回復の希望に満ちた「砂丘の家」とパリ音楽院時代の作品を収録
デュポン:「砂丘の家」「2つのバレエ・アリア」「アルバムの綴り」
ジュゼッペ・タッコーニャ (ピアノ)
サナトリウムで療養中に書いたピアノ曲集「病める時」で知られるフランスの作曲家、ガブリエル・デュポン[1878-1914]は、結核のため36歳で亡くなっていますが、サナトリウム療養の後は、ノルマンディーのアルカションとパリ近郊のル・ヴェジネの長期滞在型医療施設を行き来する生活となり、そのアルカションで1908年から1909年にかけて作曲したのがピアノ曲集「砂丘の家」です。
今回のアルバムでは、夢も希望もある曲調の「砂丘の家」のほかに、パリ音楽院時代、まだ健康だった頃の洒落た作品を収録。
装丁はディジパック仕様で、ブックレット(英語・8ページ)にはタッコーニャによる解説を掲載。
楽譜の冒頭にはニーチェの言葉
デュポンの回復具合を示すかのように、楽譜には「ツァラトゥストラはこう語った」からツァラトゥストラの言葉「澄み切った空と大海原を独り占め」が記されています。これは数々の苦難を乗り越えたツァラトゥストラが口にした言葉ですが、健康上の問題から長くつらい目にあっていたデュポンの心にも響いたのでしょう。
美しい海辺の生活
「砂丘の家」からは、波のリズム、朝の光、夕方のそよ風に揺れる松林、夜の波、海面に広がるヨットの帆、変わりゆく空模様、木々の間を吹き抜ける風、太陽の光と絶え間なく変化する波のきらめきが感じられ、砂丘の家に一人で住む人物の姿が示されています。 豊かな半音階和声を駆使した音楽はドラマティックで遊び心があり、興奮を呼び起こして感動的です。
デュポン研究者
演奏のジュゼッペ・タッコーニャはリストやラフマニノフなどロマン派、後期ロマン派のレパートリーを得意とするイタリアのピアニスト。タッコーニャはデュポンの調査・研究をおこなっており、ブックレットに自ら解説を執筆してもいます。
デュポンについて
兵役に就きながら準備して応募した1901年のローマ賞では、アンドレ・カプレが1位、デュポンが2位、ラヴェルが3位という結果で、活躍が期待されていました。しかしほどなく結核の発作に見舞われて療養生活を送ることとなってしまったため、あまり表舞台に出られなくなり、やがて36歳の若さでなくなってしまったのは不運でした。
デュポンとほぼ同世代のフランスの作曲家には、デュカス[1865-1935]、サティ[1866-1925]、ケクラン[1867-1950]、ルーセル[1869-1937]、フローラン・シュミット[1870-1958]、セヴラック[1872-1921]、アーン[1874-1947]、そしてラヴェル[1875-1937]、カプレ[1878-1925]などがおり、デュポンの音楽の形容詞としても、印象主義、象徴主義、ロマン主義、ベル・エポックといった言葉が用いられたりしています。
そうしたフランス近代の黄金時代、ライバルたちの活動に触発されながらも独自の道を歩んだデュポンの音楽に対して最近は理解も進み、CDでもピアノ曲やオーケストラ曲、声楽曲を聴けるようになったのは喜ばしい限り。
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演奏者情報
ジュゼッペ・タッコーニャ (ピアノ)
1991年5月20日生まれ。2011年、バーリのニコロ・ピッチンニ音楽院でグレゴリオ・ゴフレードの指導のもと、ピアノ・ディプロマを取得。ペスカーラ音楽院の専門コースにも通い、国内外のピアノ部門のあるコンクールに出場。ディ・ステーファノ・コンクール優勝、ジョルダーノ・コンクール優勝、トリカリコ・コンクール優勝、リア・トルトラ国際コンクール準優勝等の成果をあげています。
CDは、Piano Classicsなどから発売。

トラックリスト (収録作品と演奏者)
CD 65'09
ガブリエル・エデュアル・グザヴィエ・デュポン [1878-1914]
「砂丘の家」 [1908〜1909]
1. I. 「晴れた朝の砂丘で」 4'24
2. II. 「水上の帆」 5'01
3. III. 「追憶の家」 2'58
4. IV. 「兄は風、妹は雨」 4'33
5. V. 「幸福の憂鬱」 4'31
6. VI. 「波に遊ぶ太陽」 5'44
7. VII. 「松林の夕べ」 5'47
8. VIII. 「夜の海のざわめき」 4'26
9. IX. 「星空」 3'36
10. X. 「うねり」 9'12
「2つのバレエ・アリア」 [1895]
11. I. 「パヴァーヌ」 3'32
12. II. 「アリア」 2'15
「アルバムの綴り」 [1897]
13. I. 「ワルツ」 1'44
14. II. 「フゲッタ」 1'16
15. III. 「子守歌」 2'55
16. IV. 「舞踏の調べ」 2'47
ジュゼッペ・タッコーニャ (ピアノ)
録音:2024年2月24日、イタリア、モルフェッタ、DIGエリア・スタジオ
Track list
GABRIEL ÉDUARD XAVIER DUPONT 1878-1914
LA MAISON DANS LES DUNES
La maison dans les dunes [1908-9]
1 I. Dans les dunes, par un claire matin 4'24
2 II. Voiles sur l' eau 5'01
3 III. La maison du souvenir 2'58
4 IV. Mon frère le Vent et ma soeur la Pluie 4'33
5 V. Mélancolie du bonheur 4'31
6 VI. Le soleil se joue dans les vagues 5'44
7 VII. Le soir dans les pins 5'47
8 VIII. Le bruissement de la mer, la nuit 4'26
9 IX. Claire d'étoiles 3'36
10 X. Houles 9'12
Deux airs de ballet [1895]
11 I. Pavane 3'32
12 II. Aria 2'15
Feuillets d'album [1897]
13 I. Valse 1'44
14 II. Fughette 1'16
15 III. Berceuse 2'55
16 IV. Air à danser 2'47
Giuseppe Taccogna piano
Total time: 65'09
Recording: 24 February 2024, DIG Area Studios, Molfetta [BA], Italy