集
◆オランダのチェロ協奏曲集
◆イタリアのヴァイオリン・ソナタ集
◆イタリアのチェロ・ソナタ集
オーケストラ
◆ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団
指揮者
【ドイツ・オーストリア】
◆アーベントロート
◆エッシェンバッハ
◆カラヤン
◆クナッパーツブッシュ (ウィーン・フィル、 ベルリン・フィル、 ミュンヘン・フィル、 国立歌劇場管、レジェンダリー)
◆クラウス
◆クリップス
◆クレンペラー (VOX&ライヴ、ザルツブルク・ライヴ、VENIASボックス
◆サヴァリッシュ
◆シューリヒト
◆スイトナー (ドヴォルザーク、 レジェンダリー)
◆フリート
◆フルトヴェングラー
◆ヘルビヒ (ショスタコーヴィチ、 マーラー、 ブラームス)
◆ベーム
◆メルツェンドルファー
◆ヤノフスキー
◆ライトナー
◆ラインスドルフ
◆レーグナー (ブルックナー、 マーラー、 ヨーロッパ、 ドイツ)
◆ロスバウト
【ロシア・ソ連】
◆アーロノヴィチ
◆ガウク
◆クーセヴィツキー
◆ゴロワノフ
◆ペトレンコ
◆マルケヴィチ
【アメリカ】
◆クーチャー(クチャル)
◆スラトキン(父)
◆ドラゴン
◆バーンスタイン
◆フェネル
【オランダ】
◆オッテルロー
◆クイケン
◆フォンク
◆ベイヌム
◆メンゲルベルク
【フランス】
◆パレー
◆モントゥー
◆レイボヴィッツ
【ハンガリー】
◆セル
◆ドラティ
【スペイン】
◆アルヘンタ
【スイス】
◆アンセルメ
【ポーランド】
◆クレツキ
【チェコ】
◆ターリヒ
【ルーマニア】
◆チェリビダッケ
【イタリア】
◆トスカニーニ
【イギリス】
◆バルビローリ
【ギリシャ】
◆ミトロプーロス
【日本】
◆小澤征爾
鍵盤楽器奏者
【ピアノ(ロシア・ソ連)】
◆ヴェデルニコフ
◆グリンベルク
◆ソフロニツキー
◆タマルキナ
◆ニコラーエワ
◆ネイガウス父子
◆フェインベルク
◆フリエール
◆モイセイヴィチ
◆ユージナ
【ピアノ(フランス)】
◆ウーセ
◆カサドシュ
◆ティッサン=ヴァランタン
◆ハスキル
◆ロン
【ピアノ(ドイツ・オーストリア)】
◆キルシュネライト
◆シュナーベル
◆デムス
◆ナイ
◆レーゼル (ブラームス、 ベートーヴェン)
【ピアノ(イタリア)】
◆フィオレンティーノ
【ピアノ(ハンガリー)】
◆ファルナディ
【ピアノ(南米)】
◆タリアフェロ
◆ノヴァエス
【チェンバロ】
◆ヴァレンティ
◆カークパトリック
◆ランドフスカ
弦楽器奏者
【ヴァイオリン】
◆オイストラフ
◆コーガン
◆スポールディング
◆バルヒェット
◆フランチェスカッティ
◆ヘムシング
◆リッチ
◆レナルディ
◆レビン
【チェロ】
◆カサド
◆シュタルケル
◆デュ・プレ
◆トルトゥリエ
◆ヤニグロ
◆ロストロポーヴィチ
管楽器奏者
【クラリネット】
◆ウラッハ
◆マンツ
【ファゴット】
◆デルヴォー(ダルティガロング)
【オーボエ】
◆モワネ
歌手
◆ド・ビーク (メゾソプラノ)
室内アンサンブル
【三重奏団】
◆パスキエ・トリオ
【ピアノ四重奏団】
◆フォーレ四重奏団
【弦楽四重奏団】
◆ヴェーグ四重奏団
◆グリラー弦楽四重奏団
◆シェッファー四重奏団
◆シュナイダー四重奏団
◆ズスケ四重奏団
◆パスカル弦楽四重奏団
◆ハリウッド弦楽四重奏団
◆バルヒェット四重奏団
◆ブダペスト弦楽四重奏団
◆フランスの伝説の弦楽四重奏団
◆レナー弦楽四重奏団
楽器
◆アルザスのジルバーマン・オルガン
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