--- 休みの日は何を?
自分の中で、先に続く構想に対してやっておかなきゃいけないことがいつもあって。
だから休みは、自分の頭の中でそれを整理するために、家で一人でぼーっとしながらそれをまとめるっていうのが大事な作業になってる。
正直、家にいるほうが大変なんじゃないかって思うくらい細かい事をやっていることが多いな。
その予定がなければ友達とご飯に行ったり。
だから純然たる休みっていうのは詰まっている時期はないなぁ。
休みじゃなくても、夜中っていうのは自分にとってすごく自由な時間で、くだらないTVを付けっぱなしにしている時間っていうのはすごく自分をOFFにしている時間な気がする。
--- 曲を作るのは夜?
それはばらばらだなぁ。結構、歩いててもあるし。バスの中とか。
なんか雑踏の中で妙に一人になる時ってあるじゃないですか。そういう瞬間が結構多くて、そういう意味では、夜一人でお風呂バージョンも多いんだけど、
「一人になる」っていうのは大きいポイントな気がする。だから昼夜はあまり関係ない。
例えば、今回このBEST盤のために書き下ろした手記に関して言うと、手記を書く安藤さんがいて。(笑)
それは歌っている安藤裕子でもないし、今みたいなスポークスマンな私でもない。それはきっと個人的な安藤裕子が書くので、夜中に書くことが多い。
物を創るのは全然表に出てこない安藤さん。それはきっと子供の頃から松井君も知ってる安藤さん。基本人前には立たない。
だからその人に戻るときに、やはり物は創られるっていうところはあるかな。
昼間道を歩いてても、一人だって感じると、その人に戻ってるから。
--- 自分の中でその安藤さんは別人なの?
違うね。しゃべり方も違う。そうする事でうまく回転し始めるところがあったんだよね。もともとの素の自分のままだと、いろんな事がうまく出来なくて。
例えば、こういう取材だって、松井君はたまたま同級生だから知ってるけど、基本は始めて会う人としゃべるわけじゃない。
そういうのって、いきなりしゃべれないじゃないですか。普通は。だからデビューした直後なんてのは、それですごい泣く事も多くて・・・
でも「このままじゃヤダな。」って自分の中ですごく思ったの。言いたい事も言えず。しゃべれないから、事実と違うことがそのまま文章になっていったりする。
それだったら、聞かれた事全てにとにかくなんでもいいからしゃべって、それで、事実と違う事が文章になるんだったら、「あとは知らない」って思っているほうがいいような気がして。
で、自分の中で、べらべらしゃべる人っていうのが誕生した感じ。
--- 今日話してる安藤さんは「外に出る」安藤さんでしょ?俺が知ってる安藤さんじゃないんですよ。やっぱり。それは今日ずっと話してきた中に感じた違和感かな。なんか謎がとけたって感じ。
安藤さんは基本仕事場には来ないんです!(笑)
--- 最後に、今度、このBEST アルバムとは別に、RAVEXというのに参加するじゃないですか。まだ楽曲は聴かせてもらってないんだけど、あのプロジェクトっていうのはハウスだったりエレクトロなサウンドじゃない。今までの安藤裕子の作品とは別ものだと思うのですが。
全く別っていう違和感は無かったな。☆Takuさんとディレクターと3人で作りこんでいったんだけど、作業的には普段やってることと変わらなくて。
ただやっぱり仕上がりは大きく様を変えたので、「おお、こうなったか」っていう感想はあって面白いですよね。
またちょっと自分の世界が広がるというか。
--- 新しいチャレンジなのでしょうか?
人の世界でうたをうたうっていうのは、きっと自分の中で近頃始まっている良いスタートだと思います。他の人に詩や曲を提供するっていう仕事も増えているんだけど、どちらも、
外の人と混ざっていくという新たな良いスタートだなと思ってます。
--- じゃあ、今後もこういった可能性もあるし、自分も変わっていく可能性もある?
変わるというか、
自分と言う土台がある上に拡がっていくって言う事のほうが近いかな。
--- なるほど。今日はいろいろと話を聞かせていただいて本当にありがとうございました。
ありがとうございました。