
スカラ座楽員らによる表現力豊かな演奏
ヴィヴァルディ:ピッコロ協奏曲集
フランチェスコ・グジョーラ(ピッコロ)、アンサンブル・オーケストラ・ファルネジアーナ
【概要】
◆ヴィヴァルディの超絶技巧協奏曲集。ピッコロによる高音域と急速なパッセージの爽快さだけでなく、RV443の第2楽章シチリアーナ風パストラーレでは、見事なブレス・コントロールで哀愁を帯びた美しさを表現。
【作品】
◆ヴィヴァルディのフラウティーノ(ソプラニーノ・リコーダー)協奏曲 RV443、RV444、RV445と、フルート協奏曲 RV428「ごしきひわ」、RV439「夜」 、RV435の独奏をピッコロで演奏。フラウティーノは現代ではピッコロで演奏するのが通例ですが、フルート協奏曲もピッコロとの相性が良いようです。
【演奏】
◆スカラ座管弦楽団首席奏者のグジョーラは超絶技巧の持ち主ですが、オペラのオーケストラの人だけあって、フレージング、イントネーションの濃やかさが絶妙で、ヴィヴァルディがオペラ作曲家だったことを思い出させてくれます。共演のアンサンブル・オーケストラ・ファルネジアーナは、スカラ座楽員らによるアンサンブルで、こちらも歌心ある演奏が素晴らしいです。
【録音】
◆2024年9月29日にイタリア北部、ロンバルディア州ベルナレッジョのバルトーク・スタジオで収録。
【仕様】
◆ブックレット(英語、イタリア語・12ページ)には、ローマ聖チェチーリア音楽院を卒業し、目下、古楽修行中のフルート奏者、ジュリア・ペドーネによる解説などが掲載。EU製で、ディスクはメジャー・レーベルでもおなじみの独オプティマル・メディアが製造。
Brilliant Classics ・
Piano Classics ・
Berlin Classics ・
Neue Meister
作品情報付きトラックリスト
CD [58'05]
アントニオ・ヴィヴァルディ(1678-1741)
◆ピッコロ協奏曲 ハ長調 RV444 [9'55]
1720年代後半の作曲と推測されています。ピエタ慈善院のための作品で、自筆譜には独奏パートの移調に関するメモ書きが残されており、当時の演奏現場での柔軟な対応がうかがえます。合奏と独奏が交互に現れるリトルネッロ形式と、アリア形式、歌謡的な二部形式中心の構成。
1. 第1楽章 アレグロ・モルト [4'58]
ハ長調。4/4拍子。リトルネッロ形式。32分音符の超高速パッセージが特徴的。
2. 第2楽章 ラルゴ [2'01]
イ短調。3/4拍子。アリア形式。オペラのアリアを器楽に移し替えたような性格を持っています。シンプルな通奏低音と弦楽の伴奏に乗せて独奏楽器が息の長い旋律を歌います。
3. 第3楽章 アレグロ・モルト [2'56]
ハ長調。2/4拍子。リトルネッロ形式。弾むようなリズムとトリルの応酬。高音域の輝かしさが最大限に活用され、聴き手に強烈な印象を残します。
◆ピッコロ協奏曲 イ短調 RV445 [11'11]
短調特有の緊張感に加えて疾走感もあり、ピエタ慈善院の演奏家たちの劇的表現力を引き出すために書かれたと考えられます。
4. 第1楽章 アレグロ [4'58]
イ短調。4/4拍子。リトルネッロ形式。冒頭から厳しい響きが呈示され、切迫感と情熱が支配的です。独奏楽器は、短調の和声進行の中で激しいパッセージを演奏し、オーケストラと対峙。
5. 第2楽章 ラルゲット [2'45]
ハ長調。3/4拍子。二部形式。安らぎのある美しい旋律線は、独奏楽器の音色の温かみを引き出します。
6. 第3楽章 アレグロ [3'28]
イ短調。2/4拍子。リトルネッロ形式。疾走感あふれるフィナーレ。ヴィヴァルディらしい推進力のあるリズムと、独奏楽器のヴィルトゥオジティが融合し、劇的なクライマックスを形成。
◆ピッコロ協奏曲 ニ長調 RV428「ごしきひわ」 [9'43]
自然描写を得意とするヴィヴァルディが、独奏楽器の軽やかな音色を鳥の声に見立てて作曲。「四季」の「春」における鳥の歌の描写と共通する手法が見られます。
7. 第1楽章 アレグロ [3'42]
ニ長調。4/4拍子。リトルネッロ形式。冒頭から独奏楽器が主役となり、トリルや前打音を駆使してごしきひわのさえずりを模倣し、弦楽合奏は春の訪れのような明るい和音でこれを支えます。自然界の喜びを音で描くヴィヴァルディの真骨頂とも言える楽章。
8. 第2楽章 カンタービレ [3'03]
ニ長調。12/8拍子。シチリアーノ・リズムによる、穏やかな田園風景の描写。羊飼いの笛を連想させる、素朴で美しい旋律が奏でられます。
9. 第3楽章 アレグロ [2'58]
ニ長調。2/4拍子。リトルネッロ形式。鳥のモチーフは維持されつつ、より舞曲的な性格が強まります。独奏と合奏が競い合うように掛け合いを行い、華やかな終結を迎えます。
◆ピッコロ協奏曲 ト短調 RV439「夜」 [8'24]
通常の「急-緩-急」の3楽章形式ではなく、複数の短いセクションが連続して演奏される多楽章形式(実質6部分)をとっています。これは「夜」という物語を描くための劇的な構成です。
10. 第1楽章 ラルゴ [1'50]
ト短調。4/4拍子。夜の訪れ。重々しい付点リズム。夜の闇が広がるような、重く神秘的な導入部。
11. 第2(2&3)楽章 幽霊:プレスト・エ・ラルゴ [2'01]
ト短調。「幽霊」という標題が付けられています。。急速なアルペッジョによる不安演出、突如として現れる急速な分散和音は、闇夜に潜む恐怖や幻影を表現しています。
12. 第3(4)楽章 プレスト [1'04]
ト短調。不安定な静寂への回帰。
13. 第4(5)楽章 眠り:ラルゴ [1'23]
ト短調。悪夢のような激しさ。
14. 第6楽章 アレグロ [2'06]
ト短調。夜明け、あるいは覚醒。
◆ピッコロ協奏曲 ト長調 RV435 [6'57]
当時流行し始めていたギャラント様式を先取りしたような、洗練された優雅さを持っています。
15. 第1楽章 アレグロ [2'27]
ト長調。4/4拍子。リトルネッロ形式。明るく開放的な響きで始まります。過度な奇抜さや描写性はなく、旋律の均整と美しさが重視。独奏パートも、技術的な誇示よりはカンタービレと優雅なアーティキュレーションが求められる内容となっています。
16. 第2楽章 ラルゴ [2'12]
ト長調。3/4拍子。アリア形式。多くのヴィヴァルディの緩徐楽章が短調を採用する中で、この楽章は比較的明るい響きを保っています。装飾を削ぎ落としたシンプルな旋律線は、古典派音楽への接近を感じさせます。
17. 第3楽章 アレグロ [2'18]
ト長調。2/4拍子。リトルネッロ形式。軽快なリズムに乗って、洗練されたフィナーレを迎えます。
◆ピッコロ協奏曲 ハ長調 RV443 [11'44]
1728年から1729年頃の作曲と推測されています。ピエタ慈善院での演奏会のために作曲された可能性が極めて高い作品。
18. 第1楽章 アレグロ [3'51]
ハ長調。4/4拍子。リトルネッロ形式。華麗な分散和音、トリル、高音域の跳躍。ハ長調の輝かしいトゥッティで幕を開けます。独奏楽器は登場と同時に、急速な16分音符のパッセージと広い音域を行き来するアルペッジョを展開。特に高音域でのトリルは、楽器の機能限界に近い超絶技巧であり、ソリストの指回りの速さとブレスコントロールが試されます。
19. 第2楽章 ラルゴ [4'59]
ホ短調。12/8拍子。二部形式。シチリアーナ風のパストラーレで、牧歌的で哀愁を帯びた雰囲気。独奏楽器は、弦楽器の穏やかな伴奏の上で、装飾音をふんだんに用いたカンタービレ旋律を奏でます。ここでは、急速なパッセージではなく、音色の純粋さとフレージングの美しさが焦点となります。
20. 第3楽章 アレグロ・モルト [2'54]
ハ長調。3/4拍子。リトルネッロ形式。極めて技巧的なフィナーレ。弦楽器による力強いリズムの呈示に続き、独奏楽器が「鳥のさえずり」を模倣するかのような高音のトリルと跳躍を繰り返します。終盤にかけて音楽は加速感を増し、圧倒的な高揚感の中で曲を閉じます。
フランチェスコ・グッジョーラ(ピッコロ)
アンサンブル・オーケストラ・ファルネジアーナ
└ルチア・ザノーニ(ヴァイオリン)
└ガブリエレ・スキアーヴィ(ヴァイオリン)
└マルチェッロ・スキアーヴィ(ヴィオラ)
└ジャンルカ・ムッツォロン(チェロ)
└ピエルマリオ・ムレッリ(コントラバス)
└フランツ・シルヴェストリ(チェンバロ)
録音:2024年9月29日
場所:イタリア、ベルナレッジョ、バルトーク・スタジオ
演奏者情報
フランチェスコ・グッジョーラ(ピッコロ)
【生地】
◆生年月日と生地・背景フランチェスコ・グッジョーラはイタリア出身のフルートおよびピッコロ奏者である。
正確な生年月日は非公開だが、経歴から1980年代半ばから後半の生まれと推測される。
イタリアにおける管楽器奏者のエリートコースを歩んできた人物である。
【学業】
◆学んだ学校・師事歴学校・機関場所師事文脈G. カンテッリ音楽院ノヴァーラ(伊)R. Montrucchio基礎教育。
スイス・イタリア語圏音楽院ルガーノ(瑞)Mario Ancillottiフルートの巨匠アンチロッティに師事し、表現力を磨く。
チューリッヒ芸術大学チューリッヒ(瑞)Matthias Ziegler現代奏法や特殊管(コントラバスフルート等)でも知られるツィーグラーより、ピッコロの高度な技術を習得。
【賞歴】
◆出場したコンクールと結果2013年: セヴェリーノ・ガッゼロ−ニ国際フルートコンクール(Concorso Internazionale S. Gazzelloni)のピッコロ部門において特別賞を受賞。
【仕事】
◆演奏経歴グッジョーラは、オペラ発祥の地イタリアにおいて、最も権威ある劇場の首席奏者の地位にある。
オーケストラ: 2018年より、ミラノ・スカラ座管弦楽団(Orchestra del Teatro alla Scala) および スカラ座フィルハーモニー管弦楽団 の ソロ・ピッコロ奏者 を務める。
これはピッコロ奏者として世界最高峰のポストの一つである。
客演: それ以前には、カルロ・フェリーチェ劇場(ジェノヴァ)、アレーナ・ディ・ヴェローナ、トスカニーニ財団管弦楽団、チューリッヒ・フィルハーモニアなどで演奏。
指揮者との共演: リッカルド・シャイー、ズービン・メータ、ワレリー・ゲルギエフ、ダニエル・ハーディングら、世界的巨匠の指揮下で演奏を行っている。
教育: スカラ座アカデミー(Accademia della Scala) およびノヴァーラ音楽院でピッコロの指導にあたっている。
【録音】
◆ディスコグラフィーFalaut: イタリアのフルート専門誌「Falaut」付録CDに2回参加。
スカラ座: スカラ座管弦楽団の一員として、DeccaやSony Classical等の多数のオペラ・交響曲録音および映像作品に参加している。
アンサンブル・オーケストラ・ファルネジアーナ
└
ルチア・ザノーニ(ヴァイオリン/上段左端/© Antonio Bianchi)
└
ガブリエレ・スキアーヴィ(ヴァイオリン/上段中央/© Lucrezia Roda)
└
ジャンルカ・ムッツォロン(チェロ/上段右端/© Sauro Sorana)
└
マルチェッロ・スキアーヴィ(ヴィオラ/下段左端/© Alessandro Devinu)
└
フランツ・シルヴェストリ(チェンバロ/下段中央/© Accademia Montis Regalis)
└
ピエルマリオ・ムレッリ(コントラバス/下段右端/© Guido Murelli)
トラックリスト
CD [58'05]
アントニオ・ヴィヴァルディ(1678-1741)
◆ピッコロ協奏曲 ハ長調 RV444 [9'55]
1. 第1楽章 アレグロ・モルト [4'58]
2. 第2楽章 ラルゴ [2'01]
3. 第3楽章 アレグロ・モルト [2'56]
◆ピッコロ協奏曲 イ短調 RV445 [11'11]
4. 第1楽章 アレグロ [4'58]
5. 第2楽章 ラルゲット [2'45]
6. 第3楽章 アレグロ [3'28]
◆ピッコロ協奏曲 ニ長調 RV428「ごしきひわ」 [9'43]
7. 第1楽章 アレグロ [3'42]
8. 第2楽章 カンタービレ [3'03]
9. 第3楽章 アレグロ [2'58]
◆ピッコロ協奏曲 ト短調 RV439「夜」 [8'24]
10. 第1楽章 ラルゴ [1'50]
11. 第2(2&3)楽章 幽霊:プレスト・エ・ラルゴ [2'01]
12. 第3(4)楽章 プレスト [1'04]
13. 第4(5)楽章 眠り:ラルゴ [1'23]
14. 第6楽章 アレグロ [2'06]
◆ピッコロ協奏曲 ト長調 RV435 [6'57]
15. 第1楽章 アレグロ [2'27]
16. 第2楽章 ラルゴ [2'12]
17. 第3楽章 アレグロ [2'18]
◆ピッコロ協奏曲 ハ長調 RV443 [11'44]
18. 第1楽章 アレグロ [3'51]
19. 第2楽章 ラルゴ [4'59]
20. 第3楽章 アレグロ・モルト [2'54]
フランチェスコ・グッジョーラ(ピッコロ)
アンサンブル・オーケストラ・ファルネジアーナ
└ルチア・ザノーニ(ヴァイオリン)
└ガブリエレ・スキアーヴィ(ヴァイオリン)
└マルチェッロ・スキアーヴィ(ヴィオラ)
└ジャンルカ・ムッツォロン(チェロ)
└ピエルマリオ・ムレッリ(コントラバス)
└フランツ・シルヴェストリ(チェンバロ)
録音:2024年9月29日
場所:イタリア、ベルナレッジョ、バルトーク・スタジオ
Track list
Antonio Vivaldi 1678-1741
Piccolo Concertos
Concerto in C RV444
for piccolo, strings and B.C.
1. I. Allegro molto 4'58
2. II. Largo 2'01
3. III. Allegro molto 2'56
Concerto in A minor RV445
for piccolo, strings and B.C.
4. I. Allegro 4'58
5. II. Larghetto 2'45
6. III. Allegro 3'28
Concerto in D RV428 “Il gardellino"
for piccolo/flute, strings and B.C.
7. I. Allegro 3'42
8. II. Cantabile 3'03
9. III. Allegro 2'58
Concerto in G minor RV439 “La notte"
for piccolo/flute, strings and B.C.
10. I. Largo 1'50
11. II. FANTASMI Presto e Largo 2'01
12. III. Presto 1'04
13. IV. IL SONNO Largo 1'23
14. VI. Allegro 2'06
Concerto in G RV435
for piccolo/flute, strings and B.C.
15. I. Allegro 2'27
16. II. Largo 2'12
17. III. Allegro 2'18
Concerto in C RV443
for piccolo, strings and B.C.
18. I. Allegro 3'51
19. II. Largo 4'59
20. III. Allegro molto 2'54
Francesco Guggiola piccolo
Ensemble dell'Orchestra Farnesiana
(Members and guests of the Orchestra del Teatro alla Scala)
Lucia Zanoni, Gabriele Schiavi violins
Marcello Schiavi viola
Gianluca Muzzolon cello
Piermario Murelli double bass
Franz Silvestri harpsichord
Recording: 29 September 2024, BartokStudio, Bernareggio(MB), Italy