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Yorimichi All Stars @HMV ONLINE 198

2009年5月20日 (水)

榮倉奈々

HMVフリーマガジン「the music&movie master」の人気コーナー、「よりみちAll Stars」!!
第8弾の今回登場してくれたのは、榮倉奈々さんです!!彼女が選んでくれたおすすめ10選とともにお楽しみ下さいませ!!


21歳ですよね。
はい。
その半分ぐらい仕事してますよね。
14からなので、8年目です。
この世界に入って、すぐ気持ちの変化ってありましたか?
もともと大きな夢を持って入ったわけじゃなかったし、徐々にって言うか、最近やっと変わりはじめてきたのかな。
女優らしくということなのかな?
うーん、まず負けず嫌いなんで目の前にあるものは精一杯やらないと気が済まないんですよ。納得するまでやることで、自分に与えられた責任みたいなものは感じるようになりましたね。”ああ、仕事ってこういうことなんだ”って思えることが変化だと思うし、それでまた次も目指せるというか。
「こういうこと」って、具体的な言葉で教えてください?
榮倉奈々 うーん、なんて言えばいいんだろう…なんか…わかんない…けど…。毎日の積み重ねが続いていくうちに自分の在り方を考えるようになったというか…やっぱ上手く言えない…。
伝わりますよ。
ありがとうございます。
夢は膨らんできましたか?
明確にこういう女優さんみたいになりたいとか、こんな作品に出たいというのはないんですが、観た人誰もがその作品の世界が本当にあるかのようにのめり込めるような、そんな作品に参加したいですね
いつも”役になりきれた”という感慨はありますか?
いつもではないですね。
何かが足りないということ?
うーん、もちろん実力が伴っていない時もあるし、自分をコントロールできない時もあるし。今までは演じてる瞬間に「完璧だ!」って思うことはなかったです。
『余命1ヶ月の花嫁』。誰もが自分の生活や環境と重ね合わせると思います。
そう思います。身近な人を思ったり。
台詞が少ないのが印象的でした。
確かにそうですよね。
「間」と「沈黙」がすごく残酷で孤独で。でも孤独を受け入れることで人と繋がっていけるみたいな。
うん。
結婚式の晩、病室のベッドで、看病しながら眠ってしまった太郎に話しかけて、そして目を閉じて、あなたの瞳から涙がこぼれるまでずっとカメラが廻ってたよね。あれ、泣けた。
ありがとうございます。
人の孤独さと残酷さと。けれどその中から見つけ出した幸福感みたいなのがいっぱい詰まってて…台詞じゃなくて演じ手の力量で泣かされた。
すごく嬉しいです。
きっと孤独でしたよね?
映画は実在された千恵さん(主人公の花嫁)の為に出来たものだし、みんなの思いも千恵さんの思いを伝えるためのものだったからすごいプレッシャーがありました。みんなの気持ちがまとまって同じ方向に向かうのはわかるんだけど、どうしても千恵さん役の私は、孤独で寂しかったような気がします。
究極の覚悟を演じたんだものね。
演じているときの感覚を思い出して苦しくなるというのは初めてですね。

榮倉奈々 実感があるのでは?
もちろんプレッシャーと孤独の中で精一杯やれたという充実感はあるけど、この作品はそういうことだけじゃなくて、ほんとに一生懸命に向き合うことが出来た気がします。技術とかそういうことを別にして、関わった人たちの気持ちが集まって出来た作品なんだって。
重い題材だったけど、すごく清涼感がありましたよ。
そういう言葉は嬉しいですね。
風がずっと流れてた気がしました。作品全体を通して決して滞ることなく、どこからか風が吹いてきて、肌に触ってどこかに抜けて行くような。
お芝居をしていて、なんとなくしかわからないけど、監督が”ダメっ”って言う時は空気が止まってるような気がして、それに焦った覚えがあります。そしてフッとカメラとか照明とかマイクとかが見えなくなったんですよ。その時に止まってた風が動きだしたなって思ったことがありました。すごく不思議な感覚だけど、確かに何度かあったんです。
千恵さんなのかなぁ?
かもしれないですね。
思えば最初のデートのシーンから風が流れてた。
既にですか?
季節とか時間と噛み合ってスッと通り抜けながら、いろんなものを予感させた。ドキュメント番組で観たけど、千恵さんって並の明るさじゃないでしょ。
そうですよね。悲しいくらいに…
覚悟して決意して、その気持ちの出口として明るさを選んだんだと思う。それが作品の中に吹き込まれて風になっているのかもしれないですね。
……うん、うん。そうかもしれないですね。
失礼ながら榮倉奈々さんも普段のハッピーオーラの裏側に、こんな悲劇を演じられる力があるとは思いませんでした。
正直、どうでした?
不幸を演じられる女優さんはすごく色っぽくて、美しさを感じました。
よかったぁ、ありがとうございます。
大女優への風が吹いてきましたね。
そんな、全然です。でも責任を全身で感じれば、きっとみなさんの心に届くんだと思えるようになりました。怖さも楽しみも知った上で、どう頑張れるかというところに立てた気がします。
かなりカッコいいんですけど。
あ、すいません。
ちょっと役者バカ系かも知れないですよね。
無趣味なんです。海が好きなのでダイビングとかしたいんですけど。
榮倉奈々 サーフィン似合いそうですよ。
サーフィンはちょっとケガが怖くて…。鼻が折れたらヤダし。
それはそれでまた役が来そうですけど。
ははは、特殊な役が(笑)
Vシネとか。
それは今のところ、ちょっと…(苦笑)
最近のんびりしましたか?
山に行きました。ひとりで。
ドライビングな感じで?
免許がないので、高速バスで。
その方がグッとくる。女優っぽい。
(笑)なんですか、それ
やまびこ的な、ヤッホーって。
あははは。
山で何したの?
どこでも良かったんですけど、ずーっとスタジオに籠ってたから自然がある広い場所に行きたくて。友達と予定が合わなかったから、いいやひとりでって、朝バスに乗って山梨まで。バスを降りたところで、近くにいたおじさんに良い所を教えてもらって、登山しました(笑)。
なんて山?
忘れたけど(笑)
昼ご飯はどうしたの?
“ほうとう”とビール、いっちゃいました。
いいね。
ご飯食べるまで2時間ぐらいずーっと大声で民謡唄ってた(笑)
聞きたい!
今日はちょっと…。
榮倉奈々。モデル。女優。民謡。なんかすごいぞ。
一応、三味線も。
ますます手強いですが、そんな榮倉奈々さんにとって「よりみち」とは?
なんか性格的によりみちなんてしてられないって思ってたんですけど、今から思えばよりみちばかりの連続だったような気がします。器用だと思ってたけど不器用なことばかりの連続で、ほんとによりみちばっか。いや、よりみちじゃなくて、遠回りだな。
すごくわかり易いし、あなたらしい気がします。
だから…うーん…上手くやろうとは思わなくなりました。それよりも精一杯。それが私だと思う。
お話を聞いていると、しっかり自分の答えで返そうとしてくれてますよね。少し戸惑っても、便利な言葉で逃げない。
逃げないです。逃げたくなることばかりだけど。
おそらくプロモーションインタビューなんて、聴き手の顔と言葉が違うだけで、ほとんど同じ内容のことを聞かれるんだろうけど、それでもあなたは時々の自分の気持ちを言葉にするんでしょうね。言葉が見つけられなくても、気持ちを搾り出すようにしっかりと丁寧に。
もー、褒めちぎりすぎです!(笑)
褒められる人が目の前にいるのが嬉しいんです。
だめだ、もう返せない。けど、嬉しいです。
結局、褒められるあなたがいちばん素晴らしいんです!
ダメだー、褒め殺されるーっ。

榮倉奈々

よりみち編集者・栗山圭介の榮倉奈々評

毎年春になると何千万人もの人が花見に出かける。毎年春になると「さくら」という曲が大ヒットする。毎年春になるとさっきまでの孤独に鍵をかけ、手探りで明るい明日を探そうとする。桜は季節を変えるだけでなく人の心も変える。花びらの運命を知りながら、やがて散り、舞い、孤独の彼方に消え行く映像をスローモーションで追いかけながら、誰もが日本人の美学と重ね合わせる桜。美意識とは心だ。日本人の心は桜そのものである。そして榮倉奈々が演じたものも桜だった。劇中でこぼした涙にも笑顔にも、すべて桜の花びらが輝いていた。そして観客は彼女の頬をつたう花びらに日本の心を呼び起こされ、いとしさとせつなさと心強さと、そして儚すぎる命の美に胸を締めつけられる。インタビュー中の彼女、脳と心で感じた気持ちを瞬時にジョイントさせて21年間の経験値から引き出す言葉にぎこちなさはあっても澱みはない。透き通ってて、けれどズシリと思い。私の言葉は私自身とでも言っているのだろうか。だから言葉を搾り出せず沈黙するとこともある。与えられた時間の中で正直に生きる美しい21歳。榮倉奈々は桜だ。我々はあと何十年もこの美しい桜に酔いしれることができる。



榮倉奈々
榮倉奈々さん プロフィール

榮倉奈々●女優、モデル。1988年鹿児島生まれ。14歳でファッション誌「セブンティーン」の専属モデルとして活動を始め、2004年ドラマ『ジイジ〜孫といた夏』で女優デビュー後は次々に人気ドラマへ出演。2008年にはNHK連続テレビ小説『瞳』のヒロインに抜擢され、2009年『メイちゃんの執事』で大ブレイクした今最も注目の若手実力派女優。民謡の名取りで三味線(藤本流)の準師範という「和」な特技も。最新主演映画『余命1ヶ月の花嫁』(5/9より全国東宝系ロードショー)ではその三味線も披露しています。

Photographer/tezro hirano
yorimichi editor/keisuke kuriyama

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