あの『酋長の行進』が魅力的なピアノ曲になった!
イッポリトフ=イヴァノフはグラズノフやアレンスキーと同世代のロシアの作曲家。『コーカサスの風景』中の『酋長の行進』が比較的有名ですが、ボロディンをさらに妖しげにしたような東方的色彩とリズムが独特。グルジアのチフリス(現ジョージアのトビリシ)に暮らした際、現地の民俗音楽を採取していくつかの作品に反映させていますが、その代表作5篇を収録。いずれもワールド・ミュージックを先駆けたような鮮かな感覚に満ちています。
とはいってもすべてピアノ・デュオ(4手連弾)編曲であるのがユニーク。マリヤ・イワーノワとアレクサンドル・ザガリンスキーのデュオはオリジナル編曲にこだわりを示しているので、作曲者自身のピアノ・デュオ版と思われますが、明記されていません。しかしデュオとしての効果抜群で驚きの連続。『コーカサスの風景』第2番『イヴェリア』の第2曲『子守歌』はジョージアの伝承曲ですが、チャイコフスキーが名作『くるみ割り人形』の『アラビアの踊り』の素材にも用いているので興味津々です。
マリヤ・イワーノワとアレクサンドル・ザガリンスキーはともにモスクワ、ベルリン、ザルツブルク、リューベックでドレンスキー、メルジャーノフ、トレンクナー、
ライグラフに師事した実力派。2004年よりデュオを結成し、演奏活動を繰り広げています。2018年にリリースしたキュイ作品集に続き、ロシアのピアノ・デュオの珍品を高水準の演奏で披露する得難い団体です。(輸入元情報)
【収録情報】
イッポリトフ=イヴァノフ:
● 組曲『コーカサスの風景』第1番 Op.10
● アルメニア狂詩曲 Op.48
● 歌劇『ルース』序曲 Op.34
● トルコ行進曲 Op.55
● 組曲『コーカサスの風景』第2番『イヴェリア』 Op.42
マリヤ・イワーノワ&アレクサンドル・ザガリンスキー(ピアノ・デュオ)
録音時期:2017年7月18日/2018年2月10,11日
録音場所:ボトロップ室内楽ザール/デュルメン・ゴットシュリング・スタジオ
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)