迫力あるタンブーランを4曲(約13分)収録!
ヴェラス:クラヴサン曲集、世界初録音
シモーネ・ピエリーニ(チェンバロ)
1740年にパリで出版されたこの「クラヴサン曲集」の楽譜の表紙には、作曲者ヴェラスの名のすぐ下に、「フランドル地方リールの聖モーリス教会オルガン奏者」と記載されており、表紙の最下部には、「もし皆様に喜ばれる幸運に恵まれたなら、今後も次々と多くの作品を世に送り出すつもりです。」などと書かれてもいます。
つまり、ヴェラスはまだまだ元気だったようなのですが、調べたところ、聖モーリス教会の埋葬記録には、1742年11月12日の日付が記載されているので、ヴェラスは喜びの初出版から2年ほどで亡くなってしまったことになります。
現時点でヴェラスの生涯についてわかっているのはこのくらいですが、このクラヴサンのためのオルドル(組曲)集を聴くと、特にタンブーランが面白いので、その早すぎた死がとても残念に思えます。
リール
楽譜の表紙には「フランドル地方リール」と書かれているのですが、背景には、リールが包囲戦によってフランス領になったのが、ヴェラスの生まれる四半世紀ほど前のことで、それ以前はスペイン(ハプスブルク)領フランドルだったことや、ヴェラスが18歳頃の1708年には再びリール包囲戦がおこなわれ、今度はオーストリア(ハプスブルク)とイギリスの連合軍が勝利し、ヴェラスが23歳頃の1713年にフランスに返還されるまでヨーロッパ連合に支配されるなど、ややこしい歴史の渦に巻き込まれた町だった事情がありそうです。
とはいえ、すでにフランス領になって27年も経つのに、敢えてフランドルと書くのはやはりその長い歴史への誇りでしょうか。
Brilliant Classics ・
Piano Classics ・
Berlin Classics ・
Neue Meister
演奏者情報
シモーネ・ピエリーニ(チェンバロ)
1996年、ローマで誕生。フル・ネームは、シモーネ・エル・ウーフィル・ピエリーニ。8歳でピアノを始め、18歳で高校を卒業後、ローマ聖チェチーリア音楽院でマウラ・パンシーニに師事してピアノのディプロマを取得。その後、フィエーゾレ音楽院でエリソ・ヴィルサラーゼに師事し、ボリス・ベルマン、ニコライ・デミジェンコ、パーヴェル・ギリロフらのマスタークラスにも参加。
その後、アレクセイ・リュビモフ、アンドレアス・シュタイアー、トビアス・コッホ、コスタンティーノ・マストロプリミアーノ、ステファノ・フィウッツィの講座やマスタークラスに参加したほか、FIMA(イタリア古楽財団)で、アンドレア・コーエンにチェンバロと歴史的鍵盤楽器奏法を、ジョヴァンニ・トーニに通奏低音を師事。
CDは、Brilliant Classicsからジェルヴェ=フランソワ・クープランの鍵盤楽器作品集(フランス革命恐怖政治終焉後の過激な自由を描写した「レザンコヤブル」と「レ・メルヴェイユーズ」も収録した注目の録音。「クープラン・ダイナスティ」に収録)、エレーヌ・モンジュルー:ピアノ・ソナタ全集、ケルビーニ:フォルテピアノ・ソナタ集、ティナッツォリ:鍵盤楽器作品全集、テッサリーニ:アレッタメント集、Da Vinci Classicsからメンデルスゾーン:ヴァイオリンとフォルテピアノのためのソナタ全集がリリース。
楽器製作者情報
ジューリオ・フラティーニ
「バッハ・チェンバロ」でも知られる北ドイツのチェンバロ製作者ミヒャエル・ミートケ[c.1656-1719]の楽器を参考に2014年に製作されたチェンバロを使用。製作者のジューリオ・フラティーニは、イタリア中部のフェルモに2008年から工房を構える人物で、これまでに数多くのチェンバロやフォルテピアノ、オルガンの製作・修復をおこなっています。
トラックリスト (収録作品と演奏者)
CD 72'36
フィリップ=フランソワ・ヴェラス (c.1690-1742)
第4オルドル
1. 笑う者 2'59
2. 貴婦人 5'16
3. 第1リゴドン、第2リゴドン 2'27
4. 美しいアイデア。ロンドー 1'36
5. ラ・ガンゲット 2'44
第3オルドル
6. ル・レディキュル 3'44
7. 忠実な女 2'51
8. 光明の女 3'02
9. 第1タンブーラン、第2タンブーラン 5'16
10. 美しい女 3'09
11. 野蛮な女 2'34
第2オルドル
12. 陽気な女 2'20
13. 雄鶏 2'49
14. 公爵夫人 2'06
15. ラ・ギャラント 1'26
16. サラバンド 4'11
17. 第1タンブーラン、第2タンブーラン 3'31
第1オルドル
18. 第1バディーヌ、第2バディーヌ 6'02
19. レ・ブルネス、レ・ブルネ 4'45
20. ラ・ヴォリアント、イタリア風 2'55
21. 羊飼いの女たち 2'33
22. 第1タンブーラン、第2タンブーラン 2'26
23. 第3タンブーラン(第1メヌエット)、第4タンブーラン(第2メヌエット) 1'41
シモーネ・ピエリーニ(チェンバロ)
使用楽器:ミヒャエル・ミートケに倣ってジュリオ・フラティーニが制作したチェンバロ(A=415Hz)
録音:2022年10月3〜5日、イタリア、ラツィオ州、ローマ県、モンテ・コンパトリ、パラッツォ・アンニバルデスキ
Track list
Philippe-François Véras (c.1690-1742)
Pièces de Clavecin
Quatrième Ordre
1. La Riante 2'59
2. La Milordine 5'16
3. 1er Rigaudon, 2e Rigaudon 2'27
4. La Belle Idée. Rondeau 1'36
5. La Ginguette 2'44
Troisième Ordre
6. Le Rédiculle 3'44
7. La Fidelle 2'51
8. La Légère 3'02
9. 1er Tambourin, 2e Tambourin 5'16
10. La Belle 3'09
11. Les Sauvages 2'34
Deuxième Ordre
12. La Divertissante 2'20
13. Le Cocquelet 2'49
14. La Duchesse 2'06
15. La Galante 1'26
16. Sarabande 4'11
17. 1er Tambourin, 2de Tambourin 3'31
Premier Ordre
18. 1er Badine, 2de Badine 6'02
19. Les Brunnes, Les Brunais 4'45
20. La Volliante, dans le gout italien 2'55
21. Les Bergeres 2'33
22. 1er Tambourin, 2e Tambourin 2'26
23. 3e Tambourin (1er Menuet), 4me Tabourin (2e Menuet) 1'41
Simone Pierini harpsichord
Harpsichord by Giulio Fratini after Michael Mietke.
A = 415 Hz, temperament ordinaire, 1/5 syntonic comma
Recording: 3-5 October 2022, Palazzo Annibaldeschi, Monte Compatri, Italy