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Lee Perry
『Musical Bones』
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73年12月にキングストン郊外にある自宅裏庭に作られたスタジオ、ブラック・アーク。翌年、本格的な機材導入前に独創的なミキシング(但し手法はあくまで原初的)で『Revolution Dub』を産み出し、続けザマの75年には、本作と『Kung Fu Meets The Dragon』を極少数枚のプレスで世に送り出した。乾いたリディムにヴィン・ゴードンのトロンボーンが泣く「5 Cardiff Crescent」など、70年代レゲエ特有のセンチメンタリズムを胸いっぱいに吸い込むことができる。
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Lee Perry
『Kung Fu Meets The Dragon』
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ブラックスプロイテーション・コミュニティが、ブルース・リー「燃えよドラゴン」をはじめとするカンフー文化に強いインスパイアを受けるのは、ジャマイカに於いても例外ではない。オーガスタス・パブロ、リンヴァル・トンプソンら参加者一堂も、”中国4000年のあれこれ”に想いを馳せ、敬意を表しながら、見よう見まねの演武合戦に興じている。
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ダブの枠をはるかに超え、コラージュ・アートの域にまで達した奇跡の産物。現在も各方面へ大きな影響力を与え続ける超常的な名盤。過剰なまでのエフェクトは、聴く者の神経細胞全てを乱暴なまでに叩き起こし、その隅々にまでエクスタシーを感じさせてくれる・・・たとえストーンしていなくても。能動的に理解しようとすると必ずや気分が悪くなる、リー先生によるホンモノのアブノーマリティ・ミュージック。
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Lee Perry
『Return Of The Super Ape』
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身の毛がよだつほどの圧倒的な威圧感とぎりぎりの緊張感を漂わせた『Super Ape』に較べ、2年の歳月を経たこのご帰還盤では、そこに弛緩剤を打ち込んだようなユルさと、ハイプにも似た派手な遊び心を好き放題に放散している。つまり明るさが、そこにある。リー自身がマイクを握り、思いの丈を四方八方にブチ撒ける、ジャマイカ史上最高に刺激的な狂言にして艶歌・・・か?
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Lee Perry
『Roast Fish Collie Weed & Corn Bread』
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83年、漏電を原因とする火災により焼失してしまったブラック・アーク・スタジオの最後のレコーディング・セッション・アルバム。この後ヨーロッパに活動の拠点を移すリーのジャマイカにおける最後の録音盤ともなる。とぐろ巻くファンクネスに乗るリーのストレートな歌唱。スライ・ダンバー(ds)、ボリス・ガーディナー(b)、スカリー(per)のリズム隊がいかにタフで饒舌だったかをも顕している。『Super Ape』に隠れがちだが紛れもないブラック・アークの傑作品。
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Lee Perry
『Cutting Razor -Rare Cuts From Black Ark』
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米Hearbeatが2003年に編纂した珠玉のブラック・アーク未発表音源集(「Righteous Judgement」のみランディーズ音源)。ジュニア・マーヴィン、ジュニア・バイルス曲などは、なぜお蔵入りになったのかを不思議に思うほどの出来。この時期の数ある未発表集の中でも群を抜いてグレードの高い1枚。
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ブラック・アーク期の未発表曲、未発表テイク、別ミックスなどをふんだんに盛り込んだ、アイランド創立40周年を記念してリリースされた3枚組ボックス・セット。また、編纂者のスティーヴ・バロウ、デヴィッド・カッツ入魂の50ページ越ブックレットには貴重な資料となり得るコンテンツがたっぷりと掲載されている。
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Lee Perry
『Mystic Miracle Star』
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ブラック・アーク・スタジオを対人関係を含む環境ストレスにより飛び出した79年、残った音源は、ヘンリー・W・タルゴウスキーの助力を得て、彼の主宰するアムステルダムのBlack Star Linerレーベルからリリースした。リーはニューヨークへと渡り歩いた後、82年に突如本盤を新作として発表。ジャマイカ録音というクレジットとは裏腹に、当地の白人レゲエ・バンド、マジェスティックスをバックにしたロック・テイストの強いトラックの上で、本気の表情で吟じている。
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Lee Perry
『Battle Of Armagideon』
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ヨハネの黙示録を安易に引用したかと高をくくってはダメ。86年当時、レゲエはもとより全音楽シーンを見渡して、こんなにも狂気に満ちて、こんなにも猥雑で、こんなにも自由なサウンド・システムがあっただろうか?フェラ・クティ諸作のそれと見間違えるようなマッド・コラージュ・ジャケットそのままの雑多な世界が展開されている。御大の歌声にもいよいよ”グールー”紛いの妙な説得力がついてきた。
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Lee Perry / Dub Syndicate
『Time Boom X De Devil Dead』
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英国地下工房代表、On-U主宰エイドリアン・シャーウッドとの初の邂逅。ルーツ・ラディックスにいたドラマー、スタイル・スコットを擁したダブ・シンジケート・バンドのタイトな演奏は、リーの新境地開拓の大きな助力となった。シーンの急速なデジタル〜ダンスホール化に背を向け、本場JAから遥か遠くに佇む煙たいまでの工房で、しこしことダビーなスペルマを発射することだけに没頭した彼ら。エイドリアンにとっては、ニュー・エイジ・ステッパーズ、クリエイション・レベルで夢見ていた桃源郷が遂に目の前に広がった、というところだろう。
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Lee Perry
『From My Secret Laboratory』
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ダンス・カルチャーとの結び付きで何度目かのエクスタシーを迎えていたOn-U=エイドリアン・シャーウッドが再び、リー、そして、スタイル・スコットと共闘(蔓延するあらゆるチャート概念との)した87年の傑出作。ラディックス、ダブ・シンジケートがバックを折半するも、ドラムは全曲スタイル・スコットで、リーとの共作もあり。『Time Boom X〜』よりさらに濃密な仕上がりになったかどうかは意見の分かれるところ。ダブに愛を捧げる文殊の知恵、そのものの行為に価値を見出すのが賢明か?
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90年にリリースされた、88年、リーとワッキーズの注目セッション『Satan Kicked The Bucket』のダブ盤。
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Lee Perry
『Lord God Muzick』
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ナイニー・ジ・オブザーヴァーとの共同プロデュースで、91年にリリースされたチャンネル・ワン録音盤。久々の帰省レコーディングとなったが、すでに当地のメインストリームを牛耳っていたダンスホール・サウンド周辺に、リー本人も食指を伸ばさなければいけない状況になっていたのも事実。今聴けば、かなりチープで古臭いデジタル仕様に新鮮味も覚えるが、発売当時は相当量の迫害を受けた可能性も大。但し、この時期勢い付いていたリーの独走は誰にも止めることができないんだ、ということも感じさせてくれる。それだけやっていることは、興味深く力強い。
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Lee Perry
『Black Ark Experryments』
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Ariwaの首領マッド・プロフェッサーとのタッグ第2弾(前作『Mystic Warrior』は廃盤の憂き目)。タイトルに掲げている「黒い箱舟云々」とブラック・アーク・スタジオとの関連性は皆無のようで、マッド印のクリアでヘヴィなダブ処理が全編を覆う。エイドリアン・シャーウッドが、ブラック・アークを現代に蘇らせたらというようなお題目で、リーとの距離を縮めたのに対して、こちらは、UKニュー・ルーツ・マナーを取り入れたりと、”Ariwaありき”のある種の恣意性も併せ持ちながらリーと迎合。
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Lee Perry
『Who Put The Voodoo Pon...Reggae』
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マッド・プロフェッサーとの3作目。ダブ盤もあり(『Dub Take The Voodoo Out of Reggae』)。
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Lee Perry
『End Of An American Dream』
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2008年グラミー賞ベスト・レゲエ・アルバム部門にノミネートされた、ジョン・サクソンのState of Emergency Limitedからリリースされた1枚。トラックメイキングは、85年当時、リーの初英国ツアーでバック・バンドを務めたワールド・サービス・バンドのリーダーでもあった、スティーヴ・マーシャル。ブレイクビーツを多用したサウンドからは、今後の御大の音楽的路線を示唆するというよりは、今そこにある1つのセッションを純粋に楽しんでいるという興趣が窺える。
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USオルタナ界きってのパーティ・ロッカー、アンドリューW.K.とのまさかのコラボレーション・アルバム。モビー、ブロンディーのギタリスト、クリス・スタイン、ライトニング・ボルトのドラマー、ブライアン・チッペンデールらがゲスト参加。というわけで、当然今様ロック色は濃い。
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Lee Perry
『Scratch Came Scratch Saw Scratch Conquered』
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『The End Of An American Dream』に続く、ジョン・サクソン&スティーヴ・マーシャルとの共同作。「Heavy Voodoo」、「Once There's a Will There's a Way」(後者では「ハロー!ミスター・キース・リチャーズ!ハロー!ローリング・ストーン!」と御大!)にキース・リチャーズ、「Headz Gonna Roll」にジョージ・クリントンといった、ロック、ファンクの両巨匠を迎え、既存のレゲエ概念から大きくハミ出たセッションを展開。それはそれで70年代アップセッター〜ブラック・アーク期における御大の「色々やってみよう」という精神によい意味で回帰していると思う。
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Lee Perry
『Mighty Upsetter』
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90年の『From The Secret Laboratory』以来となるエイドリアン・シャーウッドとのコラボ。「Blackboard Jungle Dub」のリディム・リメイク、シルヴァートーンズ「Rejoice Jah Jah Children」リディムなど、70年代の素晴らしいクリエイションを、メインのトラックメーカーにジャズワドを起用しつつ焼き直し、今日的に甦らせている。リリースが続いた2008年のリー・ペリー・ワークの大本命盤、ということは言うまでもないだろう。
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Lee Perry / Adrian Sherwood
『Dubsetter』
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『Mighty Upsetter』のダブ盤。解体/再構築で作り上げられていく通常のダブ処理とは異なり、ダグ・ウィムビッシュ(b)、デッドリー・ヘッドリー(sax)、ブラジル録音のパーカッション部隊等新たなプレイヤーを投入し、数曲では大幅にパートが追加され、ほぼ別ヴァージョンと言うべき楽曲に生まれ変わっている。
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『People Funny Boy: The Genius Of Lee Scratch Perry』
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セレクターとしての活動や、良質再発レゲエ・レーベル、Auraluxを主宰する、”リー・ペリー研究家”の権威、デヴィッド・カッツ著によるリー・ペリー研究本。貧しく幼かった頃、実験的なレコーディングの様子、縁のある人々のインタビュー、謎のブラック・アーク・スタジオ焼失の原因、ボブ・マーリーとの意外な関係や、コクソン(スタジオ・ワン)、デューク・リード(トレジャー・アイル)との関係性など、本書でしか読むことの出来ない謎多きリ−・ペリーの本当の人間性を、膨大な時間と取材量で浮き彫りにしている。
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世界進出直前のボブ・マーリー(ウェイラーズ)の音源を始め、伝説のブラック・アーク・スタジオから誕生した名作、自らが歌ったアルバムなど、彼が手掛けた作品は、ソースが怪しげな海賊盤まがいのものも含め、膨大な量が存在。本書は、その数々のレコード/CDから約250枚を厳選し、検証していくリー・ペリーの“ひとりディスク・ガイド”。さらに、レアなヴィンテージ・シングル紹介、使用機材考察、過去の貴重な雑誌記事再録などで、偉大なる足跡を辿る。
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