
ザクセン選帝侯宮廷の最後の輝きを伝える優雅な音楽
ビンダー:チェンバロのための6つのソナタ
パオロ・ガッゾーラ(チェンバロ)
【概要】激動期のドレスデン宮廷で4代のザクセン選帝侯に仕えた音楽家クリストリープ・ジークムント・ビンダー(1723–1789)は、バロック後期からギャラント様式の時期にまたがって活動。1763年に即位したフリードリヒ・アウグスト3世がチェンバロ演奏に秀でた音楽好きだったため、ビンダーも数々のチェンバロ作品を書くことになり、ここに収められた「チェンバロのための6つのソナタ」の誕生に繋がっています。
【作品】ザクセン選帝侯妃アウグスタ・アマーリアに献呈されているため、1770年以降に書かれたと推測されている曲集。創意に富み明確な旋律による心地よく優雅で華やか、緩急自在な音楽が楽しめます。
【演奏】イタリアの若手、パオロ・ガッゾーラが、有名なフランス式2段鍵盤チェンバロであるタスカン1769年モデルのレプリカで美しい音を響かせています。
【録音】2024年4月にイタリア北部、ピアチェンツァ県ムチナッソの聖トマス使徒教会で収録。
【仕様】CD収録時間は約67分。ケースは10mm厚のポリスチレン製(ジュエルケース)。ブックレット (英語・8ページ)には、演奏のガッゾーラによる解説などが掲載。EU製で、ディスクはメジャー・レーベルでもおなじみの独オプティマル・メディアが製造。
Brilliant Classics ・
Piano Classics ・
Berlin Classics ・
Neue Meister
作曲者情報
クリストリープ・ジークムント・ビンダー (1723–1789)
【生地】◆1723年7月29日、ザクセン選帝侯領ドレスデンに誕生。当時のドレスデンの人口は約5万人で、ドイツ地域では大きな都市でした。
【家族】◆父方の一族は、ザクセン選帝侯領ナウムブルクで「シュタットファイファー(町の笛吹き)」と呼ばれる町の楽士を務めており、父ヨハン・ゴットフリート(1704–1740)は約150q東に位置するドレスデンに移住して、士官候補生団のオーボエ奏者を務めていた19歳の時に息子クリストリープ・ジークムント・ビンダーが生まれています。
◆1754年(歳):王立建築検査官の娘エレオノーレ・ゾフィーと結婚。ドレスデンで作曲家およびオルガン奏者として活動したアウグスト・ジークムント・ビンダー(1761-1815)、ヴァイマールで楽器製作者となり、ハープを製作していたカール・ヴィルヘルム・フェルディナント・ビンダー(1764-?)など9人の子供が誕生。
【修業】◆ザクセン選帝侯フリードリヒ・アウグスト1世(1670-1733)のドレスデン宮廷に少年合唱団員として所属。パンタレオン・ヘーベンシュトライト(1668-1750)から音楽教育を受けたと考えられています。
◆師のヘーベンシュトライトは、自身で発明した長さ3メートル近い特殊なダルシマー仕様の楽器「パンタレオン」の演奏でルイ14世からも称えられるなど一世を風靡し、ザクセン選帝侯フリードリヒ・アウグスト1世のドレスデン宮廷で1714年に年俸1,200ターラー(約900万円相当)で雇われ、パンタレオン演奏と指導、宮廷オルガニストとプロテスタント典礼の指揮者として活動、1740年にはフリードリヒ・アウグスト2世から枢密顧問官の称号を授与されるなど2代の選帝侯から長期に渡って厚遇、1750年に81歳11か月でドレスデンで亡くなっています。
◆1742年以降、ビンダーは非常に演奏が難しい楽器であるパンタレオンを研究し、演奏法を修得。
【仕事】◆ザクセン選帝侯フリードリヒ・アウグスト1世のドレスデン宮廷で少年合唱団員として活動。
◆1733年2月1日、ザクセン選帝侯フリードリヒ・アウグスト1世崩御。
◆1733年2月1日、息子のフリードリヒ・アウグスト2世(1696-1763)がザクセン選帝侯に即位。
◆1751年(歳):ドレスデン宮廷にパンタレオン奏者として雇用され、のちにチェンバロとオルガンに転向。
◆1763年10月5日、ザクセン選帝侯フリードリヒ・アウグスト2世崩御。
◆1763年10月5日、息子のフリードリヒ・クリスティアン(1722-1763)がザクセン選帝侯に即位。
◆1763年12月7日、ザクセン選帝侯フリードリヒ・クリスティアン(1722-1763)が在位2か月目に天然痘により崩御。
◆1763年12月7日、息子のフリードリヒ・アウグスト3世(1750-1827)が12歳11か月でザクセン選帝侯に即位。チェンバロ演奏に並外れた技量を持った音楽好きの君主で、チェンバロ楽譜のコレクションも大規模。
◆1764年(歳):ドレスデン宮廷教会(ドレスデン聖三位一体大聖堂)の第2オルガン奏者に就任。第1オルガン奏者はヨハン・クリストフ・リヒター(1700-1785)で、同じくヘーベンシュトライトの弟子でパンタレオン奏者の大先輩。オルガンはゴットフリート・ジルバーマン(1750-1755)が製作したもので、ジルバーマンはヘーベンシュトライトの楽器、パンテオンの複製を製作してもいました。
◆1787年(歳):ドレスデン宮廷教会(ドレスデン聖三位一体大聖堂)の第1オルガン奏者に就任。
【収録作品】◆「チェンバロのための6つのソナタ」。作曲時期は不明ですが、ザクセン選帝侯妃アウグスタ・アマーリア(1752-1828)に献呈されており、アマーリアが選帝侯と結婚したのが1769年であることから、1770年以降の作曲であると考えられています。手稿譜はドレスデンのザクセン州立図書館が所蔵。
【その他の作品】◆「チェンバロのための6つのソナタ Op.1」、「チェンバロのための6つのディヴェルティメント」、「フルートとヴァイオリンのための13のソナタ」、「5つのディヴェルティメント」、「2つのヴァイオリン、チェンバロ、チェロのための四重奏曲」、「オルガンのための72のコラール前奏曲」のほか、チェンバロ協奏曲、管弦楽曲など。
【没地】◆1789年1月1日、ドレスデンで死去。65歳。
演奏者情報
パオロ・ガッゾーラ (チェンバロ)
【生地】1992年(歳):イタリア北部、ピアチェンツァに誕生。
【学業】イタリア北部のコモ音楽院で、オルガン、チェンバロ、合唱指揮と作曲を学び、さらに、スイス・イタリア音楽院でオルガン演奏の音楽演奏修士号を取得。
【仕事】チェンバロ、オルガンのソロのほか室内楽でも演奏。スイスのヴィンタートゥールにあるイタリア語カトリック宣教団のオルガニストを務めるほか、コモのルイージ・ピッキ教区音楽・典礼学校でオルガンを指導。
【録音】CDは、Brilliant Classicsなどから発売。
トラックリスト (収録作品と演奏者)
CD 67'32
クリストリープ・ジークムント・ビンダー (1723-1789)
6つのチェンバロ・ソナタ
ソナタ第1番ト長調
1. 第1楽章 アレグロ 5'48
2. 第2楽章 ロンド 2'45
ソナタ第2番ヘ長調
3. 第1楽章 アレグロ・マ・ノン・タント 7'27
4. 第2楽章 アレグロ 2'45
ソナタ第3番ニ長調
5. 第1楽章 アレグロ・マ・ノン・タント 4'50
6. 第2楽章 メヌエット 3'40
ソナタ第4番変ホ長調
7. 第1楽章 アレグロ・コン・スピリト 6'41
8. 第2楽章 アンダンテ 5'10
9. 第3楽章 ロンド 2'11
ソナタ第5番変ロ長調
10. 第1楽章 アレグロ・コン・スピリト 7'15
11. 第2楽章 アレグレット 3'39
12. 第3楽章 ロンド 2'32
ソナタ第6番イ長調
13. 第1楽章 アレグロ 6'12
14. 第2楽章 アンダンテ 3'22
15. 第3楽章 ロンド 3'07
パオロ・ガッゾーラ(チェンバロ/マスケローニ製作タスカン1769年モデル)
録音:2024年4月
場所:イタリア、エミリア=ロマーニャ州、ピアチェンツァ県、ムチナッソ、聖トマス使徒教会(ピアチェンツァ・ボッビオ教区)。
Track list
Christlieb Siegmund Binder 1723-1789
6 Harpsichord Sonatas
Sonata No.1 in G
1. I. Allegro 5'48
2. II. Rondeau 2'45
Sonata No.2 in F
3. I. Allegro ma non tanto 7'27
4. II. Allegro 2'45
Sonata No.3 in D
5. I. Allegro ma non tanto 4'50
6. II. Tempo di minuetto 3'40
Sonata No.4 in E flat
7. I. Allegro con spirito 6'41
8. II. Andante 5'10
9. III. Rondeau 2'11
Sonata No.5 in B flat
10. I. Allegro con spirito 7'15
11. II. Allegretto 3'39
12. III. Rondeau 2'32
Sonata No.6 in A
13. I. Allegro 6'12
14. II. Andante 3'22
15. III. Rondeau 3'07
Paolo Gazzola harpsichord
Mascheroni harpsichord by P. Taskin, 1769
Recording: April 2024, Church of St. Thomas the Apostle, Mucinasso (Piacenza), Italy