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ジャズ定盤入門 =第零回=

Tuesday, October 27th 2009

  「四十にしてジャズに志す」
Miles Davis & Bill Evans

 「ジャズ」−渋く知的でいて情熱的な響きも感じる、何とカッコいい言葉であろうか。 ただし、なんとなく敷居の高いイメージがあって、聴いてみたいと思っても何かしらきっかけがないとなかなか初心者には踏み込みづらい音楽ジャンルであることも事実だと思う。

 なにせ、かく言う私もそのジャズ初心者の一人。CD屋で働き始めた二十代半ば頃、「勉強」と思ってジャズの大御所の作品群を聞きかじるも、一朝一夕ではその良さが判らずあえなく挫折。以来十数年間はジャズに踏み込むことなくロックばかりを聴き続け、気づけばすでに四十歳。

 悲しいかな、この歳になると流行りの音楽についていくのもなかなかに頑張りが必要で、つい往年のロック名盤の再発売ものばかりに耳が行きがちだが、それもいささかマンネリ気味だ。似たようなリスナーも多いはずだから、昨今の洋楽市場の低迷もいたしかたないとは思う今日この頃である。

 しかし、である。セールスなどのデータを見るとジャズ周辺は元気なのだ。近年「クラブ・ジャズ」という名のもとに若いリスナーも増加傾向にあるようだが、老いも若いも惹きつけるジャズの大きな魅力のひとつに「体系化された歴史のある音楽を、知識を深めて掘り下げて聴いていく楽しさ」があるのだそうだ。

 そこでふと思う。それはかつて自分がロックを掘り下げて行ったときに感じた楽しさと同じではないだろうか?だとすれば、その楽しみを知らないでいることはあまりにももったいない。ストーンズやツッペリンだって中学生の頃は良さがちっとも判らなかったが、20代になってからはあれほど心酔したではないか。もしかするとジャズだって今聴けば20代の頃とは違ったものを感じることができるかもしれない。

 ということで、思い立ったが吉日。マンネリ気味の音楽生活から脱却し、山ほどあるジャズの名盤を楽しみ尽くすべく、このたびあらためて「ジャズに志す」ことした。

 とは言ったものの、さしあたり何を聴いていいかがよく判らない。そのミュージシャンが何の楽器を演奏する人であるかによってテイストが大きく違うであろうことぐらいは想像がつくが、そもそも名前だけ知っているミュージシャンは山ほどいても、何の楽器を弾いているのかをほとんど知らない。 ローリング・ストーンズ「友を待つ」のソニー・ロリンズ しかし闇雲に挑戦して十数年前と同じ轍を踏むのだけはどうしても避けたい。そこで、まずは聴き馴染んだロックやポップスのアルバムの中からジャズ・アーティストが参加している有名曲を片っ端から探してみると、

・ローリング・ストーンズ「友を待つ」のソニー・ロリンズ
・ビリー・ジョエル「素顔のままで」のフィル・ウッズ
・スティング「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」のブランフォード・マルサリス
・デビッド・ボウイ「ヤング・アメリカンズ」のデヴィッド・サンボーン
・ホイットニー・ヒューストン「セイヴィング・オール・マイ・ラヴ」のトム・スコット

ビリー・ジョエル「素顔のままで」のフィル・ウッズ スティング「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」のブランフォード・マルサリス などなど、「あの曲のこのフレーズはこの人だったのか」というものが意外と多い。

 面白いことに、ここに挙げたミュージシャンは全てサックス・プレイヤーである。「ジャズ」に距離感を感じていた原因のひとつに「歌がない」という点があるのだが、「サックス」の歌うような音色は、ロックやポップスを聴き馴染んだ耳にも聴きやすく判りやすそうだ。

デビッド・ボウイ「ヤング・アメリカンズ」のデヴィッド・サンボーン ホイットニー・ヒューストン「セイヴィング・オール・マイ・ラヴ」のトム・スコット  というわけで最初のお題を「サックス」に決め、同僚のジャズ担当者に頼んで、なるべくわかりやすく、それでいて「歴史的名盤」とされている作品をいくつか選んでもらって聴いてみることにした。

 次回からは、HMV ONLINEのジャズ担当者が選んだおススメの名盤を、それを聴いた初心者なりの素直な感想とともにご紹介させていただくので、何卒おつきあいいただきたい。そしてそれをきっかけに一緒にジャズに志してくださる方がいらっしゃれば、心強いことこの上ない、と思う次第である。

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