デュアルテ、ジョン・W(1919-2004)

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CD 輸入盤

管弦楽、協奏的作品集 ベルフォート・ギター・デュオ、ジャン・ルイージ・ザンピエーリ&ベルフォート室内管弦楽団

デュアルテ、ジョン・W(1919-2004)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
BRL96510
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
Holland
フォーマット
:
CD
その他
:
輸入盤

商品説明


英国ギター界の名物作曲家による多彩な音楽

ジョン・W・デュアルテ:作品集
ベルフォート・ギター・デュオ
ベルフォート室内管弦楽団
ジャン・ルイージ・ザンピエーリ(指揮)

科学技術者として働きながら音楽活動もおこない、54歳から専業音楽家として世界的に活躍したデュアルテの音楽から協奏的な作品を集めたアルバム。
  イギリス的な雰囲気も豊かな「チューダー朝の幻想」から、タイトル通り楽しい「陽気な協奏曲」まで、変化に富むスタイルの音楽を楽しむことができます。
  演奏はイタリア人ギタリスト2人と、イタリア人指揮者、イギリスの室内オーケストラによるものです。

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 作曲家情報 (簡易年表&作品表)

◆ 1919年、シェフィールドで誕生

10月2日、ジョン・ウィリアム・デュアルテ(デュワルテ、ドゥアルテとも)は、イギリス中部のシェフィールドで誕生。同年、ロンドン・スコティッシュ連隊将校の父親が死去したため、翌1920年4月、生後6か月で、マンチェスターにある母の実家に転居(マンチェスターはシェフィールドの西北西約50kmに位置)。

◆ 1934年、ギターに転向

デュアルテが最初に手にした楽器はピアノとウクレレで、ギターを手に入れたのは1934年のことでした。デュアルテはさっそくマンチェスター在住のクラシック&ジャズ・ギタリスト、テレンス・アッシャー[1909-1969]から指導を受けることになり、1935年1月から18ヶ月に渡って10回のレッスンを受け、ギター演奏のほか記譜法なども身に付けます。
  やがて、さまざまな楽器奏者との接触が増え、実際の演奏の場にも数多く参加するようになると、必要に迫られてダブルベースとトランペットの演奏法も習得。1930年代後半には、ダブルベース奏者として、ジャンゴ・ラインハルト[1910-1953]やコールマン・ホーキンス[1904-1969]と共演してもいます。
◆ 1936年、マンチェスター工科大学

マンチェスター・セントラル高校を1936年に卒業したデュアルテは、マンチェスター工科大学(現UMIST)に進み、繊維科学を専攻して1940年に優等学位を取て卒業。

  【ギター二重奏】
  1937年 「スライディン・アバウト」 WoO.11
  1938年 「ルンバ・スタディ」 WoO.13

◆ 1940年、軍需工場主任科学技術者

前年に第2次大戦が始まっていたため、デュアルテは卒業後すぐに軍需工場の主任科学技術者として働き、1943年には妻となったドロシー・セドンと出会ってもいます。

  【ギター独奏】
  1941年 「シャンソン」 Op.1-1
  1945年 「パストラーレ」 Op.2-1
  1945年 「前奏曲 ハ長調」 Op.3

◆ 1946年、マンチェスター・ギター・サークル設立

戦争が終わった翌年の1946年、デュアルテは恩師テリー・アッシャーと共に「マンチェスター・ギター・サークル」を設立(現在も存在)。クラシック・ギターに関する活動を組織的におこなうようになり、天才少年ジュリアン・ブリーム[1933-2020]や巨匠アンドレス・セゴビア[1893-1987]、レン・ウィリアムズ[1910-1987]とも交流が始まっています。レン・ウィリアムズはジョン・ウィリアムズ[1941- ]の父で、デュアルテはレンの依頼でジョンの指導を引き受けてもいました。
  1951年に第1子アイヴァーが誕生。デュアルテ家は1953年の途中までマンチェスターに居住。

  【ギター独奏】
  1947年 「ソナタ ニ長調〜ラルゲット」 Op.4
  1947年 「パストラーレ」 WoO.7
  1947年 「グラウンド・バスの瞑想曲(バッソ・オスティナートの瞑想曲)」 Op.5
  1947年 「6月に」 WoO.8
  1948年 「ミニアチュア組曲」 Op.6
  1949年 「マヌエル・M・ポンセの墓碑銘」 Op.7
  1949年 「3つのモダン・ミニアチュア」 Op.9
  1949年 「ラス・フォリアスによるシンプル・ヴァリエーションズ」 Op.10
  1950年 「前奏曲 ニ短調」 Op.12
  1950年 「前奏曲 イ短調」 Op.13
  1951年 「チェンジズ」 WoO.9
  1951年 「即興曲 変ホ長調」 Op.8

  【ギター二重奏】
  1950年 「6つの友情」よりシャンソン Op.14
  1950年 「6つの友情」 WoO.1

  【フルート&ギター】
  1950年 「ソナティナ」 Op.15

  【声&ギター】
  1950年 「ゆりかごの歌」 Op.16

◆ 1953年、デュアルテ家、ロンドンに転居

デュアルテと妻ドロシー、息子アイヴァーはロンドンに転居。アーリントン・プラスティックス開発株式会社の主任科学技術者として働く一方、レン・ウィリアムズの「スパニッシュ ・ギター・センター」で教えるようにもなります。
  化学の仕事と音楽の仕事の両方を得たデュアルテは、作曲にも力を入れるようになります。ギター独奏、フルート&ギター、声楽&ギター、弦楽三重奏&ギターの編成による作品を発表し、若きジョン・ウィリアムズは、「カタルーニャ民謡による変奏曲」などを初演。
  さらにデュアルテは、セゴビアの支援によりニューヨークの「ギター・レビュー」誌との提携を開始。コンサートやその他のイベントについてレポートや、技術的な記事などを執筆。
  また、1957年に第2子シルヴィア、1960年に第3子クリストファーが誕生しています。

  【ギター独奏】
  1955年 「シンプルな前奏曲」 Op.19-1
  1955年 「アッラ・ガヴォッタ」 Op.21
  1956年 「カタルーニャ民謡による変奏曲」 Op.25
  1957年 「3匹の盲目ねずみによる変奏曲」 Op.24
  1958年 「ソナチネ」 Op.27
  1958年 「コロラド・トレイルによる変奏曲」 Op.28
  1958年 「前奏曲 イ短調」 Op.29の1
  1960年 「朱色の塔による幻想曲とフーガ」 Op.30
  1962年 「イギリス組曲」 Op.31

  【声&ギター】
  1955年 「大人になった」 Op.20
  1957年 「2つの歌」 Op.23

  【ギター二重奏】
  1957年 「セレンジャーズ・ラウンドによる変奏曲」 Op.26
  1964年 「バディネリー」 Op.32a

  【ギター四重奏】
  1959年 「春のソナティネ」 Op.27a

  【ギター&弦楽三重奏】
  1956年 「協奏四重奏曲」 Op.22

◆ 1966年、デュアルテ、調査会社に転職

デュアルテは小さな調査会社に就職。10月にはセゴビアの2度目の結婚式のためのお祝いとして書いた「イギリス組曲」が、セゴビアによってロンドン南部クロイドンのフェアフィールド・ホールで初演されて注目されることになります。
  家庭に子供たちがいたデュアルテは、音楽教育にも力を入れるようになり、教育用の簡単なアレンジ楽譜の出版などもおこなっています。また、バッハの無伴奏チェロ組曲からの編曲がジョン・ウィリアムズとセゴビアによって録音されるなど編曲の仕事も増え、ダウランドなど多くのルネッサンス音楽にも取り組んでいます。

  【ギター二重奏】
  1966年 「フランスの童謡による変奏曲」 Op.32
  1967年 「カリヨン」 Op.33
  1967年 「絶え間なく」 Op.34
  1968年 「ギリシャ組曲」 Op.39

  【ギター独奏】
  1968年 「ソナチネ」 Op.35
  1968年 「プレリュード、カントとトッカータ」 Op.38

  【ギター四重奏】
  1968年 「オランダに行く」 Op.36

  【声&ギター】
  1968年 「5つの静かな歌」 Op.37

  【リコーダー&ギター】
  1969年 「4つのアメリカのダンス」 Op.40

◆ 1969年、デュアルテ、新聞・たばこ販売店を購入

デュアルテは調査会社を1969年に解雇。デュアルテ夫妻は、この際、音楽をメインにした方が良いという考えに至り、新聞・たばこ販売店を購入し、ロンドンのハイゲートに転居。これにより収入が確保されながらも時間ができ、デュアルテは作曲、編曲、記事の執筆などに多くの時間を費やせることになります。

  【ギター二重奏】
  1969年 「朱色の塔による幻想曲とフーガ」 Op.43
  1970年 「フーガの飛行」 Op.44

  【リコーダー&ギター】
  1970年 「3つのシンプルな無言歌」 Op.41

  【フルート&ギター】
  1971年 「喜びの踊り」 Op.42

  【ギター独奏】
  1969年 「古風な組曲」 Op.47
  1969年 「悪魔的練習曲」 Op.49
  1970年 「フーガの飛行」 Op.44
  1970年 「カルロス・アンドレスのための3つの無言歌」 Op.45
  1970年 「ピエモンテ組曲」 Op.46
  1971年 「抒情的ソナチネ(カステルヌオーヴォ=テデスコへのオマージュ)」 Op.48
  1972年 「準備万端(ヴェーベルンの)」 Op.51
  1972年 「スア・コーザ(ウェス・モンゴメリー追悼曲)」 Op.52

  【ギター&オーケストラ】
  1972年 「チューダー朝の幻想」 Op.50

◆ 1973年頃、デュアルテ、専業音楽家に

デュアルテは1973年までに新聞・たばこ販売店の売却を完了。54歳のデュアルテは、以後は音楽専業で生計を立てることになります。
  専業になって人脈が拡大したデュアルテのもとに、スウェーデンとオランダのギター・サマー・スクール講師としての招聘、オーストラリアとアメリカのマスタークラス、コンクールの審査員などの仕事が入るようになり、以後30年に渡ってこうした海外仕事を継続し、計29か国を訪れています。
  また、1974年には、「カニントン・ギター・サマー・スクール」のディレクターに就任し、以後、1993年まで20回に渡って重責を果たしています。
  音楽活動の時間を増やした甲斐があって、1970年代はデュアルテの作曲家としての需要と評価が高まり、実験的な方法の導入も演奏者に歓迎され始めます。
  1979年10月にはロンドンのウィグモア・ホールで、イギリス、アメリカ、チェコスロヴァキア、ベネズエラ、ドイツ、クロアチアのアーティストが出演し、デュアルテの60歳記念祝賀コンサートが開催。

  【ギター四重奏】
  1973年 「バラード」 Op.53
  1975年 「テントス」 Op.63
  1977年 「小組曲(第1番)」 Op.68
  1979年 「イギリス組曲第3番」 Op.78
  1979年 「二連祭壇画 第1番」 Op.80

  【ギター三重奏】
  1977年 「3つの三重奏曲」 Op.69

  【チェロ&ギター】
  1973年 「ミュージック・ホール」 Op.54

  【ギター独奏】
  1973年 「ノアの方舟の何人か」 Op.55
  1973年 「6枚の簡単な絵」 Op.56
  1974年 「トゥータンロンド」 Op.57
  1974年 「ディエス・イレの突然変異」 Op.58
  1974年 「ガリアード」 Op.58a
  1974年 「パルティータ第1番」 Op.59
  1974年 「小フランス組曲」 Op.60
  1974年 「フランス組曲」 Op.61

  1976年 「ナイト・ミュージック」 Op.65
  1977年 「鳥類」 Op.66

  【フルート&ギター】
  1976年 「ダンスの記憶」 Op.64
  1979年 「イギリス組曲第4番」 Op.82

  【ギター三重奏】
  1979年 「小組曲第2番」 Op.79
  1979年 「小組曲第3番」 Op.81

  【声&リュート】
  1977年 「ふたりが出会うとき」 Op.70

  【声&ギター】
  1992年 「ふたりが出会うとき」 Op.70a

  【ギター二重奏】
  1977年 「ダンスリー第1番1」 Op.71
  1979年 「イギリス組曲第2番」 Op.77
  1978年 「涙のないデュエット」 Op.74

  【ギター&チェンバロ】
  1978年 「インシエメ」 Op.72

  【ギター独奏】
  1978年 「手の届くところに(小さな手のための)」 Op.73
  1978年 「弦楽器の青春」 Op.75
  1979年 「アントニオ・ラウロへのオマージュ(3つのワルツ)」 Op.83

  【リュート独奏】
  1979年 「ダイアナ・ポールトン、彼女の即興曲」 Op.76

  【リコーダー&ギター】
  1979年 「イギリス組曲第4番」 Op.82

◆ 1980年代、国際的な知名度の獲得

70年代に本格化した海外での仕事は、80年代に入っても活発な状態が続き、カナダ、ニュージーランド、メキシコ、アメリカ、ギリシャ、ドイツ、スペイン、北欧諸国など30以上の国を訪問。
  デュアルテは音楽ジャーナリストとしても実績豊富で、ギター関係の出版物には長年に渡って記事を投稿しているほか、ギター音楽や古楽、スペイン音楽に関する専門知識が買われてグラモフォン誌でも執筆。
  特に注目されるのは、250を超えるレコードやCDのライナーノーツの執筆で、1980年にはセゴビアのEMI録音盤のライナーノーツでグラミー賞を受賞してもいました。
  デュアルテは、新人ギタリストの育成にも熱心で、この時期には、ハンガリーのシュテパーン・ラークや、チェコスロヴァキアのヴラディミール・ミクルカなど東欧出身者を手厚くサポートして演奏機会も提供。
  1989年10月にはロンドンのウィグモア・ホールで、イギリス、アメリカ、チェコスロヴァキア、ベネズエラ、ドイツ、クロアチアのアーティストが出演し、デュアルテの70歳記念祝賀コンサートが開催。

  【ギター三重奏】
  1980年 「スウェーデン民謡による変奏曲」 Op.84
  1982年 「夢」 Op.91
  1983年 「リヴァーボート組曲」 Op.94
  1983年 「小組曲第4番」 Op.95

  【ギター&弦楽四重奏】
  1980年 「ギター五重奏曲第1番」 Op.85

  【フルート&ギター】
  1980年 「二連祭壇画 第2番」 Op.86
  1982年 「プチ・ジャズ」 Op.92
  1989年 「サマセット・スイート」 Op.106

  【リコーダー&ギター】
  1982年 「プチ・ジャズ」 Op.92

  【ギター独奏】
  1980年 「ダンスリー第2番」 Op.87
  1980年 「3つの練習曲」 Op.88
  1981年 「ギリシャ組曲第2番」 Op.89
  1981年 「最初の5フレット」 Op.90
  1982年 「イダのための牧歌(イダ・プレスティへのオマージュ)」 Op.93
  1983年 「アメリカーナ」 Op.96
  1982年 「コラソン(ワルツ)」WoO.2
  1984年 「ジョン・ダウランドに敬意を表して」 Op.97
  1984年 「ソナティナ・デル・スール」 Op.98
  1985年 「シュテパーン・ラークの主題による変奏曲」 Op.100
  1986年 「ヌアージュ・パッサン(ジャンゴ・ラインハルトへのオマージュ)」 Op.102
  1986年 「パルティータ2番」 Op.104
  1988年 「シンプリー・ブルース」 Op.105
  1989年 「ミュージシャン」 Op.107

  【ギター四重奏】
  1992年 「アメリカーナ」 Op.96a

  【声とギター】
  1984年 「友人と恋人」 Op.99
  1987年 「ハーク、ハーク・ザ・アーク!」 Op.103

  【ギター2本&オーケストラ】
  1986年 「コンシエルト・アレグレ」 Op.101

◆ 1990年代、さらなる飛躍

海外での仕事は増え続け、ヨーロッパ、南北アメリカ、日本、マレーシアなどに加え、ソ連崩壊による影響で、ロシア、ブルガリア、チェコスロヴァキア、ルーマニア、セルビアなども訪問。1990年には、イギリスとチェコ、スロヴァキアの文化交流への貢献が称えられて駐ロンドンのチェコ大使から銀メダルが授与。
  また、1999年10月には、「ギター・ファンデーション・オブ・アメリカ」の大会で80歳になったデュアルテに「生涯功労賞」が贈られています。
  1999年10月にはロンドンのボリヴァー・ホールで、イギリス、ブラジル、ギリシャ、イタリアのアーティストが出演し、デュアルテの80歳記念祝賀コンサートが開催。

  【ギター四重奏】
  1990年 「コンチェルト・デモクラティコ」 Op.108

  【リコーダー&ギター】
  1991年 「アン・プチ・ビス」 Op.92a

  【ギター六重奏】
  1991年 「サマセット・フォーリーズ」 Op.109
  1992年 「カニントン・コラージュ」 Op.110
  1993年 「イギリス組曲第5番」 Op.112
  1994年 「ヘンリーの紫の小包」 Op.118
  1998年 「小組曲第5番」 Op.134

  【ギター五重奏】
  1993年 「バスウォーター・ミュージック」 Op.114
  1996年 「トレーシーのための曲」 Op.126
  1996年 「ポップスコッチ」 Op.122
  1998年 「小組曲第5番」 Op.134

  【ギター独奏】
  1992年 「北極組曲」 Op.111
  1993年 「ダンスリー第3番」 Op.113
  1994年 「幸せな結婚のために」 WoO.3
  1994年 「カンシオンと踊り(ルイス=ピポーへのオマージュ)」 Op.117
  1995年 「アパラチアン・ドリームス」 Op.121
  1995年 「ロシアナ」 Op.119
  1996年 「グバハンク(インドネシアの歌による変奏曲)」 Op.124
  1996年 「ゲタラン・ジワ(マレーシアの歌による変奏曲)」 Op.125
  1996年 「キルクロン」WoO.5
  1997年 「ロンドーのワルツ」 Op.128
  1998年 「ニキータ・コシキンのアンダンテによる変奏曲」 Op.129
  1998年 「ハイネ・エ・ハイネ」WoO.10

  【ギター二重奏】
  1996年 「スコッチの種類」 Op.123
  1996年 「ステッラ」WoO.4
  1996年 「カレン」WoO.6
  1997年 「シェイズ・オブ・グリーン(アイルランド民謡による変奏曲)」 Op.127
  1998年 「陽気な」 Op.130

  【ギター三重奏】
  1995年 「ニキータ・コシキンの主題による変奏曲」 Op.120
  1997年 「4つのアメリカのダンス」 Op.40a
  1997年 「4つのアメリカのダンス」 Op.40b

  【ギター二重奏&コントラバス】
  1994年 「シェイズ・オブ・ブルー」 Op.115

  【フルート&ギター】
  1994年 「イギリス組曲第6番」 Op.116
  1991年 「アン・プチ・ビス」 Op.92a

  【弦楽四重奏&ギター】
  1998年 「ギター五重奏曲第2番「エコーズ」」 Op.132

  【マンドリン&ギター】
  1998年 「パルティータ第3番」 Op.135

  【マンドリン2本、マンドラ、ギター、コントラバス】
  1999年 「イギリス組曲第7番」 Op.136

◆ 2000年代、体調の変化と死

80歳を超えてからもデュアルテの活動は続き、2001年には6か国、2002年にはロシアやメキシコを含む7カ国を訪問。
  しかし2003年に健康状態が悪化し始め、2004年の初めに2度海外を訪れた後、4か月入院。そして翌2004年12月23日に85歳で亡くなっています。

  【ギター五重奏】
  2000年 「イギリス組曲第7番」 Op.136a

  【ギター六重奏】
  2000年 「イギリス組曲第7番」 Op.136a

  【ギターと弦楽オーケストラ】
  2001年 「モラヴィアナ」 Op.142a

  【ギター独奏】
  2000年 「抒情的ワルツ」 Op.137
  2000年 「イタリア民謡による変奏曲」 Op.139
  2000年 「ダンサ・エクセントリカ」 Op.138
  2000年 「12の研究」 Op.140
  2000年 「ベネズエラ組曲」 Op.141
  2000年 「モラヴィアナ」 Op.142
  2000年 「まず最初に」 Op.142b
  2002年 「ジョーン・バエズ組曲」 Op.144
  2003年 「ラウンド・オー(ヘンリー・パーセルの主題による変奏曲)」 Op.148

  【フルート&ギター】
  2002年 「5つのムード」 Op.145

  【ギター四重奏】
  2003年 「モラビアナII」 Op.146
◆ 進取の精神

1919年(大正8年)生まれのデュアルテは、2004年(平成16年)まで生きたことで、晩年には電子メールのメーリングリストで情報を発信し、作曲ソフト「Sibelius」も使っていたと言いますから、好奇心旺盛なスタイルは死の年まで不変だったようです。
  デュアルテは作曲するときにほとんどスケッチをせず、頭の中で練り上げたのち、紙(晩年はコンピューター)に記譜していったそうです。
  デュアルテの作曲活動は、ギター独奏、またはギターと他の楽器の組み合わせによる作品が中心で150曲を超えており、編曲も含めるとその数は400以上に達するとか。



 作品情報

◆ 「チューダー朝の幻想」Op.50(トラック1〜3)

デュアルテがギターとオーケストラのために書いた最初の公式作品。フランスの有名ギタリスト、イダ・プレスティ[1924-1967]の委嘱を受けて、1967年の初めに作曲に着手。プレスティは、ロドリーゴ[1901-1999]がガスパール・サンス[1640-1710]の作品をもとに書いた「ある貴紳のための幻想曲」[1954]で、ギター独奏と管弦楽でおこなったようなことを、エリザベス朝音楽を元にギター二重奏と管弦楽のために書いて欲しいと依頼します。
  二重奏をリクエストしたのは、プレスティが1950年からアレクサンドル・ラゴヤ[1929-1999]とデュオ「プレスティ・ラゴヤ」を結成して世界をまわっていたからですが、プレスティは依頼から間もなく、アメリカ・ツアー中に肺癌の合併症による出血で亡くなってしまいます。
  委嘱者を失ったため、デュアルテは作曲を中止。その後、タイトルをエリザベス朝から拡大してチューダー朝とし、「フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック」を素材として使用。編成も一般的なギター独奏と管弦楽のためのものとして1972年に完成。さらに、作品の性格についても「協奏曲というよりは幻想曲」と説明していることから当初の予定とは大きく違う方向に進んだことが窺えます。
◆ 「次の市の日」(トラック4)

アイルランド民謡「次の市の日」を元にした作品。市に向かう途中の青年との出会いが忘れられない少女が、次の市を待ちわびる有名な歌。ギター独奏、ピッコロ、スネアドラム、弦楽のために1956年に編曲。
◆ 「ルーム島のクイリン」(トラック5)

スコットランドのルーム島は、グラスゴーの北西約180kmに位置。クイリンはその島のシルエットを浮かび上がらせる山々。ギター独奏と、フルート、オーボエ、弦楽のために1956年に編曲。
◆ 協奏四重奏曲 Op.22(トラック6〜9)

ジョン・ウィリアムズとロンドン王立音楽大学の学生のために1956年に作曲したもので、編成はギター独奏と弦楽三重奏(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)。デュアルテはセゴビアのアドバイスで、弦楽四重奏ではなく弦楽三重奏を使うことに決定。民謡「バーバラ・アレン」の引用が聴かれる第1楽章ではギターカデンツァが印象の。第2楽章はシチリアーナでルネッサンス風の素材も登場。第3楽章はのちにギター・デュオ「プレスティ・ラゴヤ」のための人気曲「バディネリ」に編曲。第4楽章は変化に富み、童謡「ホット・クロス・バンズ」が登場したりして驚かされます。
◆ 陽気な協奏曲 Op.101(トラック10〜12)

ベネズエラ人、アルフォンソ・モンテスと、ドイツ人、イリーナ・キルヒャーのギター・デュオのために作曲。ベネズエラ(ベネスエラ)とのつながりは、アントニオ・ラウロのワルツ「ラ・ネグラ」を引用することで示されます。楽器構成は、ギター二重奏、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、トランペット、ティンパニ、ヴィブラフォン、チェレスタ、ボンゴ、クラベス、コンガ、タンバリン。
  独奏が二重奏で、オケは室内編成で打楽器がにぎやかなため、オーディオ的にも注目度の高い作品です。

 演奏者情報

アントニオ・デ・イノチェンティス(ギター)

1961年、ナポリで誕生。1980年に初のソロコンサートを開催し、1985年にアヴェッリーノのドメニコ・チマローザ音楽院を最高成績で卒業。国内外のギター・コンクールで優勝。1992年には、パガニーニの24のカプリースを一度のコンサートで演奏した世界初のギタリストとして注目を集め、以後、ヨーロッパとアメリカで演奏活動を展開。
  1999年10月にはロンドンでジョン・W・デュアルテ80歳記念祝賀コンサートに出演し、2019年10月には、ロンドンで開催されたジョン・W・デュアルテ生誕100周年コンサートに出演。
  CDは、Brilliant Classics、Fiammant Records、dotGuitarなどから発売。


ニコラ・モンテッラ(ギター)

1987年生まれ。8歳でクラシック・ギターのレッスンを開始。ポテンツァのジェズアルド・ダ・ヴェノーザ音楽院とアヴェッリーノのドメニコ・チマローザ音楽院で教育と演奏の学位を取得しドイツのコブレンツ国際音楽アカデミーで研究を継続。
  以後、ヨーロッパを中心にアジアなどでも演奏。
  CDは、Brilliant Classics、D'Addarioなどから発売。


ジャン・ルイージ・ザンピエーリ

1965年、ローマで誕生。ローマのサンタ・チェチーリア音楽院と、シエナのキジアーナ音楽院の上級コースに通い、1988年に名誉ディプロマを取得。その間、1980年には15歳でローマのサンタ・マリア・イン・トラステヴェレ大聖堂の常任オルガン奏者のひとりに選ばれ、2000年まで20年間在籍。
  ザンピエーリはフランコ・フェラーラの最後の弟子で、ジュリーニ、バーンスタインの指導を受ける機会にも恵まれ、さらにロジェストヴェンスキーとマゼールのアシスタントとして多くの現場経験を積んでもいます。
  CDは、Brilliant Classics、Filarmonica Brasovなどから発売。



 トラックリスト(収録作品と演奏者)

ジョン・W・デュアルテ[1919-2004]
管弦楽曲と協奏曲
ギターのための作品
◆ 「チューダー朝の幻想」Op.50  23:04
1. 第1楽章「タワー・ヒル」 5:11
2. 第2楽章「落葉(あたりいちめん緑の庭で)」 11:32
3. 第3楽章「ジグ」 6:21

  アントニオ・デ・イノチェンティス(ギター)
  ベルフォート室内管弦楽団
  ジャン・ルイージ・ザンピエーリ(指揮)
4. ◆ 「次の市の日」 2:09

  ニコラ・モンテッラ(ギター)
  ベルフォート室内管弦楽団
  ジャン・ルイージ・ザンピエーリ(指揮)
5. ◆ 「ルーム島のクイリン」 5:20

  アントニオ・デ・イノチェンティス(ギター)
  ベルフォート室内管弦楽団
  ジャン・ルイージ・ザンピエーリ(指揮)
◆ 協奏四重奏曲 Op.22  18:45
6. 第1楽章 デチーゾ 3:58
7. 第2楽章 コンテネレッツァ 6:05
8. 第3楽章 ジョコーゾ 4:17
9. 第4楽章 コン・ブリオ 4:25

  アントニオ・デ・イノチェンティス(ギター)
  ベルフォート室内アンサンブル
   ハンナ・ペロウン(ヴァイオリン)
   ヴァージニア・スレーター(ヴィオラ)
   リチャード・ジェンキンソン(チェロ)
◆ 陽気な協奏曲 Op.101  25:39
10. 第1楽章 7:14
11. 第2楽章 11:54
12. 第3楽章 6:31

  ニコラ・モンテッラ(第1ギター)
  アントニオ・デ・イノチェンティス(第2ギター)
  ベルフォート室内管弦楽団
  ジャン・ルイージ・ザンピエーリ(指揮)
  録音:2022年8月2日、ロンドン、ハムステッド、セント・ジュード・オン・ザ・ヒル(オーケストラ作品)、8月4日、ロンドン、ハーロウ、セント・ジョージズ・ヘッドストーン、(協奏四重奏曲)

 Track list

John W. Duarte 1919-2004
Orchestral and Concertante
Works for Guitar
A Tudor Fancy Op.50
1. Tower Hill 5:11
2. The Fall of the Leafe (All in a Garden Green) 11:32
3. A Gigge 6:21

Antonio De Innocentis guitar
The Belfort Chamber Orchestra
Gian Luigi Zampieri conductor

4. Next Market Day 2:09

Nicola Montella guitar
The Belfort Chamber Orchestra
Gian Luigi Zampieri conductor

5. The Coolin of Rùm 5:20

Antonio De Innocentis guitar
The Belfort Chamber Orchestra
Gian Luigi Zampieri conductor

Concertante Quartet Op.22
6 I. Deciso 3:58
7. II. Con tenerezza 6:05
8. III. Giocoso 4:17
9. IV. Con brio 4:25

Antonio De Innocentis guitar
The Belfort Chamber Ensemble

Concierto alegre Op.101
10. I. 7:14
11. II. 11:54
12. III. 6:31

Nicola Montella guitar I
Antonio De Innocentis guitar II
The Belfort Chamber Orchestra
Gian Luigi Zampieri conductor

all first digital recordings

The Belfort Guitar Duo
Antonio De Innocentis and Nicola Montella

The Belfort Chamber Orchestra
Hannah Perowne (Leader), Ivana Cetkovic, Sarah Ewins, Rosa Hartley, Rose Hinton, Kyra Humphries, Philippa Mo, Chereene Price violin
David Aspin, Nic Pendlebury, Virginia Slater viola
Jonathan Ayling, Richard Jenkinson, Sally Pendlebury cello
Frances Preston double bass
Amy Yule (piccolo), Sarah Bennett flute
Christopher Cowie oboe
Katherine Spencer clarinet
Sarah Burnett bassoon
Ryan Quigley trumpet
Andy Barclay, Feargus Brennan, Jeremy Cornes, Karen Hutt percussion

The Belfort Chamber Ensemble
Hannah Perowne violin
Virginia Slater viola
Richard Jenkinson cello

Conductor
Gian Luigi Zampieri
Recording: 2 August 2022, St Jude-on-the-Hill, Hampstead, London (Orchestral Works) ;4 August 2022, St George's Headstone, Harrow, London (Concertante Quartet)

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