大人のための”性地”→ラブスポット ”秘宝館”

まずはじめに、”秘宝館”をご紹介するに至った経緯を説明させて頂くと･･･

あるイベントで去年、都築響一さんとお仕事させて頂き、その後、ロングインタビューをさせて頂いたのですが、現在はもう閉館してしまった”鳥羽SF未来館”の”SF未来館”を買い取られたというお話を伺いました。その今はなき”SF未来館”映像は、中野ブロードウェイ”タコシェ”で販売中ですが、その映像と都築さんのお話でわたしは”秘宝館”にファーストコンタクト、洗礼を受け･･･

実際に”秘宝館”に足を踏み入れたのは、今夏の末。「”秘宝館”といえばここ！」というくらいポピュラー且つ初心者向けという”熱海秘宝館”を体験して参りましたが、その戯れがあまりにもたのしく、大の大人がお酒を呑まずとも、そのめくるめくオブジェ達にいちいち、きゃっきゃ言ってる様をご想像頂けますでしょうか？その数ヶ月後、今度は群馬に足を伸ばし、”珍宝館”で”館長”兼 ”万長”のちん子さん（彼女のトークがここの名物！）の生トークを堪能させて頂き、生ちん子さんにもお逢いして来たのです。

そこで一気に勢いが加速してしまったわたしは、”秘宝館”関連アイテムを網羅しようと考え、”秘宝館”DVDの販売元であるローランズ・フィルムさんにお電話させて頂き、「作品を拝見したいのですが･･･」と申し出ます。そんなわたしの突然の要求にも関わらず、快くDVDをお貸し下さり、資料や予告編など、すぐに揃えて下さいましたのが、プロデューサーの熊谷健一さまでした。

全て拝見して思うこと。それは、「よくこんなにも丁寧に、映像で記録されたなあ」ということ。1つ1つのオブジェをまるで”世界遺産”であるように捉え、細部に渡り映し出されていました。これらのオブジェが今、どこかの美術館に所蔵、展示されていたのなら、まさしくそれが「”アート”である」と、観た、体験した誰もが認めるであろうクオリティーの作品群。ですが、それらが「”秘宝館”にある」というだけで、”偏見”という冷やかな視線とともに語られるのではないでしょうか。

「レジャー・ブーム」「余暇時代」と呼ばれた1970年代初頭に多く作られた、この”大人のためのアミューズメントパーク”は現在、来館者は年々減り、建物は老朽化、経営困難で閉館の決定を余儀なくされてしまう現況のため、「いつまでも あると思うな」がモットーの甘美な館となっておりますが、この時代のセックスシンボルは、マリリン モンローだったご様子で、どこにも必ず！マリリンがお出迎えしてくれますし、性のおみくじや神社が並び、100円を入れると上下または左右に動くアトラクションなどもありますので、観て、触って、乗って･･･のまさに”体験型”。そんな、ナンセンスなユーモアを大らかに含み、性の悦びをわたし達に提示してくれるとともに、生命の大切さを認識させてくれる、希少な”ラブスポット”へぜひ一度、閉館する前に遊びに逝かれては？そして、取り壊されてしまった”世界遺産”は、DVDでご堪能頂く･･･というのはいかがでしょう？

あなたにとって、どうか極端な、好奇心の対象でありますように。”秘宝館”に多分の愛を心より込めて。TEXT： 長澤玲美

『伊勢エロスの館 元祖国際秘宝館』

『工場萌えな日々』が大ヒットし、<ラブ・ドキュメンタリー>シリーズ第1弾、『ラブホテル コレクション 甘い記憶: 東日本』『ラブホテル コレクション 甘い記憶: 西日本』や、続く<ラブ・ドキュメンタリー>シリーズ第2弾『ラブドール 抱きしめたい』なども手掛ける、村上賢司監督作品。

秘宝館文化の発祥の地”元祖国際秘宝館”。1972年10月13日にオープンし、35年間営業され、2007年3月31日に閉館。その閉館後、4月7日、8日に撮影されたのが本作。敷地内に併設されていたボーリング場を壊して大改装･･･4号館にも及ぶフルボリュームな”秘宝館”として名を馳せました。近畿観光株式会社 代表取締役 松野憲ニさんや閉館時の館長だった中村佐知子さんのインタビューも交え、”国際秘宝館”の歴史の内側をそっと披露してくれます。特典映像として、今ではかなり貴重な映像、この”秘宝館”の名物だった”馬の交尾実演ショー”や「国際秘宝館小唄」も完全収録（カラオケVer.も！）。また、「スカートブロー」とネーミングされていた女の子のナレーションなども収録されていて、長きに渡り人々の心と体をエンターテインメントで満たしてくれた、その愛の軌跡が哀愁というセンチメンタルをもって形成されています。

『性愛の里 北海道秘宝館 〜その耽美な世界〜』

続く、こちらのDVDも、前述の村上賢司監督作品。1980年6月から開館し、現在も細々と営業を続けている”北海道秘宝館”。その入口にはこのDVD撮影時には確かにいた、象の”定子ちゃん”が現在、直島にいる･･･との噂が。「直島に今までなかった”銭湯”を島民の方のために･･･」とベネッセから制作依頼を受けた大竹伸朗氏が自身の最高傑作！として完成させた、その名も「I LOVE 湯」なる、世界一アヴァンギャルドな銭湯の男湯と女湯を隔てる壁の上で、この”定子ちゃん”がソソリタッテイル模様。ですから、今から”北海道秘宝館”に行っても、この”定子ちゃん”には逢えませんので･･･このDVDか、もしくは「I LOVE 湯」にてそのお姿をお確かめ頂きますよう。

ここでのマリリンは”森ガール”よろしく、”森 Ver.”。また、”花飾りをした森の美少女”や”蛇が巻きつく森の美少女”は、『白雪姫』に魅了されている方にもそのファンシー具合がおたのしみ頂けそうです。そして、ここの”秘宝館”の名物はやはり、動物の”剥製シリーズ”だと思いますので、剥製好きの方、これを見ずして”剥製”は語れませんよ？加えて、”廃墟マニア”の方へも朗報！特典映像として、閉館した2階レストラン内部の”廃墟映像”も収録されておりますので、この秘部もぜひ、お見逃しなきよう。

また、北海道秘宝館 館長 川野准子さんのインタビューを交えてお送りする･･･秘宝館への想い、あれこれも含まれておりますが、「秘宝館を営業する現実はかなり厳しい･･･」という雰囲気が画面よりばんばん滲み出ている様をぜひ、悲痛な面持ちでご堪能下さい。そして、「何とかしてあげたい！」という”父性＆母性本能”が生まれた方は一人でも多く、”北海道秘宝館”へ。みなさまのご来館が何よりもの館長さんの励みになりますので。

『石和秘宝館 ロマンの館　〜十年の眠りから目覚める異形の芸術たち〜』

こちらはサワダクニヒロ監督作品。1995年頃閉館したという、知る人ぞ知る”秘宝館”、それが”石和秘宝館 ロマンの館”。現役の”秘宝館”ではもう見ることが出来ない貴重な等身大人形が40体以上、手付かずのまま放置されており、それを所有の方に粘り強い交渉をした末、電気関係の修繕工事を施し、失われた”秘宝館”が一夜限りの復活！荒涼に殺伐としていたフロアに永い眠りから醒めたオブジェ達が憂いを帯びながら輝き出す様は、まさにロマンス。

そのほぼ全てが動き始めた後、サロメの唇による「壊された愛のテーマ」（”熱海秘宝館”では、このサロメの唇もカバーしている「熱海秘宝館のテーマ」がパワープレイ中！）がバックに流れ、この建物の上にあった”石和ロマンの館”のネオン看板がピンクに低滅される様を観ていたら･･･ちょっとぐっときちゃいました。特典映像では、「パンティーで彼女のセックスがわかる」というパネルが1枚ずつ拡大＆チョイスでき、「俺の彼女のタイプは･･･」なんて、ちょっとしたお遊びも、ライト感覚にして頂けます。

また、注意と致しまして･･･本物件は個人宅の2階にあり、現在は住居で一般公開はされていないとのことですので、くれぐれも、訪問・お問い合わせなどしないよう、お願いしますね。

『異文化エロス 韓国済州島 秘宝館×三館』

そして、最後にご紹介するのは、日本を離れ、”性カルチャー”が閉鎖的であるというイメージをもつ韓国、”済州島”に存在する3つのアミューズメントパーク、大盛況の野外オブジェパーク”JEJU LOVE LAND”、開放感溢れる性のミュージアム”SEX MUSEUM”、異文化エロと性教育の博物館”WORLD EROS MUSEUM”。

実は、”秘宝館”ランキングにおいても、1位の”嬉野武雄観光秘宝館”、2位の”鬼怒川秘宝殿”の次にこの”JEJU LOVE LAND”がランクインされている程、高評価。深夜0時までOPENしており、あんな形、こんな形の巨大なオブジェが野外でライトアップされている様はまるで、ディ○ニーランドのよう！こういった”性”文化にはやはり、国境はないのです。

”SEX MUSEUM”では･･･世界共通！マリリンがここでもちゃんとお出迎えしてくれました･･･とともに、日本の”秘宝館”のマリリンコレクションも収録されておりますので、マリリンの違いを一気にたのしまれたい方はぜひ。

”WORLD EROS MUSEUM”は、日韓ワールドカップ開催時に使用された済州ワールドカップ競技場を閉会後、その一画に作られた施設。18歳未満は教員や保護者など引率する大人がいれば入場できるということで、おたのしみ要素というよりは、お勉強要素を色濃くした施設でしょう。

済州島には不思議な現象がありまして･･･どうやら坂が坂ではない！？ようなのです。その真相は特典映像でお確かめ頂くとともに、「お化け道路公園」 オブジェ完全コンプリート映像もあわせて、ご確認のほど。