【ライブレポ】SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER 『17』 再現LIVE

当時はトリオバンドとして活動していたシーガルだが、現在活動中のシーガルはバンマス中尾憲太郎を中心とした6人編成。どのような形で『17』というアルバムが再現されるか注目が集まったが、1曲目「COMA」のへヴィーなギターが響いた瞬間から『17』を聴いていたあの時代に引き戻された。

現在のバンドメンバーは下記の通り

日暮愛葉 vocal and Guitar
中尾憲太郎(crypt city,YounGSounds) Bass
おかもとなおこ (つばき,DQS,THE GIRL) Drums
一ノ瀬雄太 (快速東京) Guitar
蓮尾理之(THE JETZEJOHNSON) Keyboard
moe (Miila and the geeks,Twee Grrrls Club) chorus

世代の入り乱れたメンバーが放つサウンドは、圧倒的なバンドサウンド。90年代のオルタナティブでローファイな雰囲気はそのままに、あの頃よりも熱量の高いバンド感が新鮮で、紛れもなく“今”のシーガルが放つ『17』、とにかくもの凄い再現ライブとなった。

「COMA」から「DOWN TO MEXICO」まで12曲。MCもなしで駆け抜けた『17』は最高にクール。特に圧巻だったのは《もっと前来なよ！》という日暮愛葉の煽りで始まった「COUNT O NUMBER1」続く中指チューン「DRIVE A CAR」。当時から変わらず続く下北沢シェルターの雰囲気とも相まって、90年代のあのオルタナティブな空気が蘇ったのだ。

98年の発表から17年の時を経て再現された『17』。日暮愛葉自身も、アルバムリリース時のツアーで演奏したきり、やっていない楽曲ばかりだそうだ。アンコール前には《当時は今よりも曲の作り方が適当だった》事を明かし、メンバーには《よくぞ覚えてくれた》と感謝の意を示した。

《パーティーはこれからだよ！》と始まったアンコールでは「No Star」「No Telephone」と2000年発表のアルバム『NO!NO!NO!』の冒頭を飾る2曲を披露し、会場はもう狂乱状態。さらに先日PVが公開されたばかりの新曲「Damn' it I know what I am」へと違和感なく繋がっていく。
なるほど、あの頃のシーガルと今のシーガルは別物なんかじゃなくて、完全に地続きなのだ。

ライブが進行するにしたがって、想像以上のシーガルに圧倒され引き込まれていく観客の様子が印象的なライブだった。ライブが終わった後、そこかしこから聞こえてくる「ヤバいもん観れたね」「クソかっこいいね、シーガル」の声が、それを証明している。

事実、アンコール終了後もWアンコールを求める声は鳴りやまず、結果的にシーガルを再び引きずり出す事となった。

《帰んなさいよ》再びステージに現れた日暮愛葉はそう言い、この再現ライブを企画したHMVが嫌いになる程、『17』の楽曲で頭がいっぱいで、急遽やる事になった最後の曲を練習していない事を告げると、ギターのリフを弾き始める。「Angel」のあのギターリフ。観客からも大歓声があがる。拳を突き上げながら、なんだか涙が溢れそうになったのは僕だけではないはずだ。急遽だったのかもしれないが、最後にこの曲が聴けた事で、このライブは完璧なものになった。このライブを観れて良かった、心からそう思えるライブだった。

ETERNAL ADOLESCENCE TOUR

2015.10.21 wed
@渋谷CLUB QUATTRO

2015.10.23 Fri
@梅田CLUB QUATTRO