【インタビュー】トクマルシューゴ

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2009年3月23日 (月)

トクマルシューゴ RUM HEE
 
 
都内を雪が降りしきる中、六本木某所で行われたインタビュー。
若きポップマエストロはふんわりとした雰囲気をまといながら、お菓子を片手に語りだしたのでした・・・。
 
 
 
    ―『RUM HEE』の意味は・・・  
 
  HMV : まずは今回のリリースについてお聞きしたいんですが、新曲が3曲ですよね。
そのシングルというかミニアルバムをリリースしようとしたきっかけは?

トクマルシューゴ (以下トクマル):  元々シングルかなにかを出したいなと思ってて。それでそのアイデアがどんどん膨らんでいって、いろいろ入れることになって…って感じですね。…とりあえずアルバムとは違った形のものを一回出してみたかったんです。

HMV : 昔の曲をリアレンジしてやっているんですけれども、なんで今回入れようと思ったんですか?

トクマル:ライブでいろいろやっていくうちにアレンジが変わってきちゃったんで、それをちょっと一回出しておければいいな、って。

HMV : その音がまだ上がってないので聴いてないんですけど…、全然、正規音源と違っている感じですか?

トクマル: 全然違いますね…テンポも違うし。キーも変えちゃってる曲もあるので。

HMV : 過去作品から1曲ずつ選んでやってますよね?

トクマル:そうですね。各作1曲ずつ。まんべんなく入れようかなと思って。

HMV :1枚目とかその辺りだと、宅録とか一人でやってるものを今回バンドでアレンジしてやってみたりしてるんですよね?アルバム楽曲って常に変化してるんですか?

トクマル: うーん、やっぱりやっているうちに変わってきちゃいますね。 録音したものをライブでそのままやると全然うまくいかなくて。ついついアレンジしていっちゃうんですよね。

HMV : 今回はリミックスも入ってますよね。

トクマル:最近すごいなと思っている日本人の方にお願いしようと思って。タイチくん(ウリチパン郡)にお願いしました。あともう1曲Deerhoofのリミックスが入っていて…。タイチくんのもDeerhoofのも…両方本当に凄いんで。
僕はビックリしてるんですけど。

HMV : こうきたか!みたいな…

トクマル: こんなことができるんだ!と思って。生まれ変わったみたいな感じですね。

HMV : ご自分の楽曲がリミックスされるのって好きですか?

トクマル: そうですね…好きですね。客観的に見れたり出来ますよね。こういう部分がこの人は好きなのかな?みたいなのがわかってきて、そういうのも面白いですよね。

HMV : 根本的なことなんですけど…タイトルの「Rum Hee」の意味を教えて頂きたいんですけども。

トクマル: はい。えーっと、意味はですね…ないんですよ…(笑)

HMV : 調べたんですけど、全然出てこなくて(笑)

トクマル: 本当に意味がないんですよね。曲をパッと作った時に歌ってたので。だからそのままなんですよね。本当に意味は何なのかよくわかんないです。

HMV : それで、そのまま付いちゃったんですね?

トクマル: うん、そうですね。

HMV : そうかぁ…「Rum」はラム酒の「Rum」だと思ってたんですよ。

トクマル: あの、そう「ラムヒー」って言ってただけなんで…綴りは…わからなかったんですよ。

 
 
    ―「光っているイカ」的な…  
 
  HMV :初めの曲作り段階の歌詞っていうのは、基本的にメロディーの方から浮かんでくる感じですか?

トクマル: そうですね。メロディーと楽器は同時なんですが歌詞までは…。

HMV : 歌詞自体がイメージ的にはぼんやりしているというか、白昼夢みたいな…夢を見ているようなイメージがあるんですけれども。 歌詞ってトクマルさんにとって意味はあったりしますか?

トクマル: そうですね…歌詞は多分意味はないですね。無秩序な感じ…ですね。夢日記をいつも書いてて、それから拝借してる感じなので…
日本語の意味が間違っているってよく言われるんですけど。

HMV : 日記を書くんですか?

トクマル: そうですね。日記を書いてますね…

HMV : 興味ありますね〜(笑)それを歌詞のネタとして見ないで、普通に見た時ってなんか怖くないですか?

トクマル: あー… まぁ、多分…書いちゃったものって、けっこう鮮明に覚えちゃってるんで、10年くらい前に書いたものとかはビックリします。

HMV : じゃあ、歌詞にはそんなに意味は持たせてないんですね。で、海外での活動も多いじゃないですか?英語で歌詞を書こうと思ったことは?

トクマル: うーん…やってみたことはあるんですけど。できなかったですよね。けっこう難しくて。

HMV : 確かに意味がないとは言っても、やっぱりあの歌詞が魅力ですもんね。

トクマル:ああいうのが好きなんですよね。結局。うん。

HMV : 次の… 「Inatemessa」は?

トクマル: これ、逆さに読んでるだけで。遊びで作った曲はすごいいっぱいあって。その中からちょっと面白い曲を。全然趣向と違うのを入れようかな、と思って。

HMV : トクマルさんの曲はパッと聴きでポップな感じがあるんですけど、よく聴くとブッ壊れているというか…
実はすごいことをやっているのに、ポップに聴かせてしまうっていうのは凄いですよね。ポップなものを再構築しているような感じがあるんですけど。

トクマル: うーん…なんですかね。 基本的に変なものがすごく好きで。巷に出回っているJ-POPとかでも、面白いものは本当に面白くて。
なんでこういうふうになったんだろう?みたいな曲も多くて。すごい面白いものはやっぱり面白いなって思ってて…そういうものもやっぱり好きだし、
古い音楽もスタンダードなものもすごい好きだから。その感じが合わさっているのがいいな、と思って作ってますね。

HMV : アートワークも…ジャケ写ちょっと見せてもらたんですけど、何なんですかね?すごいキレイな…黒バックの緑柄の…

トクマル: あれ、すごいですよね。なんか金魚鉢みたいなやつに入ってるガラス細工なんですけど、それを暗闇で光らせてて。あれはすごい面白いですね。ちょうど「ラムヒー」っていうのは僕の中で「光っているイカ」的な…モノで…。

HMV : 海の中の「イカ」ですか?

トクマル: 宇宙の中に飛んでる「イカ」的な…その色があの緑っぽい色だったんで、「あぁ、コレだ!」って。合うなぁと思ってやったんですけどね。

 
 
    ―一人で作ってると、どこまでやっていいのか・・・   
 
  HMV : ちょっと曖昧な質問になっちゃうんですけど、トクマルさんにとってポップってどんなものでしょうか?

トクマル: なんですかねぇ…?本当に…

HMV : 「ポップの定義」っていうか…(笑)

トクマル: まぁ、多分「わかりやすいもの」ですよね。一言で言えば…何なんですかね?わかんないですね… 感覚でしか「あ、これポップだね」としか言いようがなくて。

HMV : ただ耳障りのいいものがポップっていうわけでもないじゃないですか。

トクマル: うーん、そうですね。難しいですね。

HMV : 作品を重ねるごとに、そのポップさが増してるような気がするんですけど… 増してて、さらに鋭くなっているような感じもするんですけど。その辺りは意識してるのかな…と思ったのですが、特に考えてはいないですか?

トクマル: うーん… どうなんですかね。いろいろやってみようかなとは思っているんですけどね。今回はいろいろ試してみたことも多いですね。

HMV : (曲の)ストックってあったりするんですか?まだ世に出てない曲というか…

トクマル: 曲はもう…ないですね。

HMV : なんかすっごいありそうですけどね(笑)

トクマル:曲はいっぱいあるんですけど。やっぱり納得のいくものは少ないですね。

HMV : 基本的に楽曲は全部一人で作るんですか?

トクマル: そうですね。

HMV : それだと、どこまでが完成ってわからなくなるような気がするんですけど…

トクマル: そうですね〜 そうなんですよ。わかんないんですよね。

HMV : バンドでやってると、良いか悪いかわからないんですけど妥協が入るじゃないですか。

トクマル: そうなんですよね。一人でやってるとなかなか… 昨日、Prefuse 73と対談してて、その話になったんですけど。 「そうだよねー」みたいな(笑) なかなか妥協点がないんですよね。

HMV : 作曲自体は楽しいことですか?

トクマル: そうですね、好きですね。一番好きですね…たぶん。

HMV : 曲を突き詰めていくうちに、だんだん嫌になったりしないですか?

トクマル: 作っているときは全然嫌にはならないですね。自分の曲に関しては嫌になったことはないですね。…嫌になったら捨てれるから。

HMV : なるほど。今回のCDにはライブDVDも付いているんですよね。内容は海外のライブが入るんですよね?

トクマル: そうですね。ニューヨークのライブをメインに何個かやったやつを入れたり。

HMV : 海外でやってみてどうですか?

トクマル: 面白いですね〜。

HMV : 反応は各国違いますか?

トクマル: 温度は違いますね。 でも、音楽が好きで見に来るってのはどこも同じですね。

HMV : 各国にマジックバンドがあるって聞いたんですけど。

トクマル: いや、各国にあるわけじゃないんですけど。そうですね、アメリカで一応ありますね。

HMV : アメリカのマジックバンドは全員身体がゴツいって…

トクマル: そうなんですよね〜。 みんな身体デカいですよ。

HMV : デカい身体でアコーディオン弾いてて、カワイイって…

トクマル: 普段は凄い音楽家たちなんですけど、 なんかあのおちゃめな感じが凄く良いんですよ。

HMV :日本で最近対バンされたバンドでは、オーガ(OGRE YOU ASSHOLE)とか(資料に)書いてありますもんね…面白いですね。

トクマル: そうですね、この間オーガとやりましたね。昔からの友人ですよ。

HMV : 対バンのアーティスト、バラバラじゃないですか?(笑)

トクマル: バラバラですね。その前がハイラマズ。その前がムーンライダーズさんで…

HMV : おぉ〜!!

トクマル:確かに。面白いですよね。

HMV : ライブで…例えばフジだったらグリーンステージでとか、大きなところでやってみたいとかはありますか?去年フジに出たんですよね?場所って確か…

トクマル: 去年はAVALONですね。

HMV : いやー、フジのグリーンで観たいですね!!今年のフェスの予定は?

トクマル:4月のARABAKIに出ますね。あとは海外のフェスとか。

HMV : 朝霧とかでも観たいですけどね…野外で。

トクマル: 朝霧行ったことないんですよね。フジはいつも行っているんですけど。

HMV : 話がそれてきてしまったので、そろそろまとめましょうか(笑)このミニアルバムの聴きどころとHMV ONLINEをご覧の方へのメッセージをお願いします!

トクマル: えー… (考え込む)

HMV : (笑) 難しいですよね。

トクマル: やっぱりパッケージを買ってほしいなって思います。今作は僕だけじゃないいろんな人の苦労も詰まった作品で。自分の中では非常に実験的なことで、今までやらなかったこと、試そうとしてたことをようやく試せて、モヤモヤがようやく晴れた感じです。これを作っておいて本当に良かった。ようやく次のアルバムが作れる準備が整った感じです。

HMV :本日はどうもありがとうございました!

 
 
 
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