最先端のジャズに常に敏感な「ブルーノート」がプッシュする、新しい才能

Wednesday, August 19th 2009

1978年テキサス州ヒューストン生まれのピアニスト、ロバート・グラスパー。幼い頃から教会でピアノを弾きはじめ、ゴスペルやジャズ、ブルースといった音楽に触れて育ちました。

ジャズの研究コースがあることで知られるニューヨークのニュースクール大学に進んでからは、クリスチャン・マクブライド、ラッセル・マローン、ケニー・ギャレット等とギグを行い、その後、ニコラス・ペイトン、ロイ・ハーグローヴ、テレンス・ブランチャード、カーメン・ランディ、カーリー・サイモン、ビラル、Qティップ、モス・デフと、後に発展するミュージシャンとの共演を果たしています。

2003年、フレッシュ・サウンドのニュー・タレント・シリーズから『モード』でレコーディング・デビュー。2005年、ブルーノートと契約して第1弾『キャンバス』をリリース。ジャズやゴスペル、ヒップホップ、R&B、オルタナティブなロックなどのエッセンスを取り入れた革新的なスタイルで各方面から高い評価を得ました。

2007年、ジャズとヒップホップを結びつけるピアノ・トリオ作『イン・マイ・エレメント』を発表。ブルーノートの新世代ピアニストとして注目度はさらに上昇し、特に、クラブ・シーンの早耳のリスナーの間で話題となりました。

そして今回、よりアコースティック志向のトリオと、よりヒップホップ志向のエクスペリメントと云う、自身が推進する2つのバンドを1枚のアルバムに集約した、グラスパー本来の姿を投影した待望の新作を完成させました。

前半の6曲は長年の盟友であるベーシストのヴィセンテ・アーチャーと、前からエクスペリメントに参加していて最近になってトリオにも加わったドラマーのクリス・デイヴとのピアノ・トリオ演奏。この二人はケニー・ギャレットのバンドで一緒に演奏していた経験があるだけに、コンビネーションも好く、抜群の反応を見せます。

続く後半ではフェンダー・ローズを多用し、多大な影響を受けたハービー・ハンコックの曲をはじめ、盟友モス・デフ、ビラルが参加したトラックなど、エレクトリックでありながら美しいナンバーが印象に残ります。

ダウン・ビート誌が行ったブラインド・フォールド・テストでは、あるピアニストが一聴してすぐにグラスパーの音だと答え、そのユニークなスタイルの特質を「ハーモニーの迷宮のようだが、それでいてリズムは決してぶれることがなく、時にはゴスペル的な表現や繊細な装飾を伴うこともある」と絶賛。

現代ジャズ芸術の頂点を目指して邁進し続けているグラスパーは、『Double-Booked』によってそういった要素をさらに発展させ、21世紀のジャズ・シーンを切り開くキーマンとして進化し続けています。

収録曲

Robert Glasper Trio

01. イントロ

02. ノー・ウォーリーズ

03. イエス・アイム・カントリー（アンド・ザッツ・オーケー）

04. ダウンタイム

05. 59サウス

06. シンク・オブ・ワン (Thelonius Monk)

Robert Glasper Experiment

07. 4エヴァ feat. Mos Def

08. バタフライ　（Herbie Hancock, Jean Hancock, Bennie Maupin）

09. フェスティヴァル

10. フォー・ユー

11. オール・マター feat. Bilal

12. オープン・マインド feat. Bilal

Robert Glasper Trio: ロバート・グラスパー(p, rhodes)、ヴィセンテ・アーチャー(b)、クリス・デイヴ(ds)
Robert Glasper Experiment:　ロバート・グラスパー(p, rhodes)、デリック・ホッジ(el-b)、ケーシー・ベンジャミン(sax、vocoder)、クリス・デイヴ(ds)、モス・デフ(vo)M-7、ビラル(vo)M-11,12