--- DVDの冒頭のところでBOSSさんが「俺ら今一番乗ってると思ってる」と仰ってますが、それは今までにもあった感覚ですか?
BOSS: 常にあったね。常にそう思ってる。
--- 常に一つ前を超えてきているって事ですか?
BOSS: やってる俺らはそう思ってるよ。いろんな人たちがいろんな場所でね、僕らの昔が良かっただとか、あの頃が良かっただとか、いろいろ言ってくれるんだけど、やってるおれらは本当に常にそう思ってるよ。
--- では、12年というキャリアの中で、浮き沈みっていう感じではなく。
BOSS: 常にあがってる。俺らはそう思ってるよ。
--- それは気持ちの面で。
BOSS: そうだね。一度も下がった事がない。
--- それはすごいっすねぇ!
BOSS: 僕らが作品に対して満足しているっていうひとつの“あがり”と、お客がそれを支持してくれている“あがり”が合致しているから僕は幸運なのさ。気持ちは満足してるのに売り上げが下がってったり、売り上げは上がってってるんだけど本人達は満足ではない、っていろんなアーティストがいるでしょ?でも僕ら、そこはシンクロできてると思ってるから。相変わらず、昔と変わらず、いい感じだよ。
--- その上がっていくっていうのは、最終的にはどこまであがっていくんでしょう?
BOSS: なーんだろうね。僕らは最終的に東京ドームでライブがやりたくてやってる訳でもないんすよ。僕らにとってちょうどいいのがリキッドルームなんで。俺の言葉が隅々まで届いてるっていうのが実感できる広さ。
もっと内面的なものだよね。上がっていくっていうのは。自分自身満足いく表現が出来てるかどうか。金はね、はっきりしてるよ。誰の目から見ても明らかだわ。売れてる/売れてない。そんなの一目瞭然だわ。ただ、僕ら自身の中での上がってってる感って言うのは、普通に生活してて、ただただ噛み付く事とか、世の中に対して唾吐く事しか知らなかった俺らがいろんな事知って、いろんな人と死に別れたり、生き別れたり、新しい人と出会ったり、昔うまくいってなかった人と解り合えたり、いろんな人間関係とかから、いろんなもの学んで、自分の表現が成熟していく。そういった中での内面的な成長の上がり方を俺は求めてるんで。だから、俺がさっき言ったみたいに、ある人は、傍から見て、昔の方が良かったとか言うけど、やってる僕ら自身的には、本当に歳相応の表現が出来てるっていうか。やっぱり、そりゃ25、6で書いたリリックと、今37で書いたリリックが同じだったらダメだわ。やめた方が良い。やっぱ、12年経ってんだったら、そこから何か言ってないと。そこの変化っていうのを自分で実感出来ないと。ある意味、アーティストっていうのは、そのままでいて欲しいって思われがちなんだけど、そこは割と恐れずに僕らは表現しちゃうんで、それも出来てるし、勇気をもってね。且つ25の時の詩も、その時の気持ちのまま歌えるし、且つ今のフィーリングを落とし込んで歌える。ま、そういう面で言ったら良い感じ。
--- それはCDの制作にせよ、LIVEにせよ、同じ事で。
BOSS: どこまで上がってくかっていうと、その生きながらえたその歳の表現。その歳から見える景色をありのまま歌い続けられれば、俺はそれで良いと思ってる。誰かに合わせて歌うんではなくてね。
--- このLIVE DVDの中にも多いに収められていますが、BOSSさんはLIVEが終わった後、すごい良い顔しますよね。
BOSS: そうだね。出し切ってるわ。
--- 一回一回完全に満足しているという事ですか?
逆に、満足出来なかった、出し切れなかったっていう事は今までにありますか?
BOSS: 2年に1回くらいかな。俺が今ここで思い出せるのは2回しかない。その2回は、お客には申し訳ないとしか言いようがないが、俺自身満足が出来なかった。後は全部満足してる。
--- それはすごいっすね。そんな話しからも伺いしれるんですが、THA BLUE HERBのLIVEって1回1回本気でステージに臨まれてるじゃないですか。それで、このDVDに収められている今回の長いツアーをやってきて。ほんとに疲れるだろうなって思うんですよ。実際DVDの中でも「疲れた〜」って仰ってるシーンもありますけど。
BOSS: あの辺りホントに疲れてたね。高松でしょ。日程的に最高疲れてたわ。(笑)
--- でも、会場に来たお客さんに対しては。
BOSS: そうそうそう。それはね。基本的に、じゃあそんなにスケジュール入れなきゃいいじゃんって話なんだよね。でも、あえて自分で入れてる。それは、そこを乗り越えないと見えないものがあるはずだっていうのが、前提としてあるんだよね。だってスケジュール組んだの俺らだし。確かに疲れてるけど、次の街に行ったら、来てくれたお客さんには何も関係ないわけじゃん。前の日の事なんてねぇ。前の日疲れたからって、そんな事、絶対に言っちゃダメだよ。それは絶対だもん。当たり前の事だ。だからなんとしてでも、それは絶対乗り越えるでしょ。そのために出来る事は全てするでしょ。
--- そこまで気持ちを持っていけるように、自分の中でコントロールを?
BOSS: 休める時には休むし、体調管理も完全にしなきゃダメだし、それはある意味、一番重要な事かもしれない。そういうツアーまでいくとね。
--- 今回、長いツアーをやりきって、実際見えてきたものって何かありますか?
BOSS: 出来たっていう事も自信だったけど。
今回このツアーをやろうと決めたそもそもの発端にまで遡らなきゃダメだな。
俺が今思ってるのは、札幌に住んでて、どっかの街から今度ブルーハーブをLIVEで呼びたいんですよ、っていうメールとかをね、待ってるだけだと、これから先食ってけないってこと。自分達でLIVE自体を企画して、自分達で宣伝もして、ある程度のお客さんまで浸透できる力を持って、且つLIVEそのものと日程をちゃんとしたクオリティーでこなして、且つ最終的に収益もあげるっていうね。それを完璧に出来ないと、俺はこれから先絶対食ってけないと思ってんのよ、アーティストは。結局CDなんて昔と比べて全然もう売れないんだし、LIVEの質でお客を引きつけ続けないと。そう思い始めてた時に、俺はやっぱKRUSHさんとBRAHMANなのね。あの人達とそのクルーがやっているツアー運営能力、実際やってきたスケジュールのきつさとその結果を見ると、まだまだ全然足りないと思う。あの人たちの方がもっと辛い日程の中で、結果も出してやってる。日本人のHIP HOPのMCのアクトでそういう事をやった奴はいないけど、もっとでっかい音楽の世界全体で言ったら、さっき見たけど、そういう世界まで見ちゃうと、全然まだまだ。まだ甘い。まだ全然出来るっしょみたいな。
--- では、今後ブルーハーブで、今回と同じ規模、もしくは今回以上の規模のツアーをやろうと考えてますか?
BOSS: もちろんやろうと思ってる。
--- それはまた!!
BOSS: ね。
--- すごいチャレンジですね。
BOSS: そだね。でもやっぱり、やった事ない事に挑戦するのが楽しいっすよね。俺ら今回それが一番すよ。楽しかった。自分達で物販やったりとか、ああいうようなことも、やってみて楽しかった。且つここの街にはどれくらい僕らの音楽が届いているかとか、自分の身をもって知れたしね。良い時ばかりではなかったから。それもちゃんと知れたし。この街にはもうちょっと広がるように努力しなきゃダメだ、とかちゃんと実感出来たんでね。自分達でレーベルやってる以上、そこは避けて通れないから。
--- 一緒に付いて回っていたING(NORTH SMOKE ING)の面々にとっては相当な刺激になったでしょうね。
BOSS: そう思うね。俺も彼等くらいの時に、KRUSHさんと仕事させてもらって、やっぱ、あの人がやってる事とかを後ろ姿見ながら、あの人のアメリカツアーとかの日程を日本で見ながら「ここまでしなきゃダメなんだ」っていうのを知ったからね。
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