リース、フェルディナント(1784-1838)

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CD 輸入盤

クラリネット三重奏曲、ソナタ集 フラト・ヴェーフェルベルフ、ヤドランカ・ガスパロヴィチ、ワシリー・イリサフスキー

リース、フェルディナント(1784-1838)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
BRL96903
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
Holland
フォーマット
:
CD
その他
:
輸入盤

商品説明


三重奏曲アダージョはベートーヴェンへのオマージュ?!

フェルディナント・リース:クラリネット三重奏曲&ソナタ集
フラト・ヴェーフェルベルフ(クラリネット)
ヤドランカ・ガスパロヴィチ(チェロ)
ワシリー・イリサフスキー(ピアノ)


驚くのは三重奏曲の第2楽章アダージョです(トラック3)。リースは19歳の時にベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を演奏して成功を収めており、ベートーヴェンもそのとき大喜びしたということなので、リースにとって最高に幸せな思い出だったのでしょう。同曲第2楽章のイメージが投影された美しい作品に仕上がっています(チェロのガスパロヴィチが凄いです)。
  ベートーヴェンゆかりの人物として知られるフェルディナント・リースは、実際には非常に優れた初期ロマン派音楽の作曲家で、そのことはロマン派時代に特に発達したクラリネットのための作品を聴けばよくわかります。特に「クラリネットとピアノのための感傷的ソナタ」はクラリネットの音色が多彩にうつろう表現と結びついた傑作です。
  演奏は知られざる作品の紹介に気を吐くオランダのヴェーフェルベルフらによるものです。

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 作曲者情報

◆ 1784年、ベートーヴェンの生家の近くで誕生

フェルディナント・リースは1784年11月28日にボンで誕生。ケルン選帝侯の宮廷音楽家の父は少年時代のベートーヴェンにヴァイオリンを教えたり、ベートーヴェン家を支援したりしていましたが、1794年にフランス革命軍がボンを襲撃して荒廃させ宮廷も解体したことで仕事が無くなってしまいます。しかし、父はさまざまな仕事をおこなって家計を支え、やがて息子をベートーヴェンの弟子にすべく1801年にウィーンに向けて送り出します。

◆ 1801年、ウィーンに滞在、ベートーヴェンの弟子兼マネージャー

16歳のリースはベートーヴェンからピアノを学ぶ一方で、マネージャーのような仕事もこなし、難聴になりつつあったベートーヴェンを助ける一方、ベートーヴェンからは自分の代わりにコンサートでピアノを弾くように言われ、ピアニストとしての活動も始めていました。

◆ 1805年、フランス軍による徴兵通知

ベートーヴェンや周囲のパトロンとの良好な関係が続いているさなか、故郷ボンを占領中のフランス軍から1805年11月に徴兵の知らせが届き、リースはウィーンを去らなければならなくなります。徴兵検査は視力の問題で失格となり、フランス軍に参加せずに済みました。

◆ 1805年、ボンで作曲活動

リースはボンにそのまま1年ほど滞在して作曲家になる道を模索。ジムロック社から出版してもいましたが、まだまだ復興途中で、フランス軍も駐屯するボンではあまり音楽需要がありませんでした。

◆ 1807年、パリに滞在

1807年の始め、リースは現状を打開すべく、プロイセン軍とロシア軍を撃破して戦勝に沸く皇帝ナポレオンのパリに移って活動を開始。しかし1年半ほど滞在したものの、敵国人の音楽家には、演奏でも作曲でも需要はありませんでした。


◆ 1808年、ウィーンに滞在

1808年8月、ウィーンに3年ぶりに戻ってベートーヴェンとの再会を喜びます。しかし、9か月後の1809年5月にはナポレオンがウィーンに無血入城。今度はオーストリア軍からの徴兵の可能性があったため、リースはウィーンを離れることとなります。

◆ 1809年、ボンに滞在

リースはいったん故郷ボンに戻って1年半ほど過ごしており、クラリネット・ソナタ Op.29[1809]と、クラリネット三重奏曲 Op.28[1810]はこの時期に書かれています。
◆ 1811年、その後

ロシア北欧ツアー(2年)、ロンドン(11年)、ボン(3年)、フランクフルト(10年)と移り住み、1838年1月13日にフランクフルトで53歳で死去。
  リースがベートーヴェンと一緒だったのは、最初のウィーン滞在の4年間と2度目の滞在時の9か月で、計4年9か月ということになります。

 作品情報

クラリネット・ソナタ Op.29[1809]と、クラリネット三重奏曲 Op.28[1810]は、ナポレオンのウィーン無血入城に伴い、ウィーンを離れて故郷ボンに滞在していた時に作曲されたと推測されています。
  一方、クラリネットとピアノのための感傷的ソナタ Op.169は、自筆譜1ページ目の右上に「ゴーデスベルク 1814」と書かれているものの、当時はリースはすでにロンドンで暮らしていたため、場所か年代のどちらか、あるいは両方の記入ミスの可能性が高いようです。
  また1834年に出版されたペータースからの初版では、第1楽章に短い序奏が追加されたほか、ほかもずいぶん書き直され、熟達した筆致が反映されている印象で、非常に充実した仕上がりとなっています(このCDでの演奏でも出版譜を使用)。


 演奏者情報

◆ フラト・ヴェーフェルベルフ(クラリネット)

1977年生まれ。忘れ去られた作曲家や音楽・楽譜の再発見と演奏に注力し、これらのテーマについてレクチャー・リサイタルも行っています。また、アントワープ王立音楽院でバス・クラリネットの講師を務めるほか、2012年にはディレクターとして「Terra Nova Collective」を設立。ユニークなレパートリーに挑戦する冒険的な意欲を持った、柔軟な編成のグループを作るためにミュージシャンを厳選。


◆ ヤドランカ・ガスパロヴィチ(チェロ)

ザグレブ生まれ。ザグレブ音楽アカデミーとケルン音楽大学学校で学び、国内外のコンクールで入賞。ワールド・ユース・オーケストラ、ユンゲ・ドイチェ・フィルハーモニーで首席奏者を歴任。
  王立フランドル歌劇場管弦楽団首席奏者、ソリスト、室内楽奏者として活動。


◆ ワシリー・イリサブスキー(ピアノ)

1972年、レニングラードで誕生。6歳で初めてピアノのレッスンを開始。レニングラード音楽院でピアノ、作曲、チェンバロを学んだ後、1991年同大学院に進学し、イェレナ・ヴラジロヴナ・シシコ[1937-2001]教授に師事。翌年、第1回国際プロコフィエフ・コンクールに入賞し、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー協会に所属、ソリストとしてのキャリアをスタート。サンクトペテルブルク・フィルとも何度か共演しています。
  1990年代初頭には、アルス・コンソーニ・バロック・アンサンブルでチェンバロも演奏し、1994年にはウルムのシュタットハウスでドイツ・デビュー。1995年にガルトフ財団(ハンブルク)から奨学金を獲得し、シュトゥットガルト音楽大学でオレグ・マイゼンベルクに師事。1997年、デュッセルドルフの「クララ・シューマン・コンクール」で受賞。
  1999年以降、ワシリーは再び歴史的な楽器演奏に目を向け、エッカート・ゼルハイム、バルト・ファン・オールトらに師事。



 トラックリスト(収録作品と演奏者)

フェルディナント・リース[1784-1838]
クラリネット三重奏曲&ソナタ集
◆ クラリネット、チェロとピアノのための三重奏曲 ト短調 Op.28[1810]
1. 第1楽章 アレグロ 9:30
2. 第2楽章 スケルツォ.アレグロ・ヴィヴァーチェ 4:45
3. 第3楽章 アダージョ 3:40
4. 第4楽章 ロンド.アレグロ・マ・ノン・トロッポ 6:40

◆ クラリネットとピアノのための感傷的ソナタ 変ホ長調 Op.169[1814]
5. 第1楽章 アレグロ・モデラート 6:30
6. 第2楽章 アダージョ・コン・モート 5:45
7. 第3楽章 ロンド.アレグロ 6:27

◆ クラリネットとピアノのためのソナタ ト短調 Op.29[1809]
8. 第1楽章 アダージョ〜アレグロ 12:35
9. 第2楽章 アダージョ・コン・モート 4:32
10.第3楽章 アダージョ〜アレグロ・ノン・トロッポ〜プレスティッシモ 7:16

  フラト・ヴェーフェルベルフ(クラリネット)
  ヤドランカ・ガスパロヴィチ(チェロ)
  ワシリー・イリサフスキー(ピアノ)

  録音 2006年9月17〜19日、ベルギー、アントワープ
  プロデューサー:フラト・ヴェーフェルベルフ
  エンジニア:フィクトル・ヒダルホ

 Track list

Ferdinand Ries 1784-1838
Clarinet Trio & Sonatas

Piano Trio in G minor Op.28 (1810)
for piano, clarinet & cello
1. I. Allegro 9:30
2. II. Scherzo. Allegro vivace 4:45
3. III. Adagio 3:40
4. IV. Rondo. Allegro ma non troppo 6:40

Sonate sentimentale in E-flat major Op.169(1814)
for clarinet & piano
5. I. Allegro moderato 6:30
6. II. Adagio con moto 5:45
7. III. Rondo. Allegro 6:27

Clarinet Sonata in G minor Op.29(1809)
for clarinet & piano
8. I. Adagio – Allegro 12:35
9. II. Adagio con moto 4:32
10. III. Adagio – Allegro non troppo – Prestissimo 7:16

Vlad Weverbergh, clarinet
Jadranka Gasparovic, cello
Vasily Ilisavsky, piano

Recording: 17-19 September 2006, The Location, Antwerpen, Belgium
Producer: Vlad Weverbergh
Engineer: Viktor Hidalgo

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