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松村浩行監督 『TOCHKA』 現在公開中!

Friday, November 6th 2009

TOCHKA


映像担当故、映像に絡めてのインタビューまたは記事を展開していくことが”仕事”なのだと思うのだが、心惹かれるものは映像だけではなく、音楽も本も、絵も・・・なのである。でもそれは、どんな方にでも起こりうる、普通の状況だと思う。音楽家、作家、美術家、写真家・・・といろいろな肩書きをお持ちの方に、新作のプロモーションを兼ねてのものだけで終わるのではなく、今まで歩んで来られたそれぞれの”道”についてのお話しをお伺いしたい・・・という気持ちを込め、「TAO」とした企画、を展開させて頂いているのですが・・・

第5回目のゲストとしてお迎えする予定の松村浩行監督は、まもなく開催となる第22回 東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門公式出品作品でもある、『TOCHKA』を完成させた。松村監督とは、当「TAO」の第3回目のゲストでもある、『へばの』の木村文洋監督からつながったご縁。

当日は弊社にお越し頂き、2時間を超えるインタビューをさせて頂いた。その模様は10月24日(土)の公開直後とさせて頂き・・・まずはインタビュー後、監督から届いたメッセージ、そして、映画『TOCHKA』の紹介に加え、10月13日(火)に行なわれる 「映画と(音)」のスペシャルイベント 「TOCHKA NIGHT」の詳細をぜひ、ご覧下さい。TEXT: 長澤玲美


松村浩行監督からのメッセージ


今回「TAO」のために長いインタビューを受けさせていただいた。ほとんど人生はじめてである。ぼくの個人的な話がどれだけ人の興味をひくものかはわからないが、そこでふれられている(はずの)ことたち、自分がやりたいことに気づくことだったり、なにかものをつくるうえでの感覚だったり、なにかとの距離だったり、あるいは周りの人とのかかわりだったりという話は、案外おおくの人にも関係している話なのではないか。とりわけ、ものを表現することに関心のある人にとって。ぼくの人生はぼく固有のものだがそれは特別でもめずらしくもない。僕はこの記事がぼくよりもっと若い人に、いまなにをやりたいのかわからないけれどなにかをやりたい、つくりたいという無謀な若者に、なにかのまちがいのようにして読まれるといいなと思う。なぜなら、もしぼくが若いときにこの話を読んだら、たぶん自分にもなにかできるんじゃないかと寝っころがりながら思ったはずだから。最後に、話を聞いてくれた長澤さんに感謝する。長澤さんもまた、自分にできるなにかをひたむきに、ずっとやりつづけていきたいと願う、永遠の若者のひとりである。


国境の海岸線を見張り続ける戦争遺跡トーチカ。同じひとつの場所へと引き寄せられるように出会った男女。トーチカの内側に拡がる深い暗闇の一点で二人の記憶が交差する。


TOCHKA


映画『TOCHKA』は、北海道根室市の海岸に実際に残存する戦争遺跡=トーチカを舞台に、ほぼワンロケーション、主要登場人物二人、劇中音楽もなく、台詞と環境音のみの音響設計という、過激なまでに切り詰められた表現によって構成された野心作!

太平洋戦争末期に建造されたものの、実戦では使用されることなく、とうの昔に廃墟と化したトーチカ群。砲弾にも耐えうる分厚いコンクリートの壁の内部には、今なお静謐な闇が満ちている。その深い「闇」に引き寄せられるように、不意の出会いを遂げる一組の男女を演じたのは、現在の日本映画界に不可欠な活躍を続ける菅田俊と、『犬猫』での主演によって清冽な印象を残した藤田陽子。広大な北の荒野をバックに、ただ眼差しと言葉によって、互いに距離を推し量るかのような息詰まる二人のやりとりには注目である。

個々人が抱える内なる「闇」としての記憶。その極めて私的な記憶を、同じひとつの場所を介して、見知らぬ他者と分かち持つことの意義。危険さと背中合わせになったある極限的な状況設定のもと、これらの根源的な主題を大胆かつ現代的な映画的形態のうちに具現化した本作は、今日活況を呈しているかに見える若手監督の作品群のうちにあっても特異な位置を占めており、今こそ多くの観客の目と耳によって確かめられるべき稀有な映画といえよう。


根室半島のトーチカ群について


トーチカ [tochkaロシア語] 点の意。コンクリートで堅古に構築して、内に鉄火器などを備えた防御陣地。(広辞苑より)

この作品の舞台となった北海道・根室半島のトーチカ群は、おもに1944年夏頃から翌45年にかけて、多大な労力を費やして建造された。これらの防衛陣地は、アリューシャン列島を経由したアメリカ軍による本土進攻を想定して作られたものだったが、実際に千島列島を南下してきたのはソ連軍であった。しかし、アメリカの持つ強大な影響力により、ソ連軍の進攻が歯舞諸島(現北方領土)で止まったため、海峡を挟んだ根室半島のトーチカ群が敵軍に向けてその砲火を開くことはなかった。当時築城にあたって指揮を執ったのは、第33警備大隊長・大山柏少佐である。軍人でありながら慶応義塾で歴史学を講じる学者でもあった大山が戦後に記した回想録は、困難な状況下での作業の詳細を今に伝えている。「・・・各隊とも築城の知識が皆無に近く、その強度も区々であったので、築城学教程をもとに将校教育を行い、まず角材、厚板等の規格を統一した。最初は木材だけであったが、のちにセメントが補給されコンクリート製トーチカを作った。」

戦後、一部のトーチカは占領軍によって破壊され、また工事等でも撤去されたが、現在も十数基のトーチカの存在を確認することができる。

参考資料:大山柏 「第三十三警備大隊 根室防衛の回想」 (未出版)
大山柏 『北のまもりー大隊長陣中日誌ー』 (1989 鳳書房)
『根室市博物館開設準備室紀要』 第13号〜15号 (1999〜2001 根室市博物館開設準備室)


STORY


TOCHKA


わたしは知っている、この世でもっとも深くて闇い要塞を。

日本最東端、ロシア国境の町、根室。寒風の吹く海岸沿いの荒野に、第二次大戦中に作られ、今は潮風に曝されるがままの朽ちたトーチカの廃墟が点在している。ひとりの男が、ひとつのトーチカを見据えたまま、その場にじっと佇んでいる。見る者もいないはずのそんな光景を、ただ一人、偶然目にしていた女がいた。戦争遺跡の写真を撮っているというその女の出現が、男を深く揺り動かす。「いや、あなただとは思わなかったんです」 謎の言葉を残して、女の眼差しから逃れるように男は去った。男の後を追った女。「あれはどういう意味だったんでしょう? 誰か、人違いだったということですか?」 問い詰める女を男は拒む、「どうしてそんなに知りたがるんです? これは、戦争とはまったく関係ありませんよ」 やがて男の口から語られた、トーチカにまつわる小さな記憶。戦争からは遠く離れた、その些細な記憶を端緒として、二人の心はトーチカの暗闇に隠された、誰にも知られることのない時間の深みへと下りてゆく・・・。


STAFF&CAST


監督・脚本:松村浩行

藤田陽子菅田俊


TOCHKA』 劇場公開情報


2009年10月24日(土)〜11月13日(金)まで、渋谷ユーロスペースにて21:00からレイトショー上映中!

舞台挨拶&トークショー日程

11月12日(木) 菅田俊(主演俳優)トーク
11月13日(金) 松村浩行監督 舞台挨拶

トークは上映後、舞台挨拶は上映前に行います。

CREAM ヨコハマ国際映像祭2009 日本の若手監督作品プログラム
11/14(土)12:00〜、11/28(土)15:00〜(上映後トーク予定) 場所:東京藝術大学横浜キャンパス 馬車道校舎

大阪PLANET+1
12/19(土)〜12月25日(金) レイトショー

シネ・ヌーヴォX
12/26(土)〜12/30(水) 毎日3回上映
1/2(金)〜1/8(金) 毎日1回上映

神戸映画資料館
12/25日〜12/29(火) 毎日1回上映

名古屋シネマテーク
12/19(土)16:00〜、12/20(日)12:00〜、12/21(月)14:20〜

『TOCHKA』 Official サイト


「映画と(音)」のスペシャルイベント 「TOCHKA NIGHT」、10月13日(火)に西麻布のスーパー・デラックスにて開催!


10月24日より渋谷ユーロスペースで公開の映画『TOCHKA(トーチカ)』。東京国際映画祭への正式出品など、コアな映画ファンに留まらず現在話題を呼んでいる。ワンロケーション、登場人物二人、劇中音楽一切無しというストイックかつストロングなこの映画のために録り溜められた膨大な量のフィールド・レコーディングから、米KRANKYからのリリースなど世界的な注目を受けるchihei hatakeyamaが新たなサウンドスケープを再構築。風火地水の響きやスポークン・ワードに重ねられた精緻なドローン/アコースティックが、映画と音(楽)のもう一つの関係性を開示する。映画の公開とboidからのCDリリースを記念し、スペシャルゲストを招いてのライブイベントを開催!!

10月13日(火) 19:00開場、20:00開演 2300円+1drink

出演 miko坂本龍一にも才能を認められた、歌ギターピアノ打ち込みを自在に操る本格派ミュージシャン。大阪府生まれ、横浜市在住の光武理絵によるソロユニット。フォーキーさとエレクトロニカが同居したサウンドと、自然体で綴ったメロディの美しさが溶け合った独特の世界を作り上げている。)

HOSE with Axel Dorner (音楽ファンのみならず、映画ファン(リーダーの宇波拓は沖島勲監督作品『一万年、後・・・。』や古澤健、鎮西尚一監督の作品等の映画音楽を担当)、アート・ファン(東京都写真美術館での美術家・映像作家、田中功起のインスタレーション展示内にてライヴを敢行)、ファッション・ピープル(古橋彩のブランド、“fur fur”の東京コレクション用の音楽を担当)にまで支持される5人組、ホース。hibari musicを主宰し、細馬宏通のかえる目、大友良英率いるONJO豊田道倫の作品への参加でも知られるフリー・インプロヴァイザー、宇波拓をリーダーに、popoの江崎將史、ふいごの古池寿浩、ブラジルの服部玲治、ジャケットのイラストも手掛ける異才、泉智也がメンバーとして参加。今回は、ベルリンのエクスペリメンタル・ミュージック・シーンを代表する音楽家Axel Dorner アクセル・ドゥナーを迎えてのスペシャル編成!!)

chihei hatakeyama (1978年生まれ。東京を拠点に音楽活動を行う。Chihei Hatakeyamaとしてのソロ活動の他、電子音楽ユニット「opitope」、佐立努とのウタモノユニット「Luis Nanook」としても活動。独自の楽曲制作の他、映画『美代子阿佐ヶ谷気分』に楽曲を提供する等、映画、舞台にも楽曲を提供。また録音に携わる仕事もこなし、ミックス、マスタリングまで請け負う。2006年にkrankyよりファーストアルバムをリリース。世界中からその何重にもプロセッシングされた音が構築する美しい音世界が評価されている。 映画『TOCHKA』の公開に合わせてスペシャルサウンドを制作。)



関連リンク


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