【インタビュー&稽古場レポ】剣 幸「ミー&マイガール」

2015年10月29日 (木) 17:00

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富山から創造発信する「オーバード・ホール名作ミュージカル上演シリーズ」。このシリーズは、ミュージカルの本場から演出家や振付師を招き、プロ・アマ問わずに公募で出演者を選抜。王道といわれる名作を手がけ年々注目を集めてきた。

第6回目となる今回の上演タイトルは、「ミー&マイガール」。2013年の初演で大好評を博した作品の再演だ。主演には、シリーズ第1回目から連続出演している剣 幸。1987年の宝塚歌劇団による日本初演でも同じビル役を演じ、異例のロングラン公演を成し遂げた剣が、今回再度の富山公演に向けて、その想いや意気込みを語ってくれた。

―2013年の富山で初演とした「ミー&マイガール」は、宝塚初演から26年を経ての公演でしたが、振り返っていかがでしたか?

 宝塚の中でも相当な体力を要する役でしたし、26年経って同じ役をちゃんとできるのか、普通のお芝居の中で、自分が男性として成立するのかという不安はありましたが、稽古をしていく中で、その不安が違うものに変わっていきました。20何年の間にさまざまな作品で経験を積み上げてきたことで、当時は青かったなということに気づけたり、笑ってもらわなくちゃ、楽しくしなきゃ、という気持ちで作り上げていた20何年前と違って、自分自身が楽しんで、面白いことを言えば周囲が笑うと気づいて肩の力が抜けたり。それに、宝塚当時の身体のキレも体力もないですし、逆にこの年だからできることをやれればいいかなと感じもしました。新たな発見をたくさんしたような気がします。

―今回、さらに再演が決まったとき、どう思われましたか?

 うそっ?!と(笑)。2年前もこれが最後だと思って精魂こめて演じましたし、「これで一区切りついたな」と思っていたので、「う、うそっ?!もう一回ですか?!」でした(笑)。
でも、とてもありがたいことだし、本当に役者冥利に尽きると思っています。ただ体力がついていくかという心配はあります(笑)。

―再演と初演とはやはり気持ちの上で違いますか?

 やろうという気持ちに変わりはありません。ただ、新作を作るときはドキドキ感やプレッシャー、そして誰も何も手をつけていないところから、一から作り上げる面白さがあるので、ワクワク感の方が強いですね。それに引き換え、再演はかなりのプレッシャーがあります。一度やったものをもう一回崩して組み立てる、しかももっとよくならなければいけない、前回を越えるためにどうしたらいいか、というような。同じようにプレッシャーはありますが、作り方が違うので、方向性が違うんです。再演の方が難しいですね。

―今回の再演にあたり“富山ならでは”の魅力を教えてください。

 2年前もそうですが、ものすごく贅沢に時間と場所を使ってやらせてもらえるので、安心して練り上げられたものをお届けできるということです。時間をかけてちゃんと練り上げ、本当はこうあるべき、ミュージカルはかくあるべきというスタイルを確立できたかなと思います。東京や大阪発でなくても、こうして地方でしっかりと作り上げれば成功するということですよね。「ハロー・ドーリー!」も東京で公演させてもらいましたし。それに富山の方々のミュージカルに対するピュアな見方、温かい感覚がいいんです。一緒に何かを楽しもうと思ってくださる気持ちがあるというか。やさしい温かいその感じが、今回の「ミー&マイガール」にもぴったりだなと思います。

―今回で第6弾となるシリーズを通して、感じたこと、得たことを教えてください。

 富山県人でよかったな、がまず一つありますね(笑)。それと、方向性が同じ人がこれだけ集まると、こんなにすごいものができるんだという手ごたえを強く感じました。年々認知度が高まって、今では東京で一緒にミュージカルの舞台に立っていた仲間がオーディションを受けに来てくれたり…本当にビックリしました。役者って、いいものをやりたい、こういうことがやりたいということが大事で、場所は選ばないんですよね。特に富山では時間をかけてちゃんと作っているというのが広まっていましたしね。だから「もうやらないの?もう終わりなの?」という声をたくさんいただいています。まじめにちゃんと一つのものを作ろうとするときの“力”を今回改めて感じました。

―出身地の富山での継続的な活躍となりました。

 本当に幸せだったなと思います。第1回目公演の「回転木馬」のときにお声がけをいただけたとき、役名も訊かずに「はい、出させて頂きます」って返事しましたから(笑)。劇場がなかったので宝塚時代から富山をスルーして全国を回っていましたし、接点はあまりなかったというか、富山の人々と一緒に深く関わるということがあまりなかったんです。ですから、このお話をいただいたときに、富山で、富山の人たちと何かができる、今までできなかったことができる、そこから何かが生まれてくると、とても嬉しかったです。まさか5年やって全作品に出演させてもらえるとは思いもしなかったですが、こうして富山の人たちともいろいろなものを作り上げていけたことは本当に幸せでした。

―次はどんな作品に出てみたいなど、夢を教えてください。

 具体的にはないですね。還暦を過ぎたあたりから、ずっとこういう感覚で舞台を続けていけることが一番幸せだと思うようになったんです。もちろん、こんな歌が歌いたい、こんな役をやりたいというのはありますが、それよりも、自分が健康で、人に感動を与えられるような作品にめぐり合えることが、一番幸せなことだなと思っています。コンスタントに舞台を続けられて、その間に自分の別の表現としてコンサートがあって…というように楽しく過ごせれば嬉しいですね。細く長く、年にあったものをやっていかれたら、と思います。

―この公演に向けての意気込みをお願いします。

 2年ぶりの再演、またビルに会えるとは思ってもいなかったので、大きなプレゼントをいただいたような気持ちです。とてもハートウォーミングで、笑って笑って最後にちょっとホロっとする、誰も悪い人が出てこないハッピーなミュージカルです。会場で皆さんもハッピーになっていただけたら嬉しいです。ぜひいらしてください。

富山での公演に際し「とてもお財布にやさしい料金ですし、ちょっと新幹線に乗ってきていただいて、美味しいものを食べて温泉にでも入って・・・と付加価値がつく公演です!」と明るく語ってくれた剣。今回の公演も、知名度の高い人が出ているとかそういうことではなくて、作品として成立しているし、東京などの大都市で観られるもの以上にできていると自信を持っています、とのこと。
「秋ならば宇奈月や黒部峡谷、冬には氷見の方に行ってブリを食し、大牧温泉。3月終わり頃にはほたるいか、雪の大谷は5月〜6月、と季節を通していろいろな見所があるので、年間を通して遊びに来ていただきたいですね。」という富山に、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。


稽古場レポ


インタビュー後の公開稽古。作品内でも特に盛り上がるという「ランベス・ウォーク」のシーンを披露してくれた。豪華な衣装もメイクもない、ましてやステージでもないのに、全員のキラキラした表情とその迫力に圧倒されて、見ているこちらはドキドキワクワク。年齢も体力の衰えも感じさせないそのキレのある動きに見惚れたのは私だけではないはずだ。

全国的にも有数な舞台機構を誇るオーバード・ホールで、さらに迫力と楽しさ、ワクワクが爆発すること間違いなし!

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公演情報


ME AND MY GIRL(ミー&マイガール)

2015年11月12日(木)〜15日(日) 全5公演
オーバード・ホール(富山駅北口正面)

演出:本間憲一
振付・演出協力:ロジャーカステヤーノ

出演:剣幸、野田久美子、宝田明、中尾ミエ、
   秋山エリサ、高山光乗、本間ひとし、
   浅地直樹、坂井宏彰、石本伎市朗、
   柳川玄奈、荒木里佳、松岡美桔、
   中本雅俊、高谷あゆみ

公式ページ
http://www.aubade.or.jp/static/special/mamg2/

■公演詳細・チケットはこちら

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